はじめに
対象読者
うつ病で今すぐ会社を辞めたいと考えている方、医師から休職を勧められたが退職を検討している方、家族や支援者の方に向けた内容です。心身の負担が大きい状況でも、安心して選択できるように情報を整理しました。
本記事の目的
法律上の「即日退職」が可能かどうか、必要な診断書や手続き、退職後の生活で重要な失業保険や傷病手当金などを、分かりやすく解説します。専門用語は最小限にし、具体例で補足します。
この記事の構成
第2章で法律的な観点から即日退職の可否を検討します。第3章で実際に退職する際の手順や医師とのやり取り、書類の準備方法を示します。第4章で即日退職のメリット・デメリットと、退職後に利用できる制度について詳しく説明します。
注意点
医療的な判断や法的な最終判断は、主治医や弁護士・労働相談窓口に相談してください。本記事は一般的な情報提供を目的としています。
うつ病でも即日退職は法律上可能なのか?
法的な基礎
民法627条では、正社員は原則として退職の2週間前に申し出れば退職できます。就業規則で1カ月前を定める会社も多い点に注意です。
即日退職が認められるケース
民法628条は「やむを得ない事由」がある場合、直ちに退職できるとしています。うつ病で医師が就労困難と判断すれば、これに当たる可能性があります。たとえば、通勤や業務が症状を悪化させる場合、診断書を根拠に即日退職を主張できます。
会社との合意の重要性
法的に可能でも、実務では会社との合意が重要です。診断書を提示して事情を説明し、退職日や引き継ぎ方法を話し合うと円滑です。会社が拒む場合は労働基準監督署や弁護士に相談する選択肢があります。
実務的な注意点
・診断書や受診歴は必ず保存してください。
・傷病手当金や休職制度、障害年金などの制度を確認すると安心です。
・急な退職は職場との関係を悪化させることがあるため、可能なら代理人や相談窓口を利用してください。
うつ病で即日退職するための具体的なステップ
1. まず心療内科・精神科を受診する
症状が強いと感じたら早めに受診してください。医師に症状を詳しく伝え、診断を受けます。診断書は必須ではありませんが、実務上とても重要です。できれば「就労困難」や「業務継続不可」などの文言を入れてもらいましょう。
2. 診断書を準備する(可能なら)
診断書があれば会社との話がスムーズになります。例:診断書に「2週間の治療専念が必要」など具体的な期間が書かれていると交渉に役立ちます。
3. 会社への伝え方
まずは直属の上司か人事に連絡します。電話で要点を伝え、診断書を提示して「治療に専念したい」「勤務継続が困難である」と伝えます。やむを得ない事由に基づく退職や即日退職の相談を行います。口頭だけでなくメールや書面で要点を残すと安心です。
4. 支援を頼む
重症で自分で動けない場合は家族に代理で連絡してもらうか、産業医や主治医から会社に連絡してもらいましょう。退職代行を使う選択肢もありますが、費用とリスクを確認してください。
5. 即日退職以外の選択肢も検討する
即日退職が難しい場合は有給消化や休職(傷病休職)を申し出る方法もあります。治療に専念しつつ、後で退職の手続きを進める案も検討してください。
手続きは冷静に、記録を残しつつ進めると後のトラブルを避けやすくなります。
うつ病で即日退職するメリットとデメリット
メリット
- 精神的に辛い環境からすぐ離れられる
職場のストレスや人間関係から速やかに離脱できます。これにより悪化を防ぎ、落ち着いて治療や休養に取り組めます。
- 治療・休養に集中できる時間が得られる
即日退職すれば通院や睡眠、生活リズムの立て直しに時間を使えます。短期的に回復を優先する場合に有利です。
- 将来の働き方を考える余裕が生まれる
休養中に職業訓練や就労支援を調べたり、働き方の選択肢を整理できます。
デメリット
- 収入が途絶えるリスク
給与が止まり、生活費の確保が課題になります。家賃やローンの支払いが重く感じられます。
- 失業給付や手続きのタイムラグ
失業手当の受給には条件や待期期間があります。手続きで一時的な収入不足が生じます。
- 社会的な手続きや将来の説明の負担
健康保険や年金、次の就職時の説明など、処理や説明が必要になります。
判断するときのポイント
- 症状の緊急性(自傷や日常生活の困難さ)
- 経済的な余裕と支援の有無(貯金や家族の協力)
- まずは休職や医師の相談で対応できるか
リスクを減らす工夫
- 医師に相談し、診断書や治療計画を整える
- 可能なら休職や時短を検討する
- ハローワークや労働相談窓口に事前相談する
- 家族や信頼できる人に状況を共有して支援を得る
(まとめは設けていません)


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