退職時に必須!源泉徴収票とは基礎知識と注意点解説

目次

第1章: はじめに

目的

本書は、退職時に発行される「退職所得の源泉徴収票」について、基本から実務で役立つ点までわかりやすく説明することを目的としています。退職金や退職手当に関する税務処理の仕組みを整理し、誤解や不安を減らす助けになればと思います。

想定する読者

会社で人事・総務を担当する方、退職金を受け取る予定の方、税務処理を確認したい個人の方を主な対象としています。税務の専門家でなくても読めるよう、専門用語は最小限にし具体例で補足します。

本書の構成と読み方

全9章で構成します。まず基本的な定義と記載項目を説明し、給与の源泉徴収票との違いや計算方法を順に解説します。必要な箇所だけ読むこともできますが、初めて学ぶ方は第2章から順に読むと理解が深まります。

期待できる効果

退職所得の源泉徴収票の見方が分かり、税額の仕組みや手続きの流れに自信を持てます。会社側・個人側それぞれの対応ポイントが把握でき、実務上のミスを減らせます。

退職所得の源泉徴収票の基本定義

定義

退職所得の源泉徴収票は、企業が従業員や役員に退職手当(退職金、一時恩給、退職による一時の給与など)を支払う際に作成・交付する公式な書類です。支払額と源泉徴収した所得税の金額が記載されます。

交付する者と受け取る者

企業(事業主)が交付します。受け取るのは退職した従業員や役員で、退職後の税務手続きや年末調整、確定申告に使います。

交付のタイミング

退職手当を支払ったときに作成し、原則速やかに交付します。退職後の再就職や年末などで手続きが必要な場合に備えて保管します。

記載される主な項目

支払金額、源泉徴収税額、支払年月日、受給者の氏名・住所、事業主情報などが書かれます。簡単な明細が記載される点が特徴です。

なぜ重要か

税務署への報告と受給者の税額計算に使います。退職後の税負担を正しく把握し、必要があれば確定申告で調整できます。

簡単な例

退職金が500万円で源泉税が50万円なら、支払金額と源泉税が明記され、受給者はこれをもとに税務処理を行います。

退職所得の源泉徴収票に記載される内容

支払金額(退職手当)

退職を理由に支払われたすべての金額が記載されます。退職金、功労金、特別な一時金などが含まれます。例:退職金として300万円が支払われた場合はその総額がここに記載されます。

源泉徴収税額

支払金額から天引きされた所得税の金額です。企業があらかじめ差し引いて納付します。年末調整や確定申告で調整することがあります。

課税退職所得金額

退職所得控除を差し引いた後の課税対象金額が書かれます。計算結果がここに反映され、税率の適用対象となります。例:控除後の金額が150万円ならその額が表示されます。

勤続年数

1年未満は1年に切り上げて記載します。欠勤や休職の期間も原則含めます。例:3年4か月の勤続は4年と記載されます。

控除額

各種控除(扶養控除、配偶者控除、社会保険料控除など)がある場合、その金額が示されます。どの控除が適用されたかも確認してください。

その他の項目

支払者(事業主)名、従業員名、作成年月日などが記載されます。これらは確定申告や今後の手続きで必要になることが多いです。必要な数字は写しを保管しておきましょう。

給与所得の源泉徴収票との主な違い

概要

退職所得の源泉徴収票は、退職金や一時金など退職に伴う支払いに関する書類です。給与所得の源泉徴収票は、1年間の給与に対する書類で、それぞれ目的と発行時期が異なります。

発行時期の違い

  • 退職所得:退職日から1か月以内に交付します。例えば、3月末で退職した場合は4月末までに受け取ります。
  • 給与所得:年末調整後に、12月31日時点で在籍する従業員に対して発行します。

用途の違い

  • 退職所得:確定申告で退職金の扱いを明らかにする際に使います。ほかの所得がある場合や多額の控除を申請する場合に必要です。
  • 給与所得:年末調整により税額が精算されるため、給与の税額確認や確定申告時の給与所得の証明に使います。

記載内容の違い(簡単な例)

  • 退職所得:退職金の総額、退職所得控除後の金額、源泉徴収税額などを記載します。
  • 給与所得:年間の給与総額、社会保険料や源泉徴収税額、扶養控除等の情報を記載します。

実務上の注意点

退職後に他の所得がある場合や確定申告が必要かどうかは、退職所得の源泉徴収票を基に判断します。紛失しないよう保管し、必要があれば税務署や税理士に相談してください。

源泉徴収税額の計算方法

基本の計算式

退職所得に対する源泉徴収税額は次の式で求めます。

  • 源泉徴収税額 = 課税退職所得金額 × 税率 − 控除
  • 課税退職所得金額 = (支払金額 − 退職所得控除額)× 1/2

勤続年数が短い場合の特例(5年以下)

勤続年数が5年以下のときは、上の1/2の扱いが変わります。

  • 役員等(取締役など)の場合:1/2の適用がありません。したがって、課税退職所得金額は「支払金額 − 退職所得控除額」となります。
  • 役員等以外の場合:差引金額のうち300万円までは1/2が適用されますが、300万円を超える部分には1/2が適用されません。つまり
  • X = 支払金額 − 退職所得控除額
  • X ≤ 3,000,000円 のとき:課税退職所得金額 = X × 1/2
  • X > 3,000,000円 のとき:課税退職所得金額 = 3,000,000 × 1/2 + (X − 3,000,000)

