退職代行, 裁判の関係を徹底解説!違法リスクと企業対応の最新動向

目次

はじめに

調査の目的

本調査は、退職代行サービスに関わる法的問題と企業が取るべき対応を分かりやすく整理することを目的としています。退職代行をめぐる裁判リスクや非弁行為の問題点、違法業者の実態を明らかにし、企業が現場で使える指針を示します。

背景

近年、退職代行サービスの利用が増え、対応に悩む企業が増えています。代理で退職を伝える行為に法的な線引きがあり、誤った対応はトラブルを招きます。具体例を交えて、企業側が安全に対応できる方法を解説します。

本稿の構成

第2章以降で現状、業者の種類、非弁行為、リスク、企業対応、交渉や引継ぎ義務の扱いなどを順に解説します。最後に企業の対応方針を提案します。

読者への注意

本稿は一般向けの解説です。個別の事案は弁護士等の専門家に相談してください。

退職代行サービスの現状と背景

概要

近年、退職代行サービスを利用する働き手が増えています。上司に直接伝えることの心理的負担や、引き止め、ハラスメントが背景にあることが多いです。退職代行からの連絡は退職意思の伝達として認められますが、民間業者は弁護士ではないため法的交渉権限を持ちません。

利用が増えた背景

多くの方が「言いにくさ」を理由に挙げます。例えば、長時間の説得や感情的な対立を避けたい場合、第三者に伝えてもらうことで精神的負担を軽くできます。職場でのハラスメントやパワハラに直面している場合、当事者同士で話すと状況が悪化する恐れがあるため利用が増えました。

退職代行の連絡はどう扱われるか

代行業者が退職の意思を会社に伝えること自体は、労働者の意思表示として扱われます。口頭やメールと同様に「退職する」という意思が示されれば、会社は基本的にその意思を尊重する必要があります。ただし、民間業者は賃金未払いや損害賠償などの法的な交渉を代理する権限を持ちません。弁護士だけがそのような法的代理を行えます。

利用者が知っておくべき点

・契約内容を確認する:業者がどこまで対応するか明確にしましょう。
・追加費用の有無:交渉や訴訟は別料金になることがあります。
・証拠を残す:やり取りの記録を保管すると安心です。

企業側の受け止め方のポイント

企業はまず退職意思の有無を確認し、就業規則や手続きを案内します。法的な交渉を求められた場合は、弁護士対応を促すか、社内の相談窓口を案内するのが安全です。これにより双方が円滑に手続きを進められます。

退職代行業者の分類と法的権限の違い

概要

退職代行業者は主に3種類に分かれます。運営主体で対応範囲や権限が変わるため、企業側は確認が必要です。

1. 弁護士法人

対応範囲:労働問題の交渉や証拠保全、訴訟手続きまで行えます。具体例:未払残業代の請求や和解交渉を弁護士が代理します。
権限:法的代理人として会社と直接交渉できます。

2. 一般社団法人などの法人(弁護士でない組織)

対応範囲:退職意思の伝達や相談、手続き支援が中心です。例:雇用契約の解除申入れを代行しますが、金銭請求の代理はできません。
権限:法的代理権はなく、書面や連絡での仲介にとどまります。

3. 民間業者(個人事業・商業会社)

対応範囲:主に退職の連絡代行やメンタルケアのサポートです。実例:本人の代わりに退職届を送る、出社せず手続きを進めるなど。
権限:交渉や争いごとの代理は認められません。

比較のポイント(企業向け確認事項)

  • できる業務:交渉可能か、書類作成までかを確認してください。
  • 証明手段:誰がいつ何を伝えたか記録を残すか確認します。
  • 費用と契約内容:範囲が限られる業者もあり、費用と成果を照らし合わせてください。

企業は、相手がどの主体かをまず確認し、対応範囲に応じた手続きを進めると安全です。

非弁行為とは – 弁護士法第72条の禁止事項

概要

弁護士資格を持たない者が、報酬を得て他人の法律事件について代理や交渉を行うことを、日本の弁護士法第72条は禁じています。民間の退職代行業者が会社と退職条件や未払い賃金の交渉をする行為は、典型的な「非弁行為」にあたる可能性が高いです。

