はじめに
背景
この調査は、派遣社員が退職する際の手続きや注意点を分かりやすくまとめたものです。雇用形態の違いから、正社員と比べて手続きの進め方や必要書類が異なる点があります。読者が迷わずに退職できるよう、実務に即した説明を心がけました。
目的
本稿の目的は次のとおりです。
– 退職届が本当に必要かを明確にする
– 派遣会社・派遣先への伝え方の基本を示す
– 契約途中で退職する場合の注意点を解説する
– 退職後に必要な公的手続きを紹介する
想定読者と読み方
対象は、初めて派遣で働く方や、これから退職を考えている派遣社員です。各章は手順に沿って読むと実務で使いやすい構成にしています。たとえば第3章は派遣会社への伝え方、第4章は派遣先への対応について解説します。
この記事で押さえるポイント(例)
- 例:派遣社員は原則として退職届を派遣会社に出す必要はありません。
- 例:退職の意思は早めに派遣会社に伝えると手続きがスムーズになります。
本章では全体の見通しを示しました。以降の章で順を追って具体的な手順や注意点を説明します。
退職届は提出不要である
なぜ退職届が不要か
派遣社員は派遣会社と期間を定めた雇用契約を結びます。契約期間が明確なため、期間満了で契約が終わる場合は退職届を出す必要がありません。雇用の終了は契約の終了であり、別途書面での「退職届」を提出する手続きは通常求められません。
いつどう伝えればよいか(具体例)
- 契約満了で更新しない場合は、派遣会社に「契約を更新しない旨」を伝えます。口頭やメールで問題ありませんが、記録に残すためメールや書面がおすすめです。
- 例文(メール):「お世話になります。契約満了日の○月○日をもちまして、契約を更新せず退職いたします。ご対応よろしくお願いいたします。」
派遣先への対応
派遣先に直接退職届を出す必要はありません。通常は派遣会社が派遣先に連絡します。事情により派遣先へ挨拶だけしたい場合は、派遣会社に相談して調整してください。
注意点
- 契約書や就業規則に特別な規定があれば、それに従ってください。\
- 退職の意思はできるだけ早めに派遣会社へ伝えるとトラブルを避けられます。
派遣会社への退職意思の伝え方
いつ伝えるか
派遣の契約満了で退職する場合、一般的に契約満了日の1か月前から2週間前を目安に担当者に伝えます。余裕をもって伝えると、後続の手続きや派遣先との調整がスムーズになります。
事前準備
- 契約書や就業規則を確認し、契約期間や通知期間を把握します。
- 退職理由を整理して、簡潔に伝えられるようにします。例:家庭の事情、別の職場での就業、健康上の理由など。
伝え方のポイント(対面が望ましい)
- まず派遣会社の担当者に面談を申し込みます。対面で話すと誤解が少なく、今後の手続きについて具体的に確認できます。
- 話す際は感謝の気持ちと退職の意思を率直に伝えます。例:「お世話になりました。契約満了をもって退職したい旨をご相談したく、面談をお願いします」
- 退職理由がやむを得ない(体調不良など)の場合は、医師の診断書など必要書類を求められることがあります。準備しておくと手続きが早まります。
対面が難しい場合
- 電話やメールでも構いません。その際は対面での面談希望を先に伝え、難しい場合は書面(メール)で正式に意思表示を残します。
- メールでは件名を「退職のご相談」などにし、退職希望日と面談希望日を明記してください。
担当者との確認事項
- 最終出勤日、有休の扱い、最終給与の支払い日、雇用保険関係の書類発送時期などを確認します。
- 必要書類や手続きの担当窓口(派遣会社か派遣先か)を明確にします。
伝えるときの例文
- 面談での一言:「いつもお世話になっております。契約満了にあたり退職させていただきたく、ご相談したいです」
- メール例:「お世話になります。契約満了に伴い退職の意向があります。面談の機会をいただけますでしょうか。希望日は○月○日です。」
丁寧に、そして早めに伝えることが大切です。担当者と冷静に話し合い、手続きを確認して円満に退職できるようにしましょう。
派遣先企業への退職の伝え方
基本ルール
派遣社員は、退職の意思をまず派遣会社に伝えます。派遣先企業に直接「辞めます」と伝えるべきではありません。派遣会社と派遣先の間で調整したうえで、派遣先へ正式に通知するのが一般的です。
伝える順序と役割
- 派遣社員→派遣会社:退職希望の意思と希望日、理由を伝えます(口頭・メールの両方がおすすめ)。
- 派遣会社→派遣先:引継ぎや代替要員の調整、最終勤務日の確認を行います。
- 派遣先→派遣社員:派遣会社からの連絡に基づき、最終業務や挨拶の案内が届きます。
派遣社員が準備すること
- 引継ぎ資料の作成や進捗の整理
- 業務の引継ぎに必要な連絡先やパスワードの整理
