はじめに
目的
本記事は、退職時に会社へ返却する物品を郵送で返す際のマナーと手順、特に添え状(送付状)の書き方や例文、注意点をわかりやすく解説します。郵送時のトラブルを防ぎ、円満に退職手続きを進めるための実用的なガイドです。
対象読者
- 会社を退職する人
- 退職者の返却物を取りまとめる担当者
- 添え状の書き方に不安がある方
本記事の構成と読み方
全11章で、返却物の種類、郵送可否、同封する添え状の内容、送り方のマナー、トラブル対策、着払いや紛失時の対応、個人情報の扱いまで順を追って解説します。まずはこの「はじめに」で本記事の目的と使い方を確認してください。次章では返却が必要な物と郵送可能かどうかを詳しく説明します。
退職時に返却が必要な物と郵送返却の可否
返却が必要な主な物品
退職時は会社から貸与された物品を返却します。代表的なものは次の通りです。
– 健康保険証
– 社員証・入館カード
– 名刺(残部)
– 制服・作業着・ユニフォーム
– 業務用端末(ノートPC、タブレット、携帯・スマホ)
– 鍵・カードキー
– 会社備品(工具、文房具、書類など)
渡し方は原則「手渡し」です。面談や最終出勤日に直接返却するのが一般的です。
郵送での返却は可能か
有給消化中や遠方に住んでいる場合、郵送での返却はマナー違反ではありません。ただし、会社のルールや担当者の指示を必ず確認してください。郵送可でも、端末のデータ消去や名義変更など追加手続きが必要な場合があります。
郵送する際のポイント
郵送する場合は、事前に担当者と品目・送付先・受取人を確認します。追跡可能な方法で送付し、領収書や追跡番号を控えます。高価なものは補償のある配送を使い、端末は初期化やパスワード外しの指示に従ってください。添え状(送付状)を同封すると受け取る側が確認しやすくなります。
返却物郵送時の基本マナーと注意点
事前準備と連絡
返却は早めに手配します。郵送前に必ず担当者へ「郵送で返却したい」旨を連絡し、宛先や受取方法の確認をします。例:部署名・担当者名・内線番号。
宛名と返却物リスト
宛名は会社名→部署名→担当者名の順で正確に書きます。返却物のリストを作り、個数・状態を記載して同封します(例:社員証1枚、ノートPC本体1台)。リストの写しは自分用にも保管します。
梱包の基本
壊れやすい物はプチプチや緩衝材で包み、箱に隙間がないように詰めます。ラベルは見やすく貼り、外箱にも「精密機器」「天地無用」など必要な表示を付けます。
発送方法と記録
追跡可能な方法(簡易書留・レターパック・宅配便の追跡)を使います。配達記録(追跡番号)と発送日時を控え、発送前に品物の写真を撮っておきます。
精密機器や個人情報が含まれる物
精密機器は担当者の指示に従い、特別な梱包や保険をかけます。保険を使う場合は内容物と価値を明記します。
発送後のフォロー
到着後に担当者へ到着確認の連絡を入れます。万が一のトラブルに備え、追跡情報と写真を提示できるようにします。
添え状(送付状)の重要性と役割
はじめに
退職に伴う返却物を郵送するとき、添え状(送付状)を同封することはビジネスマナーです。単に物を送るよりも、誠実で整理された印象を与え、相手の手続きをスムーズにします。
添え状の主な役割
- 送付物の明確化:同封した物品の一覧や点数を伝えます。受け取る側が確認しやすくなります。
- 送り主の特定:氏名、退職日、所属部署(旧所属)などを示し、誰からの返却かを明確にします。
- 連絡手段の提示:不備や不足があったときにすぐ連絡できるよう電話番号やメールアドレスを記載します。
- 礼儀と説明:退職に対する簡単な挨拶や、送付理由の一言を添えて誠意を示します。
添え状があることで得られる利点
添え状があると、受取側が受領の確認や処理を迅速に行えます。紛失や行き違いの防止にも役立ち、必要に応じてやり取りが円滑になります。
まとめ(章の終わりに)
添え状は形式的な書類以上の意味を持ちます。わかりやすく簡潔に記載するだけで、相手に信頼感を与え、返却手続きが滞りなく進みます。次章では具体的に添え状に書くべき項目を説明します。
第5章: 添え状に記載すべき内容(項目)
退職時に返却物を郵送する際、添え状には必要な情報を漏れなく記載します。以下の項目ごとに、簡潔で分かりやすい書き方を示します。
