はじめに
この記事では、「在職証明書」と「離職票」を中心に、書類の違い、発行手続き、必要な場面、申請方法、企業と従業員それぞれの対応方法をわかりやすく解説します。特に雇用保険や退職後の手続き、失業給付申請で実務的に必要な情報を重視しています。類似する「退職証明書」や「離職証明書」との違いも具体例で示します。
- この記事の目的
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書類の名前や用途で迷わないように、具体的な場面と手続きの流れを示します。
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想定する読者
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退職を控えた方、企業の人事担当者、失業給付の手続きを初めて行う方。
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読み方のコツ
- 必要な場面(例:失業給付申請、転職先への提出、貸し借りの説明)を先に確認すると実務に役立ちます。
以降の章で、違いのポイントや発行手続き、注意点を順に詳しく見ていきます。本章は導入ですので、まずは全体の流れをつかんでください。
在職証明書と離職票の違い
この章では、在職証明書と離職票の違いをわかりやすく説明します。両者は似ているようで用途や発行者が異なります。
定義と発行者
- 在職証明書:現在その会社に勤めていることを会社が証明する書類です。会社が発行します。
- 離職票:退職した事実と雇用保険の手続きに必要な情報を示す書類で、最終的にはハローワークが発行します(会社は離職に関する証明書類をハローワークへ提出します)。
主な用途の違い
- 在職証明書:転職先への提出、住宅ローンやカード申請、保育園入園手続きなどで在籍を証明するために使います。
- 離職票:失業給付(雇用保険)申請など、退職後の公的手続きで必須です。
記載内容の違い
- 在職証明書:氏名、所属部署、職名、在籍期間、雇用形態、勤務時間など。
- 離職票:退職日、離職理由・事実関係、雇用保険加入の有無や被保険者番号など、ハローワーク手続きに必要な情報が中心です。
取得のタイミングと注意点
- 在職証明書は在職中に会社へ依頼します。雇用条件の証明が必要な場面で早めに請求すると良いです。
- 離職票は退職後に会社が手続きを行い、ハローワークから本人へ送付されます。手続きに時間がかかることがあります。たとえば退職理由の記載内容は給付に影響するため、内容を確認しましょう。
必要なときに適切な書類を用意できるよう、用途と発行元の違いを押さえておきましょう。
離職票と離職証明書の違い
概要
離職証明書は会社が作成してハローワークへ提出する書類です。これをもとにハローワークが離職票を作成し、退職者に交付します。要するに「企業→ハローワーク用」と「ハローワーク→退職者用」の違いがあります。
離職証明書とは
企業が3枚複写で作成する書類です。1枚目は企業保存用、2枚目はハローワーク提出用、3枚目は退職者へ渡す離職票-2の元になります。退職理由や勤務期間、賃金などを記載します。
離職票とは
ハローワークが離職証明書の内容を確認して発行する書類です。受給手続きに必要な「離職票-1」「離職票-2」があります。退職者はこれを受け取って失業給付の申請を行います。
発行の流れ(簡潔)
- 企業が離職証明書を作成・提出
- ハローワークが内容を確認
- ハローワークが離職票を発行し、企業を通じて退職者へ交付
注意点
離職証明書の記載内容に誤りがあると離職票の発行が遅れます。疑問があれば早めに企業かハローワークへ相談してください。具体例として、退職理由の書き方で給付区分が変わることがありますので正確な記載が重要です。
離職票・離職証明書の発行手続きと必要書類
発行手続きの流れ
- 退職者に離職票が必要か確認します。59歳以上は離職票が必須です。必要ない場合でも、退職者が請求すれば発行します。
- 企業は離職証明書(3枚複写)や「雇用保険被保険者資格喪失届」などを作成します。賃金や出勤状況は証明書に基づき記載します。
- 企業が書類を所轄ハローワークに提出します。ハローワークが内容を確認し、離職票-1・離職票-2を企業宛に発行します。
- 企業が受け取り、退職者に交付します。
必要書類(企業側が準備)
- 離職証明書(3枚複写式)
- 雇用保険被保険者資格喪失届
- 賃金台帳または給与明細(直近の賃金確認用)
- 出勤簿やタイムカード(勤務状況の確認用)
- 退職届や解雇通知など、離職理由を確認できる書類
