はじめに
本章の目的
この記事は、退職願を郵送する際に添え状(送付状)を正しく作成するための実用ガイドです。特に縦書きで作成する場合の具体例やマナーに重点を置き、誰でも迷わず書けるように解説します。
読者の想定
- 退職手続きが初めての方
- 添え状の書き方に自信がない方
- 縦書きでの正式な文書を送りたい方
本記事で学べること
- 添え状がなぜ必要かの理由
- 添え状の基本構成と縦書きのポイント
- 実際の書き方と記載例(縦書き)
- 封筒の書き方、入れ方、郵送時の注意点
- 書式テンプレートの入手方法とよくあるQ&A
進め方の案内
各章は順に読み進められるように構成しています。まずは基本を押さえ、慣れたら実例を参考に作成してください。疑問があれば、よくあるQ&Aの章で確認できます。丁寧に進めれば、円満な退職手続きにつながります。
退職願を郵送する際に添え状が必要な理由
はじめに
退職願を郵送する際は、添え状(送付状)を同封するのが一般的なマナーです。添え状は受け取る側に「何が届いたか」を明確に伝え、手続きや対応を円滑にします。
添え状の主な役割
- 同封物の明示:退職願が入っていること、枚数や控えの有無を簡潔に伝えます。
- 連絡先の提示:郵送後に不明点があれば連絡を受けられるよう、連絡先を書く役割があります。
- 礼儀の表現:これまでの感謝や迷惑をかけたことへのお詫びを伝える場として使えます。
会社側の立場から見た利点
人事や総務は届いた書類を整理して処理します。添え状があると担当者が内容をすぐに把握でき、受理や確認の連絡を速やかに行えます。書類の紛失や誤配を防ぐ効果もあります。
書き方のポイント(簡潔に)
- 宛名・日付・差出人を明記する
- 同封物(退職願)と枚数を記す
- 感謝の一言を添える
添え状は形式よりも「相手にわかりやすく、礼を尽くす」ことが大切です。次章で縦書きの具体的な書き方を見ていきましょう。
添え状の基本構成と縦書きのポイント
構成要素
添え状は次の要素で成ります:日付/宛名/差出人情報(氏名・部署・連絡先)/本文/結語(敬具等)/同封書類の明記。各項目を抜けなく記載すると相手に伝わりやすくなります。
縦書きでの配置の基本
- 日付:用紙の右上に記載します(例:令和X年X月X日)。
- 宛名:日付の下、右寄りに会社名・部署名・役職・氏名+「様」または「御中」。
- 本文:中央寄りの列から縦に書き出します。冒頭は簡潔に「私事で恐縮ですが…」など目的を述べます。退職願を同封した旨を明確に記載します。
- 結語:本文の終わりに「敬具」を書き、やや下方に余白を取ります。
- 差出人:用紙の左下に氏名・部署名・連絡先を縦書きで記載します。
- 同封書類:差出人の近く、または本文の最後に「同封書類:退職願 1通」と明記します。
用紙・作成方法のポイント
A4またはB5の白い便箋が一般的です。手書きは丁寧な印象を与えますが、パソコン作成でも差し支えありません。どちらを選ぶにしても黒インクで読みやすく、修正テープや汚れは避けましょう。
書き方の細かな注意点
- 縦書きに統一する:退職願が縦書きなら添え状も縦に揃えます。見た目が整い、礼儀にもかないます。
- 文面は簡潔に:目的・同封物・連絡先を明確に書き、長文は避けます。
- 敬語と表現:丁寧語を使い、失礼のない言い回しにします。
- 押印・署名:必要なら差出人欄に署名か押印をしますが、社内規程に合わせてください。
これらを守れば、相手に伝わりやすく礼儀正しい添え状になります。
縦書き添え状の具体例・書き方
構成の流れ
縦書きの添え状は、上から順に「日付」「宛名(会社名・役職・氏名)」「頭語(拝啓)」「時候の挨拶」「退職の旨」「同封書類の説明」「お礼・お詫び」「結び(敬具)」「自分の所属・氏名」の順でまとめます。全体を縦書きで統一し、封筒に入れる向きも確認します。
書き方のポイント
- 日付は文頭の右上に書きます(例:令和〇年〇月〇日)。
- 宛名は会社名→部署名→役職→氏名の順で、敬称は「様」や「御中」を使います。
- 頭語と結語(拝啓/敬具)を必ず対にします。
- 同封書類は明確に「同封書類:退職願(原本)」などと記載します。
- 「ご査収」は、内容を確認して受け取る意味なので、同封物の案内時に使います。
例文(縦書き、右上から下へ)
令和〇年〇月〇日
○○株式会社 代表取締役 ○○ 様
拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
このたび、一身上の都合により令和〇年〇月〇日をもちまして退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。
同封書類:退職願(原本)
在職中は公私にわたりご厚情を賜り、深く感謝申し上げます。業務に不手際がありましたらお詫び申し上げます。
末筆ながら貴社のますますのご発展をお祈りいたします。ご査収のほどよろしくお願い申し上げます。
