はじめに
この記事の目的
会社を退職すると、多くの書類が登場します。本記事は「退職時に必ず受け取るべき書類」とその用途、受け取り時期や注意点を分かりやすく説明します。退職後の手続きで慌てないよう、事前に準備しておきたい方に向けたガイドです。
想定する読者
- 退職を考えている方
- 退職手続きを進める担当者
- 書類の扱いに不安がある方
具体例を交えて、初めてでも分かるように説明します。
読み方のポイント
各章で「どの書類が必要か」「いつもらうか」「どこに出すか」を順に解説します。重要な場面では注意点を挙げますので、チェックリスト代わりにお使いください。
退職時に会社から必ずもらうべき書類一覧
退職時には後で手続きや給付申請に使う書類がいくつか必要になります。ここでは会社から必ず受け取るべき代表的な書類と、受け取り時の注意点をわかりやすくまとめます。
雇用保険被保険者証
失業給付の申請や再就職先での確認に使います。会社が保管している場合は退職時に受け取り、紛失がないか確認してください。
健康保険資格喪失証明書
退職により社会保険から脱退することを証明する書類です。国民健康保険に加入する際に自治体へ提出します。
離職票(1・2)
失業手当の申請に必要です。会社がハローワークへ手続きをして発行しますので、発行状況を確認してください。
源泉徴収票
再就職先での年末調整や確定申告で使います。退職後に会社から交付されるので、内容に誤りがないか確認してください。
年金手帳または基礎年金番号通知書
年金加入情報の確認に使います。紛失している場合は年金事務所で再発行の手続きを行います。
退職証明書(必要な場合のみ)
転職先や自治体の手続きで在職・退職を証明する必要があるときに請求して発行してもらいます。
受け取り時の注意点
- 日付・氏名・記載内容に誤りがないかその場で確認してください。
- 重要書類はコピーとスキャンを取り、安全に保管してください。
- 発行が遅れる場合は早めに会社の総務や担当者に問い合わせましょう。
各書類の用途と提出先
当章では、退職時に受け取る主な書類について、それぞれの用途と提出先を分かりやすく説明します。
雇用保険被保険者証
用途: 失業給付(求職給付)申請や新しい勤務先での雇用保険手続きに使います。紛失すると手続きが遅れるので大切に保管してください。
提出先: 失業手当を申請する場合はハローワークへ、新しい職場が雇用保険加入手続きを行うときにはその職場へ提出します。
健康保険資格喪失証明書
用途: 会社の健康保険を脱退したことを証明します。国民健康保険へ切り替える際や、配偶者の扶養に入る際に必要です。
提出先: 国民健康保険に加入する場合は市区町村の窓口へ、扶養に入る場合は扶養先(配偶者側)の健康保険窓口へ提出します。
離職票
用途: 失業給付申請に必須の書類です。自己都合・会社都合の区分や退職日が記載されます。申請を希望すれば原則として発行されます。
提出先: 失業給付の手続きはハローワークで行います。離職票を持参して手続きを進めます。
源泉徴収票
用途: 年末調整や翌年の確定申告で必要になります。転職先で年末調整を受けるときは前職分として提出します。
提出先: 転職先の人事・経理部へ提出するか、自分で確定申告をする場合は税務署へ提出(または確定申告書に添付)します。
年金手帳・基礎年金番号通知書
用途: 国民年金へ切り替える際や、加入記録の確認・年金相談で必要になります。年金の記録確認や資格手続きで本人確認に使います。
提出先: 年金事務所(日本年金機構)や市区町村窓口へ相談・提出します。必要に応じてコピーを保管しておくと便利です。
退職証明書
用途: 転職先や入居契約、各種公的手続きで勤務歴や在籍期間の証明が必要なときに使われます。離職票とは別の書類です。
提出先: 転職先の提出先指定がある場合はそちらへ、特に指定がなければ控えとして手元に保管しておきます。
書類がもらえない場合の対処法・注意点
概要
退職日までに書類が揃わないことや、後日郵送されることがあります。必要な書類は本人の申請が必要な場合があるため、早めに確認と依頼を行いましょう。
事前確認のポイント
- 発行時期と郵送の有無を担当者に確認する。電話だけでなくメールで残すと安心です。
- 離職票や退職証明書は会社が発行する書類でも、本人の希望が前提のことがあります。必要なら必ず申請してください。
発行を依頼する方法(例)
- 書面やメールで「○月○日までに離職票を郵送してください」と明確に依頼する。記録が残る方法を使います。
- 返信がない場合は再度確認し、期日を伝えたうえで催促します。
届かない場合の相談先と手順
- まず会社の総務や人事に再確認します。
- それでも届かない場合は、ハローワークまたは労働基準監督署に相談します。ハローワークでは失業手当の申請方法を案内してくれます。
