はじめに
目的
本報告は「退職届の渡し方」について、実務に即した方法を分かりやすくまとめたものです。退職届を正しく丁寧に渡すことで、トラブルを避け、円満に職場を離れる手助けを目指します。
対象読者
退職を検討している方、具体的な提出方法に悩んでいる方、人間関係を保ちながら退職したい方を想定しています。初めて退職届を出す方にも分かるように解説します。
本書の構成と使い方
本書は全9章で構成します。基本的な手順、封筒や書き方、折り方、郵送時のポイント、上司が受け取らない場合の対処法、円満退職のコツまで順を追って説明します。各章は具体例や手順を重視して記載しますので、実際の場面でそのまま使える情報を得られます。
まずは全体像を把握し、次章以降で詳細を確認してください。必要に応じて各章を読み返し、落ち着いて準備を進めましょう。
退職届の基本的な渡し方
準備
退職届は白い封筒に入れ、封筒は清潔で無地のものを使います。書類は折り目をつけずきちんと入れ、宛先や氏名を封筒に書く場合は黒いペンで丁寧に書きます。封をする際は、のり付けをして閉じるのが一般的です。
渡す前の段取り
事前に上司に時間を取ってもらい、落ち着いて話せる場所と時間を確保します。業務中に立ち話で告げると誤解や感情が出やすいので、短時間で構わないため面談の場をお願いしてください。
手渡しのマナー
退職届は必ず封筒に入れ、両手で丁寧に差し出します。目を合わせ、軽く会釈してから渡すと印象が良いです。渡すときは簡潔に退職の意思を伝え、感謝の言葉を添えます。
例:
「いつもお世話になっております。私事で恐縮ですが退職させていただきたく、退職届をお渡しします。これまでのご指導に感謝しております。」
渡した後の心構え
上司が感情を見せることもありますが、冷静に対応してください。受け取ってもらえない場合は改めて時間をお願いするか、やむを得ず郵送の方法を検討します。いずれの場合も礼を尽くし、今後の業務引き継ぎを誠実に進める姿勢を示すことが大切です。
使用する封筒の選び方と基準
概要
退職届を入れる封筒は、白色の無地で郵便番号枠や窓のないものを選びます。茶封筒や窓付き封筒は中身が見えたりカジュアルに見えたりするため不適切です。落ち着いた印象を保つことが大切です。
封筒の具体的な基準
- 色・柄:白一色の無地。光沢や派手な柄は避けます。
- サイズ:書類を折らずに入れられるA4対応が望ましい。三つ折りで入れるなら長形3号などを使います。
- 郵便番号枠:枠や透け窓のないものを選びます。
中身が透けない工夫
中が透ける心配がある場合は、二重封筒や内側が色付きの封筒を使うと安心です。さらには内封筒(白い小封筒)に入れてから大封筒に入れる方法もあります。
手渡し時のマナー
封をして渡すか、封筒のフラップを内側に折って封をするふうにして渡します。封を開けられる心配や失礼に当たらない配慮です。
注意点(実例)
- 茶封筒:給与明細や請求書向け。退職届には不向き。
- 窓付き封筒:中身が見えるので使用不可。
丁寧な封筒選びが、退職の意思を誠実に伝える第一歩になります。
封筒の書き方
表面の書き方
封筒の表面は黒のボールペンや万年筆で記載します。封筒を縦向きに置き、中央よりやや上に大きめの字で「退職届」と書きます。字は読みやすく太めに書き、装飾や色は使わないでください。宛名は基本的に不要です。誤字があれば訂正せずに新しい封筒に書き直してください。
裏面の書き方
裏面の左下に、所属部署名とフルネームを記載します。封筒の左半分に収まるよう、行を整えて書いてください。例: 総務部 山田太郎。自署で名前を書くのが基本で、会社の慣習で印鑑が必要な場合は名前の右側に認印を押します。
書き方の細かな注意点
- 使用するインクは黒のみ。赤や朱色、鉛筆は避けます。
- 修正液や二重線での修正は避け、誤りがあればやり直します。
- 字は丁寧で読みやすく。署名部分は省略せずフルネームで記載します。
- 封はきちんと閉じ、のり付けやテープで封印します。封の向きは一般的にフラップを下にして閉じます。
実例(書き方の見本)
表面(縦向き): 退職届(中央やや上)
裏面(左下): 総務部 山田太郎
以上の点を守ると、形式として失礼にならず、受け取る側にも分かりやすく伝わります。
退職届の正しい折り方
退職届は丁寧に折ることで、相手に誠意が伝わります。ここでは見た目が整い、封筒に収めやすい折り方をわかりやすく説明します。
手順
- 用紙を縦に持ち、長辺が上下に来るように置きます。書面の表(辞表の本文が見える面)を上にしてください。
- 下側の1/3を折り上げます。下から上へ、丁寧に折り目をつけます。角を合わせて軽く押さえるときれいに折れます。
- 次に上側の1/3を下に折り被せます。最初に折った部分が内側に隠れるようにします。
封入時の向き
- 折り終わった書類の右上が封筒の裏側上部に来るように入れます。封筒の差出人側(裏面)の上部に書類の右上が当たる向きです。
注意点と補足
- 用紙がよれないよう、折るときは角をそろえて一度で折ると美しく仕上がります。
- 複数枚ある場合は順番を正しく揃え、ホチキスで左上を軽く留めるか、のりで固定しないで封入します。封筒内で用紙が滑らないよう、無理に押し込まないでください。
- 折り目が強すぎると見栄えが悪くなるため、適度な力で丁寧に折りましょう。
