懲戒解雇で失業保険を受給する際の重要ポイント解説

目次

はじめに

本資料の目的

この資料は、懲戒解雇を受けた場合に失業保険(失業手当)が受けられるか、いつからどのように受給できるかをわかりやすく整理したものです。手続きや給付に関する基本的なルールと、注意すべきポイントを具体例を交えて説明します。

想定する読者

  • 懲戒解雇を受けた方やその家族
  • 会社側で離職票や解雇処理に関わる方
  • ハローワークや専門家に相談する前に基礎を知りたい方

本資料で扱う主な項目

懲戒解雇後の受給可否、重責解雇による給付制限、受給開始時期の違い、給付日数や受給総額の変化、被保険者期間の要件、自己都合退職と誤分類されるリスク、年金への影響、離職票の記載での注意点を順に解説します。

ご利用にあたっての注意

個別の事情で扱いが変わることがあります。具体的な手続きや判断はハローワークや労働法の専門家にご確認ください。

懲戒解雇後の失業保険受給は可能である

基本的な考え方

懲戒解雇を受けても、失業保険(雇用保険の基本手当)をまったく受けられないわけではありません。受給は、懲戒の理由そのものよりも「受給要件」を満たすかどうかで判断されます。要件を満たしていれば支給対象になります。

受給の要件

主な要件は次の3点です。1) 就職する意思があること、2) いつでも就職できる能力があること、3) 積極的に仕事を探しているにもかかわらず職に就けていないこと。これらを満たすかどうかをハローワークが確認します。

具体例

社内で1億円の横領をして懲戒解雇された場合でも、上記3点を満たせば受給できます。たとえば刑事罰を受けておらず、すぐに働ける状態で職探しを続けているケースでは支給対象になり得ます。

手続きと注意点

受給を希望する場合はハローワークで離職票などの書類を提出し、求職の申し込みを行います。懲戒事由が重大な場合は給付制限や受給開始時期の違いが生じることがありますので、手続き時に相談してください。

重責解雇による給付制限

定義

重責解雇とは、横領・窃盗・業務上の重大な過失や犯罪行為など、悪質性の高い懲戒解雇を指します。厚生労働省の指針では、横領や窃盗などは「自己の責めに帰すべき重大な事由」とされ、失業保険(雇用保険)の扱いに影響します。

給付制限の内容

ハローワークは解雇の事情を確認して給付の可否や開始時期を判断します。重責解雇に該当すると、給付開始が遅れる、あるいは給付が制限される可能性があります。必ずしも会社の記載通りになるわけではなく、ハローワークの審査が重要です。

具体例

  • 横領や窃盗が明らかな場合
  • 業務命令を著しく怠り重大な損害を与えた場合
  • 犯罪行為に及んだ場合

対応方法

  1. 解雇理由を示す書類(就業規則、調査報告書)や反論の証拠を集める
  2. 離職票の記載を確認し、ハローワークで事情を説明する
  3. 解雇の正当性に疑いがある場合は労働相談窓口や弁護士に相談する

注意点

給付制限は個別判断です。証拠を示して経緯を説明すれば、ハローワークの判断が変わることがあります。まずは証拠を整理して早めに相談してください。

受給開始時期の違い

概要

重責解雇(懲戒解雇に準じるケース)と自己都合退職、会社都合退職では、失業保険の受給が始まるまでの期間が異なります。会社都合では7日間の待期期間のみで、比較的早く受給が始まります。重責解雇では、7日間の待期期間に加えて通常3か月の給付制限が付きます。

具体例

例えば離職日が4月1日なら、まず7日間の待期で4月8日までは受給対象になりません。重責解雇の3か月制限が加わると、約7月8日頃まで給付は開始されません。つまり解雇から受給開始まで約3か月以上かかります。

手続きのポイント

ハローワークには早めに申請してください。給付制限期間中でも申請手続きを行うことで、制限終了後に速やかに支給が始まります。離職票など必要書類を揃えて相談すると手続きがスムーズです。

注意点

給付開始が遅れるため、生活資金の準備が重要です。会社都合と重責解雇の扱いが争点になる場合は、労働相談や弁護士に相談すると誤解を避けられます。

給付日数と受給総額の減少

給付日数の目安

重責解雇の場合、給付日数は雇用保険の被保険者期間に応じておおむね90日〜150日になります。会社都合退職で認められる日数に比べて短くなる点が特徴です。

受給総額への影響

給付日数が少ないため、受給できる総額も減ります。日額は個人の賃金で決まるため、給付日数と日額を掛け合わせた金額が実際の受給総額です。

具体例(イメージ)

たとえば日額を8,000円と仮定すると、150日だと約120万円、90日だと約72万円になります。会社都合で日数が多ければさらに高くなります。

確認と対策

ハローワークで自分の給付日数を必ず確認してください。受給額の見積もりや疑問点は窓口や労働相談で相談すると安心です。

被保険者期間の要件

要件のポイント

懲戒解雇で失業手当を受けるには、離職日の前2年間のうち被保険者期間が通算で12か月以上あることが必要です。該当しない場合は給付を受けられません。

被保険者期間に含まれるもの

  • 雇用保険の被保険者として働いていた期間(正社員・パートともに該当することがあります)
  • 有給休暇中や一時的な傷病での休職で、雇用保険の加入が続いている期間

