はじめに
退職願や退職届を出す場面は人生の大きな節目です。封筒の糊付けや渡し方は小さなことに見えますが、相手に与える印象や手続きの正確さに直結します。本章ではこの記事全体の目的と構成、読者が得られることを分かりやすく説明します。
目的
・封筒の糊付けを含むマナーの基本を知る
・手渡しと郵送での違いを理解する
・状況に応じた正しい対応ができるようになる
本章で学べること
- なぜ封筒の扱いが重要か
- 以降の章で扱う具体的なルールと注意点の概要
読者対象
在職中で退職を検討している方、退職届を受け取る立場の方、人事や管理職の方が主な対象です。初めて退職手続きをする方でも理解できるよう、具体例を交えて丁寧に解説していきます。
次章からは、封筒の糊付けの基本ルールや手渡し・郵送それぞれのマナーを順に詳しく説明します。どう扱えば礼を尽くせるかを一緒に確認していきましょう。
退職願・退職届の封筒糊付けの基本ルール
概要
退職願や退職届を封筒に入れる際、封の仕方は提出方法によって変わります。ここでは手渡しと郵送それぞれの基本的ルールと注意点を分かりやすく説明します。
手渡しの場合
手渡しで提出する時は封筒の口を糊付けせず、そのまま渡すのが一般的です。封をしない理由は、受け取る側が内容を確認しやすく、印象が堅苦しくならないからです。封印やホチキス止めも不要です。封筒の表には宛先（会社名・部署名・担当者名）を書き、差出人名と連絡先を裏側に書いておくと安心です。
郵送の場合
郵送では必ず封をして送ります。封をした後、封筒の裏面中央か左上に「〆」あるいは「封」と記入して封印の意思を示します。封の方法は、のりでしっかりと閉じるか、最近は糊付き封筒の粘着部をしっかり押さえるだけで問題ありません。念のため両端を軽く押して密着させます。添え状（送付状）を同封すると丁寧です。重要書類なので追跡可能な方法（書留や簡易書留）を利用することをおすすめします。
糊付けのポイント
- のりは水で濡らすタイプなら均一に湿らせ、はがれにくく押さえて固定します。
- テープで無理に止めると見た目が粗雑になるため避けます。ただし、封が不安な場合は内側に目立たない方法で補強してください。
- 封字は鉛筆より黒いペンで書くと読みやすくなります。
注意点
手渡しで封をしてしまうと受け取り側に不信感を与えることがあります。郵送でも封の仕方が甘いと途中で開く恐れがあるため、丁寧に確認してください。
手渡し時のマナーと注意点
どんな封筒を使うか
- 色は白でシンプルな無地の封筒を使います。窓付きや装飾のある物は避けます。
- のりやシールで封をするタイプは適しません。糊付けのない封筒を用意してください。
封印や記号について
- 「〆」や「封」といった封印の記入は不要です。封をしていない状態で渡します。
- 押印や付箋で封をする必要もありません。書類そのものの正式さは内容で示します。
封筒の扱い方（具体的な渡し方）
- 封筒は軽く折り曲げ、開かないように整えます。折り目を強くつけないようにしてください。
- 受け取る方に表書き（例：「退職願」「退職届」）が見える向きで差し出します。
- 両手で持ち、やや下から差し出すと丁寧です。片手でポンと渡すのは避けます。
言葉とタイミングの例
- 事前に「お時間よろしいでしょうか」と伺って、落ち着いて話せる場を作ります。
- 渡すときの一言例：
- 「退職願を提出させていただきます。ご確認ください。」
- 「お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。」
受け取りを断られた場合の対応
- 忙しいと断られたら、改めて面談の時間をお願いしてください。
- どうしてもその場で受け取れないと言われた場合は、総務や人事に相談するか、郵送での提出を検討します。
注意点のまとめ（ポイント）
- 封はしない・封印不要・白い無地の封筒を使う。
- 両手で丁寧に、表書きが相手に見える向きで差し出す。
- 事前に時間を取り、短い言葉で要点を伝える。
これらを守ると、礼儀正しく穏やかに手渡せます。
郵送時のマナーと注意点
郵送で退職願・退職届を送る場合は、封の堅牢さと相手に配慮した表示が大切です。以下のポイントを順に確認してください。
封筒の糊付けと開封防止マーク
封筒の口はしっかり糊付けします。糊が弱いと郵送中に開く恐れがあるため、乾燥しないタイプの糊や封かんテープを使うと安心です。封の背面中央に「〆」または「封」と記入して、未開封であることを示してください。署名や押印を封の上にまたがるようにする場合は、破損防止のため小さく行います。
