はじめに
目的
本資料は、退職の意思を上司に伝え、退職届を書いて提出する一連の流れを分かりやすくまとめたものです。実際に直面する場面を想定し、具体例を交えて丁寧に説明します。
対象読者
- 初めて退職を伝える方
- 伝え方に不安がある方
- 円満に退職したい方
本資料で得られること
- 上司への伝え方の基本とコツ
- 退職理由の整理方法と伝え方の例
- 退職届の書き方と提出手順
- 引き継ぎや最終確認で注意する点
使い方のポイント
各章は順番に読むと流れがわかりますが、気になる章だけ参照しても問題ありません。具体例を自分の状況に当てはめて使ってください。
最後に
退職は人生の大きな転機です。不安もあるかと思いますが、準備と丁寧な伝え方で円満に進められます。落ち着いて一つずつ進めましょう。
退職意思を伝える基本的な流れ
まず準備をする
退職を決めたら、まず自分の理由と希望する退職日を整理します。家庭の事情やキャリア理由など、伝える範囲を先に考えておくと落ち着いて話せます。例:希望退職日を月末か翌月末にするかを決める。
上司に相談する場を確保する
いきなりメールやチャットで伝えず、対面(またはWeb会議)で時間を取ってもらいます。プライベートを確保できる静かな場所で「少しお時間よろしいでしょうか」と切り出すと丁寧です。
口頭で退職の意思を伝える
冒頭で「退職したく考えています」と明確に伝え、感謝の気持ちを添えます。理由は簡潔に述べ、長く説明しすぎないようにします。例文:「私事で恐縮ですが、〇月末をめどに退職を考えています。これまでお世話になり、感謝しています。」
退職届は相談後に提出する
口頭で相談した上で、上司と日程や引き継ぎについて話し合います。合意が得られたら、会社所定の退職届を提出します。
上司の反応への対応
引き留めや質問が出る場合は冷静に受け止め、回答が難しい点は「少し考える時間をいただけますか」と伝えます。決定が固い場合は丁寧にその旨を繰り返します。
引き継ぎの提案をする
早めに業務の引き継ぎ案や担当候補、必要な資料の一覧を用意します。上司の理解を得ると、その後の手続きや引き継ぎがスムーズに進みます。
上司への伝え方のコツ
準備
退職を伝える前に、自分の気持ちと希望日を整理します。退職理由は簡潔にまとめ、感謝の言葉を用意します。引き継ぎの考えや想定される質問への答えも準備しておくと安心です。
アポイントの取り方
上司にはメールや対面で「少しお時間をいただけますか」と伝え、二人きりで話せる時間を確保します。忙しい時間帯を避け、落ち着いて話せる環境を選びます。
話すときのポイント
- 最初に感謝を伝えます(例:お世話になりました)。
- 退職の意思をはっきり伝えます(例:退職を考えています)。
- 退職希望日は「希望日」として伝え、会社の意向にも配慮する姿勢を示します。
- 引き継ぎや協力できることを述べます。短く具体的に話すと誤解が生まれにくいです。
具体的な伝え方の例(会話の流れ)
「お時間いただきありがとうございます。これまでお世話になり感謝しています。私事ですが、〇月末で退職を考えております。希望日としてご相談させてください。引き継ぎは□□まで準備します。」
よくある質問への備え
・退職理由は聞かれることが多いので、前向きで簡潔な説明を用意します。具体的すぎると感情的になる場合は控えます。
・退職日をすぐに決められないときは「希望日」として伝え、調整を申し出ます。
注意点
同僚やSNSで先に公表しないでください。書面(退職届)は別途提出します。一方的に退職日を通告する言い方は避け、相手と相談する姿勢を大切にしてください。
退職理由の伝え方
基本の考え方
退職理由は、できるだけ前向きに伝えると円満に進みます。今後のキャリアや挑戦したい分野を中心に話し、個人的な感情や批判は避けます。誠実さを保ちつつ、相手が受け取りやすい表現に言い換えることが大切です。
具体的な伝え方(例文)
- キャリアアップを理由にする場合:
「今後は◯◯の分野でさらに専門性を高めたいと考え、転職を決意しました。」 - 家庭や介護など家庭事情の場合:
「家庭の事情により勤務が難しくなり、退職させていただきたいです。」 - 健康上の理由の場合:
「健康面を優先する必要があり、現職を離れる決断をしました。」 - 一身上の都合で書面にする場合:
退職届には「一身上の都合により」と記載します。詳細は口頭で簡潔に伝えます。
個人的感情や詳細は控える
不満や人間関係の細かい感情は、退職理由として詳しく述べない方が無難です。感謝の言葉を添えつつ、次のステップに向かう意志だけを伝えると印象が良くなります。
やむを得ない事情がある場合の扱い
やむを得ない事情(家族の急病、通勤困難、転居など)があるときは、状況と影響を簡潔に伝えます。必要があれば証明書類を用意し、相談の姿勢を示すと理解が得やすいです。
最後に伝えるべきこと
退職理由を伝える際は、感謝と引き継ぎの協力意思を必ず添えます。たとえば「これまでお世話になりました。円滑に引き継げるよう対応します」と伝えると、印象が良くなります。
退職届の書き方と提出方法
1. まず書式を確認します
会社独自の用紙があるか人事に確認してください。指定があればそちらを使います。特に指定がなければ白いA4用紙1枚で問題ありません。