具体例で分かりやすく

  • 退職代行業者が会社に和解金や退職金の提示を交渉する。
  • 未払い残業代や解雇の有効性について会社と話し合う。
    一方で、退職の意思表示を本人の代わりに伝えるだけ(=単なる連絡代行)は、基本的に非弁行為には当たりません。ただし、実際の業務内容が交渉に踏み込むと違法になります。

見分け方と注意点

  • 契約書やホームページに「交渉します」と明記している場合は要注意。弁護士の関与が明示されない限り違法の恐れがあります。
  • 「弁護士と提携」などの曖昧な表現がある業者も注意してください。弁護士が実際に交渉しているか、書面で確認しましょう。

企業や利用者が取るべき対応

  • 業者に弁護士名や担当者の資格証明を求める。
  • 交渉が行われている疑いがある場合は、会社側は弁護士に相談するか、本人の意思確認を行ってください。

違法性の有無はケースごとに変わります。具体的な対応が必要なときは、弁護士に相談することをおすすめします。

非弁行為のリスクと刑事罰

非弁行為とは

非弁行為は、弁護士だけに認められる法律業務を弁護士以外が行うことを指します。たとえば、法律上の主張をまとめて相手方と交渉したり、損害賠償や未払い賃金の請求を代行したりする行為が該当します。日常語で言えば「法律の立場で相手とやり取りする」ことです。

具体例

  • 有給休暇の消化について雇用者と条件交渉して調整する
  • 残業代や未払い賃金の額を算定して請求する文書を作成・送付する
  • 労働審判や訴訟の代理人として相手企業とやり取りする
    これらは弁護士の業務領域で、弁護士以外が行うと非弁行為に当たる可能性があります。

刑事・民事のリスク

非弁行為を行った業者は、刑事罰の対象となり得ます。懲役や罰金などの刑事責任だけでなく、依頼者や第三者に対する損害賠償責任を負う場合もあります。事業停止や営業上の信用失墜といった実務上の不利益も生じます。

依頼者の立場

依頼した労働者本人が罪に問われることは基本的にありません。業者の違法行為について知らなかった場合、労働者に刑事責任は及びません。ただし、被害回復や交渉の妥当性という点では、依頼者も不利な立場になることがあります。

実務上の注意点

  • サービス提供者が弁護士かどうかを必ず確認してください。弁護士であれば代理や請求の実行が可能です。
  • 退職手続きのみを依頼する場合は、書面で業務範囲を明記してもらいましょう。
  • 有給消化や残業代請求など法律判断が必要な場面では、弁護士に相談することをおすすめします。

退職代行業者の実態 – 違法業者の増加

現状
近年、退職代行サービスが増え、依頼の手軽さを求める人が増えました。その結果、退職意思の伝達にとどまらず、弁護士しかできない交渉や請求を行う非弁業者も増えています。

増加の要因
・需要の高さ:即日退職やトラブル対応を急ぐ利用者が多いです。
・参入障壁の低さ:専門知識がなくても始められる事業形態が多いです。
・宣伝の誇張:SNSや広告で「残業代や有給を全部取ります」など断定的に謳う業者があります。

具体例と危険性
違法業者は「残業代請求を代行する」「会社と和解交渉する」「裁判手続きまで対応する」といった業務を実際に行います。これらは非弁であり、依頼者が不利益を被る可能性があります。金銭の授受が絡むと、返金が難しくなるケースもあります。

見分け方と対策
・業務範囲を文書で確認し、退職意思の伝達だけかを明確にする。
・ “弁護士” と名乗るなら氏名と登録番号を確認する。
・有料で法的手続きまで請け負う場合は弁護士に相談する。

注意点
違法な対応に巻き込まれると、後で問題が大きくなります。依頼前に業者の説明を丁寧に聞き、不明点は専門家に相談してください。

企業側の対応 – 退職意思表示のみの場合

退職意思表示の扱い

退職代行から「退職の意思表示」だけが届いた場合、会社は原則としてこれを拒めません。無期雇用の労働者は民法第627条第1項により、退職の申し出から2週間で退職できます。会社は従業員の意思を尊重して対応します。