提出先と方法
- 所轄ハローワークが窓口です。持参、郵送、電子申請のいずれかで提出できます。
発行期限と注意点
- 企業は退職日の翌日から10日以内に所轄ハローワークへ届出を行います。期限を過ぎると手続きが遅れ、退職者の給付開始が遅くなる可能性があります。
- 離職理由は給付に影響します。事実に基づき正確に記載してください。
離職票の用途と注意点
離職票の主な用途
離職票はハローワークで雇用保険の失業給付を受ける際に必ず提出します。退職理由や離職前の賃金に基づき、給付日数や金額が決まります。たとえば自己都合で退職した場合と会社都合で退職した場合では給付開始のタイミングや給付期間が変わります。
発行の要否と年齢による違い
原則として発行は本人と事前に確認して決めます。希望しなければ発行は不要です。ただし59歳以上の方は雇用保険の手続き上、離職票の発行が必要となる点に注意してください。
記載内容で気をつける点
離職証明書や離職票の記載に誤りがあると給付手続きが遅れます。勤続期間、給与額、退職理由の区分(自己都合・会社都合など)を特に確認してください。会社側は正確に記入し、退職者は受け取った書類を必ず内容確認してください。
届かない・紛失した場合の対応
離職票が届かない、または紛失した場合は、ハローワークで再発行の手続きが可能です。まず会社に連絡して発行状況を確認し、それでも解決しないときはハローワークに相談してください。
以上の点を押さえておけば、手続きの遅れを防ぎスムーズに給付を受けられます。
在職証明書の発行と使い方
在職証明書とは
在職証明書は会社が従業員の依頼に基づいて発行する書類で、在籍期間や雇用形態、役職などを記載します。雇用の事実を証明するための書類で、目的に応じて記載項目が変わることがあります。
発行手順(依頼から受け取りまで)
- まず総務や人事に発行を依頼します。口頭・メール・申請書のいずれでも構いません。例:住宅ローンの申請期限がある場合はその旨を伝えます。
- 必要情報を伝えます。氏名、社員番号、在籍期間、役職、提出先と用途(例:ビザ申請)を伝えてください。
- 会社が書式を作成し、署名・押印の上で発行します。発行日を確認して受け取ります。
フォーマットと記載例(用途別)
- 住宅ローン:雇用形態・在籍期間・年収(場合により記載)を求められます。
- ビザ・在留申請:職務内容や雇用契約の有無など詳細が必要なことがあります。
- 保険手続き:在籍の有無と職種が中心です。
会社ごとに様式が異なりますので、提出先の指定があれば事前に確認してください。
発行時の注意点
- 退職後に発行できない会社が多いため、必要なら退職前に依頼してください。
- 署名・押印、発行日が重要です。原本が必要かコピーで良いかも確認してください。
- 内容に誤りがあれば速やかに訂正を依頼してください。
受け取り後の使い方と保存
- 提出時は原本を求められる場合が多いので、紛失に注意してください。
- コピーをとっておくと再提出や照会時に便利です。
- 個人情報が含まれるため、不要になったら適切に廃棄してください。
トラブル時の対応
発行を拒まれた場合や記載内容に争いがある場合は、まず社内の総務担当に説明を求めます。それでも解決しないときは労働相談窓口などに相談することを検討してください。
まとめ・よくある質問
まとめ
在職証明書は現職の在籍を証明する書類で、会社が発行します。主に勤務先や金融機関の手続きで使います。離職票は退職後に雇用保険の手続きで必要な書類で、会社がハローワークに提出し、ハローワークが退職者に交付します。離職証明書は会社がハローワークへ提出するための書類で、役割が異なります。
必要な場合は退職時に早めに会社へ依頼してください。紛失や未着の場合は、所轄のハローワークで再発行や手続きの確認が可能です。発行主体・用途・手続きの流れを理解して、適切なタイミングで取得・申請しましょう。
よくある質問(Q&A)
Q1: 退職してすぐ離職票がもらえますか?
A1: 会社がハローワークに書類を提出してからハローワークが発行します。会社に早めに依頼してください。
Q2: 在職証明書と離職票、どちらが必要?
A2: 現職なら在職証明書、退職後の雇用保険手続きなら離職票です。
Q3: 紛失したらどうする?
A3: 離職票の紛失は所轄ハローワークで相談して再発行や再交付の案内を受けてください。
Q4: 発行に時間がかかるときの対処は?
A4: 早めの依頼、会社の労務担当やハローワークへ状況確認をしてください。


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