添え状と書類の重ね方
添え状を先に入れ、その上に退職願・退職届を重ねます。書類はホチキスで左上を軽く留めると、順序が崩れません。封入前に折り目や汚れがないか再確認してください。
表書きの注意
封筒表面に「退職願在中」など具体的な内容を書くのは避けましょう。個人情報やプライバシーに配慮して、目立たない表示（例：「書類在中」）にとどめます。
宛名・差出人・郵送方法
宛名は部署名・担当者名まで正確に書き、差出人住所も明記します。確実に届けたい場合は書留（簡易書留含む）を利用すると受領の証明が残り安心です。
受領後の確認
到着後、数日たっても連絡がなければ電話かメールで届いているか確認します。届いていることが確認できれば、次の手続きに進みやすくなります。
退職願・退職届の正しい書き方・提出方法
基本の書き方
退職願・退職届は黒のボールペンか万年筆で手書きします。消せるペンは使わず、読みやすい字で丁寧に書いてください。署名欄には氏名を自筆で書き、押印（認印で可）を忘れないでください。日付は西暦でも和暦でも構いませんが、明確に記入します。
表題と宛名の書き方
用紙の上部中央に「退職願」または「退職届」と書きます。宛名は右上に「○○株式会社 代表取締役 山田太郎 殿」など、受取人が明確になるように記載します。
文面の書き方（簡潔に）
退職願の例: 「私事で恐縮ですが、一身上の都合により、○年○月○日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。」
退職届の例: 「一身上の都合により、○年○月○日をもって退職いたします。」※届出後の撤回は原則できません。
提出時の注意（手渡し）
上司が席にいるときに、短く挨拶して手渡します。封筒は社名・氏名を記載し、封をして渡すか封筒の口を開けて見せた上で渡すと丁寧です。提出の際は控えのコピーを一部用意しておきます。
提出時の注意（郵送）
添え状をつけ、封筒に「退職願在中」などと分かるよう記載します。証拠を残すため簡易書留や配達記録を利用すると安心です。送付後は控えと発送記録を保管してください。
よくある誤解と注意点
はじめに
退職願・退職届の封筒に関する誤解は多いです。ここでは代表的な誤解と、実際の注意点をわかりやすく説明します。
誤解1：封筒はいつもしっかり糊付けするべき
手渡しで渡す場合は、必ずしも糊付けは必要ありません。手渡しでは中身を確認して受け取るため、封をしていない方が誠意を示せることもあります。ただし、書類が外に出ないよう封筒のフラップを差し込む、軽くテープで止めるなど最低限の配慮はしてください。
誤解2：郵送でも〆印はいらない
郵送時は糊付けを必ず行い、封緘の目印として「〆」を入れます。書き方は封筒のフラップと本体にまたがる位置に朱肉や黒ペンで一文字書くだけで十分で、改ざん防止になります。
誤解3：表書きは自由でよい
封筒表面に理由や感情的な一言を書かないでください。宛名は会社名・部署名・担当者名を正しく書き、外部に出る郵便物では「書類在中」など控えめな表記が無難です。
その他の注意点
- 重要な証拠が欲しい場合は配達記録郵便や簡易書留を使うと安心です。
- 封筒の素材や字の見やすさにも配慮し、誠実な印象を保ってください。
これらを守ることで社内外の余計な誤解やトラブルを防げます。
まとめ：状況に応じた正しい退職願・退職届の封筒マナー
以下に状況別の要点をまとめます。短時間で確認できるよう、実務的な注意点に絞っています。
手渡しの場合
- 糊付けは不要で、封をする必要はありません。封筒は軽く折り曲げて差し出せます。
- 表面は会社名・部署名・宛名を明記し、渡すときは一礼して簡潔に退職意向を伝えます。
- 受け取った証拠として受領印や受領書をもらえるか確認すると安心です。
郵送の場合
- 封はしっかり糊付けして封印の記入（封・〆や署名・割印）を行うと改ざん防止になります。
- 添え状（送付状）を同封し、封筒表面に「退職届 在中」または「退職願 在中」と明記してください。
- 重要書類なので書留で送付し、発送控えと追跡番号を保管しましょう。
封筒の書き方と共通の注意点
- 宛名は正式名称で、部署名・肩書きを正確に書くこと。
- 黒インクで読みやすく書き、横書きか縦書きは会社の慣例に合わせます。
- 提出前にコピーを取り、就業規則や人事に確認すると安心です。
最後に、適切な封筒マナーは退職手続きを円滑にし、社会人としての信頼にもつながります。落ち着いて準備し、必要なら早めに人事や上司へ相談してください。
コメント