はじめに
本章では、本記事の目的と読み方をわかりやすく説明します。退職日の翌日に新しい会社へ入社する場合は、手続きや書類の準備が短期間で集中します。本記事は、社会保険・年金・雇用保険・税金の切り替え方法や必要書類、実務上の注意点を整理し、慌てず対応できるようにすることを目的としています。
この記事の対象
- 退職日の翌日に入社予定の方
- 入社手続きを担当する人事・総務の方
- 手続きに不安がある転職者
具体例を挙げながら説明しますので、専門用語が苦手な方でも読み進められます。
本記事の構成と使い方
- 第2章以降で、入社当日から必要になる手続きの流れを順を追って説明します。
- 社会保険や年金、税金ごとに切り替え方法をまとめます。
- 自分で行う手続きや提出書類について実務的なポイントを示します。
読み進めるときは、ご自身の退職日と入社日をメモしておくと実践しやすいです。次章から具体的な流れを順番に見ていきましょう。
退職日の翌日に入社する場合の基本的な流れ
概要
退職日の翌日に新しい会社へ入社する場合、原則として離職期間が生じません。そのため、健康保険・厚生年金・雇用保険などの社会保険の手続きは新しい会社が一括して行います。自分で国民健康保険や国民年金に切り替える必要は基本的にありません。
一般的な手続きの流れ(ステップ)
- 退職直前:前職から源泉徴収票や雇用保険被保険者証を受け取る(会社から渡される書類がある場合があります)。
- 入社前〜入社初日:転職先に源泉徴収票、雇用保険被保険者証、マイナンバーの写しなど必要書類を提出します。人事・総務が加入申請を進めます。
- 入社日:雇用保険や厚生年金、健康保険の加入日は原則として入社日です。社内で手続きが開始されます。
- 後日:新しい健康保険証は後日郵送で届くことが多いです。届くまでの扱いは会社に確認してください。
実務上の注意点
- 書類は早めに提出してください。源泉徴収票は年末調整で必要です。税の処理がスムーズになります。
- 健康保険証が手元にない期間が生じたら、会社に相談して対応(医療機関での支払い方法や証明書の案内)を確認しましょう。
- 前職の保険証や雇用保険関係書類は紛失しないよう保管してください。
よくある質問(短く)
Q: 国民健康保険に加入する必要はありますか?
A: 離職期間がない場合は不要です。会社が手続きを行います。
Q: 新しい保険証はいつ届きますか?
A: 数日〜数週間かかることが多いので、届くまでの扱いを入社先に確認してください。
健康保険・年金・雇用保険の切り替えと手続き
健康保険と厚生年金
入社すると、通常は会社が「健康保険の資格取得届」「厚生年金の資格取得届」を日本年金機構や保険組合へ提出します。被扶養者(配偶者や子)がいる場合は、扶養に入れるための書類(住民票、所得を示す書類、マイナンバー等)の提出を求められます。具体例:配偶者の所得が低い場合、所得証明を出して扶養に入れてもらいます。
転職先が社会保険未加入の場合
転職先が社会保険に加入していない事業所なら、自分で市区町村役場へ行き「国民健康保険」と「国民年金」の手続きをします。必要書類は本人確認書類、マイナンバー、前職での保険証などです。通常のケースでは会社が一括して手続きをするため、心配は少ないです。
雇用保険(失業給付と被保険者証)
新しい会社が雇用保険の加入手続きを行います。入社後は会社が雇用保険の手続きを行うため、転職直後に失業給付を受けることはできません。前職で交付された「雇用保険被保険者証」は入社時に提出してください。番号や履歴が引き継がれます。
手続きの流れと注意点
- 入社時に会社から提示される書類に速やかに対応してください。
- 旧職場の保険証は退職時の指示に従い管理・返却します。紛失すると手続きが遅れます。
- 社会保険未加入の事業所へ行く場合は、役所での加入手続きを早めに行い、保険証が届くまでの負担を確認してください。
- 基礎年金番号やマイナンバーは手続きで必要になるため、準備しておくとスムーズです。
困ったときは新旧どちらの総務担当にも早めに相談してください。
自分で行う手続きと提出書類
退職日の翌日に入社する場合、自分で行う手続きは少ないです。ただし、転職先に提出する書類は事前にそろえておく必要があります。以下で主要な書類と準備のポイントをわかりやすく説明します。
提出が求められる主な書類
- 源泉徴収票:前職が発行します。前年分や当年分の給与所得を確認するため必要です。届かないときは前職に依頼してください。
- 雇用保険被保険者証:前職から受け取っている証です。紛失した場合は再発行の手続きが必要です。
- マイナンバー:個人番号の提示(カードのコピーや番号確認書類)。本人確認書類も合わせて求められます。
- 健康診断書:企業が指定する場合があります。直近の健康診断結果を使えるか事前に確認してください。
- 扶養控除等(申告)書:税の手続き用です。配偶者や扶養家族がいる場合は正確に記入します。
- 銀行口座情報、本人確認書類(運転免許証など):給与振込や身元確認で必要です。印鑑が求められる会社もあります。
個別の準備と注意点
- 源泉徴収票が間に合わない場合は、入社先の人事に相談してください。税処理の方法を案内してくれます。
- 雇用保険被保険者証は原本を渡すケースがあります。手渡す前に控えのコピーを保管すると安心です。
- マイナンバーは取り扱いに注意してください。会社は番号の確認と厳重な管理が義務付けられています。
- 健康診断書が不要でも、問診票や既往歴の申告を求められることがあります。
事前に確認しておくこと
- 入社前に提出期限や必要な書式を転職先の人事に必ず確認してください。
- 書類は原本とコピーを分けて準備し、受付方法(郵送か持参か)も確認しておくと当日がスムーズです。
住民税・所得税・社会保険料の注意点
概要
