はじめに
「退職したら源泉徴収票はいつもらえるのだろう?」と不安に思っていませんか?
この章では、本記事の目的と読み方を簡単に説明します。退職後の源泉徴収票は、転職手続きや確定申告に必須の書類です。いつ受け取るべきか、法律上の期限はどうなっているか、実際に遅れる場合はどう対処するか──こうした疑問に丁寧に答えます。
この記事は全8章で構成し、法律上のルールや手続きの流れ、12月退職時の注意点、書類一覧まで網羅します。忙しい方でも必要な箇所だけ読めるように、章ごとに分けてわかりやすく解説しています。
まずは第2章以降を順にご覧ください。具体例を交えながら、実務で困らないように手順とポイントを示していきます。
源泉徴収票とは?退職時に必ず必要な書類
源泉徴収票とは
源泉徴収票は、会社がその年に支払った給与や賞与、徴収した所得税の額などを記載した大切な書類です。税金の計算や年末調整、確定申告の基となります。
何が書かれているか(わかりやすい例)
- 支払金額:1月1日から退職日までの給与合計
- 源泉徴収税額:会社が天引きした所得税の合計
- 控除の情報:社会保険料や扶養控除の有無
例:1月から9月に勤務した場合、1〜9月分の給与と税額が記載されます。
退職時の扱い
退職した年は、在職期間の給与分だけが記載された源泉徴収票が発行されます。転職先で年末調整を受ける際や、自分で確定申告をする場合に必ず必要です。受け取るのを忘れると手続きが遅れることがあります。
受け取り・保管の注意点
- 会社が交付するのが原則です。退職時に直接渡されることもありますし、後日郵送されることもあります。
- 紛失したときは会社に再発行を依頼してください。再発行には時間がかかる場合があります。
この章では、源泉徴収票がどういう書類で、なぜ退職時に重要かをやさしく説明しました。次章では交付期限について詳しく見ていきます。
退職後、源泉徴収票はいつもらえる?法律上の交付期限
法律上の規定
所得税法では、会社は退職者に対して退職日から1カ月以内に源泉徴収票を交付する義務があります。例えば、3月10日に退職した場合は4月10日までに交付されるべきです。
実務上の目安
・12月中に退職した場合は、年末の給与明細や年末調整の時期(12月〜翌1月)と同時期に交付されることが多いです。
・12月より前に退職した場合は、退職後1カ月以内に発行されるのが一般的です。会社の処理体制によっては、年末調整時期にまとめて交付する運用をしていることもあり、その場合は受け取りが遅れることがあります。
もらえない・遅れる場合の対応のポイント
まずは人事・経理にいつ交付されるかを確認し、可能なら書面やメールで依頼しておきます。交付が遅れて困る理由(転職先への提出・確定申告など)を伝えると対応が早まることがあります。どうしても交付されない場合は、税務署に相談するか、会社に正式な交付請求をする方法を検討してください。
具体例
・1月20日退職→2月20日までに原則交付。
・12月25日退職→年末調整の流れで12月末〜翌年1月に交付されることが多い。
12月退職時の注意点
概要
12月で退職する場合、源泉徴収票の扱いに注意が必要です。源泉徴収票は翌年1月31日までに交付されますが、給与の支給日が翌年にずれると発行される年が変わります。
給与の支給日で変わる扱い
- 例:12月退職でも給与が翌年1月に支払われる会社(翌月払い)では、その支給分は“支払日の年”の源泉徴収票に入ります。つまり、1月支給分は翌年の源泉徴収票になります。
年末調整・確定申告への影響
- 12月に在籍して年末調整を受けられれば、個人での確定申告は不要になる場合が多いです。支給が1月になると前年分の年末調整を受けられないことがあり、その場合は自分で確定申告が必要になることがあります。
退職金(退職所得)の扱い
- 退職金が出る場合、給与とは別に「退職所得の源泉徴収票」が発行されます。転職先への提出は原則不要で、自分で確定申告する際に使用します。
実務チェックリスト(退職前に確認)
- 最終給与の支給日を総務に確認する。
- 源泉徴収票と退職所得の書類がいつ届くか確認する。
- 年末調整が会社で行われるか、自分で確定申告が必要か確認する。
これらを事前に確認すると、退職後の手続きがスムーズになります。
源泉徴収票がもらえない場合の対処法
問題の種類とまずやること
会社に請求しても交付されない、担当者と連絡が取れない、会社が倒産している──いずれの場合でも、まずは自分で状況を整理し、証拠を集めます。いつ誰に請求したかを記録し、給与明細や銀行振込の履歴、雇用契約書、離職票などを手元に用意してください。