確認すべき事項

  • 本人確認:代行業者からの連絡でも、本人の氏名と退職日、連絡手段を確認します。
  • 方式の確認:書面(メール含む)での意思表示があるかどうかを確認します。口頭のみだと証拠が残りにくいです。

会社が取るべき対応(手順例)

  1. 受領の通知を出す(代行業者宛てか本人宛てかを明記)。
  2. 退職希望日を確認し、法定の2週間ルールを適用する。必要なら日程調整を提案します。
  3. 未払いの賃金や有給消化、備品返却、秘密保持などの処理方法を案内します。
  4. 最終給与の支払日や健康保険・年金の手続きについて説明する書面を送付します。

注意点

  • 退職の意思が明確であれば、会社は一方的に引き留められません。違約金や無断で給料を差し引くことは法的根拠が必要です。
  • 本人の意思に疑いがある場合は、直接本人に確認するよう求めてください。第三者からの連絡だけで重要な決定を急がないことが大切です。

違法な退職代行との交渉リスク

背景

違法な退職代行(弁護士でないのに代理交渉する業者)とやり取りすると、後で「代理権がなかった」と争われる恐れがあります。代理権が疑われると、合意の有効性が問題になります。

主なリスク

  • 合意の取り消し: 例)退職日や未払金の支払いで合意しても、後日本人が「代理を認めない」と言えば再交渉や訴訟になる可能性があります。
  • 書類の信頼性低下: 委任状や連絡履歴が不十分だと、第三者への説明が難しくなります。

企業の対応例

  • 本人確認を徹底する(電話や面談で意思確認)
  • 委任状や身分証明の提示を求める
  • 書面で合意内容を残す(日時、金額、合意者の氏名)
  • 不明点は法務や弁護士に相談する

注意点

直接本人と確認できない場合は交渉を制限する選択肢があります。したがって、記録を残し、慎重に対応してください。

引継ぎ義務と企業の対応限界

引継ぎ義務の基本

従業員には業務を適切に引き継ぐ義務が生じます。具体的には、業務マニュアルや担当案件の情報、会社物品の返却などを行うことです。口頭での引継ぎだけでなく、メールや書面で記録を残すことが望ましいです。

退職の自由と有給休暇との関係

従業員は退職の自由を持ち、有給休暇の時季指定権もあります。したがって、会社が一方的に引継ぎを強制することは難しい場面があります。例えば、有給取得中に出社を求めることは原則として認められません。

無断欠勤や代行での退職の場合

長期間の無断欠勤や、連絡なしに退職代行を通じて辞めるケースは、引継ぎ義務違反に当たる可能性があります。しかし、即座に強制的な引継ぎを実現する手段は限られます。違反が疑われる場合は、会社側で被害の有無と範囲を明確に把握することが先決です。

企業が取るべき対応

・まずは書面やメールで引継ぎと物品返却を求め、記録を残してください。
・システムやアカウントの停止、機密情報の保全など安全対策を優先してください。
・損害が出た場合は証拠を集めて弁護士に相談することを検討してください。費用対効果を踏まえ、訴訟以外の解決策も検討すると実務的です。

結論 – 企業の対応方針

基本方針

退職代行からの連絡を受けたら、まず「退職意思表示のみかどうか」を確認します。退職の意思表示だけであれば、会社はこれを拒否せず受け取り、通常の手続きを進めます。

判断のポイント

  • 代行が賃金や解雇無効などの交渉を始めるか。交渉は非弁行為に当たる恐れがあります。
  • 連絡があった元社員に直接確認できるか。書面やメールでの意思表示を求めてください。

具体的な対応手順

  • 退職意思表示のみ:書面やメールでの確認を取り、退職日や最終給与を計算して処理します。個人情報や返却物の扱いも明確にします。
  • 交渉や請求がある場合:代行と直接交渉せず、まず社内で記録を残します。相手が弁護士でない場合、法的権限を確認し、弁護士に相談してください。したがって違法な代理人との協議は避けます。

注意点

  • 記録(メール、通話記録、やり取りのログ)を必ず保存します。
  • 会社の対応は一貫性を持たせ、差別的扱いを避けます。

しかし、状況が複雑なら早めに専門家に相談し、法的リスクを最小化してください。

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