はじめに
本記事の目的
本記事は、会社を退職する本人が行うべき手続きについて、わかりやすく整理して解説します。退職の前後で必要になる書類や届出、役所やハローワークでの手続きを順を追って説明しますので、漏れを防げます。
対象となる方
転職や定年、自己都合・会社都合の退職などで会社を離れる予定の方が対象です。初めて退職手続きを行う方にも配慮し、専門用語はできるだけ減らして具体例で補足します。
この記事で扱う主な内容
- 退職手続きの全体的な流れ
- 会社に提出する書類と受け取る書類
- 退職後に役所やハローワークで行う手続き
- トラブル回避のポイントと円満退職のコツ
読み方のポイント
各章で「いつ」「誰が」「どこで」「何をするか」を明確に示します。書類は原本を大切に保管し、必要に応じてコピーを作成してください。疑問点があれば会社の総務やハローワークに早めに相談すると安心です。
退職手続きの全体的な流れ
1. 退職の意思決定と準備
退職を決めたら、まず就業規則で必要な手続きや退職日のルール（退職届の提出期限・引継ぎ期間など）を確認します。生活費や有給の残日数、次の仕事の開始時期も合わせて整理しましょう。
2. 上司への口頭での意思伝達
直属の上司に直接伝えます。冷静に退職理由と希望退職日を伝え、引き継ぎの意向を示すと印象が良くなります。感情的にならず、礼儀を大切にしてください。
3. 退職日の決定
就業規則の規定と会社側の調整を踏まえて最終日を決めます。有給消化や業務の引き継ぎ期間も考慮して日程を調整します。
4. 退職届の提出
会社の所定フォーマットがあればそれを使い、なければ簡潔な退職届を作成して提出します。提出先と控えの受領を忘れずに。
5. 業務の引き継ぎ・社内外への挨拶
引き継ぎ書を作成し、後任や関係部署に説明します。必要なら顧客や取引先にも連絡し、今後の連絡先を伝えます。
6. 社員証や会社備品の返却
社員証、パソコン、携帯、鍵、書類など会社備品を返却します。経費精算や未処理の申請も終わらせましょう。
7. 退職日を迎える
最終出社日は挨拶を忘れずに。感謝の言葉を伝え、円満に職場を去ることを心がけます。就業規則の確認と準備を重ねると安心です。
本人が会社に提出する書類
概要
本人が会社に提出する主な書類は退職届（退職願）です。会社指定のフォーマットがある場合はそれを使います。ないときは本人が作成します。理由は一般的に「一身上の都合」としますが、会社の就業規則や雇用契約で別途指定がある場合は従ってください。
書き方の基本
- 日付：提出する日付を明記します。
- 宛先：会社名と代表者名または所属長の名前を記載します。
- 件名：退職届（または退職願）と明記します。
- 本文：退職希望日（例：○年○月○日をもって退職いたします）と理由（通常は「一身上の都合」）を記載。
- 署名・捺印：本人の氏名（フリガナ）、連絡先を記入し、押印します。
提出方法
- できれば直接上司に手渡しし、受領印や受領書をもらうと安心です。
- 直接渡せない場合は配達記録が残る書留郵便やメール（会社が許可する場合）を使い、送付記録を保存してください。
注意点とよくあるケース
- 退職日や引継ぎ期間は就業規則や労使協定に従ってください。
- 病気や家族の事情で理由を詳述する場合は、診断書や証明書が必要になることがあります。
- 退職届と退職願の違い：願は申し入れ、届は意思表示なので、会社の受理方法に応じて使い分けます。
簡易テンプレート
退職届
私事で恐縮ですが、○年○月○日をもって退職いたします。なお、引継ぎにつきましては誠意をもって対応いたします。
○年○月○日
氏名（捺印）
所属・連絡先
本人が会社から必ず受け取るべき書類一覧
以下は退職時に会社から受け取るべき重要書類と、その意味・受け取り方のポイントです。
- 退職証明書
- 内容：退職日や勤務期間、職務内容などを記載します。
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ポイント：会社に発行義務はありません。必要な場合は本人が請求します。請求は退職後2年以内に行うことができます。
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離職票（離職票-1・離職票-2）
- 内容：失業給付（雇用保険）の手続きに必要な書類です。
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ポイント：会社がハローワークへ手続きをして発行します。失業給付を受ける予定がある場合は早めに確認してください。
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雇用保険被保険者証
- 内容：雇用保険の加入記録を示す証書です。
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ポイント：次の転職先やハローワークで必要になることがあります。紛失に注意してください。
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年金手帳または基礎年金番号通知書
