はじめに
退職願(退職届)に日付を書く際の基本を、やさしく丁寧に解説します。
退職願には主に二つの日付が必要です。ひとつは「退職日」――実際に会社を辞める日です。もうひとつは「提出日」――退職願を会社に出した日です。本記事では両方の意味と役割、いつ出すべきか、具体的な書き方を順を追って説明します。
法的には2週間前の予告で退職できますが、多くの会社は1か月前までの連絡を求めることが一般的です。急な事情で早めに辞める場合の対処法や、円満退職のためのポイントも後の章で扱います。
これから、次の内容を順に説明します。
– 第2章:退職願に書くべき2つの日付
– 第3章:提出時期の目安と法的根拠
– 第4章:日付の書き方と表記ルール
– 第5章:よくある質問とトラブル対策
– 第6章:まとめ
まずは基礎を押さえて、あわてずに手続きを進められるようにしましょう。
退職願に書くべき2つの日付
退職日(実際に退職する日)
退職日は契約上や勤務の区切りになる「実際に退職する日」です。上司と相談して決めた日付を明記します。たとえば「2025年3月31日」を退職日とする場合、本文で「退職日:2025年3月31日」とはっきり書きます。業務の引き継ぎ期間や有給消化の予定も考慮して決めましょう。
提出日(退職願を提出した日)
提出日は書類を会社に渡した日付です。通常は用紙の右上や文末に「提出日:2025年2月28日」と記載します。提出日が残ることで、いつ申し出たかの証拠になります。
両方を明確に記入する理由
退職日と提出日は意味が異なるため、両方を明確に書くと誤解やトラブルを防げます。口頭でのやり取りと書面の日付が一致しない場合でも、書面の提出日が事実関係を示します。
具体例と記入場所
- 文頭や本文で退職日を明示(例:退職日:2025年3月31日)
- 右上または文末に提出日を記載(例:提出日:2025年2月28日)
注意点
日付は西暦・和暦どちらでも構いませんが、誤解を避けるために「年・月・日」を明記してください。上司と相談した日付を記載し、変更が生じたら速やかに書面で再提出すると安心です。
提出時期の目安と法的根拠
法的な最低期間
法的には、退職の意思表示から2週間(14日)経過すれば退職できます。これは労働者が一方的に退職を申し出た場合の一般的な目安です。ただし個別の契約や事情で異なることがあるため、まず就業規則を確認してください。
就業規則の一般的な取り決め
多くの会社は就業規則で「退職日の1か月前までに申し出る」ことを求めています。この規定は業務の引き継ぎや人員補充のために設けられています。職場のルールに従うと円滑に退職できます。
円満退職のための実務的目安
職場の迷惑を減らすため、次の順序をおすすめします。
– 退職の意思は2か月前に口頭で上司に伝える。
– 正式な退職願は1か月前に提出する。
この流れであれば引き継ぎ準備が進み、トラブルを避けやすくなります。
提出が遅れた場合の対処
提出が遅れたら、まず上司や人事と相談してください。退職日や引き継ぎ方法、休暇消化の調整などで合意を目指します。合意内容はメールや書面で残すと安心です。
日付の書き方と表記ルール
概要
退職願の書き方で迷いやすい日付表記について、縦書き・横書きそれぞれの配置と数字・元号の統一ルールをわかりやすく説明します。
縦書きの場合
- 退職日は文中に漢数字で書きます(例:退職日 令和三年十一月三日)。
- 提出日は文末に行を変えて書きます。署名の下または右下に配置すると見やすいです(例:提出日 令和三年十月三日)。
横書きの場合
- 提出日は文書の右上に書きます(例:提出日 2025年10月30日)。
- 退職日は本文中に明瞭に記載します(例:退職日 令和7年12月31日)。
数字・元号の統一
- 数字は漢数字・算用数字どちらでも差し支えありませんが、書面全体で統一してください。
- 西暦・和暦も会社の規定に従い統一します。規定がない場合は、社内書類に合わせるか事前に確認しましょう。
実用チェックリスト
- 日付の形式を1つに決める。
- 退職日と提出日の位置をルール通りに配置する。
- 社内規定(元号・数字)を確認し、揃える。
- 署名欄と提出日が読みやすいか最終確認する。
よくある質問とトラブル対策
よくある質問と回答
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退職願を当日に出して当日退職できますか?
原則として難しいです。業務引き継ぎや手続きが必要なため、少なくとも一定の猶予を設けるのが一般的です。急を要する事情がある場合は、まず上司と相談し、書面で合意を取るようにしてください。 -
退職日を過ぎて提出してしまった場合は?
やむを得ない事情であれば、事実と理由を正直に伝えて会社と協議します。相手の理解が得られないときは、引き継ぎ方法や業務分担を提案して妥協点を探しましょう。 -
有給を消化してから辞めたいときは?
退職日と有給取得の希望を早めに伝え、スケジュールを調整します。会社と承認が必要な場合が多いので、代替案(引き継ぎ日を前倒し等)も用意します。
トラブルになりやすい場面と対策
- 引き継ぎが終わらない
- 優先業務をリスト化し、担当者へ引き継ぎ資料を作成します。口頭だけでなくメールで記録を残すと安心です。
- 会社が受理を渋る
- 書面で提出した控えを残し、日付や受領者を明記します。話し合いで解決しないときは、労働相談窓口に相談する選択肢を検討します。
- 最終の給与や証明書がもらえない
- 支給日や書類発行の期日を確認し、未払いがあればまずは社内で請求します。改善しない場合は所管の相談機関へ相談してください。
備えるべき書類・準備
- 退職願の控え(受領印や受領メール)
- 引き継ぎ資料(業務フロー、重要連絡先、残作業)
- 有給消化の申請書や証拠メール
対応は冷静に行い、記録を残すことがトラブル回避の基本です。
まとめ
退職願の日付は「退職日」と「提出日」の2つを明確に記載することが大切です。提出時期は必ず就業規則で確認してください。日付表記は正式な書式(西暦や年号+年月日)で統一し、誤解が生じないようにしましょう。
チェックリスト(円満退職のために)
- 就業規則を確認:退職の通知期間や手続き方法を確かめる。
- 日付を明確に記載:退職日(最終出勤日)と提出日を分けて書く。例:退職日 2025年12月31日、提出日 2025年11月30日。
- 書式を整える:本文と署名、日付の位置を読みやすく揃える。
- 相談と記録:急な退職や不明点は上司・人事に早めに相談し、合意はメールや書面で残す。
- 保管:提出した書類のコピーを手元に保管する。
これらを守ることで誤解やトラブルを予防できます。わからない点があれば、まず上司か人事に相談してください。丁寧な対応が円満退職につながります。


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