懲戒解雇の手続きとは?法的要件と流れをわかりやすく解説

目次

はじめに

目的

本資料は、企業が従業員に対して懲戒解雇を行う際の手続きや法的要件を分かりやすく整理したものです。実務で迷わないように、定義や段階的な処分、手続きの流れ、解雇予告や退職金の取り扱いまでを順に解説します。

対象読者

人事担当者、管理職、労務担当者、または懲戒処分について知りたい一般の方が対象です。法律の専門家でなくても理解できるよう平易な表現を使います。

本資料の構成と使い方

各章で一つのテーマに絞り、事例や注意点を交えて説明します。実務でのチェックリストとして使えるよう、手続きの順序や必要な記録も示します。必要に応じて第4章以降で詳しい要件や手続きの流れを参照してください。

注意事項

個別の事例は事情により対応が異なります。本資料は一般的な指針であり、具体的な判断には社内規定や専門家の助言を併せて確認してください。

懲戒解雇とは

定義

懲戒解雇は、企業が従業員の重大な規律違反に対して行う最も重い処分です。人員整理などの理由による普通解雇と違い、違反行為に対する制裁として即時に契約関係を終了させます。例えば横領や深刻な暴力行為など、企業と他の社員の信頼を著しく損なう場合に該当します。

特徴

  • 効力が即時的であることが多く、解雇日以降の出勤義務はなくなります。
  • 懲戒の理由が正当であることを雇用側が立証する必要があります。
  • 誤って行うと無効となり、復職や損害賠償を求められる場合があります。

具体例(分かりやすく)

  • 社内の現金を持ち出した(横領)
  • 業務中に暴力や重大なハラスメントをした
  • 企業の機密情報を外部に漏らした
  • 長期間の無断欠勤や勤務命令の著しい拒否(度重なる場合)
    いずれも行為の程度や経緯を精査して判断します。

手続き上の注意点

懲戒解雇を行う際は、事実確認と本人の意見聴取を行うことが重要です。証拠や状況を整理し、同種事案の社内ルールと整合させます。説明なく一方的に処分すると、後に不当と判断されやすくなります。従業員側は労働審判や訴訟で争うことができ、公的機関に相談する選択肢もあります。

心得として

会社は公平かつ慎重に、従業員は権利を理解して対応することが大切です。次章では懲戒処分の段階的な種類について詳しく説明します。

懲戒処分の段階的な種類

概要

懲戒処分は違反の程度や頻度に応じて段階的に行います。企業は軽い処分から重い処分へと進め、再発防止と公正な対応を目指します。

1. 戒告・譴責

定義:口頭または書面で注意する最も軽い処分。例:遅刻や勤務態度の改善指示。注意点:記録に残すことで再発時の根拠になります。

2. 減給

定義:一定期間、給与を減らす処分。例:業務上の過失で損害を出した場合。注意点:就業規則に根拠が必要で、労働基準法の限度に注意します。

3. 出勤停止

定義:一定期間の出勤停止で無給または一部有給。例:重大な規律違反やハラスメント。注意点:期間と扱いを明確に示します。

4. 降格・役職剥奪

定義:職位や役職を下げる処分。例:管理職の職務怠慢。注意点:職務と給与の関連性を考慮します。

5. 諭旨解雇

定義:本人に退職の意思を促す形での解雇。例:改善の見込みが乏しい場合。注意点:強制退職にならないよう配慮が必要です。

6. 懲戒解雇

定義:最も重い処分で即時解雇。例:横領や重大な信用失墜行為。注意点:要件が厳格で、証拠や手続きの整備が不可欠です。

どの段階でも、事実確認と本人の弁明機会を確保することが重要です。

懲戒解雇の法的根拠と要件

法的根拠

労働契約法第15条・第16条が根拠です。会社は解雇の際、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要と定められます。単に社内規則があるだけでは足りません。行為の重大性や会社の対応が外部から見て妥当かが問われます。

要件(主なポイント)

  • 就業規則に懲戒解雇の規定があること
    例:就業規則で横領や暴力が懲戒解雇と明示されている。
  • 懲戒事由に該当すること
    例:故意の横領、重大な暴行、長期の無断欠勤など。軽微な過失は該当しにくいです。
  • 本人に意思表示が伝えられること
    口頭や書面で懲戒解雇の意思を明確に伝えます。事実関係や理由を示す必要があります。
  • 権利濫用にあたらないこと
    解雇が労働者に不当に厳しい、差別的、報復的でないこと。過去の同種事案と比べて著しく不均衡だと認められると無効になり得ます。

