はじめに
概要
本書はアルバイトをやめるときの手続きや書類について、わかりやすく整理したガイドです。退職届の必要性、退職願との違い、書き方や提出の方法、理由の書き方まで順を追って解説します。
目的
アルバイト経験が浅い方や、退職手続きに不安がある方へ実務的な知識を提供します。具体例を交えて、実際の行動に移しやすいようにまとめました。
誰向けか
・初めて辞める学生や副業をしている社会人
・短期・単発バイトを検討している人
・書き方やタイミングに迷っている方
本書の使い方
章ごとに読みたい項目だけ確認できます。書き方例や提出時の注意点は後の章で詳しく説明します。疑問点があれば、該当章に戻って確認してください。
アルバイト退職に退職届は必ずしも必要ではない
まずは結論
アルバイトを辞める際、必ずしも退職届や退職願を提出する必要はありません。法律上は、辞める2週間前までに退職の意思を伝えれば退職できます。口頭での申し出でも有効です。
例外と確認の大切さ
ただし職場の就業規則や雇用契約で「書面で提出」と定められている場合があります。チェーン店や事務手続きが多い職場では書類を求められることが多いので、事前に上司や担当者に確認してください。ここで素直に従うと手続きがスムーズになります。
伝え方のポイント
まず直属の上司に直接伝え、その場で退職日(最終出勤日)を決めます。口頭で伝えた後、メールやメッセージで「○月○日を最終出勤日にする旨」を残すと記録になります。書面を求められたら、簡単な退職届を用意すれば問題ありません。
トラブルを避けるために
給与やシフトの清算、返却物の確認は早めに済ませましょう。もし退職を受け入れてもらえない場合でも、2週間の通知で退職できますが、まずは話し合いで円満に進めることをおすすめします。
短期・単発バイトの場合の退職手続き
契約期間で終了するのが原則
短期・単発のアルバイトは、あらかじめ決めた期間や単発の勤務で雇用契約が結ばれます。契約期間が満了すれば雇用契約も自動的に終了しますので、通常は退職届や退職願を出す必要はありません。
職場のルールは必ず確認する
ただし職場によっては、終了前に「終了の連絡」や「簡単な書面提出」を求めることがあります。例:イベント運営で事前の終了報告や、店舗での引継ぎチェック表の提出など。契約書やシフト管理表、募集要項を確認してください。
早めにやめたい場合や予定と違った場合
予定より早く辞めたいときは、まず雇用主に速やかに連絡します。口頭で伝えてもよいですが、誤解を避けるためメールやメッセージで記録を残すと安心です。代わりの人を探すなど、引継ぎを協力的に行うとトラブルを防げます。
派遣や紹介会社を通した場合
派遣や人材紹介を通している場合は、必ず担当者に連絡します。契約終了の手続きや最終給与・保険処理は会社と派遣元の間で行われます。
実務上のチェックリスト(簡単)
- 契約書の終了日を確認する
- 最終出勤日と給与の支払日を確認する
- 制服や備品の返却方法を確認する
- 連絡はできれば記録が残る形で行う
短期・単発バイトは手続きがシンプルですが、契約内容と職場のルールを確認して円満に終えるよう心がけてください。
退職届と退職願の違い
定義と扱い
退職届は従業員が一方的に退職の意思を示す書面です。会社が受領した時点で効力が生じ、原則として撤回できません。退職願は会社に対して退職をお願いする書面で、会社の承諾を得るまでは撤回が可能です。
効力の違い(分かりやすい例)
- 退職届の例:「私、○○は○月○日をもって退職します。」→ 会社が受け取れば手続きが進みます。撤回は難しくなります。
- 退職願の例:「私、○○は○月末での退職を希望します。ご承認ください。」→ 会社と話し合いながら進められます。
実務上の注意点
短期間で辞めたい場合やトラブルを避けたい場合は、まず口頭で相談し退職願で進めるほうが安全です。急ぎで退職する必要があるときや会社と合意済みであれば退職届を出すと手続きが明確になります。書面に日付と署名を忘れないでください。
退職手続きの流れ
1. 就業規則の確認と意思の固定
まず就業規則で退職の申告期間や手続き方法を確認します。契約書や給与規程に注意し、退職日を決めてから上司に相談すると進めやすいです。
2. 1〜2ヶ月前に上司へ相談
繁忙期や引き継ぎ期間を考え、できれば1〜2ヶ月前に上司に相談します。電話より面談で直接伝えると誤解が生じにくいです。
3. 直接伝える・退職届の提出
まず口頭で退職の意思を伝え、上司の指示に従って退職届を提出します。短期バイトでは口頭のみで済むこともあります。
4. 提出前の最終確認(撤回不可の注意)
退職届は原則撤回できません。提出前に提出日や最終出勤日、引き継ぎ方法を最終確認してください。
5. 具体的なスケジュール例
・相談:退職希望日の1〜2ヶ月前
・退職届提出:相談後、指示に従い1〜2週間内
・引き継ぎ:最終出勤日までに完了
不安があれば早めに相談し、書面やメールで記録を残すと安心です。
退職届の書き方と記載項目
用紙と形式
