過去分の源泉徴収票取得で知っておくべき重要ポイント

目次

はじめに

目的

本章の目的は、本レポートが「源泉徴収票 過去分」について何を扱うかを分かりやすく示すことです。源泉徴収票がいつ、なぜ必要になるのか、そして過去分をどのように管理・取得すればよいかを順序立てて解説します。

概要

源泉徴収票は給与・賞与などにかかる税金の計算結果を示す重要な書類です。本レポートでは基本の説明に加え、過去分の保存期間や再発行の可否(一般に過去7年分まで対応するケースが多いこと)、再発行の手順、注意点を詳しく扱います。特に転職時や確定申告、還付を受ける場面で過去分が役立つ例を挙げて解説します。

本書の読み方

各章は実務で役立つ順序で並べています。まずは源泉徴収票の基本を理解し、その後に保存期間や取得方法、還付・転職時の扱い、最後に実際の見方を学べます。必要な場面ですぐ参照できるよう、具体例と注意点を多く含めてまとめました。

源泉徴収票の基本概要

はじめに

源泉徴収票は、1年間に受け取った給与やボーナス、退職金などと、それに対して会社が差し引いた所得税の額をまとめた書類です。会社が従業員ごとに作成し、年末調整後や退職時に交付します。

主な記載項目

  • 支払金額:年間の総支給額(給与・賞与など)
  • 所得税の源泉徴収額:会社が差し引いた税金の合計
  • 社会保険料や控除の金額:扶養控除などの情報
  • 会社名・従業員名・支払期間

いつ、誰が発行するか

通常は雇用主(会社)が作成して従業員に渡します。年末調整を行った後、翌年の1月末までに発行されるのが一般的です。退職者には退職時に発行されます。

用途とポイント(具体例)

  • 確定申告:医療費控除や住宅ローン控除などで添付します。
  • 転職や年金手続き:収入証明として使えます。
  • 住宅ローン申請:収入証明の一つとして提出します。

記載は税と支払いの実績を明確に示すため重要です。紛失しないよう大切に保管してください。

過去分の源泉徴収票の保存期間と再発行の可能性

保存期間の基礎

源泉徴収簿(源泉徴収票を作る元となる帳簿)は法令で7年間の保存が義務付けられています。企業は原則として過去7年分の帳簿を保管しているため、その範囲であれば源泉徴収票の再発行を依頼できます。

再発行できる期間

一般には過去7年分まで再発行が可能です。具体例として、2025年現在であれば2018年以降の分について会社に請求できます。依頼した年を誤って伝えても、そのまま処理されることがあるため、請求時は年を再確認してください。

再発行依頼の流れと注意点

・まず勤務先の総務・人事部に電話やメールで依頼します。必要情報(氏名、在籍期間、対象年度)を用意してください。
・本人確認書類の提示を求められることがあります。対応は会社ごとに異なりますが、手数料は掛からない場合が多いです。
・誤った年度を伝えると別の年の書類が届くことがあるため、依頼前に手元の記録と照らし合わせて確認してください。

再発行が難しいケースと代替手段

・保存期限を超えた場合や会社が解散・消滅した場合、再発行は難しくなります。そうした時は税務署や市区町村に相談し、住民税の課税証明など別の証明書で代替できないか確認しましょう。

過去分の源泉徴収票が必要となるケース

1)年末調整で転職があった場合

転職した年は、前職と現職の給与を合算して年末調整を行います。前職の源泉徴収票がないと正しい合算ができず、税額がずれて不利益を受ける可能性があります。会社が年末調整をするためにも必須です。

2)確定申告をする場合

年末調整で前職分が間に合わない、または医療費控除などで自分で申告する場合、前職の源泉徴収票が必要です。提出書類として税務署に提出することで、正しい所得と納税の確認ができます。

3)各種手続きや証明が必要な場合

住宅ローン審査、貸与申請、ビザの収入証明など、公的・私的な手続きで過去の所得証明を求められることがあります。源泉徴収票は信頼性の高い証明書となります。

4)失業給付や年金の手続き

失業手当や年金の計算で過去の給与が必要な場合、源泉徴収票が役に立ちます。退職や給付申請の際に用意しておくと手続きがスムーズです。

※具体例を持って会社や窓口に相談すると、どの期間分が必要か分かりやすくなります。

過去分の源泉徴収票の取得方法と注意点

交付時期と受け取り方

所得税法では給与支払者が退職日から1か月以内に源泉徴収票を交付する義務があります。多くの会社は最終出勤日ではなく、退職後に郵送で送ります。年末調整に間に合わない場合は、担当者に負担をかけないよう自分で受け取りに行くか、返信用封筒(切手貼付・宛名記入)を送ると早く確実です。

