はじめに
目的
本章は、退職届を横書きで作成する際の基本的な考え方と本調査の目的をわかりやすく説明します。読者が実務で迷わず使える形式と注意点を示すことを目指します。
対象読者
会社員、派遣社員、管理職を問わず、退職届を用意する必要があるすべての方を想定しています。初めて作成する方にも配慮した内容です。
本書の構成と使い方
全11章で、横書きの位置付け、必須項目、書式、管理職向けの配慮、封筒や提出前チェック、即日対応、デジタル提出まで広く扱います。実例とフォーマット例を豊富に示しますので、必要な章だけ参照しても実務で使えます。
読む際の注意
縦書きが一般的な場面もありますが、近年は横書きで提出するケースも増えています。ここでは実用性を重視して具体的に解説します。安心して読み進めてください。
退職届の基本知識と横書きの位置付け
はじめに
退職届は労働者が退職の意思を会社に伝えるための書類です。形式よりも「意思が明確に伝わること」が大切です。伝統的に縦書きが多いですが、近年は横書きでも問題ありません。
横書きが増えた背景
IT企業やグローバル企業ではメール送付やファイル添付が主流です。パソコン作成に適した横書きは読みやすく、文書管理にも向いています。社内の指示で横書きを指定される場合もあります。
縦書きとの違い
内容は基本的に同じで、氏名・退職日・理由・提出日・宛先の順に書きます。レイアウトの違いで並び替えるだけで済みます。横書きでは行頭やスペースの使い方に注意してください。
横書きにする場面と注意点
・メール添付やPDF提出時に向く
・社内規程や上司の指示が優先される
・改まった雰囲気を示したい場合はレイアウトや敬語を丁寧に整える
これらを踏まえ、状況に応じて縦書き・横書きを選んでください。
横書き退職届の必須項目と配置
必須項目
- 表題:用紙中央に「退職届」と大きめに記載します。読みやすさを優先し、見出しであることがわかるようにします。
- 宛名:用紙上部の中央よりやや右側に記載します。会社名→役職名→宛先の氏名の順で、それぞれの間は1行空けます(例:株式会社〇〇\n代表取締役社長 山田太郎)。
- 日付:宛名の下、やや右寄せで記載します。和暦・西暦どちらでも構いませんが、正式な書類なので明確に記載します。
- 本文:冒頭に「私事、このたび一身上の都合により」と記載し、続けて退職日を明記します(例:「つきましては、20XX年X月X日をもって退職いたします。」)。理由の詳細は簡潔にし、感謝の言葉を添えると印象が良くなります。
- 署名欄:用紙下部に自分の氏名と所属部署を記載します。署名は自筆が基本で、会社の慣例で押印(実印・認印)を求められることがありますので確認してください。
配置のコツ
- 用紙は横書き(左から右)を基本に、余白を上下左右それぞれ2〜3cm程度確保します。
- セクション間は1行~1.5行空けて視認性を保ちます。
- 署名欄は右下寄せにするとバランスが良く見えます。
以上を踏まえ、実用的で読みやすい横書き退職届を作成してください。
フォントサイズと書式の指定
基本の目安
横書き退職届では読みやすさを最優先にします。一般的な目安は次の通りです。
– 宛名:12~14ポイント(手書きは1.5~2cm程度)
– 表題(例:「退職届」):宛名より若干大きめ(13~16ポイント)
– 本文:10.5~11ポイント(手書きは約1cm)
– 日付・氏名:本文と同じかやや大きめ(11~12ポイント)
手書きと活字の違い
手書きは筆跡で大きさが変わるため、宛名はやや太めに、本文は読みやすい文字の大きさを保ってください。活字(印刷・ワード)は数値で揃えられるので、上記のポイントに合わせると整った印象になります。
行間と余白
行間は1.2〜1.5倍程度にすると読みやすく、詰まりすぎません。左右と上下の余白は上下それぞれ2〜3cm、左右は2〜3cmを目安にします。日付や氏名は右寄せにして余白を活かすと整います。
フォントの種類と見た目
正式な文書では明朝体が落ち着いた印象を与えます。見やすさ重視ならゴシック体も適します。派手な装飾や斜体は避け、黒一色で統一してください。
強調と装飾の扱い
表題は太字にして目立たせますが、過度な装飾は控えます。下線や色文字は使わない方が無難です。
実務上のチェックポイント
作成後は必ず印刷プレビューでバランスを確認してください。手書きの場合は下書きで位置と大きさを確認してから清書します。フォントと書式を統一すると、正式かつ読みやすい退職届になります。
基本フォーマットの例
横書き退職届の基本的なフォーマット例は以下の通りです。