A4縦書き・横書きどちらでも構いません。手書きは丁寧に、パソコンで作成する場合は印刷して署名・押印をしてください。市販のフォーマットを使っても問題ありません。
必須の記載項目(順に記載すると分かりやすい)
- 名目:文頭に「退職届」または「退職願」と明記します。どちらでも可ですが、意思の確実性を示すなら「退職届」。
- 冒頭の挨拶:短い一文で構いません(例:「お世話になっております」など)。
- 氏名・所属:フルネームとアルバイト先の店舗名や部署を記載します。
- 退職の意思表明:明確な文言で「退職いたします」と書きます。理由は「一身上の都合により」で問題ありません。具体的な理由も差し支えありません。
- 退職日:西暦または和暦で明記します。最終出勤日や雇用契約上の終了日を確認して記載してください。
- 提出日:文書の右下に提出した日付を入れます。
- 署名・押印:名前を自署し、必要なら押印(認印で可)します。
書き方の例
退職届
私、山田太郎は一身上の都合により、2025年6月30日をもって退職いたします。
令和7年6月1日
住所
山田太郎(印)
注意点
- 退職日や通知期間は雇用契約や職場のルールを確認してください。
- 提出後は控えをもらうと安心です。
退職理由の書き方
書き方の基本
退職理由は簡潔で礼儀正しく書きます。多くの場合は「一身上の都合により」で問題ありません。詳しい事情を伝えたい場合は、短い言葉で理由を明記します。読み手が理解しやすいように具体的に書くと誤解が生じにくくなります。
具体例(文例)
- 一身上の都合により、○月○日をもって退職いたします。
- 進学のため、○月○日をもって退職いたします。
- 転職のため、○月○日をもって退職いたします。
- 家族の事情(介護のため)、○月○日をもって退職いたします。
- 健康上の理由(治療のため)、○月○日をもって退職いたします。
- 会社都合(契約期間の満了/事業整理のため)、○月○日をもって退職いたします。
書く際の注意点
- 詳細を必ず書く必要はありません。プライバシーに関わる場合は簡潔に留めて差し支えありません。
- ネガティブな表現は避けて、感謝の気持ちを添えると印象がよくなります。
- 退職届に理由を書く欄がない場合は無理に長く書かず、一行で済ませてください。
会社都合の場合の明記
会社側の事情で退職となる場合は、「会社都合による退職」と明記します。失業保険や雇用保険の手続きで必要になる場合があるため、事実に基づいて正確に記載してください。
最後に
理由は短くても丁寧に伝えることが大切です。相手に不安を与えない表現を心がけ、必要に応じて口頭で補足説明すると良いでしょう。
退職届の提出方法
対面での手渡し
基本は上司と直接会い、退職届を手渡します。事前に「お時間よろしいでしょうか」と伝えて短時間の面談を設けてもらうと円滑です。持参は退職届(原本)と控え(コピー)を用意し、控えに受領印や受領日時をもらっておきます。渡すときは落ち着いて、簡潔に退職の意志を伝えます。理由は簡単で構いません。
郵送での提出
体調不良やトラブルで出社できない場合は郵送が認められます。確実に届く方法としては書留(簡易書留)や内容証明郵便を利用します。内容証明は文面の存在を証明できるため、トラブルが心配なときに有効です。封筒には宛先(担当者名・部署)を明確にし、控えと返信用封筒(切手貼付)を同封して受領の返信を求めると安心です。
受領確認と保存
どちらの方法でも、受領の記録を残します。対面なら受領印付きの控え、郵送なら配達記録や配達証明を保管してください。メールで受領連絡をもらえるなら保存しておきます。
注意点
直属の上司や人事に事前連絡を入れておくと誤解が生じにくくなります。退職手続きや引き継ぎについては会社の指示に従いつつ、自分の控えは必ず保管してください。
提出タイミングと法的期限
法的な期限
法律上は、労働者が退職の意思を示してから2週間で退職できます。退職届も原則として2週間前に提出すれば問題ありません。ただし、雇用契約や就業規則で別の定めがある場合や、契約期間が決まっている仕事(有期契約)は扱いが異なります。契約内容は確認してください。
円満に辞めるための目安
職場の引継ぎやシフト調整を考えると、1〜2か月前に上司へ相談するのが望ましいです。例として、月末で退職したい場合は前月の初めごろに伝えると引継ぎがスムーズになります。繁忙期や人員の少ない職場ではもっと早めの相談が安心です。
緊急の場合の対応
病気や家庭の事情で早急に辞める必要があるときは、まず口頭で事情を伝え、可能なら書面で状況と希望退職日を示してください。会社と話し合いをして合意を得られない場合は、労働相談窓口に相談する方法もあります。
実務的なポイント
・退職日を明確にして書面に残す。\
・口頭で伝えた日付や相手の名前をメモする。\
・退職届の控えを受け取るよう依頼する。\
・有給消化や最終給与、社会保険の扱いも早めに確認する。
早めに相談しておくと気持ちよく退職できます。円満退職を目指して、タイミングと準備を大切にしてください。


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