有給消化の義務と罰則の仕組みを正しく理解しよう

目次

はじめに

概要

2019年の労働基準法の改正で、有給休暇の一部取得が企業に義務付けられました。本章では、その背景と本記事の目的を分かりやすく説明します。

背景と目的

働き方改革の一環として、有給休暇を取得しやすい職場づくりが進められています。長年、有給が取りにくい職場が問題視されてきたため、一定の取得日数を企業が確保することが法的に求められるようになりました。本記事は、対象となる従業員や取得日数の条件、違反時の罰則、企業が取るべき管理策などを整理し、実務で役立つポイントを丁寧に解説します。

誰に向けた記事か

  • 人事・総務担当者
  • 経営者
  • 有給制度の運用に関心のある労働者

本記事で扱う主な内容

  • 有給休暇消化の義務化とは何か
  • 対象従業員と取得日数の条件
  • 違反時の罰則と企業の対応方法
  • 管理の実務ポイントと注意点
  • ケーススタディを通じた具体的な対処法

次章以降で順に詳しく説明します。

有給休暇消化の義務化とは

背景と目的

2019年4月の改正で、有給休暇を年10日以上付与される従業員に対し、企業が年5日以上の取得を確保する義務を負うことになりました。狙いは有給取得率の向上と、労働者の生活と仕事の両立支援です。

法的な仕組み

対象となるのは、年10日以上の有給が付与される従業員です。企業は従業員が自発的に取得しない場合でも、時季を指定して有給を取得させる必要があります。義務は年度ごとに発生します。

企業の具体的な義務

企業は取得状況を把握し、足りない日数を従業員ごとに確認します。不足があれば、従業員の希望を考慮した上で、企業が取得日を指定します。指定する際は業務に支障が出ない範囲で配慮しながら行います。

時季指定のポイント

時季指定は、日程を企業側が決める手続きです。例えば、年5日義務のうち従業員が2日しか取らなければ、企業は残り3日を指定して取得させます。業務の繁忙期や社員の事情を調整して決めます。

実務上の注意点

取得の記録を残し、従業員に通知した証拠を整えてください。事前に有給取得のルールや相談窓口を周知すると、円滑に運用できます。

対象となる従業員と取得日数の条件

対象となる従業員

年次有給休暇が「10日以上付与される」すべての労働者が対象です。正社員だけでなく、パートやアルバイト、契約社員も含まれます。ポイントは“付与される日数”が基準であることです。

有給日数の判定基準

通常、雇用開始後6か月で所定の出勤率要件を満たすと10日が付与されます。以後は勤続年数に応じて付与日数が増えます。短時間勤務や週数が少ない場合でも、付与日数が10日以上であれば対象になります。具体例:週3日勤務でも、付与日数が10日であれば対象です。

基準日(付与日)と管理方法

付与日は従業員ごとに異なることが多く、入社日を基準に計算します。企業は付与日と取得状況を正確に管理する必要があります。実務では勤怠システムで付与日を登録し、残日数や取得実績を自動集計する方法が効率的です。紙で管理する場合は、付与日ごとに一覧を作り、年単位で確認する運用をおすすめします。

実務上の注意点

・休職や長期欠勤があると付与日や付与条件に影響するため個別に確認してください。
・付与日前に退職した場合はその時点での付与状況を確認します。
・従業員への説明をわかりやすく行い、誤解を防ぐことが重要です。

有給消化義務違反時の罰則内容

罰則の概要

事業者が従業員の年5日間の有給取得義務を果たさなかった場合、労働基準法第120条に基づき罰則が適用される可能性があります。違反者1人につき30万円以下の罰金が科される点が特徴です。人数分だけ罰金が積み重なるため、影響は大きくなります。

罰金の具体例

  • 1人が義務を満たさなかった場合:最大30万円
  • 5人が該当した場合:最大150万円(30万円×5人)
    このように人数に応じて合計額が増えていきます。罰金は1回の違反で人数分課される仕組みです。

懲役刑の可能性

場合によっては罰金に加えて、6か月以下の懲役が科されることがあります。実務上は罰金で終わるケースが多いものの、違反の態様や悪質性によっては懲役刑が併科され得る点に注意が必要です。