日付
返送する日付を西暦または和暦で記載します。例:2025年10月27日
宛名(会社名・部署名・担当者名)
正式な社名・部署名・担当者名をフルで書きます。担当者不明時は「ご担当者様」と記載します。
差出人(氏名・連絡先)
氏名と電話番号、メールアドレスを記載します。必要なら現住所も書きます。
退職日・所属部署
退職日と在籍した部署名を書き、受取側が照合しやすくします。
返却物の内容・リスト
返却する物品を1点ずつ明記します(例:社員証1枚、健康保険証1枚、ノートPC本体×1)。数量や状態(付属品の有無)も記載します。
同封物の確認欄
複数ある場合はチェックボックス形式で「同封:〇〇、△△」と記します。
送付方法・追跡番号(ある場合)
配達方法や追跡番号がある場合は記載し、到着確認を容易にします。
簡単な挨拶・感謝の言葉
短く丁寧に「在職中はお世話になりました。下記の物を返送いたします」などと書きます。
締めの一言と署名
「ご査収のほどよろしくお願いいたします。」で締め、最後に自署(印刷名でも可)を添えます。
注意事項(補足)
個人情報を含む物は内容を控えめに書き、紛失時の連絡先を明記します。封入忘れや破損があった場合の連絡方法も示すと安心です。
添え状の例文・テンプレート紹介
はじめに
添え状は簡潔で丁寧な文面が基本です。ここでは日付、宛名、挨拶、返却物リスト、感謝、氏名・連絡先を含む例文と、Word/PDFで使えるテンプレート案を紹介します。
正式な例文(フォーマル)
2025年5月1日
株式会社○○○○
人事部 御中
いつもお世話になっております。退職に伴い、下記の品を返却いたします。
返却物:社員証、IDカード、業務用ノートパソコン(付属充電器)
短い間でしたが、お世話になりありがとうございました。何か不足がありましたらご連絡ください。
氏名:山田 太郎
連絡先:090-1234-5678
簡易例文(カジュアル)
2025年5月1日
○○部 ご担当者様
お世話になっております。退職に伴い、下記の品を同封いたします。
・社員証
・鍵
ご確認のほど、よろしくお願いいたします。
山田 太郎
090-1234-5678
テンプレート(Word/PDF対応)
以下のように角かっこ[]で置き換え部分を示すテンプレートを作成すると便利です。WordやPDFで文字を入力して印刷できます。
[日付]
[会社名] [部署名] 御中
[挨拶文:例 お世話になっております。退職に伴い、下記の品を返送いたします。]
返却物:[品目を箇条書きで記載]
[感謝の言葉:例 短い間でしたがありがとうございました。]
氏名:[氏名]
連絡先:[電話番号・メールアドレス]
使用上のポイント
- 日付と宛名は必ず明記してください。
- 返却物は具体的に、数量や付属品も書き添えてください。
- テンプレートは印刷して押印や署名をすると確実です。
- Wordで編集後PDF化すると送付状の体裁が崩れにくくなります。
郵送で返却する際のトラブル防止策
1. 発送方法の選び方
追跡できる方法を選びます。簡易書留、書留、レターパックプラス、宅配便の追跡サービスなどが安心です。補償がある方法を優先すると万が一のときに備えられます。
2. 宛先と期日の確認
送る前に会社の部署名、担当者名、郵便番号、住所を再確認してください。返却期限がある場合は発送日を逆算して余裕を持ちます。
3. 証拠を残す(控えと写真)
伝票や領収書は必ず保管します。梱包前・梱包後・封をした状態を写真で撮ると後で証拠になります。追跡番号はメモやスクリーンショットで保存してください。
4. 同封物と連絡の仕方
返却物リストや名前、連絡先を添え状に入れます。発送後はメールや電話で「発送しました」と連絡し、追跡番号を伝えると受領確認がスムーズです。
5. 高価な物や個人情報を含む物の扱い
高価な物は補償付きで送るか、手渡しを検討します。保険や書留の利用を優先してください。個人情報は暗所に入れるなど配慮します。
6. トラブル発生時の対応手順
追跡で状況を確認し、会社に状況を説明します。控え、写真、返却物リスト、送付時のやり取りを提示すると対応が早くなります。必要なら配送会社に調査や補償請求を依頼してください。
着払いでの返却は可能か?
