はじめに
本ドキュメントは、退職届をメールで送付する際の正しい書き方、構成、注意点、そして実際に使える例文を分かりやすくまとめたガイドです。メールでのやり取りは記録として残りやすく、誤解を避けるためにも書き方が重要です。本書を読めば、状況に応じた適切な表現やマナーが身に付きます。
目的
- 退職届・退職願をメールで送る際の基本ルールを理解していただくこと
- すぐに使える例文や状況別の書き方を提供すること
対象読者
- 初めてメールで退職届を出す方
- 社内のルールやマナーに不安がある方
- 文章を簡潔で丁寧にまとめたい方
本書の構成
第1章 はじめに
第2章 メール送付の基本認識
第3章 送付前の重要なステップ
第4章 退職届メールの5つの重要ポイント
第5章 基本的な例文
第6章 本文に記載する場合の形式
第7章 特殊な状況別の例文
読み方のポイント
- まず就業規則や雇用契約を確認してください
- 可能なら口頭で上司に報告してからメールを送ると誤解が少なくなります
- 送付後は送信記録と添付ファイルを保存してください
この章では本書の目的と構成を把握していただき、次章以降で具体的な書き方や例文に進んでください。
退職届・退職願をメールで送付することの基本認識
位置づけ
退職届や退職願をメールで送ることは、現代の職場で一般的に受け入れられています。特に遠隔勤務や出社が難しい場合、やむを得ない手段として有効です。ただし本来は対面で伝えるべき重要な意思表示です。
どんな場合に許容されるか
・上司と対面できない急な事情があるとき
・海外出張や長期出張で帰社が困難なとき
・体調不良や介護などで面談が難しいとき
こうした場合、まず口頭での意思表明を試み、それが難しいときにメールを送ります。
メールは面談の代替ではない
メールは正式な通知や証拠になりますが、信頼関係の維持や引き継ぎ調整は対面や電話で補うべきです。したがって可能な限り事前に上司へ連絡を取り、メール送付の了承を得ると安心です。
証拠とリスク管理
メールは送信記録が残るため、提出日の証明になります。一方で感情や細かな意図が伝わりにくいため、文面は簡潔で礼儀正しく作成してください。
最後に
メール送付は便利な手段ですが、礼儀と配慮を忘れないことが大切です。次章で準備すべき具体的なステップを説明します。
メール送付前の重要なステップ
退職の意思を伝える際は、まず上司に面談を申し込むことをおすすめします。いきなり退職届を送るより誠実な印象を与え、上司も心の準備ができます。
なぜ面談を先にするか
- 誠実さを示せる:対面で話す意思が伝わり、印象がよくなります。
- トラブルを避けられる:誤解や確認事項をその場で解決できます。
- 退職日や引継ぎの調整がスムーズになります。
面談申し込みメールの構成
- 件名:簡潔に目的を伝えます。例:「面談のお願い(氏名)」
- 宛名:上司の役職と氏名を正確に書きます。
- 挨拶:短く丁寧に始めます。例:「いつもお世話になっております。」
- 本文:要点をわかりやすく書きます。構成は以下が基本です。
- 面談希望の旨:短く目的を伝える(詳細は面談で話す旨を記載)
- 希望日時:2〜3候補を提示し、所要時間の目安(15〜30分)を入れる
- 場所または方法:対面かオンラインか希望を示す
- 結び:調整への感謝と署名
書き方の注意点
- 本文で退職理由を詳述しないでください。面談で直接伝えます。
- 退職届は面談後に提出するのが望ましいです。
- 丁寧な言葉遣いを保ち、簡潔にまとめます。
例文(短め)
件名:面談のお願い(山田太郎)
いつもお世話になっております。山田太郎です。退職に関してご相談したく、短時間の面談をお願いできますでしょうか。下記でご都合の良い日時をお知らせいただけますと幸いです。
・6月10日(火)14:00〜16:00
・6月11日(水)10:00〜12:00
所要は約20分を想定しております。対面かオンラインのご希望があればお知らせください。お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
山田太郎
内線:1234
第4章: 退職届メールの5つの重要ポイント
1 件名は短く明確に
- 件名で要件が分かるようにします。例:「退職届の送付(○○ ○○)」「退職のご報告(○○部 ○○)」。
2 宛先と敬称は正確に
- 上司や人事の名前を正しく書き、敬称は「様」や役職名を付けます。複数人に送る場合は宛先ごとに敬称を付けます。
3 退職日と最終出勤日の明記
- 退職日(雇用契約上の終了日)と最終出勤日を明確に記載します。例:「退職日:2025年6月30日(最終出勤日:2025年6月27日)」。引継ぎ予定や有休消化の状況も触れておくと親切です。
