はじめに
本記事では、在職証明書における休職期間の扱いと、実務での記載方法や注意点をわかりやすく解説します。人事担当者、総務担当者、または休職や異動で証明書が必要になった従業員の方に向けた実務的なガイドです。
この記事の目的
在職証明書と休職証明書の違い、休職期間をどう記載するか、制度上の留意点や退職・解雇時の取り扱いなどを整理します。書き方の具体例やテンプレートも用意し、すぐに使える形で示します。
読み方と使い方
まずは第2章で基本の用語と書類の役割を確認してください。その後、休職期間の記載方法(第3~4章)や期間設定(第5章)を読み、該当するケースに合わせたテンプレート(第7章)を参考にしてください。実務上のポイント(第8章)も合わせて確認すると安心です。
以降の章で、具体的な文例や注意点を丁寧に説明していきます。どなたでも実務に役立てられる内容を目指しますので、気軽に読み進めてください。
在職証明書・休職証明書の概要
在職証明書とは
在職証明書は、従業員がその会社に在籍していることや在籍していた事実を証明する書類です。転職活動やローン申請、各種手続きで提出を求められます。通常は氏名・所属部署・職務名・在職期間・発行日・発行者の署名や捺印が記載されます。
休職証明書とは
休職証明書は、従業員が病気や介護、産前産後などの理由で一定期間業務を離れていたことを証明する書類です。保険請求や給付申請、行政手続きのために使われます。休職期間や理由、復職の見込みなどを記載することが多いです。
主な用途と提出先
- 在職証明書:転職先、人事審査、金融機関(ローン)など
- 休職証明書:保険会社、年金機構、行政窓口、補助金申請など
発行者と発行時の注意点
会社が発行します。個人情報や病名などの機微な事項は本人の同意を確認して記載します。発行には社内手続きが必要なため、余裕をもって依頼しましょう。
簡単な例(記載項目)
在職証明書:氏名、部署、職位、所属開始日、(退職済の場合は退職日)、発行日
休職証明書:氏名、休職開始日・終了日(または継続中の旨)、休職理由(要同意)、発行日
在職証明書における休職期間の扱い
概要
休職中も会社に在籍している場合は、在職扱いとなり在職証明書を発行できます。証明書は入社日や在職期間、雇用形態などの基本情報を中心に記載しますが、必要に応じて休職期間を明記します。
在職扱いの意味
在職扱いとは勤務先での身分が維持されていることを指します。給与の支給有無や休職理由にかかわらず、雇用契約が継続している場合は在職証明が可能です。具体例:病気で休職中でも「在職中」と記載できます。
証明書に記載する主な項目
- 入社日
- 在職期間(例:2020年4月1日〜現職)
- 雇用形態(正社員、契約社員など)
- 必要に応じた休職期間の記載(例:休職期間:2022年6月1日〜2022年12月31日)
退職後の扱い
退職が確定した後は、在職証明書の代わりに在籍期間証明書や在職・退職を明示した書類として調整します。過去の休職期間は経歴として明記することが多いです。
実務上の注意点
社内規程や労務担当の確認が必要です。休職理由などの記載は個人情報に当たるため、本人の同意を得てから記載してください。用途(金融機関、就職先など)に応じて記載内容を調整します。
休職期間の記載方法と注意点
基本的な記載項目
在職証明書や休職証明書には、次の項目を正確に記載します。休職の開始日・終了日(終了日が未定なら「未定」や「予定」と明記)、休職理由、給与の支給有無、氏名、所属部署、職名、発行日、発行者の氏名と連絡先。
終了日が未定の場合の書き方
終了日が確定していないときは「未定」「○○予定(例:療養期間のため当面未定)」と記載します。提出先が予定を求める場合は見込みの範囲(例:3か月程度)を補足説明として添えます。
給与の有無の記載
給与が支払われる場合は支給の有無とその期間(全額、支給割合、支給期間)を明示します。例:「休職期間中は無給」「一部給与支給(基本給の50%、○年○月〜)」。
氏名・所属などの確認
氏名の表記(戸籍名と通称の違い)や入社年月日、部署名の誤記がトラブルのもとです。二重チェックと押印/署名の確認を必ず行います。
記載例(簡易)
例:〇〇太郎は、令和○年○月○日から令和○年○月○日まで休職(療養のため、無給)したことを証明します。
注意点・よくある誤り
期間の開始日と終了日を誤る、給与の有無をあいまいにする、発行者情報がない、これらは特に注意してください。提出先の要件に合わせて明確に記載することが重要です。
休職期間の制度と期間設定
休職制度の種類
休職は目的や事由に応じて分かれます。代表的なものに私傷病による休職、出向時の措置、労働組合専従、公職就任などがあります。各制度で適用条件や期間の扱いが異なるため、就業規則で明確に定める必要があります。
期間の一般的な目安
法律で一律の上限はありません。目安としては大手企業で最長2年程度、中小企業では3〜6か月が多く見られます。会社の財務状況や業種、業務の代替性を踏まえて決めます。
事由ごとの取扱い例
・私傷病:治療期間や復職見込みに応じ段階的に延長を検討します。