具体的な手順(ステップ)
- 口頭とメールで請求し、担当者名と日時を記録します。後で証拠になります。
- 書面で正式に交付を求めます。内容証明郵便を使うと確実です。
- 会社が応じない場合は最寄りの税務署へ相談します。税務署は会社へ督促したり、給与明細などをもとに代替書類を作成することがあります。
- 会社が倒産している場合は、破産管財人の連絡先や倒産手続きの情報を確認し、税務署にもその旨を伝えてください。
申告時の対応と注意点
源泉徴収票がないまま確定申告をする必要があるときは、給与明細や振込履歴を用いて税務署と相談のうえで申告できます。重要な書類はコピーを保管し、必要なら労働相談窓口や税理士にも相談してください。
転職・確定申告で必要となるタイミング
概要
転職先で源泉徴収票が必要になるのは、年末調整の時期です。退職した年に新しい会社に入社した場合、新しい会社へ前職の源泉徴収票を提出します。年内に再就職しなかった場合は、翌年の確定申告で使います。
転職先で必要となるケース
例えば、6月に退職して7月に別の会社へ入社したとします。この場合、新しい会社は年末調整であなたの年間の給与や税額を正しく計算するために、前職の源泉徴収票を求めます。提出期限は会社によって異なりますが、年末調整の案内に従ってください。
年内に再就職しなかった場合の扱い
年内に次の勤務先がないときは、前職分の源泉徴収票を自分で保管しておき、翌年の確定申告で提出します。確定申告では1年分の収入と源泉徴収された税額を合算して申告します。
確定申告での注意点
源泉徴収票を紛失した場合は、前職に再発行を依頼してください。再発行が難しいときは、税務署に相談すると対応方法を教えてくれます。医療費控除などを申請する場合は、源泉徴収票と領収書を一緒に準備してください。
準備しておくと安心なもの
- 前職の源泉徴収票(原本)
- マイナンバーと身分証明書のコピー
- 医療費や寄付の領収書(控除を受ける場合)
この章を読めば、転職時と確定申告時に源泉徴収票がいつ必要か、何を準備すればよいかが分かるはずです。
退職時にもらう・返却する主な書類一覧
退職時に会社から受け取る書類と、返却するものをわかりやすくまとめます。受け取り時に内容を確認し、足りない場合は早めに請求してください。
源泉徴収票
年収や税金の金額が記載された大切な書類です。転職時や確定申告で必要になります。氏名・金額に誤りがないか確認しましょう。
雇用保険被保険者証
雇用保険の加入履歴を示す書類です。失業給付の手続きや次の勤務先で必要になることがあります。
離職票(離職票-1・-2)
失業給付を受ける際に必要です。会社が発行・郵送するのが一般的なので届く時期を確認してください。
健康保険被保険者証
退職後は国民健康保険へ切替えるか、次の勤務先へ提出します。期限内の手続きを忘れないでください。
年金関係(年金手帳や基礎年金番号通知)
年金記録に関わる重要書類です。基礎年金番号が分かるものを保管してください。
退職証明書・在職証明
退職理由や在職期間を証明する書類です。再就職先や公的手続きで求められることがあります。
最終給与明細・有給休暇の精算書
最終給与や未消化有給の精算額を確認します。控除項目に不明点があれば説明を求めましょう。
返却する物(社員証・貸与品・PC等)
制服、社員証、業務で貸与されたパソコンや携帯などは返却します。返却時に状態を確認し、受領印をもらいましょう。
受け取り時のポイント
- すべてコピーを取る
- 受領印や受け取り日を記録する
- 不足や誤りは文書で請求する
必要書類を揃えておくと、次の手続きがスムーズになります。
まとめ:退職後、源泉徴収票を早めに受け取るためのポイント
退職後の基本ルール
源泉徴収票は退職日から1カ月以内に交付されるのが原則です。12月退職や翌月払いがある場合は内容や交付時期が変わることがあります。
受け取りを早める具体的な行動
- 退職前に人事・経理へ交付時期の確認をする。
- 送付先(現住所やメールアドレス)を正確に伝える。
- 電子データでの受け取りを希望する旨を早めに申し出る。
- 退職直後に「交付予定日」を確認し、期日を過ぎたら速やかに問い合わせる。
もらえないときの対処法
まず会社へ再確認し、それでも交付されない場合は最寄りの税務署へ相談してください。再発行や証明の方法について案内を受けられます。
転職先・確定申告での注意点
転職先には源泉徴収票が必要です。確定申告をする場合も必須なので、受け取りを確認してから手続きを進めてください。
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