退職と入社が近い場合、それぞれの税・保険の負担先や処理時期が変わります。事前に確認すると、思わぬ追徴や二重払いを防げます。
住民税(市区町村税)
住民税は前年の所得に基づき6月〜翌年5月にかけて支払います。誰が給料から天引きするかは、原則として6月1日時点の勤務先が特別徴収(給与天引き)を行います。例:6月1日に新会社に在籍していれば新会社が徴収します。退職で6月1日に無職だと、市区町村から自分宛てに納付書(普通徴収)が届くことがあります。
所得税(年末調整)
年末調整は年末に在籍している会社が行います。途中で退職して年末に別会社にいる場合はその会社が調整します。どの会社も年末調整を行わない場合は、翌年に確定申告が必要です。源泉徴収票は必ず受け取り、次の会社に提出または確定申告で使ってください。
社会保険料(健康保険・厚生年金)
社会保険は月単位で計算・徴収されます。退職日や入社日が月中であっても、給与支払いのタイミングや会社の適用月により負担が変わることがあります。手続きや負担について不明な点は、前職・現職の総務へ確認してください。
実務チェックポイント
- 源泉徴収票を受け取る
- 住民税の徴収方法(特別/普通)を確認する
- 年末調整の担当会社を確認する
- 社会保険の資格取得・喪失日を総務に確認する
これらを早めに確認すると、手続きの漏れを防げます。
退職日・入社日の決め方と社会保険料
基本の考え方
退職日を入社日の前日にするのが基本で、健康保険や年金の切り替えに空白期間が生じにくくなります。空白があると自分で国民健康保険などに加入する必要が出て手続きや負担が増えます。
在職中の保険料負担
在職中は社会保険料(健康保険・厚生年金など)の半分を会社が負担します。入社日の前日まで働いていれば、新しい会社に加入する形になり、会社負担が引き続き適用されるため自己負担が増えにくいです。
離職期間がある場合の影響
離職期間があると、保険料を全額自分で負担する期間が出ます。短期間でも負担が増えるため、金銭的に不利になることがあります。任意継続の制度や国民健康保険への加入という選択肢が出ますが、手続きと費用を考慮してください。
日付の具体例と注意点
例1:A社を6月30日に退職、B社に7月1日入社→保険の切替がスムーズで空白が生じにくい。
例2:A社を6月29日に退職、B社に6月30日入社→手続きや勤務実態によっては月の扱いが変わることがあるため、両社の人事に確認が必要です。
月末の扱いと計算のポイント
保険料や給与の締め日で扱いが変わることがあります。月末付近の退職は会社ごとの処理規定や給与締め日に影響を受けるため、可能であれば人事に確認して調整してください。
実務上のポイント
- 退職・入社の日程は両社の人事に事前確認する
- 保険証の返却日と新保険証の交付タイミングを合わせる
- 給与の締め日や賞与対象の有無も聞く
これらを抑えると、社会保険料の負担増や手続きの手間を最小限にできます。
離職期間がある場合との違い
概要
退職日から入社日までに空白期間(離職期間)があると、社会保険や税の扱いが変わります。企業をすぐに移る場合と比べて自分で手続きを行う必要が増えます。
健康保険・年金の手続き
離職中は会社の健康保険や厚生年金を失うため、市区町村で国民健康保険・国民年金に加入する手続きが必要です。会社の保険を継続したい場合は「任意継続」という選択肢もあります(条件あり)。窓口に行って資格喪失証明書などを提出します。
失業手当と求職活動
離職理由と雇用保険の加入期間によっては、ハローワークで失業給付の手続きができます。受給を受けるには離職票や本人確認書類を持って求職の申し込みをしてください。
住民税・保険料の納付先
住民税は住所が登録されている市区町村が請求します。保険料は国民健康保険なら市区町村、任意継続なら前職の保険組合に納めます。納付方法や納期を確認してください。
退職翌日入社との主な違い
- 手続き:離職期間があると自分で窓口手続きが必要。翌日入社なら多くを新雇用先が引き継ぎます。
- 給付:失業給付を受けたい場合は離職期間が条件になります。
- コスト:国民保険の保険料は所得や自治体で変わり、自己負担が増えることがあります。
具体例
例えば一カ月の空白があると、その期間は国民健康保険に加入して保険料を払う必要があります。受給や手続きの可否は個別の事情で変わるため、不明点は市区町村役場やハローワークで確認してください。
まとめと実務上のポイント
要点の確認
退職日の翌日に入社する場合、社会保険や雇用保険、年金の切り替えは原則として転職先が一括で手続きを行います。自分で役所に行く必要は基本的にありません。前職の保険証は速やかに返却し、源泉徴収票や雇用保険被保険者証など必要書類を新しい勤務先に提出してください。
実務上のチェックリスト
- 必要書類をそろえる:雇用保険被保険者証、源泉徴収票、本人確認書類。マイナンバーは会社の案内に従う。
- 健康保険証の受け取り:入社後、会社から新しい保険証が渡されます。前の保険証は返却済みか確認。
- 住民税の扱い:自治体や会社の処理タイミングで差が出ます。会社からの案内や給与明細を確認してください。
離職期間がある場合の注意
空白期間が生じると、自身で国民健康保険や国民年金の手続きを行う必要があります。失業給付を受ける場合はハローワークでの申請が必要です。
実務上の小さなコツ
- 入社前に人事に提出書類のリストを確認する。急ぎの書類は早めに準備する。
- 給与明細や保険料の控除は初回で差異が出ることがあるので、異常があれば早めに人事・総務へ問い合わせる。
これらを押さえておけば、翌日入社でも手続きで困ることは少なくなります。必要書類の準備と会社からの案内確認を習慣にしてください。


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