・出向:出向先との契約期間に合わせて設定します。
・組合専従・公職:就任期間や活動予定に則して定めます。
就業規則で定めるポイント
期間の上限、延長手続き、給与や手当の取扱い、社会保険の扱い、復職要件を明記してください。具体例を示すと運用が安定します。
更新・延長・満了時の対応
定期的な医師の意見や上司との面談を元に延長を判断します。満了時に復職できない場合の処遇(退職扱いなど)も規則で示しておくとトラブルを避けやすくなります。
休職期間満了による退職や解雇の場合の証明書の記載
概要
休職期間が満了して復職できない場合、通常は退職扱いになります。離職証明書には「休職期間満了による退職」と明記し、事実関係を正確に示します。就業規則や退職通知書の写しを添付すると証明力が高まります。
離職証明書への記載例
- 記載例1:休職期間満了により退職(休職期間:20XX年X月X日~20XX年X月X日)
- 記載例2:休職期間満了による退職(会社が復職不可と判断)
具体的な日付と判断者(会社名・担当者)を添えると分かりやすくなります。
添付書類とポイント
- 添付書類:就業規則の該当条文、退職通知書の写し、休職記録、可能なら医師の診断書
- ポイント:事実を簡潔に示す、個人情報(病名など)は原則記載しない
ハローワークでの手続き
離職理由を記載し、添付書類を提出して手続きを行います。窓口では具体的事情(復職可否の経緯や通知の日時)を説明してください。
記載上の注意点
- 日付と理由を明確に書く
- 主観的な評価や差別的表現を避ける
- 医療情報は本人の同意がある場合のみ添付・記載する
休職証明書・在職証明書のテンプレート例
はじめに
証明書に必要な項目と、実際のテンプレート例を示します。使いやすいように空欄と記入例を併記します。
テンプレートA:休職証明書(雛形)
証明書名:休職証明書
氏名:
住所:
職名:
入社年月日:
休職理由:
休職期間:開始 年 月 日 〜 終了 年 月 日(未定の場合は「未定」)
休職中の給与:支給あり/支給なし(支給額や割合があれば明記)
記入日: 年 月 日
会社所在地:
会社名:
代表者名:
(会社印)
【記入例】
氏名:山田 太郎
職名:営業部 主任
入社年月日:2015年4月1日
休職理由:病気療養のため
休職期間:2024年6月1日〜2024年12月31日
休職中の給与:給与の一部支給(基本給の50%)
テンプレートB:在職証明書(休職中を明記)
証明書名:在職証明書
氏名:
住所:
職名:
入社年月日:
在職状況:現在休職中(休職開始日 年 月 日)
休職期間:開始 年 月 日〜(未定の場合は「未定」)
休職中の給与:
記入日: 年 月 日
会社所在地:
会社名:
代表者名:
(会社印)
記入時の注意点
- 休職理由の表現は簡潔にし、本人の同意がある情報のみ記載します。
- 期間は開始日と終了日(未定は「未定」)を明確に記載します。
- 給与の扱いは具体的に記載すると後の確認がスムーズです。
- 会社印と代表署名を忘れずに押印・記名してください。
実務上のポイント
記載前の確認
- 提出先(保険会社・行政・転職先など)に必要な項目を確認します。必要なら書式や添付書類を事前に問い合わせます。
提出先との連絡
- 記載内容に不明点があれば早めに提出先と連絡を取ります。手続きの遅れや給付の影響を防げます。
記載のチェックポイント
- 氏名・社員番号・在籍期間・休職開始・終了日・休職理由(簡潔に)を正確に記入します。
- 日付や期日の表記ゆれを避け、年月日で統一します。
署名・押印と証明の保存
- 会社の代表者署名または押印が必要か確認し、原本を保管します。提出前に控えを渡す習慣をつけます。
訂正と再発行
- 記載ミスが判明したら速やかに訂正し、再発行の手順を説明します。再発行時は旧版が使われないよう注意します。
電子提出の対応
- 電子ファイル提出が求められる場合は、PDF化して改ざん防止策(署名付きPDF等)を用意します。ファイル名やメール本文に必要情報を記載すると手続きがスムーズになります。
まとめ
要点の整理
在職証明書では、休職期間も在職として扱われることが多いです。休職の事実と期間を正確に示すことで、提出先の要件に対応できます。必要に応じて休職開始・終了日、休職理由、休職中の給与の有無を明記してください。
満了による退職や解雇の場合
休職期間満了により退職や解雇となった場合は、その事情を具体的に記載します。退職日や最終出勤日、関連する就業規則や申請書類を添付すると信頼性が高まります。
実務上のポイント
記載は簡潔にしつつ正確にします。発行日、発行者の所属・役職・連絡先、署名や捺印を忘れないでください。提出先や社内の就業規則で必要な項目が異なるため、事前に確認してから発行しましょう。
最後に
証明書の内容は手続きの可否に直結します。不明点があれば社内担当者や提出先へ相談し、正確な情報に基づいた証明書を用意してください。


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