- 書類不備で手続きに差し支えがある旨を伝え、発行を求める手続きを相談してください。
注意点
- やり取りは可能な限り書面で残す。日時・担当者名を控えておきます。
- 個人情報の扱いに注意し、紛失時の対応も確認しておきましょう。
退職後の主な手続きと書類の使い道
1) ハローワークでの失業給付申請
必要書類:雇用保険被保険者証、離職票、本人確認書類
使い道:離職票を提出して失業給付(基本手当)を申請します。離職理由によって給付開始や給付日数が変わるため、離職票の記載内容は必ず確認してください。初回は求職申し込みと説明会の参加が求められることが多いです。
2) 国民年金・健康保険への切り替え
必要書類:健康保険資格喪失証明書、年金手帳または基礎年金番号通知書、本人確認書類
使い道:会社の健康保険を脱退した後、市区町村役場で国民健康保険への加入手続き、年金の確認(国民年金)を行います。手続きは退職日から14日以内に行うことが多く、保険の空白期間を作らないよう注意してください。
3) 確定申告・年末調整(源泉徴収票)
必要書類:源泉徴収票
使い道:年内にほかの収入がある場合や退職後に転職しない場合は確定申告が必要になることがあります。転職先があれば年末調整で前職分の源泉徴収票を提出します。副業がある人は還付を受けるために確定申告を検討してください。
4) 転職先への提出書類
必要書類例:雇用保険被保険者証、源泉徴収票、退職証明書(必要な場合)
使い道:雇用保険の継続手続きや年末調整のために提出します。初出社日に求められることが多いので、原本を準備し、必要ならコピーを渡します。
5) 保管と注意点
・原本は重要なので紛失しないよう保管してください。
・税関連書類は数年分は保存することをおすすめします。
・不明点は窓口で確認し、コピーやメモを残すと後で役立ちます。
退職時に返却するもの・注意点
主な返却物一覧
- 社員証、入館証、IDカード
- 健康保険証(会社発行のカード型や保険証)
- 制服・作業着・安全靴
- PC・スマホ・タブレット、周辺機器(充電器含む)
- 鍵・カードキー
- 会社貸与のクレジットカードや交通系IC、定期券
- 書類・マニュアル、備品(工具・文具など)
返却の手順とタイミング
退職日までに所属部署や総務へ返却先を確認します。必ず返却物をリスト化し、受領印やメールで返却確認をもらいます。遅くとも最終出勤日までに完了するのが望ましいです。
返却前にやること(チェックポイント)
- 個人データを削除する(パソコン内の私物データ、クラウド同期の解除)
- 備品の状態を確認し、破損や不足があれば事前に報告する
- 定期券や交通ICは必要なら使用停止手続きを行う
返却できない・紛失した場合の対処
破損や紛失は正直に申告し、会社の指示に従います。弁済が生じる場合は金額や理由を確認して書面で残してください。返却が遅れると離職票などの交付が遅れることがあるため、早めに対応します。
受領証を必ずもらう理由
返却物の受領証があれば後日のトラブルを防げます。口頭だけで済ませず、書面かメールで確認を残してください。
書類管理のポイント・トラブル防止策
保存の基本
もらった書類は原本を最優先で保管します。原本は折らずにファイルやクリアホルダーに入れ、濡れや日焼けを防ぎます。重要書類は目立つ場所にまとめておくと紛失を防げます。
受け取り時の確認とチェックリスト
受け取り時に書類名・発行日・発行元をチェックリストで確認します。チェックリストの例:
– 離職票(有無・発行日)
– 源泉徴収票
– 健康保険資格喪失証明
– 雇用保険被保険者証
受け取り後は受領印やメールでの受け取り確認を会社に依頼すると証拠になります。
保管方法(紙とデジタル)
原本は耐久性のある場所へ。コピーをスキャンしてPDFで保存すると参照が楽になります。ファイル名は「書類名_発行日_会社名」の形式にすると検索しやすいです。クラウドには二段階認証を設定してください。
紛失・未着時の対処
紛失に気づいたら速やかに会社に連絡し再発行を依頼します。会社が応じない場合は労働基準監督署やハローワークへ相談します(相談前に確認した日時ややり取りを記録しておくと有利です)。
第三者に渡す際の注意
転職先や行政に書類を提出する際は、原本が必要か確認します。コピーで良い場合は表裏の写しを取るなど必要な情報を漏らさないようにします。
保管期間と処分
源泉徴収票など税関連は7年間の保管が望ましいです。不要になった書類は個人情報が分からないように裁断して処分してください。
受け取りのタイミングと連絡方法
退職日当日に全て揃わないことがあるため、受け取り時期・方法(郵送・手渡し)を事前に確認しておくと安心です。受け取り後は速やかにチェックリストと照合してください。


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