懲戒解雇でも必ず押さえたい予告手当の重要ポイント

目次

はじめに

本資料の目的

本資料は、懲戒解雇に関する「解雇予告手当」について、支給義務や計算方法、例外的に支給不要となるケース、法的な罰則、支給時期、そして労働者の権利までを分かりやすくまとめたものです。難しい法律用語はできるだけ避け、具体例を交えて丁寧に説明します。

解雇予告手当とは

解雇予告手当は、会社が解雇をする際に「30日以上前に通知しない場合」に、労働者に支払う手当です。簡単に言えば、通知がないことで生じる生活上の損失を補うためのものです。一般的には「平均賃金の30日分」に相当する額を支払いますが、計算の細かい点は第4章で具体例を示します。

懲戒解雇でも支給の原則

懲戒解雇であっても、原則として解雇予告手当の支給義務があります。例外はあり得ますが、原則を理解しておくことが大切です。例外的な扱い(労働基準監督署の除外認定など)については第5章で説明します。

本資料の章立て(概要)

第2章: 解雇予告手当の基本概念
第3章: 懲戒解雇でも原則として支給義務がある
第4章: 計算方法の具体例
第5章: 例外的に支給不要となるケース
第6章: 法的罰則と手続き上の注意点
第7章: 支給時期と支払い方法
第8章: 労働者側の権利と確認事項

この第1章では全体の見取り図を示しました。以降の章で順を追って、具体的で実務的なポイントを丁寧に解説していきます。ご不明な点があれば後の章で確認してください。

解雇予告手当の基本概念

定義

解雇予告手当は、使用者が労働者を解雇する際に、30日以上の事前予告を行わない場合に支払う手当です。労働者の生活を守るための制度で、予告をせず即時に解雇する、あるいは解雇日から30日未満の予告で解雇する場合に発生します。

支払が必要となる場面

  • 会社が解雇を通知した日から解雇日までが30日未満のとき
  • 予告そのものが無いとき
    逆に、30日以上前に書面などで予告を行った場合は、原則として支払は不要です。

支給額と算定方法(要点)

支給額は「30日分以上の平均賃金相当額」です。平均賃金は直近3か月(通常は給与の合計額)をその期間の日数で割って算出します。基本給だけでなく、通勤手当や各種手当の扱いは内容によって異なります。

簡単な計算例

月給30万円の場合、直近3か月の合計900,000円を90日で割ると1日当たり10,000円。30日分で300,000円となり、これが解雇予告手当の目安です。

※ 実際の計算では手当の種類や支払実績により変わることがあるため、具体的な金額は就業規則や給与明細を基に確認してください。

懲戒解雇でも原則として支給義務がある

概要

懲戒解雇であっても、即時に解雇する場合は原則として解雇予告手当の支給義務があります。労働基準法第20条は、解雇の種類にかかわらず30日前の予告を義務付けています。予告が30日に満たないときは、不足日数分の平均賃金を支払わなければなりません。

具体的な支給義務

解雇を通知してから実際に退職するまでの期間が30日未満であれば、足りない日数分を賃金で補います。たとえば即日解雇なら30日分、予告が7日間なら23日分の平均賃金を支払うイメージです。

支払い額のイメージ(簡単な例)

月給30万円の方を想定すると、1日の平均は約1万円です。予告が7日で23日分を払う場合、約23万円となります。平均賃金の算出方法は厳密な決まりがありますが、ここでは直近の給与から日割りで考えると分かりやすいです。

注意点

懲戒であっても支給義務が原則として生じます。具体的な例外や手続きは次章以降で詳しく説明します。

解雇予告手当の計算方法の具体例

計算式の基本

解雇予告手当は「平均賃金 × (30日 − 予告日数)」で求めます。平均賃金とは直近の一定期間の賃金を日数で割った一日分の金額です。計算はシンプルで、まず一日当たりの平均賃金を確認します。

計算の手順

  1. 直近の賃金総額から一日分の平均賃金を算出する。例:1日分=1万円。
  2. (30日 − 予告日数)を計算する。予告が20日なら10日分。
  3. 平均賃金と日数を掛け合わせて手当額を出す。

具体例

  • 例1(予告20日): 1日1万円 × (30−20)=10日 → 10万円
  • 例2(予告なし=即日解雇): 1日1万円 × (30−0)=30日 → 30万円
  • 例3(予告30日): 1日1万円 × (30−30)=0日 → 支払不要

実務上の注意点

  • 平均賃金の算出方法や端数処理は会社の規程や給与計算の慣行で異なります。必ず給与明細や就業規則で確認してください。
  • 懲戒解雇でも原則として支給対象になる点は別章で説明しています。疑問があれば労務担当に相談してください。

例外的に支給が不要となるケース

概要

労働基準法第19条では、労働者の「責に帰すべき事由」がある場合に解雇予告手当の支給が不要となります。ここでいう「責に帰すべき事由」は、企業の信頼を著しく裏切る重大な行為を指します。