2. 宛名と日付の書き方
宛名は社長名(例:代表取締役社長 山田太郎 様)とします。退職日は上司と決めた日を記入してください。日付は「令和○年○月○日」のように明記すると安心です。
3. 本文(書くべき内容と文例)
本文は簡潔にします。退職理由は「一身上の都合により退職させていただきます」とだけ書き、余計な説明は避けます。
文例:
退職届
私こと、(氏名)は、一身上の都合により令和○年○月○日をもって退職いたします。
4. 署名・押印と提出方法
署名(氏名)を自筆で書き、押印が必要なら認印を押します。退職届は三つ折りにして提出するのが一般的です。提出先は人事部または上司ですが、会社の取り決めに従ってください。
5. 提出後の確認
提出後は受領印や受取のサインをもらい、控えを一部保管します。トラブル防止のためコピーを残しておくと安心です。
6. 注意点
- 個人的な理由や感情は書かないでください。
- 会社指定の様式や提出ルールがあれば優先してください。
- 退職日や手続きで疑問があれば人事に確認しましょう。
退職を伝えるタイミング
目安
一般的に1〜3カ月前に直属の上司に伝えると安心です。業務の引き継ぎや人員補充の時間を確保できます。たとえば転職なら2ヶ月前に口頭で相談し、1カ月前に退職届を出す流れが多くなります。
繁忙期や人事異動直後は避ける
決算期や繁忙期、人事異動直後は業務が立て込みます。急ぎの対応が必要な時期を避けると、上司との話し合いが落ち着いてできます。
転職先との調整
新しい職場の入社日と引き継ぎ期間を事前に照らし合わせて調整してください。転職先に退職予定日を伝え、必要なら少し余裕を持った日程を提案します。
具体的なスケジュール例
- 3カ月前:直属の上司に退職意思を口頭で伝える
- 1〜2カ月前:引き継ぎ計画を作成し関係者と調整
- 1カ月前:退職届提出、最終調整
最後に
急な相談は避け、相手の都合も考えて話すと円満に進みます。状況によっては早めに伝えることが信頼につながります。
円満退職のための引き継ぎと最終確認
退職を伝えた後は、残す人と会社に迷惑をかけないための準備が大切です。ここでは実務的な引き継ぎと最終確認の流れを分かりやすく説明します。
引き継ぎ計画の立て方
- まず業務一覧を作成します。日常業務、定期作業、進行中の案件に分けると見やすくなります。
- 優先順位を決め、いつまでに誰に渡すかを明確にします。例:来週までにAさんへ月次レポートの手順を引き継ぐ。
引き継ぎの実務
- 引継書を作成します。手順、連絡先、トラブル時の対応例を載せます。例:『月末締め手順(ステップ1〜5)』。
- 実務は口頭で説明し、画面共有や実演も行います。相手に操作させて確認すると確実です。
進捗報告とコミュニケーション
- 定期的に進捗を報告します。週1回のミーティングやチャットで状況を共有します。
- 疑問が出たときの相談窓口を明示します。連絡先と対応時間を伝えておくと安心です。
最終出社日の調整と最終確認
- 引継ぎ完了チェックリストを用意します。項目例:引継書作成、後任確認、システム権限の整理、備品返却。
- 最終出社日は上司と調整し、関係部署へ最終報告メールを送ります。文面は短く感謝を伝える内容にします。
- 備品や名札、PCやカードは期限内に返却し、アクセス権は会社に確認して削除してもらいます。
謝意とプロ意識
- 退職は個人的な決断です。感謝の言葉を忘れずに伝えますが、業務をおろそかにせず最後まで責任を持って対応します。
よくあるトラブルと対処法
- 後任が決まらない:作業マニュアルを充実させ、暫定で他部署に協力を依頼します。
- 引き継ぎ不足が発覚した:残務をリスト化し、優先的に伝える項目を絞ります。
- 感情的な別れ:個人的な感情は抑え、感謝と今後の連絡先だけ伝えます。
以上を実行すれば、最後まで信頼を保ちながら円満に退職できます。
避けるべき伝え方と注意点
1) 他社員や会社の悪口は言わない
退職理由に他人の批判や社内の不満を挙げると、印象が悪くなります。感情的に「◯◯さんが嫌で辞めます」などと言わず、事実と簡潔な理由に留めます。例:「キャリアの方向性が変わったため」など。
2) 感傷的・過度に個人的な話は控える
思い出話や長い言い訳は場を乱すことがあります。感謝の気持ちは伝えつつ、短くまとめて落ち着いて話します。
3) 先走った報告をしない
上司を通さずに人事や同僚に先に伝えるとトラブルになります。まず直属の上司に口頭で伝え、正式な手続きは会社の規程に従って進めます。
4) 引き止めに流されない
引き止めにあっても、自分の意思を丁寧に示します。例:「ご提案は感謝しますが、決めた理由を踏まえて辞意は変わりません」
5) 書面・メール・SNSの扱いに注意
退職の連絡は口頭で伝えた後、必要に応じて簡潔な退職届やメールを出します。SNSやグループチャットで公表すると誤解や余計な波紋が起きやすいので避けます。
6) 最低限の礼儀を忘れない
退職後も関係が続く場合が多いです。挨拶や引き継ぎを誠実に行い、最後までプロとして振る舞います。


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