有給消化の義務はいつまで?最新法改正で期限を詳しく解説

目次

はじめに

有給休暇は働く人の大切な権利です。本記事では、2019年の労働基準法改正で導入された「有給休暇の消化義務」について、わかりやすく解説します。

目的

この章では記事全体の目的と読者を示します。職場での有給運用に不安がある方、管理側でルールを整えたい方に向けて、実務で役立つポイントをまとめます。

背景と重要性

2019年の改正により、一定の有給日数を企業が確実に取得させる義務が生じました。なぜ重要かというと、労働者の健康維持や働き方の改善につながるからです。たとえば、年5日の取得をためらう社員がいる場合、会社が取得の機会を設ける必要があります。

本記事の構成

第2章は義務の内容と改正のポイント、第3章は取得期限、第4章は対象者と例外、第5章は取得義務期間が重複する場合の扱い、第6章は違反時の罰則、第7章は退職時や繰越・時効の取り扱い、第8章は運用上の注意点を説明します。

読み方のポイント

具体例を交えて実務で使える形で説明します。まずは本章で全体像をつかみ、次章以降で詳細を確認してください。

有給消化義務とは?働き方改革による法改正のポイント

背景と趣旨

2019年4月に施行された改正で、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、企業に年5日以上の有給取得を確保する義務が課されました。目的は有給が取りにくい職場環境を改善し、労働者の休息や生活の質を高めることです。

何が変わったのか

従来は有給取得は労働者の申請に任されがちでした。改正により企業側が取得日数を確保する義務を負います。具体的には、付与された年に最低5日を取得させる措置を講じる必要があります。

対象となる人

対象は「年10日以上の有給が付与されるすべての労働者」です。正社員だけでなく、勤続期間や勤務日数の条件を満たすパート・アルバイトも含まれます。例えば、入社6か月後に10日付与される人が該当します。

企業の具体的な対応例

・労働者に取得日を確認して管理する
・会社が時季指定して取得させる(例:繁忙期を避ける日程を通知)
・取得状況を記録・保管する

これらは後の章で詳しく説明します。

有給消化義務の具体的な期限「いつまでに消化すべきか」

期限の原則

有給消化義務の期限は、原則として「有給休暇が付与された日から1年間」です。例えば、2024年10月1日に10日以上の年次有給休暇が付与された従業員には、2025年9月30日までに5日以上取得させる必要があります。

有給そのものの時効との違い

有給休暇自体の時効は「付与日から2年」ですが、消化義務は1年で到来します。つまり、1年を過ぎても休暇の権利は消滅しませんが、事業主が1年以内に5日を取得させなければ義務違反となり得ます。

期限の数え方と注意点

  • 期限は付与日から起算し、翌年の同日の前日が期限になることが多いです(上の例はその計算方法です)。
  • 事業主は期限までに確実に取得させるため、早めに取得日を調整・通知することが重要です。
  • 従業員が取得を拒む場合でも、事業主は記録を残し、取得の機会を与えた事実を示す必要があります。

短めの対策としては、付与時に取得日の希望を聞き、定期的に取得状況を確認する運用が実務上役立ちます。

義務の対象となる従業員と例外

対象となる従業員

年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員は、雇用形態に関係なく取得義務の対象となります。正社員だけでなく、契約社員・パート・アルバイトでも付与日数が10日以上あれば義務が発生します。付与の判定は労務記録や雇用契約の基づいて行います。

例外(対象外となる場合)

年10日未満しか付与されない従業員は対象外です。具体的には、週の所定労働時間や出勤日数が少ないために付与日数が10日に満たない短時間労働者や、まだ勤務期間が短く有給が付与されていない人が該当します。また、雇用期間が極めて短い有期契約者も同様です。

判定の具体例

  • フルタイム勤務で継続勤務6か月後に10日付与される社員:義務の対象。
  • 週2日勤務のパートで付与日数が8日:対象外。
  • 週4日勤務のパートで付与日数が10日:雇用形態にかかわらず対象。

実務上の確認ポイント

雇用契約や勤怠データで付与日数を把握し、対象者リストを作成してください。対象者には取得の周知と記録を行い、トラブル防止のため文書で保存すると安心です。

取得義務期間が重複する場合の取り扱い

概要

入社日や付与日がずれて、複数の取得義務期間が重なることがあります。この場合は重複する期間に応じて日数を按分(比例配分)して取得させることができます。実務では明確な計算方法と運用ルールを定め、従業員に事前に説明することが重要です。