4 退職理由の記載(必要に応じて)
- 理由は簡潔かつ前向きに。私事都合なら「一身上の都合」、キャリア理由なら「自己都合により」などで十分です。詳述は不要で、感情的な内容や批判は避けます。
5 感謝の気持ちの表現
-
在職中の感謝を一言入れます。例:「これまでご指導いただき、誠にありがとうございました」。今後の引継ぎや手続きについての協力をお願いする文も添えます。
-
付記:添付書類の有無、回答期限や確認のお願い(例:受領確認の依頼)を忘れずに記載してください。
基本的な退職届メール例文
以下にシンプルな例文を紹介します。状況に合わせて言葉を調整してください。
件名例
退職のご連絡
短い例(基本)
○○部長
お疲れ様です。○○課の山田太郎です。私事で恐縮ですが、○年○月○日をもって退職させていただきたいと考えております。一身上の都合による退職です。ご迷惑をおかけしますが、引継ぎは責任を持って行います。ご確認のほどよろしくお願いいたします。
山田太郎
連絡先:090-xxxx-xxxx
理由を添える例(任意)
○○部長
いつもお世話になっております。○○課の山田太郎です。このたび家族の事情のため、○年○月○日付で退職させていただきたくご連絡申し上げます。短い間にお手数をおかけしますが、引継ぎ資料を作成し対応いたします。ご指示があればお知らせください。
山田太郎
添付・注意点
退職届(添付)を付ける場合は本文でその旨を明記してください。正式な手続きは就業規則に従い、人事にも別途報告します。
退職願・退職届を本文に記載する場合の形式
概要
メール本文に正式な退職願・退職届を記載する場合は、件名・宛名・挨拶文の後に「退職届(または退職願)」の書式をそのまま記します。本文のみで完結するため、必要事項は漏れなくわかりやすく記載します。
件名・宛名・挨拶
件名は「退職届(氏名)」や「退職のご連絡(氏名)」と簡潔にします。宛名は会社名と代表者名、または人事ご担当者様を明記します。挨拶は「お世話になっております。○○部の山田太郎です。」と続け、退職の旨を伝えます。
退職届の書式(本文に記載する項目)
- 日付(提出日)
- 会社名・代表者名(例:○○株式会社 代表取締役 山田一郎 様)
- タイトル(退職届/退職願)
- 退職理由(簡潔に)
- 退職希望日(具体的に)
- 所属部署・役職
- 氏名(署名または電子署名)
例文(本文内の形式)
2025年1月31日
○○株式会社 代表取締役 山田一郎 様
退職届
私事で恐縮ですが、一身上の都合により、2025年3月31日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。
所属:営業部 課長
氏名:山田太郎(署名)
備考
署名が必要な場合はPDFで捺印した書類を添付します。上司へCCを入れると連絡がスムーズです。受領確認を依頼する一文を忘れないでください。
特殊な状況別の例文
1) 休職中からの退職を伝える例
休職中に退職を決めた場合は、まず感謝と現状説明を簡潔に伝えます。引継ぎや手続きについても触れると親切です。
件名:退職のご報告(休職中の○○)
本文:
いつもお世話になっております。○○(氏名)です。休職中の身ではございますが、私事の都合により退職を希望いたします。お世話になった皆様へ感謝申し上げます。現在の業務は□□まで完了しており、引継ぎ資料は添付しております。手続きや期日についてご指示いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。
2) 出社できないための退職申し出例(通院や育児等)
出社不可の事情を簡潔に伝え、連絡手段や今後の対応を示します。
件名:退職の申し出(在宅治療のため)
本文:
お世話になっております。○○です。治療の継続により出社が難しい状況となり、退職を希望いたします。業務はリスト化して共有済みです。メールや電話での対応は可能ですので、引継ぎ方法をご指示ください。よろしくお願いいたします。
3) 緊急で早期退職を申し出る例(事情により期間短縮)
やむを得ない事情で退職時期を早める場合は、理由を簡潔に述べ、協力可能な範囲を明記します。
件名:退職日変更のお願い(○月○日退職希望)
本文:
お世話になっております。○○です。私事により急遽○月○日での退職を希望しております。準備期間が短くご迷惑をおかけしますが、引継ぎ資料作成と必要な説明は対応いたします。ご相談のうえ調整いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。


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