- 内容：国民年金・厚生年金の番号が記載されています。
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ポイント：転職先でも年金番号が必要です。会社が保管していた場合は返却を求めてください。
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源泉徴収票
- 内容：その年の給与や所得税の額が分かる書類です。
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ポイント：転職先の年末調整や確定申告で必須です。翌年1月末までの交付が一般的です。
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健康保険資格喪失証明書（被保険者資格喪失証明書）
- 内容：退職により会社の健康保険を喪失したことを示す書類です。
- ポイント：国民健康保険へ切り替える際や任意継続手続きで必要になります。
受け取り時は記載内容に誤りがないか必ず確認してください。疑問があれば退職前に人事担当に伝え、受け取り方法と時期を明確にしておくと安心です。
退職後に本人が役所やハローワークで行う手続き
退職後は、役所やハローワークでいくつかの手続きを行います。ここでは分かりやすく順を追って説明します。
ハローワークでの手続き
- 失業給付（雇用保険給付）の申請：離職票と身分証、預金通帳などを持参して手続きを行います。離職票が届き次第、できるだけ早く行きましょう。
市区町村役所での手続き（健康保険・年金）
- 健康保険：会社の被保険者資格を失った場合、国民健康保険に加入するか任意継続を選びます。被保険者資格喪失証明書や本人確認書類を用意してください。
- 年金：国民年金への切替手続きや住所変更の手続きが必要です。年金手帳や基礎年金番号が分かる書類を持参してください。
転職先への提出書類
- 雇用保険被保険者証やマイナンバー関連書類、源泉徴収票などを新しい勤務先に提出します。
必要書類（主な例）
- 離職票、雇用保険被保険者証、健康保険資格喪失証明書、年金手帳、身分証、預金通帳、マイナンバー通知
手続きのタイミングと注意点
- 書類は会社から順次届きます。手続きには期限があるものもあるため、届いたら早めに行ってください。窓口で不明点があれば職員に相談すると安心です。
トラブル・注意点・円満退職のポイント
1) 退職理由と退職日の相談
退職理由は率直に、かつ相手を攻撃しない言い方で伝えます。たとえば「家庭の事情で」や「キャリアチェンジのため」などです。退職日は就業規則や部署の引継ぎを考えて相談しましょう。
2) 就業規則の確認と遵守
就業規則に欠勤・有給・退職届の提出期間などが書かれています。規則に従えばトラブルを避けやすく、未消化の有給の扱いも明確になります。
3) 必要書類の受け取りと保管
退職日までに源泉徴収票、雇用保険被保険者証などを受け取ります。受け取った書類はコピーを取り、自宅で保管してください。メールでやり取りした場合は添付を保存します。
4) 退職証明書・離職票の申請
退職証明書は会社が発行します。離職票は雇用保険の手続きで必要で、会社がハローワークに申請します。発行に時間がかかる場合があるため、早めに確認しましょう。
5) 失業給付や転職先への提出期限
失業給付の受給条件や給付開始までの待期期間を事前に確認します。内定先に提出する書類や期限も確認し、遅れないように準備してください。
6) よくあるトラブルと対処法
未払い賃金や有給の不一致は記録（メールや出勤簿）を残し、まずは上司と人事に相談します。解決しないときは労働基準監督署や弁護士に相談する手段があります。
7) 円満退職のポイント
引継ぎを丁寧に行い、感謝の言葉を伝えます。引継ぎ資料や操作手順を残すと印象が良くなります。最後に挨拶メールを送り、連絡先を控えておくと今後も円滑に付き合えます。
退職手続き本人チェックリスト
退職手続きで本人が行うべき作業を、項目ごとに分かりやすくまとめました。日付や宛先をメモして、漏れなく進めてください。
会社に提出するもの
- 退職届（退職日を明記）。控えは必ず受け取る。例：配達記録やメールで提出した写し。
会社へ請求・受け取り
- 退職証明書・離職票：申請時期と受取方法を確認。失業保険申請に必要です。
- 雇用保険被保険者証、年金手帳（または基礎年金番号の通知）、源泉徴収票、健康保険資格喪失証明書：受け取り日を記録する。
退職後に役所・ハローワークで行う準備
- 必要書類のコピーや印鑑、本人確認書類を用意。離職票が届き次第、ハローワークへ申請。
- 健康保険の変更（任意継続・国民健康保険）や年金の手続きの期限を確認。
転職先・各種制度への提出物確認
- 転職先へ源泉徴収票や年金情報を提出。保険や税の手続きで必要になります。
日付や担当者名をメモし、控えを保存してください。手続きは早めに進めると安心です。
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