計算方法の考え方

基本は「1年あたりの付与日数(例:5日)」を月数で割り、重複する月数を掛けます。日数が小数になる場合は、就業規則や労使協定で切り上げ・切り捨て・時間単位化などの取り扱いを決めます。

具体例

期間:2024年9月21日〜2026年3月20日(18か月)
計算:5日÷12か月×18か月=7.5日
この場合は「7.5日」を如何に処理するかを会社ルールで決めます。半日単位で消化できる場合は7.5日をそのまま運用できます。

実務上の注意点

  • 小数の扱いは必ず就業規則等で明示する。
  • 従業員に計算根拠を示し、納得を得る。
  • 取得記録を残し、行政調査に備える。
  • 異なる付与日が多数ある場合は、期間ごとに按分して合算する。

以上の手順で公平に運用してください。

有給消化義務違反時の罰則

罰則の基本

企業が有給休暇の取得義務を正しく運用しないと、労働基準法違反となります。違反が認められると、30万円以下の罰金が科される可能性があります。罰則は事実関係や悪質性に応じて適用されます。

一方的な日程指定のリスク

従業員の取得希望を無視して会社が一方的に有給消化日を決めると、時季指定義務の運用で問題になる場合があります。企業は業務の都合を理由に時季を指定できますが、従業員の事情も考慮し、合理的な判断を行う必要があります。無理に指定すると違法と判断されるおそれがあります。

具体例

  • 会社が従業員からの希望休を無視して強制的に別日に消化させた → 違法となる可能性
  • 業務上の理由で別日を指定し、従業員と相談のうえ合意を得た → 原則問題なし

発覚時の流れと対応

従業員が労基署に相談すると、指導や是正勧告が行われます。是正に応じない場合は罰則手続きに進むことがあります。企業は記録の保存や対話の履歴を残し、迅速に対応するとリスクを下げられます。

企業が取るべき実務対応

  • 取得希望を丁寧に確認し、代替日を提示する
  • 判断理由を文書で残す
  • 就業規則や休暇ルールを分かりやすく整備する

従業員が取れる行動

  • まずは会社に申し出て記録を残す
  • 労基署へ相談するか、労働相談窓口を利用する

罰則は最終手段です。日常の対話と記録で未然に防ぐことが重要です。

有給休暇の取得と退職、繰越・時効

有効期間(時効)

有給休暇は付与日から起算して2年間有効です。2年を過ぎると、使わなかった分は時効になり消滅します。例えば、2023年4月1日に付与された日数は2025年3月31日で時効になります。

退職時の取り扱い

退職時に残っている有給は、原則として消滅します。会社が一方的に現金で買い取ることは原則認められていません。退職前に取得できるように早めに申請するか、就業規則で特別な取扱いがないか確認してください。

繰越(翌年度への持越し)と上限

有給は翌年度に繰り越せますが、翌年度に繰り越せる合計日数は最大20日までです。仮に繰越後の合計が20日を超える場合、超過分は消滅します。例:繰越前に25日ある場合、5日が消滅します。

実務上の注意点

付与日や残日数は給与明細や就業規則で確認しましょう。退職が近い場合は早めに取得申請し、記録を残しておくとよいです。企業によっては法以上に有利な扱いをすることがあるため、気になるときは人事に相談してください。

まとめ:有給消化義務の運用ポイント

要点

  • 毎年の付与日から1年間で5日以上の有給取得が義務です。
  • パート・アルバイトも条件を満たせば対象になります。

管理の基本

  • 付与日ごとに残日数を確認し、取得状況を年1回以上点検します。
  • 具体例:勤怠システムで自動集計、年次カレンダーで見える化、月次でリマインドを行う。

従業員への対応

  • 取得の理由は問わず取得しやすい運用を作ります。個別事情があれば相談窓口を設けます。

退職・繰越・時効の扱い

  • 退職時は付与日と退職日を照合し、未消化分の扱いを確認します。繰越や時効のルールは社内で周知します。

違反時の対応

  • 早めに状況を把握し、是正計画を作成・実行します。行政の指導や罰則を避けるため記録を残します。

実務チェックリスト(簡易)

  1. 付与日ごとの残日数を把握
  2. 年間取得状況を集計
  3. 未取得者へ個別連絡
  4. 取得しやすい体制の整備
  5. 記録を保存して説明できるようにする

これらを日常的に運用すれば、有給消化義務への対応が着実になります。

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