具体例

  • 盗取・横領:金銭や物品を不正に持ち出した場合
  • 傷害:業務中や職場で他者に重い傷害を負わせた場合
  • 賭博や風紀紊乱:常習的な賭博や職場の秩序を乱す行為
  • 営業秘密の漏洩や背任:会社に重大な損害を与えた行為
    これらは個別事案の事情を合わせて判断します。軽微な違反は該当しません。

手続・注意点

支給免除を適用するには、管轄の労働基準監督署による除外認定が必要です。会社は事実関係を示す証拠(調査報告、証言、記録など)を提出し、監督署が認定するかどうかを判断します。認定は書面で確認してください。

認定なしに支給を拒否すると、未払いの支払い義務だけでなく法的な罰則や支払命令が課される可能性があります。事案が複雑な場合は、監督署への相談や労働法の専門家への相談をお勧めします。

労働者への助言

支給を拒まれた場合は、監督署に認定書の有無を確認し、必要なら相談窓口や専門家に相談してください。証拠の提示を求め、書面でやり取りを残すと後の対応がしやすくなります。

法的罰則と手続き上の注意点

罰則の概要

労働者に対して解雇予告手当を支払わないと、労働基準法119条により6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。除外認定を受けずに支給を拒んだ場合も同様です。刑事罰に加えて、未払賃金の支払い請求や遅延損害金の請求を受ける点にも注意してください。

除外認定の注意点

一部の事情では解雇予告を要しないと認められることがありますが、事前に所轄の労働基準監督署で除外認定を受ける必要があります。認定を得ずに独断で支払いを拒むと罰則の対象になります。必ず書面での確認を取るようにしてください。

懲戒解雇時の証拠保存

懲戒解雇を行う場合は、責に帰すべき事由を証明する資料を揃えておくことが重要です。具体例:警告書・始末書・業務記録・調査報告・関係者の陳述など。弁明の機会を与えた記録も残してください。これが後の争いを防ぎます。

手続き上の実務ポイント

  • 解雇は書面で行い、理由と日付を明記すること
  • 支払が必要な場合は計算根拠を明示して速やかに支払うこと
  • 証拠や手続き記録は長期間保存すること
  • 不安がある場合は労働基準監督署や弁護士に相談すること

以上を守ることで、刑事罰や紛争のリスクを下げられます。

支給時期と支払い方法

支給時期

解雇予告手当の支給義務は解雇が成立した時点で発生します。通常は解雇日までに支払う必要があり、解雇日以降に支払うことは原則として認められません。例:解雇日が10月10日であれば、手当は10月10日までに支払われるべきです。支払が遅延すると、労働者は未払い分の請求や労基署への相談を検討できます。

支払い方法

支払い方法は通常の給与と同じ扱いです。銀行振込、現金手渡し、給与口座への振込など会社の通常ルールに従います。振込で支払う場合は振込明細、現金で渡す場合は領収書を残すと後々の証拠になります。給与明細に解雇予告手当の内訳を明確に記載しておくと分かりやすいです。

最終給与との扱い

解雇予告手当は最終給与と一緒に支払うことが多いですが、区別して明示してください。たとえば最終給与が25日支払日で、解雇日が10日なら、会社は10日までに手当を用意し、最終的に25日にまとめて振込む際にも「解雇予告手当として支給済み」など記録を残すべきです。

税金・保険の取扱いと実務上の注意

源泉徴収や社会保険料の扱いは会社の給与規定に準じます。支払い証拠(振込明細、領収書、給与明細)を必ず保管してください。支払われていない場合は、まず事業主に文書で請求し、それでも解決しないときは労働基準監督署や弁護士等に相談すると良いです。

労働者側の権利と確認事項

受け取るべき要点

懲戒解雇の通告を受けたら、まず会社が「30日前の予告」または「解雇予告手当の支払い意思」を示しているか確認してください。支払いがあるなら、いつ、どの金額を支払うかを明確にします。

確認する具体事項

  • 解雇通知の書面:理由と通知日が明記されているかを確認します。口頭だけでなく書面を求めてください。
  • 平均賃金の計算根拠:どの期間・どの手当を含めて計算したかを求め、明細で照らし合わせます。例えば通勤手当や賞与扱いの扱いなどで差が出ます。
  • 企業の主張内容:会社が「労働者の重大な責めに帰す事由」としている場合、その事実関係や証拠の有無を確認します。

支給拒否や金額に不備があると感じたら

まず会社に書面で説明と支払いを求めてください。応じない場合は労働基準監督署へ申告できます。監督署は調査し、行政指導や是正勧告を行えます。必要なら労働組合や弁護士に相談し、支払請求や交渉を進める方法を検討します。

証拠の残し方と相談先

解雇通知、給与明細、出勤簿、メールや社内連絡の記録を保存してください。相談先は労働基準監督署、労働組合、労働問題に詳しい弁護士です。早めに相談すると選べる対応が増えます。

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