敬具
○○株式会社 △△部
氏名(自署)
退職願・添え状の封筒の書き方・入れ方
封筒に入れる順序と向き
・添え状を一番上、退職願(本書)を下にして重ねます。添え状は簡単な挨拶と書類目録の役目があるため、開けたときにすぐ見えるようにします。
・封筒が透ける場合でも、添え状が表側(封筒を正面から見た時に一番上に来る向き)になるように入れてください。
封筒の表書き(社内持参・手渡しの場合)
・封筒表面中央に縦書きで「退職願」または「退職届」と大きく書きます。目立つように濃い墨で記載してください。
・宛先(会社名や部署名)は書かず、裏面の左下に所属・氏名を書きます。部署名は正式名称で記載します。
郵送する場合の書き方
・郵送するときは郵送用封筒(長形3号や角形2号など)を使います。長形3号はA4を三つ折り、角形2号はA4を折らずにそのまま入れられます。
・封筒表面に会社の住所と宛名を明記し、その横あるいは下部に小さく「退職願在中」と書くと受取側が分かりやすいです。
・差出人(送付者)の所属・氏名・住所は裏面左下または裏面中央に記載します。
封入・封かんの注意点
・書類は揃えて角を合わせ、折る場合は丁寧に三つ折りにしてください。折り目がつかない方が良ければ角形封筒を使います。
・封入後は封をしっかり閉じ、封筒の口に封印シールを貼るか糊でしっかり留めます。ホチキスで封をするのは避けてください。
・記載は黒インクで読みやすく書き、誤字脱字がないか最終確認してください。
郵送時の注意点・マナー
郵便局窓口で必ず確認
郵送はポスト投函より窓口利用をおすすめします。重さと料金を窓口で測り、切手や料金不足がないか確認してください。封筒の封かん(のり付け・テープ)も窓口で相談できます。
配達方法の選び方
普通郵便は手軽ですが、確実性を重視するなら簡易書留や一般書留を選んでください。追跡や受領印が残るため安心です。内容証明は「いつ、どのような内容を送ったか」を公的に証明できるため、退職の意思を明確に残したいときに有効です。
送るタイミングと事前連絡
退職願を郵送する前に、まず直属の上司や人事に電話やメールで事前に伝えておきましょう。事前連絡があると受理や手続きがスムーズになります。郵送は平日の営業時間内に行うとよいです。
封入・封筒のマナー
書類は折り目を整え、余白を保って封入します。封筒の表に差出人名・宛名を正確に書き、封筒表面に「退職願在中」と記載すると分かりやすくなります。書類の控えは必ず一通保存してください。
郵送後の確認と保管
追跡番号や受領印を受け取ったら控えを保管します。到着後に受理されたかどうか確認の連絡を入れてください。受理の記録があれば今後の手続きで安心です。
退職願・添え状の書式テンプレートの入手方法
入手先の主な例
- 大手転職サイトや人材サービス会社:縦書き・横書き、Word/PDFなど複数形式が揃います。
- 企業の総務・人事部:社内ルールに沿った書式が入手できます。まず社内に確認しましょう。
- テンプレート配布サイト:書式集やビジネス文例サイトでもダウンロード可能です。
ファイル形式と選び方のポイント
- Word(.docx):編集しやすく、個人情報や日付の調整に便利です。
- PDF:体裁が崩れにくく提出用に向きます。
- 用紙設定はA4縦書きが一般的。印刷プレビューで文字のズレを必ず確認してください。
使用前のチェック項目
- 社内提出ルールに合うか(縦書き指定の有無)
- 宛先・日付・署名欄の位置が正しいか
- 名字の漢字やフリガナが合っているか
カスタマイズのコツ
- 必要な部分だけ簡潔に書き換える。文言を大幅に変えると礼儀を欠く場合があるので注意してください。
- 作成後はPDF化して保存し、控えを必ず残しましょう。
よくあるQ&A・注意点
Q1: 添え状は手書きとパソコンどちらが良いですか?
どちらでも問題ありません。ただし、会社によっては手書きを好むことがあります。心配な場合は事前に人事や上司に確認すると安心です。
Q2: 添え状が不要と言われたらどうしますか?
会社の指示があれば従って大丈夫です。ただ、社会人マナーとして添え状を同封しておくのが無難です。
Q3: 退職理由はどう書けばよいですか?
「一身上の都合により」で十分です。詳しい理由を書く必要はありません。余計な感情や詳細は避けましょう。
注意点
- 日付と氏名は明確に書く。受付日や最終出社日を記載する場合は誤りのないように確認してください。
- 提出前にコピーを必ず保管する。万一の証拠になります。
- 郵送の場合は追跡可能な方法(簡易書留など)を検討すると安心です。
- 文面は簡潔かつ丁寧に。感情的な表現や会社批判は避けてください。
- 会社の就業規則や雇用契約に沿うことを確認してください。


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