退職届
株式会社〇〇〇〇 御中
代表取締役社長
〇〇〇〇 様
令和〇年〇月〇日
私事、このたび一身上の都合により令和〇年〇月〇日をもって退職致したく、ここに届け出いたします。
氏名:〇〇〇〇
捺印:印
ポイントの説明
- 宛名:会社名には「御中」、個人名が分かっている場合は役職名と「様」を付けます。
- 日付:右寄せにする場合もありますが、横書きでは左揃えで問題ありません。退職日と届出日を明確に記載します。
- 本文:簡潔かつ丁寧に。理由は「一身上の都合」で差し支えない場合が多いです。
- 署名と捺印:氏名と実印または認印を忘れずに。手書きが基本です。
よくある注意点
- 退職日と届出日を取り違えないようにすること。
- 宛名や役職名の書き漏れがないか確認すること。
上記を元に自身の情報を当てはめれば、実用的な横書き退職届が作れます。
管理職向けの退職届
はじめに
管理職が退職届を出すときは、一般社員より丁寧な表現と引継ぎの配慮が重要です。組織の責任者としての姿勢を示すことで、円滑な別れにつながります。
敬語と表現のポイント
- 冒頭は敬称を明確に(例:代表取締役社長 ○○○○ 殿)。
- 本文は「謹んで届出申し上げます」など格式ある言い回しを使います。
- 退職理由は簡潔にし、個人的事情で済む場合は詳細を省いて構いません。
引継ぎの具体的記載
管理職らしく、引継ぎは具体的に記すと安心感が生まれます。
– 担当中の主要案件と現状(期日、重要事項)
– 後任候補または引継ぎ担当者の氏名
– 引継ぎに必要な資料の所在とアクセス方法
– 関係部署や取引先への引継ぎ対応予定(日程や方法)
署名・役職表記と提出方法
- 署名は氏名の左に役職名を明示します(例:営業部長 山田太郎)。
- 日付は退職届作成日と退職希望日を明記します。
- 直属の上司だけでなく人事部にも同時に提出すると手続きがスムーズです。
横書きの例(簡潔)
令和○年○月○日
代表取締役社長 ○○○○ 殿
謹んで届出申し上げます。私儀、一身上の都合により令和○年○月○日をもって退職いたしたくお願い申し上げます。現在担当しております主要案件につきましては、別紙のとおり引継ぎを進めております。何卒よろしくお願い申し上げます。
(役職)○○部長 (氏名)
補足
提出前に上司や人事と口頭で日程や引継ぎ内容をすり合わせると誤解が生じにくくなります。
封筒の書き方
封筒の選び方
横書きの退職届はA4を三つ折りにして入れるのが一般的です。長形3号(長3)を使うと収まりが良く、見た目も整います。封筒は白無地が無難で、黒の万年筆や油性ボールペンで書いてください。
宛名の書き方
宛名は封筒の中央に大きめにはっきりと書きます。会社名、部署名、役職、代表者名(例:代表取締役 山田太郎 様)の順で書くと正式です。略称や敬称の書き間違いに注意してください。
「親展」・「直披」の位置
左上に「親展」または「直披」と記載します。「親展」は受取人以外の開封を避けたいときに使い、「直披」は上司本人に直接手渡す意図を示す場合に用います。いずれも黒字で目立つように書いてください。
差出人の書き方
差出人は封筒の裏面の下部に記載します。氏名、部署、内線や携帯番号(必要なら)を書き、返信用の住所を明記すると親切です。印鑑は通常不要ですが、会社の慣例がある場合は従ってください。
その他の注意点
封筒の向きや書き方は丁寧に。封入前に折り目や汚れを確認し、必要なら白い封筒用の封かんシールを使って封をします。郵送する場合は速達や書留の利用も検討してください。
提出前の確認事項
1. 誤字脱字・日付の確認
退職届は一度のミスが印象を左右します。誤字脱字、元号や西暦の間違い、退職予定日の誤記がないか必ず確認してください。下書きを最低2回は読み直します。例:『3月31日』と『3/31』の表記統一も忘れずに。
2. 文章の流れと感謝の表現
文章が不自然でないか、丁寧な言葉遣いになっているかを見ます。感謝の気持ちは簡潔で誠実に伝えます(例:「在職中はお世話になり、ありがとうございました。」)。長文で理由を述べすぎない方が無難です。
3. 退職日の確認と承認
退職日は人事部や上司と事前に確認してから記入してください。就業規則や引継ぎ期間を確認し、会社が指定する手続きに従います。
4. 形式・署名・添付書類
署名と印鑑が必要かを確認し、コピーを一部保管します。必要な添付書類(退職届の控え、引継ぎ資料など)があれば揃えます。
5. 提出方法とタイミング
手渡し、メール、社内システムのどれを使うか決めます。提出のタイミングは業務に支障が出ないよう配慮してください。