客観的合理性・社会通念上の相当性の考え方

行為の重大性、会社の被害・信用失墜の程度、再発防止の必要性、労働者の性格や勤務歴などを総合的に判断します。例えば小さなミスで懲戒解雇にすると過剰とみなされやすいです。

証拠と手続きのポイント

懲戒解雇を正当化するには具体的な証拠と、説明聴取の機会を与えた記録が重要です。裁判では会社側に立証責任があります。

懲戒解雇の手続きの流れ

全体の流れ

懲戒解雇は段階を踏んで進めます。主な順序は、事実関係の調査 → 懲戒解雇要件の確認 → 本人への弁明機会の付与 → 懲戒解雇通知書の作成・交付 → 離職に伴う各種手続き、です。

1. 事実関係の調査

事実を丁寧に集めます。具体例としては、メールや記録、監視映像、関係者の聞き取りなどです。証拠は時系列に整理し、誰が何をしたのかを明確にします。可能なら書面で記録を残します。

2. 懲戒解雇要件の確認

就業規則や社内規程で懲戒解雇の要件を照合します。類似事例の扱いも確認し、公平性を保つか判断します。ここで不備があれば、懲戒処分を軽くする検討が必要です。

3. 本人への弁明機会の付与

弁明は法的に重要です。書面で理由と事実を示し、本人に説明する機会(面談や書面での回答)を与えます。弁明の内容を記録し、対応を考慮して最終判断します。

4. 懲戒解雇通知書の作成と通知

通知書には解雇理由、事実の要点、解雇日、異議申し立て先などを明記します。送付方法は手渡しや配達記録で証拠を残します。

5. 離職に伴う各種手続き

給与の精算、保険手続き、貸与物の返却やID停止などを速やかに行います。退職証明や雇用保険の書類準備も怠らないでください。

解雇予告と予告手当

規定の概要

原則として、使用者は解雇の少なくとも30日前に予告する義務があります。懲戒解雇であっても同様です。もし30日以上前に予告できない場合は、30日分の平均賃金を「解雇予告手当」として支払う必要があります。

解雇予告手当とは(簡単な例)

解雇予告手当は、通常の給与の1日あたりの平均額×30日分です。例えば日割りで1万円が平均賃金なら、30万円が予告手当になります。計算は給与の実際の額に基づきます。

例外と労働基準監督署の認定

例外として、やむを得ない事情で即時解雇を行った場合、予告手当が不要となることがあります。しかしその判断は使用者の一方的なものではなく、労働基準監督署長の認定や事後の調査が関わります。認定を受けるには、事情を説明する書類や証拠を提出します。

実務上の注意点

  • 解雇の理由や日時は書面で残してください。
  • 予告手当を支払った場合はその記録を保管してください。
  • 労基署に相談すれば、認定の可否や手続きの指導を受けられます。

懲戒解雇だからといって予告を省略できるわけではありません。適切な手続きを踏むことが、トラブル防止につながります。

退職金の取り扱い

退職金の法的な位置づけ

退職金は労働基準法で直接定められていません。企業が就業規則や労使協定で支給のルールを定め、従業員はその規則に基づいて受け取ります。

懲戒解雇と退職金の関係

多くの会社は就業規則に「懲戒解雇の場合は退職金を減額または支給しない」と記載しています。重大な非違行為(横領、長期の無断欠勤、業務妨害など)があれば退職金の全部または一部を支給しないことがあります。具体例として、横領で懲戒解雇になった場合は退職金ゼロ、軽微なルール違反で減額となる場合もあります。

判断する際のポイント

・就業規則が明確に規定しているか
・行為の重大性と減額の程度が釣り合っているか(軽い過失で全額カットは不合理)
・手続きが適正に行われたか(調査や弁明の機会があったか)

争いになったときの対応

会社が不支給とした場合、まず就業規則と計算書類を確認してください。納得できなければ労働基準監督署や弁護士、労働組合に相談します。出勤記録や調査報告などの証拠を集めると主張が通りやすくなります。

実務上の注意点

企業は就業規則を明確にし、従業員への周知を徹底する必要があります。従業員は入社時や退職時に規則を確認し、不支給理由を文書で求めると良いでしょう。

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