この折り方を守れば、封入時に書類がよれにくく、渡す際の印象も良くなります。
郵送での提出方法
対面で渡せない場合は、事前に電話で退職の意思を伝え、送付の了承を得ることが第一歩です。相手に到着日や担当者を確認しておくと安心です。
- 準備するもの
- 退職届(原本)1通、控え(コピー)1通
- それを入れる封筒(内封筒)と郵送用の大きな封筒(外封筒)
-
捺印する印鑑や日付
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封入の仕方
- 退職届は正しい折り方で内封筒に入れます。封筒の表に自分の氏名を記載しておくと良いです。
- 内封筒を外封筒に入れます。外封筒には宛先(会社名・部署名・受取人名)と差出人を明記します。
-
受取人が個人名の場合、宛名の横や封筒の表に赤字で「親展」と書いてください。部署宛なら「御中」とします。
-
送付方法の選び方
- 証拠と追跡が残る簡易書留や一般書留をおすすめします。配達の記録や受領印が残り安心です。
-
レターパックプラスも速達性と対面受け取りの点で選択肢になります。
-
送付後の対応
- 送ったら控えのコピーと受領証(書留の控えやレターパックの追跡番号)を保管してください。
- 到着確認のため、到着後に改めて電話かメールで連絡すると円滑です。
郵送は対面と同じく丁寧さが大切です。事前連絡と記録の確保でトラブルを避けましょう。
郵送時の添え状について
添え状の役割
退職届を郵送する際、添え状は簡潔な補足説明になります。受け取る側が内容を把握しやすくなり、誤解や手続きの遅れを防げます。
書き方のポイント
- 文頭に日付を入れ、宛名(会社名・部署名・役職・氏名)を明記します。
- 件名は「退職届在中」や「退職届送付の件」と簡潔にします。
- 本文は短く、退職の意思、提出書類(退職届)、希望する退職日、連絡先を記載します。感情的な表現は避けます。
- 最後に差出人の署名・捺印、連絡先を入れます。
封筒への入れ方
退職届の上に添え状を重ねて折り、封筒に入れます。封筒を開けたときに最初に添え状が目に入るようにすると親切です。ホチキスやクリップで退職届と添え状を軽く留めると整理しやすくなります。
文例(短め)
- 件名:退職届在中
- 本文:拝啓 平素よりお世話になっております。私事で恐縮ですが、同封の退職届により〇年〇月〇日をもって退職いたしたくお願い申し上げます。手続きについてご指示いただけますと幸いです。敬具
注意点
白い無地の紙を使い、長文にせず簡潔にまとめます。控えを残しておき、郵送の場合は記録が残る方法で送ることをおすすめします。
上司が受け取ってくれない場合の対処方法
最初に試すこと
まずは冷静に、短く伝えます。対面が難しければメールや内線で面談を依頼してください。例:「お時間をいただけますか。退職についてお話ししたいです(10分程度)」と伝えると受け入れられやすいです。
受け取らない理由を確認する
上司が感情的だったり業務の都合で断る場合があります。理由を聞き、記録してください。会話は一行メモやメールで残すと後で役立ちます。
上役や人事への相談
直属の上司が受け取らないときは、上役や人事に相談します。退職の意思、希望日、経緯を簡潔に伝えてください。人事は手続きの案内と調整をしてくれます。
最終手段:内容証明郵便
話し合いで解決しない場合、内容証明郵便で退職届を送る方法があります。郵便局で証明を受けられるため、提出の証拠になります。配達証明を付けると確実です。ただし対立を避けたい場合は慎重に検討してください。
円満退職を目指すために
感情的にならず事実を伝え、記録を残しましょう。第三者(人事や上役)を挟むことで冷静に対応できます。最終的には話し合いで合意する姿勢を保つと、円満退職につながります。
円満退職のための重要なポイント
就業規則を確認する
退職日や手続きのルールは会社ごとに異なります。まずは就業規則や労働契約書で必要な期間や提出方法を確認してください。疑問があれば人事へ相談すると安心です。
退職届は直接手渡しで提出する
可能なら上司に直接手渡しします。誠意が伝わりやすく、誤解を防げます。忙しい場合は事前に面談の時間を取るようお願いしましょう。
感謝の言葉を添える
退職の挨拶では、具体的な感謝を伝えます。「お世話になりました」「勉強になりました」など短くても十分です。感情的にならず、冷静に伝えると関係が保ちやすいです。
引き継ぎを丁寧にする
業務のマニュアルやポイント、未処理の案件をまとめて引き継ぎ資料を作ります。引き継ぎ期限を明確にし、必要なら後任と一緒に作業しましょう。
退職理由は前向きに伝える
理由は簡潔かつ前向きに伝えます。個人的な不満を長々と話すと関係が悪化する恐れがあります。建設的な改善点だけ伝える場合は控えめにしましょう。
書類と連絡先の整理
退職関連の書類(離職票、源泉徴収票など)や連絡先を整理しておきます。退職後の手続きで必要になることが多いのでコピーを保管してください。
最後の態度とフォロー
退社日まで誠実に働き、挨拶メールや名刺交換で礼を尽くします。退職後でも連絡を取りたい相手には、控えめに連絡先を伝えておくと良いです。


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