はじめに
この章の目的
この文書は、退職を考える社員が人事部に相談する際の基本をわかりやすく伝えることを目的としています。心配や不安を軽くし、次の行動に進めるよう丁寧に案内します。
誰に向けたものか
・直属の上司に言いにくくて困っている方
・退職の手続きやマナーを確認したい方
・人事部とどのように関わればよいか知りたい方
具体例：育児や健康上の理由、職場の人間関係、キャリアチェンジを考えている方など。
本書で扱う主な内容
・人事に相談する正しい手順と準備
・退職相談の一般的な流れとマナー
・上司に言いづらい場合の人事の活用法
・退職面談の目的と押さえるべきポイント
・よくある質問と注意点
読むときの注意
相談内容は機密扱いになることが多いですが、社内規程により扱いが異なります。まずは人事に相談する前に、社内の就業規則や相談窓口を確認することをおすすめします。
退職時に人事へ相談する際の正しい手順とポイント
相談前の準備
・退職理由を簡潔に整理します。例：キャリアチェンジ、家庭の事情、健康など。感情的にならず事実を中心にまとめると話が伝わりやすいです。
・希望する退職時期や引き継ぎのイメージを用意します。具体的な日程や業務リストがあると相談がスムーズです。
人事へ相談する手順
- 事前連絡：メールやチャットで面談希望を伝え、概要を書き添えます。
- 面談：対面またはオンラインで事情を説明します。上司に言いづらい場合はその旨を正直に伝えて構いません。
- 書類対応：必要書類や手続きの案内を受け取り、期限を確認します。
相談時の話し方とポイント
・冷静に、短く要点を伝える。例：「家庭の事情で退職を考えています。希望日は○月末です。」
・引き継ぎ案や後任案を示すと印象が良くなります。
・就業規則や有給の扱いについては具体的に質問しましょう。
相談後のフォロー
・面談内容はメールで確認し、記録を残します。
・手続きの期限や担当者の連絡先をメモしておくと安心です。
これらを踏まえて準備すれば、人事への相談は落ち着いて進められます。
退職相談の一般的な流れとマナー
1. まずは直属の上司に伝える
退職の意志はまず直属の上司に伝えます。いきなり人事に提出すると、上司との信頼関係や社内の雰囲気を損ねる恐れがあります。例：口頭で「一度ご相談したいことがあります」とアポイントを取り、落ち着いた場で話します。
2. タイミングの目安
一般的には退職の1〜3ヶ月前が目安です。業務の引き継ぎや後任探しを考えると、この程度の余裕があると円滑に進みます。急な事情がある場合はその理由を丁寧に説明します。
3. 事前準備
話す内容を簡潔にまとめておきます。退職理由、希望する最終出社日、引き継ぎの考えなどを整理すると話がスムーズです。具体例：引き継ぎ資料の案や担当者候補を用意しておくと好印象です。
4. 相談の進め方
1対1で静かな場所を選び、感謝の気持ちを最初に伝えます。退職理由は正直に、しかし攻撃的にならない表現で伝えます。上司からの質問には落ち着いて答え、必要なら人事面談を申し出てもらいます。
5. 退職届の手渡しとフォロー
退職届は原則上司へ直接手渡します。郵送や人事へ先に出すのは避けます。手渡した後は引き継ぎ計画を共有し、周囲に迷惑をかけないよう配慮します。
6. マナーと注意点
感情的な場面でも礼儀は守ります。秘密にしたい場合は上司にその旨を伝え、社内周知のタイミングを相談します。必要以上に詳細を広めない配慮も大切です。
どうしても上司に言いづらい場合の人事部の活用方法
人事部に相談して良い場合
上司との関係が悪い、面と向かって話すと精神的につらい、報復が不安などの事情があるときは、人事部に相談して問題ありません。人事は会社側の客観的な立場で対応し、必要な手続きや面談の段取り、退職の進め方について案内してくれます。秘密を守ってくれる範囲も確認しましょう。
相談前に準備すること
- 退職の理由と希望時期を簡潔に整理する。例：「家庭の事情で◯月に」など。
- 上司に直接言いにくい具体的な理由（精神的負担、ハラスメントなど）を整理する。
- 必要な書類や就業規則の確認（有給の扱い、退職届の提出方法など）。
メールで伝えるときのポイントと文例
メールでまず相談する場合は、通知にならないよう「相談したい」という表現を使います。直接伝えられない理由を簡単に添えると配慮が伝わります。
