はじめに
本資料の目的
本資料は、契約期間満了による退職について、手続きや必要書類、履歴書の書き方などをわかりやすく整理したガイドです。契約社員や派遣社員、雇用主の人事担当者など、実務で役立つ情報を中心にまとめています。
想定する読者
契約満了で退職を考えている方、会社で退職手続きを担当する方、転職活動で履歴書を整えたい方に向けています。専門用語はなるべく避け、具体例を使って説明します。
本資料で学べること（章の概要）
- 契約満了の意味と特徴
- 退職届や退職願の必要性と使い分け
- 履歴書での記載方法と注意点
- 退職理由の分類と書き方のポイント
- 契約途中での退職の扱い方
- 契約社員と派遣社員の違い
- 契約更新のタイミングと退職届提出の目安
使い方と注意点
各章は独立して読めますが、基礎理解のためにまず本章の流れを確認してください。法的な解釈が必要な場合は、専門家に相談することをおすすめします。
契約満了とは
定義
契約満了とは、有期雇用契約の定めた期間が終わることを指します。たとえば「1年間の契約が3月31日に終わる」ような場合が該当します。満了時には更新するか、更新しないか、条件を変えて再契約するかを選択できます。
告知義務について
使用者は契約満了に関して、満了日の30日前までに従業員に告知する義務があります。つまり、会社はいつまでに更新の可否を伝えるかを決め、従業員に知らせる必要があります。口頭でも行えますが、書面やメールで記録を残すと安心です。
雇い止めとの関係と解雇との違い
契約満了は一般に「雇い止め」と同義で、契約期間の自然な終了を意味します。一方、解雇は会社側が雇用関係を一方的に終わらせる行為で、説明責任や手続きがより厳しくなります。したがって、契約満了でも不当な扱いがあれば争いになることがあります。
実務上の注意点
更新の可能性や条件については、できるだけ早く上司や人事と確認しましょう。更新の有無を巡るトラブルを避けるため、通知は書面で受け取る、記録を残すなどの対策をおすすめします。
退職届の必要性
概要
契約期間満了で退職する場合、原則として退職届は不要です。契約の終了は会社側の雇止めにあたり、会社が雇止め通知や契約満了の書類を交付するのが一般的です。よって本人からの退職届は通常求められません。
退職届が必要になる場面
- 契約期間の途中で自ら退職する場合（自己都合退職）。
- 会社から退職を促され、実務上「退職届」を提出するよう求められた場合。
- 会社の就業規則や雇用契約書で退職届を提出することになっている場合。
具体例
例1）契約満了で契約終了→会社が雇止め通知を出し、本人は届け出不要。例2）半年契約の途中で家庭の事情により退職→本人が退職届を作成し提出。
提出のポイント
退職届には氏名、提出日、退職希望日を明記します。理由は簡潔で構いません。直属の上司と人事に1部ずつ渡し、受領印や受領メールをもらって保管してください。会社規定に従い、所定の期限（例：1か月前）を守りましょう。
注意点
雇止めと自己都合の違いで失業手当など手続きが変わることがあります。判断に迷うときは人事や労働相談窓口に確認してください。
履歴書への記入方法
概要
契約満了で退職する場合は、履歴書にわかりやすく事実を記載します。退職理由は簡潔で問題ありません。雇用形態を明記すると相手に伝わりやすくなります。
記入例
- 例1（契約満了）
2019年4月〜2021年3月 株式会社〇〇（契約社員） 入社、契約期間満了につき退職 - 例2（派遣社員）
2020年6月〜2022年5月 派遣社員（派遣元：株式会社△△、派遣先：株式会社〇〇） 契約期間満了により退職 - 例3（自己都合）
2022年7月〜2023年2月 株式会社□□ 入社、一身上の都合により退職
日付の書き方
年と月まで正確に書きます。月だけ不明な場合は「○年○月頃」とはせず、可能な限り正しい月を記入してください。職歴は古い順または新しい順に揃えて見やすくします。
雇用形態の明記
契約社員や派遣社員といった雇用形態を（契約社員）や（派遣社員）と明記すると、採用側が退職理由を誤解しにくくなります。派遣の場合は派遣元と派遣先を併記すると丁寧です。
空白期間や複数契約の扱い
契約と契約の間に空白があるときは、簡潔に理由を書きます（例：「育児のため休職」「職務整理のため就業せず」）。転職回数を気にする場合でも、事実を正直に書き、面接で補足説明できるよう準備してください。
注意点
退職理由には感情的な表現や会社批判を避けます。相手に伝わりやすい簡潔な言葉を選び、誤字脱字がないよう丁寧に記入してください。面接で詳しく聞かれる可能性が高いので、書いた内容を説明できるようにしておきましょう。
退職理由の分類
概要
契約期間満了で退職する場合、理由は大きく「自己都合」と「会社都合」に分かれます。誰の意思で契約を終えたかが基準です。退職理由は失業保険の受給に影響するため、正確に扱う必要があります。
自己都合に該当する例
- 自分の意思で更新を希望しない場合（別の仕事を探す、家庭の事情など）
- 会社から更新は提示されたが本人が断った場合
これらは本人の判断で退職したとみなされます。
会社都合に該当する例
- 会社側から更新を断られた場合（業績悪化や配置転換の必要がない等）
- 契約満了をもって雇い止めにされた場合
会社の判断で雇用が終了したと見なされます。
失業保険への影響
会社都合の方が、受給の要件が緩和されたり給付開始が早まる可能性があります。自己都合では給付開始までの待期や給付日数に違いが出ることが多いです。詳しくはハローワークで確認してください。