含まれない場合の例

  • 無給の長期休職や離職期間は原則カウントされません。
  • 直近2年のうち保険加入期間が合計で11か月だと受給できません。

実例でイメージ

  • 例1: 直近2年で継続して24か月働いている→要件を満たす(受給可能)
  • 例2: 直近2年で合計10か月しか加入していない→要件未達(受給不可)

手続きと確認ポイント

  • 離職票や雇用保険被保険者記録で加入期間を確認してください。
  • 曖昧な点はハローワークで相談すると正確に判定してもらえます。

必要な書類を揃え、まず加入期間を確認することが重要です。

自己都合退職との誤分類のリスク

問題の概要

懲戒解雇を受けたのに、企業が離職理由を「自己都合退職」や「自己都合による退職」と記載してしまうケースがあります。この場合、失業保険の受給条件が不利になります。受給開始が遅れたり、受給日数が短くなったりして、金銭的な損害を被る可能性があります。

具体的な不利益

  • 受給開始が遅れる(数週間〜数か月の待機や給付制限が生じることがあります)。
  • 給付日数や受給総額が減る可能性があります。
  • ハローワークでの審査が長引き、手続きに手間がかかります。

なぜ誤分類が起きるか

  • 企業側の記入ミスや判断ミス
  • 懲戒処分の記録が不十分で理由があいまい
  • 手続きの知識不足や担当者の経験不足

具体例

懲戒解雇を受けたAさんは、会社が離職証明書に「自己都合」と記載したためハローワークで自己都合扱いとなり、受給開始が遅れました。証拠を示して訂正を求め、最終的に会社が訂正したケースもあります。

従業員が取るべき対処

  1. 離職票を受け取ったらすぐに記載内容を確認する。
  2. 誤りがあれば会社に訂正を求め、就業規則や懲戒処分の書類を用意する。
  3. ハローワークで相談し、必要なら労働基準監督署や弁護士に相談する。

企業が注意すべき点

  • 離職理由は正確に記載する。記録を残す。
  • 懲戒処分の理由や手続きを書面で明確にしておく。
  • 労務担当者に手続きの研修を行う。

誤分類は金銭的な不利益や損害賠償請求につながるため、早めに確認・対応することが大切です。

年金への影響

懲戒解雇が年金の支給額を直接減らすことはほとんどありません。年金は本人と事業主が納めた保険料と加入期間に基づいて計算されます。たとえば厚生年金・国民年金は、懲戒解雇を理由に自動的に減額されることはありません。

ただし例外があります。公務員が懲戒解雇され、禁固以上の刑に処された場合は、退職共済年金(共済年金やその後の制度に該当する給付)の一部が制限される場合があります。刑罰が要件となる特別な扱いです。

実務上の注意点をいくつか挙げます。

  • 退職後に長期間無保険や未納が続くと、将来の年金額に影響します。たとえば再就職せず国民年金の保険料を滞納すると、受給資格期間や給付額が変わることがあります。
  • 最終月の保険料や事業主の納付状況に不備があれば、年金記録にズレが生じます。給与明細や離職票を保管し、年金定期便で記録を確認してください。
  • 不安がある場合は年金事務所や社会保険労務士に相談すると安心です。

このように、懲戒解雇そのものが年金を減らすことは稀ですが、その後の加入状況や公務員の特殊例には注意が必要です。

離職票の記載における注意点

概要

懲戒解雇で失業保険を受けるには、離職票の「離職理由」の記載が重要です。企業が誤って記載すると受給時期や支給可否に影響します。

確認すべきポイント

  • 離職理由の区分(会社都合・自己都合・懲戒など)が正しいか確認してください。
  • 日付や在職期間、最終給与の記載に誤りがないかもチェックします。

影響の例

  • 懲戒が明確に記載されれば給付制限や不支給の判断につながる場合があります。
  • 本人の主張と企業記載が食い違うと、ハローワークで追加の説明や証拠を求められます。

訂正を求める手順

  1. まず会社に訂正を申し入れてください。書面で依頼すると後で証拠になります。
  2. 会社が応じない場合は、ハローワークに相談し、離職票の扱いについて確認します。

証拠と相談先

  • 懲戒の理由を示す就業規則、始末書、懲戒処分の通知などを揃えます。
  • 相談先は公共職業安定所(ハローワーク)や労働相談窓口です。

企業が訂正を拒むとき

  • ハローワークに事情を説明して審査してもらいます。必要なら労働局や弁護士に相談してください。

注意点

  • 離職票は受給手続きの基礎資料です。受け取ったら速やかに確認し、疑問があれば記録を残して対応してください。

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