はじめに
この記事は、会社を離職した際に必要となる書類――主に源泉徴収票と離職票――について、やさしく丁寧に解説します。
この章の目的
- 本記事の全体像を分かりやすく示します。
- 読者が次の章で何を学べるかを把握できるようにします。
誰に向けた記事か
- 退職や転職を考えている方
- 失業給付や確定申告を予定している方
- 会社から書類を受け取る際に不安がある方
この記事で扱う主な内容
- 源泉徴収票の役割と見方
- 離職票との違いと使い分け
- 退職後の取得方法と注意点
- 手続きの流れと必要書類、実務上のポイント
これから順を追って説明します。どうぞ気軽に読み進めてください。
源泉徴収票とは何か?その役割
概要
源泉徴収票は、会社が従業員に支払った給与や賞与、その合計額、源泉徴収された所得税額などを記載した書類です。退職した場合は退職日までの給与や税額がまとめられ、所得税法226条に基づき、原則として退職後1カ月以内に会社から交付されます。
主な記載項目(例を含む)
- 支払金額(例:年間給与総額 3,000,000円)
- 源泉徴収された所得税額(例:源泉徴収額 150,000円)
- 社会保険料や控除に関する欄
- 扶養親族の数や支払者(会社)の情報
発行の目的と利用場面
- 転職先での年末調整に提出して、二重の税金計算を防ぎます。
- 自分で確定申告を行う際、給与所得の証明として使います。
- 住宅ローン審査や市区町村の所得証明として求められることがあります。
受け取り時の注意点
- 退職後に住所が変わる場合は会社に新住所を伝えておきます。
- 紛失したら速やかに前職の会社へ再発行を依頼してください。
- 交付が遅れる場合は、まず会社に確認し、それでも受け取れないときは税務署へ相談するとよいでしょう。
離職票とは?源泉徴収票との違い
離職票とは
離職票は、会社をやめた人が雇用保険の給付(失業手当など)を受けるときに必要な公的書類です。会社が「離職証明書」などの手続きをハローワークに提出したあと、ハローワークが発行し退職者に送付します。書類には離職理由、直近6カ月の賃金、雇用期間などが記載されます。
発行の流れと目安
退職後、会社は通常、退職日の翌々日から10日以内にハローワークへ手続きを行います。ハローワークで確認後、離職票が作成されて退職者へ郵送されます。届くまで数日から数週間かかることがあります。
離職票に書かれる主な内容(例)
- 離職理由(自己都合・会社都合など)
- 直近6カ月の賃金総額
- 雇用保険の被保険者期間
これらの情報で、受給できる給付の種類や額、給付開始時期が判断されます。
源泉徴収票との違い
- 用途:離職票は雇用保険(失業給付)用。源泉徴収票は税金(年末調整や確定申告)用。
- 発行元と提出先:離職票はハローワークが交付、提出先はハローワーク。源泉徴収票は勤務先が発行し税務署や本人の確定申告で使います。
- 記載項目:離職票は離職理由や賃金履歴、源泉徴収票は年間の給与・源泉徴収税額や社会保険料など。
必要な場面が異なるため、両方揃えておくと安心です。
退職後の源泉徴収票取得方法と注意点
発行の義務と期限
退職後、会社は原則として1カ月以内に源泉徴収票を交付する義務があります。交付が遅れる場合は、次の手続きに支障が出るため早めに確認してください。
受け取り方法
一般的に郵送か手渡しで受け取ります。再就職先への提出や確定申告に使うため、住所変更や郵送先の指定は事前に伝えておきましょう。
記載内容の確認ポイント
- 退職日までの給与・賞与の合計が正しいか
- 源泉徴収税額が合っているか
- 社会保険や扶養の記載に間違いがないか
間違いがあると年末調整や確定申告で手続きが複雑になります。受け取ったら必ず確認してください。
再発行・問い合わせ方法
受け取りが遅れたり紛失した場合は、経理または人事に再発行を依頼します。会社が応じない場合は、ハローワークや税務署へ相談するとよいです。
実務上の注意点
転職先や税務署への提出期限を逆算して早めに手配しましょう。電子交付を行う会社もあるため、データで受け取る方法についても確認すると便利です。
チェックリスト(受け取り時)
- 氏名・マイナンバー(必要時)が正しい
- 支給額と税額が合っている
- 交付日・発行元が明記されている
不足や誤りがあれば速やかに連絡してください。