源泉徴収税額の計算手順(実務的)

  1. 支払金額と退職所得控除額を確認します。
  2. 上のルールに従って課税退職所得金額を算出します。
  3. 税率と源泉控除額を所定の税率表で確認し、源泉徴収税額を計算します。

具体例(簡易)

例:支払金額5,000,000円、退職所得控除額1,500,000円、勤続年数6年の場合
– 課税退職所得金額 = (5,000,000 − 1,500,000) × 1/2 = 1,750,000円
– 税率を仮に10%、控除を0円とすると源泉徴収税額 = 1,750,000 × 0.10 = 175,000円

税率や控除額は税率表によって決まりますので、実際の計算では必ず最新の表で確認してください。

退職所得控除額の計算

基本ルール

退職所得控除額は勤続年数に応じて次のように計算します。

  • 勤続年数が20年以下:40万円 × 勤続年数(ただし、計算結果が80万円未満の場合は80万円)
  • 勤続年数が20年超:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

勤続年数の扱い

勤続年数に1年未満の端数がある場合は切り上げます。たとえば、10年2か月なら勤続年数は11年として計算します。

計算の具体例

  • 勤続年数5年:40万円 × 5年 = 200万円(最低80万円の条件は満たすため200万円)
  • 勤続年数1年:40万円 × 1年 = 40万円 → 最低額により80万円
  • 勤続年数20年:40万円 × 20年 = 800万円
  • 勤続年数25年:800万円 + 70万円 × (25 − 20) = 800万円 + 350万円 = 1,150万円

注意点

退職所得控除額は退職金の課税対象部分を求める際に用います。控除額が退職金を上回る場合は課税対象額が0になることがあります。勤務期間の算定や端数処理は、制度上の扱いが厳密なので、不明点は会社の総務や税理士に確認してください。

企業側の義務と源泉徴収票の交付要件

交付の義務

企業は居住者に対して国内で退職手当等を支払うとき、退職所得の源泉徴収票を作成し交付する義務があります。源泉徴収で税を差し引いた場合は、必ずその内容を記載して交付します。例:退職金を支払って源泉徴収した場合、支払額や控除額、源泉徴収税額を明示します。

例外(少人数の家事使用人)

常時2人以下の家事使用人のみへ給与を支払う場合は、源泉徴収および源泉徴収票の交付が不要です。小規模な家庭内の給料支払いが該当します。

作成枚数と提出先

通常は2枚作成します。1枚は税務署(所轄の税務署へ提出)、もう1枚は退職者に交付します。企業は記録を保存し、再発行が必要なときに対応できるようにします。

実務上の注意点

・記載ミスがあると税務手続きで手戻りが生じます。金額や氏名、支払日を正確に記入してください。
・再発行の手順を社内で定め、退職者から請求があれば速やかに対応しましょう。
・外注や派遣など複雑な支払い形態があるときは、支払い主体と負担の所在を明確にして作成してください。

従業員側での源泉徴収票の利用と必要性

概要

退職所得の源泉徴収票は、退職金に対して源泉徴収された税額や支払金額を証明する重要な書類です。退職後の確定申告や税務相談で必ず求められるため、受け取ったら大切に保管してください。

主な利用場面と具体例

  • 確定申告:他の所得(給与・年金・事業所得など)がある場合、退職金を合算して正しい税額を計算します。例:年金と退職金があるとき、合算して申告する必要があります。
  • 控除申請:退職所得控除の適用を受ける際、源泉徴収票の金額が計算の根拠になります。
  • 複数企業からの退職手当:前職と現職の両方から退職金を受け取った場合、それぞれの源泉徴収票が必要です。

受け取りと保管の注意点

前職の源泉徴収票は年末調整に含まれず本人に返却されます。受け取ったらコピーを保管し、紛失した場合は発行元(旧勤務先)に再発行を依頼してください。電子データで受け取れる場合はバックアップを取ると安心です。

税務申告時のポイント

退職所得は計算方法が特殊で、源泉徴収だけで税額が確定しないことがあります。退職後に他の収入がある場合は、税務署や税理士に相談して正確に申告してください。書類の提示で還付が受けられることもあります。

源泉徴収票の発行タイミングと手続き上の注意点

発行期限

企業は退職日から1か月以内に退職所得の源泉徴収票を退職者に交付する義務があります。例えば、3月31日に退職した場合は4月30日までに交付します。退職手当の金額はその時点で確定している必要があります。

発行までの具体的な手順

  1. 金額の確定:退職金額・控除・調整額を最終決定します。2. 内部確認:経理や総務で計算と書類内容を確認します。3. 書類作成:源泉徴収票を正しく記入します。4. 交付:退職者へ手渡し、郵送、または同意のもとで電子交付します。

交付方法と保管

手渡しや簡易書留など確実に届く方法をおすすめします。電子交付は退職者の同意とセキュリティ対策が必要です。企業側は交付した書類を税務調査等に備えて一定期間保管してください。

よくある注意点(具体例)

・退職金の一部が後日に確定するケース:金額が確定するまで交付を待つ。・日付や氏名の誤り:交付前に再確認する。・控除の計上漏れ:計算根拠を残す。

遅延した場合の扱い

交付が遅れると退職者が税務手続きで不便を被る可能性があります。遅延が判明したら速やかに連絡し、必要があれば訂正した源泉徴収票を再交付してください。

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