郵送で返却する際、着払い(受取人負担)で送ることは原則として避けた方が安全です。費用負担に関する誤解やトラブルになりやすいためです。とはいえ、会社側が事前に了承すれば着払いでの返却は可能です。
-
事前確認を必ず行う
担当者や人事に電話やメールで「着払いで返送してよいか」を確認してください。了承を得たら、誰が負担するのか、宛先や受取窓口も合わせて確認します。書面(メール)での確認を残すと安心です。 -
指示に従って発送する
会社から着払い許可の指示が出たら、送り状に会社名や担当者名を正確に書き、添え状も同封します。追跡ができる発送方法を選び、領収証や伝票番号は保管してください。 -
着払い不可の場合の代替案
多くの会社は着払いを受け取らないため、先にこちらが送料を支払い領収書を添えて精算を求める方法や、対面で手渡しする方法を提案します。先払いで送る際は着払い不可の旨を添え状に明記すると誤配を防げます。 -
トラブル対策
着払いでの了承は必ず記録に残し、発送後は配達状況をこまめに確認します。受取拒否や追加請求が発生した場合は、記録をもとに速やかに担当者とやり取りしてください。
返却物を紛失した場合の対応
紛失に気づいたらまず行うこと
紛失に気づいたら、まず冷静に最後に使った場所や行動を確認します。近場での再捜索を行い、心当たりのある施設や交通機関に問い合わせしてください。同時に会社へ速やかに連絡します。早めの報告が後の手続きやトラブル防止につながります。
会社への連絡で伝える内容(例)
- 自分の氏名と所属(社員番号があれば記載)
- 紛失した物品の種類・特徴(保険証、社員証、鍵など)
- 最後に確認した日時と場所
- 今までに取った対応(捜索、届け出の有無)
- 会社に求めたい対応(再発行手続き、封鎖、賠償の相談)
簡潔な例文:
「お世話になります。○○部の□□です。本日(日時)、○○で保険証を紛失した可能性があり、ご指示をいただきたくご連絡しました。現在、警察届出および確認を進めております。再発行や手続きについてご教示ください。」
届け出・再発行手続き
保険証は再発行手続きや健康保険組合への届出が必要です。社員証や入館カードは無効化(停止)処理を依頼します。鍵や情報媒体(USB等)は早めに交換やパスワード変更を行い、情報漏えい対策をしてください。
書類と証拠の保存
捜索記録、警察への届出受理番号、郵送記録ややり取りのメールは保存します。後で費用請求や経過確認が必要になった際に役立ちます。
費用負担・賠償の可能性
紛失の状況や就業規則により、再発行費用や損害賠償が発生する場合があります。会社と誠実に相談し、指示に従ってください。過失が明らかな場合は負担が求められることがあります。
見つかった場合の対応
見つかったら速やかに会社へ連絡し、受け渡し方法を確認します。既に停止や再発行手続きが進んでいる場合は、その指示に従ってください。
保険証など個人情報を含む物品の郵送時の注意点
個人情報を含む物品(健康保険証、社員証、マイナンバー関連書類など)を郵送する際は、受取人の情報漏えいを防ぐために慎重に扱います。
封筒と梱包
- 厚手の封筒や二重封筒(中にさらに封筒)を使い、内容が透けないようにします。透明窓は避けます。
- カード類は硬紙や薄い板で挟み、曲がらないよう補強します。テープで封の端を補強してください。
外側の表記と添え状
- 封筒の外側には必要最小限の宛名だけを書き、個人情報(氏名・番号など)は書かないでください。
- 封筒の外側に「親展」「重要」と記載すると受取人への注意喚起になります。
- 添え状を必ず同封し、送付目的と差出人連絡先を明記します。
追跡と補償
- 書留・簡易書留や配達記録のある方法で送ると、追跡と受領確認が可能です。高価値や重要度が高いものは配達保険を検討してください。
送付前の確認と保存
- 送る前に写真やコピーを取り、送付日時や追跡番号を記録しておきます。万一の紛失時に備え、受取人に発送連絡を行います。
上記を守ることで、個人情報を含む郵送物をより安全に送ることができます。
添え状の無料テンプレート・作成ツールの活用
目的と利点
退職時の添え状は形式が重要です。無料テンプレートや自動生成ツールを使うと、必要事項が漏れずに整った文面を短時間で作成できます。手書きが必要な場合の見本にもなります。
無料テンプレートの探し方
- WordやGoogleドキュメントのテンプレートを検索する
- 企業向けテンプレートサイトや市販のテンプレ集を利用する
テンプレは「退職 添え状」「返却物 送付状」などのキーワードで探すと見つかります。
自動生成ツールの使い方
サイトに沿って氏名・退職日・返却物の一覧・宛先を入力するだけで、文面が自動生成されます。生成後は必ず内容を確認し、日付や宛名の誤りを修正してください。
コンビニプリントの活用
印刷環境がない場合は、スマホやUSBからコンビニのネットプリントを利用すると便利です。印刷前にプレビューでレイアウトを確認しましょう。
注意点
テンプレをそのまま使うと個別事情が反映されないことがあります。自分の状況(紛失や破損の有無、連絡先)を追記してください。
使い分けの目安
- 短時間で丁寧な文面が必要:自動生成ツール
- 自由に表現したい・手書き見本が欲しい:テンプレート
上手に組み合わせて活用してください。


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