6. 最終チェックリスト
- 誤字脱字なし
- 日付が正しい
- 感謝の言葉がある
- 人事への確認済み
- 署名・控えの準備済み
可能であれば信頼できる同僚や家族に見てもらうと安心です。
即日退職の場合
概要
即日退職を希望する場合は、退職日を当日にし、理由を簡潔かつ丁寧に記載します。急な申し出であることを詫び、対応や手続きについて協力の姿勢を示すと印象が良くなります。
書き方のポイント
- 退職日は明確に「本日」を記載します。具体的な西暦・和暦の日付も添えてください。
- 理由は「やむを得ない事情により」など丁寧な表現に留め、詳細は面談で伝える旨を加えると良いです。
- 業務の引き継ぎや事務手続きについて、可能な範囲で協力する意志を示します。
- 押印と署名を忘れずに。控えを一通残してください。
テンプレート(横書き)
退職届
令和○年○月○日
株式会社○○○○ 代表取締役 ○○○○ 様
私は一身上の都合により、本日(令和○年○月○日)をもって退職いたします。やむを得ない事情により急な申し出となり、ご迷惑をおかけしますことをお詫び申し上げます。退職に伴う手続きや未処理業務については、指示をいただければ対応いたします。何卒よろしくお願い申し上げます。
氏名:○○○○
印
提出時の注意点
- まずは上司や人事に一報入れ、書面を手渡しするのが基本です。状況によってはメール添付で送る場合もあります。
- 会社側から引き止めや確認の連絡が来ることを想定しておいてください。冷静に事実を伝えると円滑です。
- 退職届は一枚控えを取り、受領印をもらえるよう頼むと後の手続きが安心です。
デジタル提出への対応
はじめに
近年はメール添付や社内システム、スマホのWebフォームで退職届を提出することが増えています。ここでは、デジタル提出で失敗しないための実務的なポイントを解説します。
ファイル形式と署名
基本はPDFで保存すると見た目が崩れません。Wordやテキストで求められる場合もあります。署名は会社のルールに従ってください。手書き署名をスキャンした画像や、会社が認める電子署名を使うと安心です。
件名・ファイル名・本文例
件名は「退職届(氏名)提出の件」が無難です。ファイル名は「退職届_山田太郎_2025-06-01.pdf」など日付を入れると管理しやすいです。メール本文は短く丁寧に要点を伝え、添付ファイルの有無と連絡先を明記してください。
レイアウトと可読性
横書きの基本要素(提出日、宛先、本文、署名)を一枚で整え、フォントは読みやすいものを使います。画像や装飾は避け、印刷しても読みやすいようにします。
送信のマナーと記録
送信前に提出先の指定(人事/直属上司)を確認し、必要ならCCを付けます。送信後は受領確認を依頼し、送信済みファイルを保管してください。急ぎの場合は電話で一報を入れるとトラブルを防げます。
セキュリティ
個人情報を含むため、公共のWi‑Fiで送らない、パスワード付きZIPは避けるか事前合意を得るなど注意します。
以上がデジタル提出で押さえるべき実務ポイントです。
円満退社のための留意点
はじめに
退職届は形式的な書類ですが、最後まで誠意ある対応をすることで円満退社につながります。ここでは実務的で気をつけたい点を具体例とともに説明します。
事前の相談
まず上司に直接相談しましょう。急に書面だけを渡すより、面談で理由と退職日を伝えると誤解を避けられます。例えば「○月末で退職したいと考えています」と伝え、相手の都合も聞きます。
引き継ぎと業務整理
引き継ぎ資料を用意し、進行中の案件一覧と対応方法をまとめます。引継ぎ先の連絡先や注意点も明記するとスムーズです。
書類・備品の整理
社員証や備品、パソコン内のデータ整理は早めに行ってください。個人情報や機密情報の削除・移管は必須です。
最終日までの態度
最終日まで普段通りの仕事を心がけ、感謝の挨拶を忘れないでください。大声で不満を言うなど目立つ行動は避けます。
同僚への配慮と連絡
直属のメンバーには個別に挨拶し、必要なら連絡先を交換します。今後の紹介や推薦を頼む場合は礼儀正しく依頼しましょう。
トラブル回避の実務ポイント
退職届のコピーを保管し、退職日や有給消化、最終給与の扱いは人事に確認してください。重要なやり取りはメールで記録を残すと安心です。
最後に
誠意ある対応は、職場に良い印象を残し将来の人脈にもつながります。落ち着いて準備し、円満な退社を目指してください。


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