記載するときのポイント
- 退職理由は経緯に沿って事実を簡潔に書く
- 会社と認識が異なるときは雇用契約書やメールの記録を確認する
- 不明な点は会社の総務やハローワークに相談する
よくある誤解と注意点
雇い止め＝必ず会社都合とは限りません。双方で話し合い、理由が明確ならば正しい分類にしてください。
退職届・退職願・辞表の違い
簡単な定義
- 退職願：退職の意思を会社に伝える文書です。例として「一身上の都合により退職を希望します」と書きます。提出は相談段階で行います。
- 退職届：退職が確定した後に提出する正式な通知です。受理されると効力が発生します。
- 辞表：役員や公務員など立場のある人が職を辞する際に使う文書で、重い意味合いです。
使い分けの流れ
- まず上司に口頭で相談します。必要なら退職願を出して意思を明確にします。
- 会社と退職日や引き継ぎで合意したら、退職届を正式に提出します。
- 辞表は一般社員には通常不要で、該当する立場の人だけが用います。
書き方のポイント
- 日付・宛先・氏名を明記します。理由は簡潔に「一身上の都合」で問題ありません。
- 署名・押印を忘れないでください。会社の書式があればそれに従います。
- 提出は直接手渡しが基本で、メール提出時は受領確認を取ります。
注意点
- 退職願を出しても会社が受け入れなければ効力は確定しません。口頭での合意は後で争点になりやすいので、記録を残すと安心です。
- 就業規則や雇用契約に提出時期の定めがある場合は、それに従ってください。
契約途中での退職について
概要
契約期間満了前に退職することは原則として契約違反です。ただし、契約が1年以上でかつ勤続実績が1年以上ある場合は、労働基準法により途中退職が認められるケースがあります。円満に辞めるには、可能なら契約満了での退職を目指すのが望ましいです。
認められる条件（具体例）
- 契約期間が2年、勤続1年超：途中退職が認められる可能性があります。
- 契約期間が6カ月、勤続6カ月：原則として契約違反になります。
手続きの流れと注意点
- まず上司や人事に退職の意向を早めに伝えます。
- 退職日や引継ぎ方法を相談して合意を目指します。
- 退職届や退職願を提出して書面に残します。
注意点：急な退職は職場に迷惑をかけやすく、違約金や損害賠償を求められる可能性があります。やむを得ない理由がある場合は事情を説明して理解を得る努力をしましょう。
円満退職のための工夫
- 引継ぎ資料を作成する
- 重要業務は後任への引継ぎ期間を設ける
- 書面で合意内容を残す
トラブルが起きたら
話し合いで解決しない場合は、社内の相談窓口や労働組合、必要なら労働基準監督署や専門家に相談してください。
契約社員と派遣社員の違い
概要
契約社員は企業と直接の雇用契約を結びます。退職の意思は雇用主（勤務先）に直接伝えます。派遣社員は派遣元（派遣会社）と雇用関係があり、実際に働くのは派遣先です。退職の意思はまず派遣元へ伝えます。
退職の伝え先と流れ
- 契約社員：まず直属の上司に口頭で伝え、同時に書面で退職届を提出するのが一般的です。契約内容に定める退職予告期間を確認してください。
- 派遣社員：派遣元に退職の意思を伝えます。派遣先にも業務の引き継ぎを行いますが、正式な手続きは派遣元が窓口になります。
手続きと注意点
- 最終出勤日や有給の清算、源泉徴収票などの書類受け取りはどちらも必要です。誰から受け取るかを事前に確認してください。
- 契約書や就業規則を確認し、解約手続きや違約金の有無を把握しましょう。
- 派遣の場合、派遣期間中の契約終了や契約更新の扱いを派遣元と明確にしておくと安心です。
具体例
- 契約社員Aさん：会社に直接退職届を出し、給与精算と引き継ぎを行って退職。
- 派遣社員Bさん：派遣元に退職を連絡し、派遣先へは業務の引き継ぎを調整した上で契約終了。
どちらも早めに書面で意思を示し、関係者と連携して手続きを進めると混乱が少なく済みます。
契約更新の時期と退職届提出のタイミング
概要
契約更新の話は契約満了の約1カ月前に行われることが多く、更新しない場合は満了日で退職となります。契約社員やパート・アルバイトは、基本的に退職届や退職願の提出が不要なケースが多いです。
更新時期の目安
- 多くの職場で満了の1カ月前に確認があります。例：契約終了が6月30日の場合、5月中に話が出ます。
更新しない場合の流れ
- 会社から更新の意思確認があり、更新しない旨を伝えると満了で退職になります。
- 明確な意思表示がないと誤解を招くため、口頭だけでなくメールなど記録が残る方法で知らせると安心です。
退職届は不要な場合が多い理由
- 有期雇用は契約満了が退職の根拠になるため、形式的な退職届が求められないことが一般的です。ただし会社のルールで求められる場合は従ってください。
提出するときの実務的なタイミングと例文
- 更新を希望しない場合：更新確認を受けた時点で速やかに伝えます。例文（メール）：「〇〇契約満了（年月日）に伴い、更新は希望しません。よろしくお願いいたします。」
- 契約途中で辞める場合：できるだけ早めに上司へ相談し、会社の規程に従って書面やメールで提出します。
早めに伝えるメリット
- 引き継ぎ準備ができる、業務調整がスムーズになる、人間関係のトラブルを防げます。
注意点
- 就業規則や雇用契約書で提出方法や期限が決まっていることがあります。まずは契約書や総務に確認しましょう。
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