再発行の依頼方法

人事・給与担当へ連絡し、以下を用意して依頼します。書面やメールで依頼すると記録が残り安心です。
– 氏名、退職日、在籍期間
– 返送先住所(返信用封筒)
– 本人確認書類のコピー(運転免許証等)
一般に手数料はかかりません。事業者は原則として再発行に応じますが、本人確認のため時間を要することがあります。

受け取り時の注意点

受け取ったら支払金額や源泉徴収税額、支払者名などに誤りがないか確認してください。転居している場合は旧住所に届いていないかも確認し、見つからないときは早めに再発行を依頼します。重要書類なのでコピーを取って保管してください。

交付されない場合の対処

会社が応じない場合はまず理由を確認し、改善を求めます。どうしても交付されないときは所轄の税務署に相談すると手続きの助言が受けられます。会社倒産など特殊な事情がある場合は、給与明細や銀行振込記録で所得を証明する方法もあります。

過去分の還付金受け取りについて

還付を受けられる期間

過去の還付を受けたい場合は、原則として確定申告を5年以内に行う必要があります。起算点は通常、確定申告の提出期限の翌日から数えます。具体例:例えば2022年分の申告期限が2023年3月15日なら、その翌日から5年以内に手続きをします。

源泉徴収票の対象期間

源泉徴収票は1月から12月までの給与や所得に対する証明書です。還付を求める年がどの暦年に該当するかを確認してください。年単位での計算になります。

申告手続きの流れ(簡単に)

  1. 対象年の源泉徴収票や控除証明(生命保険料、医療費、寄附金の領収書など)を準備します。
  2. 確定申告書を作成します(税務署の窓口、書面、またはe-Tax)。
  3. 税務署に提出し、還付金は指定した口座へ振り込まれます。

注意点

  • 5年を過ぎると原則として還付を受けられません。
  • 書類に不備があると処理が遅れます。控除証明は原本または指定の写しを用意してください。
  • e-Taxで申告すると処理が早くなることが多いです。

分からない点は税務署に相談すると手続きの方法や必要書類を教えてくれます。

転職時における前職の源泉徴収票の提出について

概要

転職の際、前職の源泉徴収票は前職での給与や納税状況を確認する資料です。個人が新しい勤務先に必ず提出する法的義務はありません。ただし、年末調整や正しい所得把握のために提出を求められることがあります。

提出が必要となる主なケース

  • 同一年内に複数社から給与を受け取る場合:新しい勤務先で年末調整を受ける際、すべての源泉徴収票を提出して合計所得を示す必要があります。具体例:1月〜6月A社、7月〜12月B社に勤務した場合はA社の源泉徴収票をB社に提出します。
  • 年の途中で退職し、同じ年内に再就職した場合は原則提出が必要です。

提出が不要なケース

  • 12月31日より前に退職し、翌年(1月以降)に転職した場合:前年分の納税は前職で完了しているので、新しい勤務先に提出する必要はありません。例:前年11月に退職、翌年2月に入社した場合は提出不要です。

提出できない場合の対処

前職から再発行してもらえないときは、年末調整で対応できない分を自分で確定申告(還付申告含む)して税金の精算を行います。

注意点

  • 早めに前職に源泉徴収票の発行を依頼してください。
  • 個人情報が含まれるので扱いに注意し、コピーを保管すると安心です。

源泉徴収票の見方

概要

源泉徴収票は1年間の給与と賞与に関する重要な書類です。主に「支払金額」と「源泉徴収税額」が確認ポイントで、年明けに年末調整後の金額で発行されます。

主な項目と見方

  • 支払金額:1年間に支払われた給与・賞与の合計(非課税の通勤手当は除く)。例:支払金額 4,800,000円。
  • 源泉徴収税額:1年間に差し引かれた所得税の合計。例:源泉徴収税額 180,000円。
  • 社会保険料の金額・控除欄:健康保険や年金の負担分や各種控除が記載されます。課税対象は支払金額からこれらを差し引いた金額です。
  • 扶養親族等の数:扶養している家族の人数。扶養の有無で税額が変わります。

具体例での確認方法

例として支払金額4,800,000円、社会保険料控除600,000円、その他控除200,000円のとき、課税対象の目安は4,000,000円前後になります(細かい計算は別途)。源泉徴収税額が大きく違う場合は、控除の漏れや計算ミスの可能性があります。

見つけたときの対処

名前や金額に誤りがあれば、まず勤務先の総務・給与担当に確認してください。説明がつかない場合は税務署に相談すると具体的な案内を受けられます。源泉徴収票は確定申告や転職時に必要ですから、大切に保管してください。

ポイントまとめ(覚えておくこと)

  • 支払金額と源泉徴収税額をまず確認する。
  • 控除欄や扶養の人数も必ず見る。
  • 誤りがあれば勤務先に問い合わせる。

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