- 派遣会社との連絡をこまめに行う
直接聞かれたときの対応例
派遣先の上司に直接退職を問われたら、率直に「詳細は派遣会社に確認してください」と伝えます。例文:「詳しいことは派遣会社と調整中ですので、派遣会社にご確認いただけますか。」
上手に伝えることで、職場との関係を保ちながら円滑に退職手続きを進められます。
派遣社員が退職する際の具体的な手順
事前準備(確認しておくこと)
- 失業手当の受給条件(自己都合か会社都合か)や離職票の発行時期を確認します。例:自己都合だと給付開始が遅くなる場合があります。
- 契約期間や就業規則、有給休暇の残日数を把握します。契約書や派遣会社からの書類を見直してください。
- 引き継ぎに必要な資料やログ、関係者の連絡先を整理します。簡単なマニュアルを作るとスムーズです。
派遣会社への意思表示
- 退職日と理由を派遣会社に早めに伝えます。電話で連絡した後、メールや書面で正式に伝えると誤解が生じにくいです。
- 契約で定める通知期間(例:1か月前)に従いましょう。急な退職希望は調整が必要になります。
派遣会社と派遣先の手続き
- 派遣会社が派遣先と退職日を調整します。自分は必要な連絡や面談に協力します。
- 派遣先へは通常、派遣会社が通知しますが、業務の引き継ぎは本人が行います。
退職前の実務チェックリスト
- 業務引き継ぎ書の作成(手順、進捗、重要連絡先)。
- 備品・IDカード・書類の返却、机の整理。
- 有給休暇の消化希望は早めに申請し、承認を得ます。
- 健康保険証や通勤定期の扱いを確認します。
退職当日と退職後の確認事項
- 離職票や源泉徴収票の受け取り時期を確認し、受領方法を把握します。
- 退職後の保険・年金の手続きについて派遣会社に案内を求めます。
- 不明点は担当者の連絡先を控えておき、早めに相談してください。
丁寧な引き継ぎと事前確認で、円滑に退職手続きを進められます。
契約途中での退職について
概要
派遣契約の途中で退職するのは原則難しいです。ただし、契約終了を希望する旨を派遣会社に伝えれば、調整してもらえます。タイミングや対応を誤るとトラブルになるため、事前確認が大切です。
事前に確認すること
- 契約書の解約条件(通知期間や違約金の有無)を読む
- 派遣会社の担当者に相談して合意を得る
- 派遣先の業務状況や引継ぎに必要な時間を確認
派遣会社への伝え方とタイミング
- できるだけ早めに担当者に電話かメールで意向を伝えます
- 書面での申し出を求められたら速やかに提出
- 例:短い文面「私事で恐縮ですが、〇月末で契約を終了したくご相談させてください」
有給休暇と給与の扱い
- 有給が残っているかを派遣会社に確認します
- 未消化の有給は原則消化または買い取りの扱いになりますが、契約内容で異なるため確認が必要です
業務の引き継ぎ
- 引継ぎ資料を作成し、業務の重要ポイントをまとめる
- 引継ぎ先の担当者と短時間で打ち合わせを行う
- 急な退職でも最低限の引継ぎを残すことが信頼につながります
注意点
- 一方的に連絡を断つと今後の関係に支障が出る可能性があります
- 派遣会社と派遣先の双方に配慮して調整してください
よくある質問(簡潔に)
Q:突然辞められますか?
A:可能ですが、派遣会社と話して合意を得ることが必要です。
Q:違約金は発生しますか?
A:契約内容で決まります。まず契約書と担当者へ確認してください。
退職後の公的手続き
退職後は公的手続きを速やかに行うことが大切です。主な手続きを分かりやすく説明します。
失業手当(雇用保険)
離職票が届いたら、まずハローワークで求職の申込をしてください。受給資格や給付開始日は離職理由で異なります。離職票、雇用保険被保険者証、身分証明書、印鑑を持参します。求職活動や講習の参加が受給条件になるので、案内に従ってください。
健康保険と年金
会社の健康保険は任意継続か国民健康保険への切替のどちらかを選びます。任意継続は退職後20日以内の申請が必要です。年金は国民年金への加入手続きや保険料免除申請を自治体で行います。
住民税・所得税・源泉徴収票
住民税は前年分に基づき市区町村から請求されます。転職先での特別徴収にしたい場合は市区町村へ相談してください。源泉徴収票は新しい職場や確定申告で必要です。
再就職や働き方の確認
再就職する場合はハローワークに報告し、失業給付の手続きを中止できます。自営業や短期の仕事に転向する際も、給付条件や年金・保険の扱いを事前に確認してください。
手続きの注意点
書類や期限を忘れると手続きが遅れます。まず離職票の到着時点でハローワークと自治体の窓口へ相談してください。必要な手続きを済ませて、次のステップへスムーズに進みましょう。


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