第1章: はじめに
この文書の目的
退職後に「離職票が会社から届かない」と困ったときに、原因や法的な立場、届かない場合の具体的な対応をわかりやすくまとめたガイドです。離職票の基本的な役割から、届くまでの期間、届かないときに取るべき手順まで順を追って説明します。
誰のための文書か
会社を退職した本人や家族、人事担当者に役立ちます。初めて離職票に接する方でも理解できるよう、専門用語はできるだけ避け、具体例で補足します。
本書で得られること
• 離職票の重要性と必要性を理解できます。
• 会社が渡さない主な理由とその背景がわかります。
• 法的な側面と、届かない場合に実行できる具体的な手順を学べます。
本書の構成
第2章で離職票の意味を説明し、第3章で受け取れる条件を整理します。第4章から第7章で、会社が渡さない理由、違法性、通常の到着期間、届かない場合の対処法を順に解説します。
離職票とは何か
概要
離職票はハローワーク(公共職業安定所)から発行される公的な書類です。退職した人が雇用保険の失業給付(失業手当)を受ける際に必ず必要になります。会社がハローワークへ交付申請を行い、ハローワークが作成して本人に送付します。
何が書かれているか
離職の理由、雇用期間、賃金の記録などが記載されます。これらの情報をもとに給付の可否や給付日数が判断されます。書類は2枚に分かれていることが多く、本人がハローワークで手続きをするための部分が含まれます。
取得の簡単な流れ
- 退職者が会社に「離職票を出してほしい」と伝える
- 会社がハローワークへ交付申請を行う
- ハローワークが離職票を発行し、本人へ郵送する
注意点
会社が手続きを怠ると届かないため、退職時に確認してください。手続きへの同意やサインを求められる場合があります。離職票は失業手当の申請に必要なので、大切に保管してください。
第3章: 離職票をもらえる条件
基本条件
離職票を受け取るには、次の2つの条件を満たす必要があります。
- 契約期間が31日以上であること
- 1週間あたりの労働時間が20時間以上であること
これらを満たさない場合、会社に雇用保険の加入義務がなく、原則として離職票は交付されません。
具体例でわかりやすく
- 例1:週5日、1日4時間で働き、契約が2か月ある場合
- 週の労働時間は約20時間。契約も31日以上なので離職票の対象になります。
- 例2:単発の短期バイト(契約期間が2週間)で週に30時間働いた場合
- 労働時間は多くても契約が31日未満のため、原則として離職票は出ません。
複数の職場で働く場合
複数の会社で同時に働いているときは、合計の労働時間や各社の契約状況で判断されます。該当するか不安なときは、最寄りのハローワークに相談してください。
確認してほしいこと・次の一手
- 雇用契約書や勤務条件をまず確認してください。
- 会社に離職票の交付を尋ねて、理由を聞きましょう。
- 自分で判断できない場合はハローワークへ相談すると対応方法を教えてもらえます。
必要な条件を満たしていれば、離職票は受け取れる可能性が高いです。疑問があれば一人で悩まずに相談してください。
会社が離職票をくれない主な理由
はじめに
離職票が届かないと不安になりますね。ここでは会社が離職票を渡さない代表的な理由を、具体例を交えてわかりやすく説明します。どのケースでもまずは記録を残すことが大切です。
1. 労働者からの申し出がない
会社は自動で離職票を発行しない場合があります。会社側に「離職票を送ってください」と伝えていないと手続きが進まないことがあります。口頭だけでなく書面やメールで請求すると後で証拠になります。
2. 会社の手続きが遅れている
退職後の事務処理が遅れているだけのことも多いです。人事担当が不在、必要書類の確認に時間がかかるなどが理由です。事務ミスや忙しさで発送が遅れることがあります。
3. 意図的に渡していない(嫌がらせや対立)
一部のケースでは、意図的に離職票を出さない悪質な対応があります。退職を巡るトラブルやハラスメントが背景にあることがあり、故意に遅らせる、送らない、といった行為が見られます。
4. 労働者の住所が不明、書類不備
退職後に転居して住所不明になっている、または必要書類の記入漏れがあると発送できません。住所の変更を伝えていない場合は特に起こりやすいです。
5. 退職理由や保険の確認が必要
離職票は退職理由や雇用保険の加入状況を基に作成します。退職区分が不明確だと確認作業が入り、結果として発行が遅れることがあります。
会社が離職票をくれないことは違法
離職票の交付は会社の義務です
離職票は、退職した人が失業給付を受けるために必要な書類です。雇用保険法や労働基準法により、会社には離職票を交付する義務があります。会社がこれを故意に渡さない行為は法律に反します。
違反した場合の責任
会社が交付を拒むと、刑事罰が科される可能性があります。具体的には、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が適用されることがあります。これは書類の交付義務を軽視してはならないという厳しい措置です。
具体的な例と実務的な対応
例:退職後に離職票を請求しても渡さない場合は、まず請求の記録を残します。メールや内容証明で請求すると証拠になります。次に、ハローワークに相談してください。ハローワークは会社に対して発行を求めたり、必要な手続きを案内してくれます。場合によっては労働基準監督署や都道府県の労働局へ相談・通報することも有効です。
注意点
会社が違法行為をしている場合でも、手続きには時間がかかることがあります。感情的にならず、証拠を整えて公的機関に相談することが解決への近道です。
離職票が届くまでの通常期間
通常の目安
離職票は、退職後おおむね10日から2週間程度で自宅に届くのが目安です。会社が必要書類をハローワークに提出し、手続きが進んだうえで郵送されます。郵送の都合や会社の事務処理で前後することがあります。
届くまでにかかる主な理由
- 会社側の事務処理(離職証明書の作成・提出)
- ハローワークでの手続き処理
- 郵便の遅延や住所の誤り
届かないと感じたときの行動手順
- まず10日〜2週間は待ちましょう。通常この期間で届きます。
- 2週間以上たっても届かない場合は、まず前の勤務先に電話やメールで確認してください。発送済みか、宛先に間違いがないかを尋ねます。
- それでも連絡が取れない、対応がない場合は最寄りのハローワークに相談します。ハローワークは事実確認や手続きの状況を調べてくれます。
注意点
転居届を出している場合は住所変更が反映されているか確認してください。離職票がないと失業給付の手続きに支障が出ますので、早めに行動することをおすすめします。
離職票が届かない場合の対処法
1. まず会社に手続き状況を確認する
退職後、まず人事や総務に電話やメールで離職票の送付状況を確認します。口頭で済ませず、メールや書面で「離職票の交付をお願いします」と明確に伝えてください。送付予定日や担当者名を控えます。
2. ハローワークに相談する
会社に連絡しても進まないときは、お住まいのハローワークに相談します。離職票がないと失業手当の手続きに支障が出るため、ハローワークが会社に手続きを促すことがあります。相談時は退職日、会社名、やり取りの記録を持参してください。
3. ハローワークの「確認請求」を申し立てる
ハローワークは必要に応じて会社に対して確認や指導を行えます。これをハローワークで依頼すると、書面で会社に手続きを促してもらえます。通常この段階で対応が進むことが多いです。
4. 解決しない場合は弁護士に相談する
ハローワークの対応でも届かない場合、弁護士に相談を検討します。内容証明郵便で交付を求める、または労働審判など法的手段を取ることが可能です。費用や期間も相談時に確認してください。
実務上の注意点
- やり取りは必ず記録(メールやメモ)を残す。
- ハローワークへ行くときは身分証と雇用保険被保険者番号があるとスムーズです。
- まずは冷静に、段階を踏んで対応してください。


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