例文：
「お世話になります。個人的な事情により退職を検討しており、上司に直接申し上げるのが難しいため、人事部にご相談させていただきたくメールしました。お時間をいただけますでしょうか。希望日は◯月です。まずは相談という形でお願いできますと助かります。」
人事に相談する際の進め方
- 初回は面談か電話で事情を伝える。可能なら記録を残す。
- 人事が上司との連絡役になる場合、範囲（どこまで伝えるか）を確認する。
- 面談で具体的な退職手続きや引き継ぎの調整を決める。
人事は相談窓口です。自分の安全と権利を守るために、遠慮せず利用してください。
人事部との退職面談とは？目的とポイント
面談の目的
人事部の退職面談は手続き確認だけでなく、退職理由や職場環境に関する率直な意見を聞く場です。得られた情報を基に職場改善や人材流出の防止策を立てます。個人の事情に配慮して今後のフォローを検討する狙いもあります。
面談でよく聞かれる項目
- 退職を決めた具体的な理由（働き方、待遇、人間関係など）
- 業務や評価制度、研修の満足度
- 職場環境や上司・同僚との関係
- 引継ぎや退職時期に関する希望
受け答えのポイント
率直に話すことが大切です。感情的にならず、具体的な事実や事例を挙げると改善につながりやすくなります。個人情報やプライバシーに不安がある場合は、内容の取り扱いや記録方法を確認しましょう。必要なら書面での記録や同席を求めても構いません。
会社側の活用方法
人事は面談内容を集計して課題を抽出し、制度改定や管理職の教育に活かします。個別の要望は在職中の対応や離職後の連絡先整理に使われます。
注意点とフォロー
面談は任意です。面談内容が労働条件に不利に働くことは基本的にありませんが、不安があれば内容の写しを求めたり別の窓口に相談してください。面談後は、要点を文書で確認すると安心です。
退職相談・面談でよくある質問と注意点
よくある質問と答え
-
Q: まず誰に相談すべきですか？
A: 基本は直属の上司へです。ただし上司に言いづらい事情がある場合は人事へ相談して差し支えありません。 -
Q: 退職の意思をメールで伝えてもいいですか？
A: やむを得ない場合は可能です。口頭で話せる場があるならまず口頭で伝え、メールは補助的に使います。
メールで伝える際のポイント
- 件名を分かりやすくし、感情的な表現は避けます。
- 退職日や引き継ぎの意向を簡潔に書きます。
- 受領確認や面談希望を記載しておくと安心です。
人事との面談で知っておくべきこと
- 面談は引き止めだけが目的ではありません。職場改善や従業員の声を集める機会です。
- 事実を整理し、改善点や希望を具体的に伝えると建設的になります。
注意点
- 感情的な発言や根拠のない批判は避けます。
- 重要なやり取りはメールで記録を残すと後で役立ちます。
- 有給や退職手続きなど疑問がある場合は事前に整理して質問します。
具体例（短文）
- 人事への相談開始:「直属の上司に相談しづらいため、人事相談をお願いできますか？」
- 退職メール例:「お世話になっております。退職の意向がございますので、一度面談のお時間を頂けますでしょうか。」
以上を参考に、冷静かつ誠実に対応してください。
まとめ
退職相談の基本は、まず直属の上司に意向を伝えることです。伝えにくい場合は、人事部へ相談する選択肢があります。人事部との面談は退職理由や会社への評価を伝える場であり、今後の手続きや引継ぎを円滑に進めるための重要な機会です。
- 伝える順序と準備：直属の上司→人事、退職希望日や理由、引継ぎ案を整理しておきます。
- 面談での心がけ：簡潔に、事実を中心に話し、感謝を伝えると印象が良くなります。
- マナーと配慮：業務への影響を考えた時期選びや引継ぎの準備、職場の同僚への配慮を忘れないでください。
- 書面と確認：口頭で伝えた後、所定の書類（退職届など）を提出し、退職日や有給消化の扱いを人事と確認します。
相談や面談は緊張しますが、自分の意思と将来を優先して動くことが大切です。必要な準備を整え、礼儀を守って進めれば、円滑に次の一歩へ進めます。
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