退職後の手続きの流れと必要書類
手続きの基本的な流れ
- 会社から受け取る書類を確認する(源泉徴収票、離職票、雇用保険被保険者証、健康保険資格喪失証明書など)
- 離職票がある場合はハローワークで失業給付を申請する
- 転職先が決まっている場合は源泉徴収票を提出する。提出できないと年末調整に影響します
- 転職しない、もしくは年の途中で複数社から給与を受けた場合は自分で確定申告する
主な必要書類と使い道(例付)
- 源泉徴収票:年収や税額の証明。転職先へ提出、確定申告で使用
- 離職票:失業給付の申請に必要(例:会社都合や自己都合で給付条件が変わります)
- 雇用保険被保険者証:ハローワーク手続きや雇用保険の確認に使用
- 健康保険資格喪失証明書/被扶養者関係書類:国民健康保険や新しい加入先で使います
- マイナンバー通知カードや身分証明書:本人確認に必要
源泉徴収票が届かない・紛失した場合
まず会社の総務や人事に連絡して再発行を依頼してください。再発行が難しい場合は、給与明細や振込記録を用意して確定申告を行う方法もあります。ハローワークに行く際は、離職票の有無で手続きが変わるので事前に確認しましょう。
提出や申請の期限、注意点
- 離職票は受け取ったら速やかにハローワークへ(給付手続きには期限があります)
- 源泉徴収票は年末調整や確定申告に備えて保管してください
- 転職先へ提出する場合は、提出時期を確認して年末調整の漏れを防ぎましょう
必要書類を整理しておくと、転職や手続きがスムーズになります。困ったときは会社の担当部署やハローワークに相談してください。
源泉徴収票・離職票が必要な場面と活用方法
転職時(年末調整)
転職先で年末調整を受けるには、前職の源泉徴収票を提出します。例:A社を7月に退職してB社に入社した場合、B社はA社の源泉徴収票を基に年間所得を確認します。早めに請求し、入社時に渡せるよう準備してください。
失業給付の申請
離職票はハローワークで失業給付を受ける際に必須です。離職理由が給付の可否に関わるため、発行を受け取り次第、速やかに提出します。
確定申告
年の途中で複数社で働いたり、医療費控除などで確定申告する場合、各社の源泉徴収票が必要です。合算して所得を申告します。
各種証明書・審査での利用
住宅ローンや奨学金、自治体の手当など収入証明が求められる場面で、源泉徴収票が使えます。原本が求められることが多いので、コピーと原本の両方を用意してください。
実務上の注意点
- 会社からの発行時期を確認する(通常は退職後すぐ)。
- 紛失時は再発行を依頼する。再発行に時間がかかる場合があるため早めに対応します。
- 不明点は勤務先の総務やハローワークに相談してください。
まとめ・実務上のポイント
受け取り期限と基本
- 源泉徴収票は退職後1か月以内に必ず受け取ってください。転職先や確定申告で必須です。
- 離職票は会社が退職日の翌々日から10日以内に手続きを行います。失業手当の申請に必要です。
受け取れない・内容に誤りがある場合
- 受け取れないときは速やかに会社の総務・人事に連絡してください。メールや書面で依頼すると記録が残ります。
- 金額や扶養の記載に誤りがあれば、会社に訂正を依頼します。証拠(給与明細や雇用契約書)を用意すると話が早いです。
記載内容の確認ポイント(簡単に)
- 支払金額(年収)、源泉徴収税額、支払者名、受給期間を確認してください。
- 複数社で働いた年は各社の合計で税額や年収が合っているか確認します。
実務での活用と注意点
- 転職先へ提出:源泉徴収票の提出で年末調整がスムーズになります。
- 失業手当:離職票がないと申請できません。到着を待たず手続きの状況を確認してください。
- 確定申告:副収入や年末調整済みでない場合は源泉徴収票が必要です。
簡単チェックリスト
- 受け取り期限を確認(源泉徴収票:1か月以内)
- 到着したら記載内容をすぐ確認
- 不備は書面で依頼し証拠を残す
- コピーを保管し、転職先や税務で使えるように準備
これらを押さえておけば、転職や失業手当、確定申告の手続きが円滑に進みます。必要なときに慌てないよう、早めの確認と記録保管をおすすめします。


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