事業者が押さえるべきポイント

  • 従業員ごとの有給取得日数を記録し、確認すること
  • 取得を促す仕組みを作ること(計画取得や管理担当の明確化など)
  • 指摘を受けた場合は速やかに是正し、記録を残すこと
    違反が見つかると罰則のリスクだけでなく、企業の信用にも影響します。早めに対策を講じることが重要です。

罰則を回避するための企業の管理ポイント

記録の一元化と定期確認

有給付与日数・基準日・取得実績を一つの台帳やシステムで管理してください。例:基準日が4月1日の社員は毎年何日付与されるか一覧化し、残日数を月次で確認します。月次で未消化の有無をチェックすることで期限切れを未然に防げます。

時季指定の運用ルール化

就業規則に時季指定の手続きと運用を明記してください。通知時期(例:期限の2か月前)、書面やメールでの記録方法、従業員が希望する時期と会社指定の優先順位を定めます。未消化がある場合は早めに時季指定を行い、記録を残します。

取得促進の仕組み作り

管理者からの定期的な声かけ、繁忙期以外の取得推奨、半日単位での取得を認めるなど柔軟な運用を取り入れてください。部門ごとの取得率を公表して意識付けすると効果的です。

非正規・休職者への対応

パートや契約社員は勤務日数に応じた付与日数を正確に計算します。育児・病気等で長期休職がある場合は、基準日の取り扱いと時季指定のタイミングをあらかじめ定めておきます。

内部監査と記録保存

年1回以上の内部監査で運用状況を点検し、改善点を記録してください。時季指定や未消化の指示は証拠として保存しておくと安心です。

実務チェックリスト(例)

  • 全社員の基準日・付与日数一覧を作成
  • 月次で残日数確認、未消化者へ通知
  • 就業規則に時季指定ルールを明記
  • 管理者への教育と部門別の取得率報告
  • 指示・通知の記録を保管

これらを習慣化することで、罰則リスクを大幅に軽減できます。

よくある注意点・ケーススタディ

注意点1:欠勤・病欠は有給消化と別扱い

病気や無断欠勤の日数をそのまま「有給消化」に充てることはできません。例えば風邪で欠勤した3日を、有給消化の義務日数に含めることは認められません。企業は出勤可能な日について時季指定で有給取得を促す必要があります。

注意点2:パート・アルバイトも対象になる点

年10日以上の年次有給が付与されるパートやアルバイトも義務の対象です。例:年間で12日付与されるAさんは、会社が所定日数の取得を確保する責任があります。

注意点3:本人が希望しない場合の対応

労働者が時季指定を嫌がっても、企業は時季指定で取得させなければなりません。書面やメールで時季指定の通知を残し、理由や代替日を提示するとトラブルを避けられます。

ケーススタディ

ケース1:Bさんは体調不良で連続欠勤。会社は欠勤日を有給扱いにせず、回復後に時季指定で別の日に有給取得を指定し、記録を残した。
ケース2:Cさん(パート)は年10日以上付与。取得が進まないため、会社が社内カレンダーで希望日を調整し、半日単位での取得も提案して取得率を上げた。

実務的な注意点

記録は必ず残す、労働者との対話を重ねる、取得の柔軟性を持たせる(半日、時間単位、計画的付与など)。これらを徹底すると違反リスクを下げられます。

まとめ:有給消化義務化の背景と今後の対応

背景

年5日以上の有給取得義務化は、長時間労働の是正と労働者の健康確保を目的に導入されました。企業が単に法律を守るだけでなく、働きやすい職場づくりを進める契機です。

企業が取るべき対応

  • 管理体制の整備:取得状況を記録し、年次で確認します。
  • 就業規則の見直し:取得手続きや休暇の取り扱いを明確にします。
  • 取得促進策:計画的付与や上司からの声かけを行います。

実務のポイント

  • データ管理をルール化し、誰がいつ休んだか分かるようにします。
  • 業務調整や代替手配を前もって計画します。
  • 取得を嫌がる社員には個別に理由を聞き、障害を取り除きます。

今後の対応

休暇取得は法令遵守だけでなく、組織の持続力を左右します。ITツールを活用し、管理の負担を減らしながら、職場文化として有給取得を促進してください。必要なら労務の専門家に相談して早めに対応策を固めましょう。

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