はじめに
目的
この章では、本ドキュメント全体の目的と扱う範囲を分かりやすく示します。離職票の種類や役割、発行手続き、関連書類との違いを整理し、退職者や人事担当者が適切に手続きを進められるようにします。
この文書で得られること
- 離職票がなぜ必要かを理解できます
- 離職票-1と離職票-2の違いがわかります
- 発行の流れや必要な手続きを把握できます
想定読者
退職後に失業保険を受けたい方、人事や総務担当者、支援機関の職員を想定しています。専門用語は極力避け、具体例で補足します。
読み方の案内
各章は順に読むことをおすすめします。第2章で基本を押さえ、第3章以降で書類ごとの詳細や手続きの流れを確認してください。
離職票とは?基本概念
離職票の定義
離職票は、雇用保険に加入していた従業員が退職したことを証明する公的書類です。失業手当(基本手当)を受ける際に、ハローワークに提出する必須書類になります。
誰が発行するか
事業主(会社)が作成して交付します。会社が雇用保険に加入している場合、退職者に対して発行する義務があります。例えば、自己都合で辞めた場合や会社都合で解雇された場合でも発行されます。
何のために使うか
離職日や雇用期間、保険加入歴などが記載され、受給資格や給付日数、支給開始日を判断するために使います。ハローワークはこの情報を基に給付の可否と金額を決定します。
書類に書かれる主な項目(例)
- 離職日
- 雇用期間(入社日・退職日)
- 退職理由(会社都合・自己都合)
- 賃金や被保険者期間の情報
受け取りと提出の流れ(簡単)
会社が離職票を作成して退職者へ郵送または手渡しします。受け取ったら速やかにハローワークへ持参し、失業給付の手続きを行ってください。遅れると給付に時間がかかる場合があります。
具体例
例えば、5年働いて自己都合で退職したAさんは、会社から離職票を受け取りハローワークで手続きします。離職票に基づき、給付日数や待期期間が決まります。
離職票の2つの種類
概要
離職票には「雇用保険被保険者離職票-1(以下、離職票-1)」と「雇用保険被保険者離職票-2(以下、離職票-2)」の2種類があります。両方が揃って初めて失業保険の申請ができます。
離職票-1(カード型)の特徴
- 資格喪失の確認を行うカード形式の書類です。\
- 退職者の名前や生年月日、住所、連絡先などの基本情報が記載されます。\
- 事務手続きの際に本人確認書類の代わりに使う場面もあります。
例:氏名や住所が間違っていると手続きが遅れることがあるので、届いたらまず確認します。
離職票-2(書類型)の特徴
- 退職理由や賃金の支払状況、最終出勤日などの詳細が記載された書類です。\
- 退職理由(自己都合か会社都合か)や直近の賃金で、給付開始時期や給付日数・金額が決まります。
例:会社都合退職なら待期や給付日数で有利になる場合があり、離職票-2の記載が重要です。
両者の役割と注意点
- 離職票-1は「資格喪失の証明」、離職票-2は「給付に関する判断材料」と考えると分かりやすいです。\
- どちらか一方でも欠けると申請ができないため、退職後は早めに事業主に発行を依頼してください。\
- 記載内容に不備があれば事業主やハローワークへ問い合わせましょう。
(この章ではまとめは設けません)
離職票-1(雇用保険被保険者離職票-1 資格喪失確認通知書)の詳細
概要
離職票-1はカード形式の書類で、雇用保険の資格喪失を確認するための基本情報が記載されます。被保険者番号、資格取得年月日、離職年月日、氏名・年齢・性別・生年月日、事業所名・所在地などが含まれます。主に退職者がハローワークに提出する際の基礎資料として使います。
記載事項の見方(具体例付き)
- 被保険者番号:雇用保険の登録番号。窓口提出で本人確認に使います。
- 氏名・生年月日・性別:本人確認と給付判定に必要です。例)山田太郎/1980年1月1日
- 資格取得・喪失年月日:雇用保険の加入期間の確認に使います。
- 事業所情報:勤務先名や住所。連絡が必要なときに参照されます。
主な用途
- 失業給付の申請に必要な基本情報を提供します。
- 給付の振込先指定や受給資格の判断に使います。
受け取り後の手続き
まず記載内容を確認してください。誤りがあれば勤務先に訂正を依頼します。内容が正しければハローワークへ提出し、案内に従って給付手続きを進めます。
よくある疑問と対処法
- 記載ミスがあった場合:勤務先に訂正してもらうか、ハローワークで相談してください。
- 受け取れない場合:離職理由や手続き状況によって対応が異なるため、まず勤務先とハローワークに確認します。
離職票-2(雇用保険被保険者離職票-2)の詳細
概要
離職票-2は、離職理由や退職前の賃金支払状況などが記載された書類です。ハローワークで失業給付を受ける際に重要な証明となります。会社が作成し、本人に交付する形式です。
主な記載項目
- 離職理由(番号と説明)
- 最終出勤日・離職日
- 直近の賃金支払い状況(賃金総額や支払期間)
- 被保険者番号や事業所情報
離職理由の分類と影響
離職理由は20のパターンで分類されます。大きくは会社都合(解雇、倒産、事業縮小など)と自己都合(退職願、契約満了による退職など)に分かれます。離職理由は失業保険の給付開始時期や給付日数に直結します。例:会社都合なら給付が早く始まりやすく、自己都合は給付制限(待期期間)がかかることがあります。
本人控えとしての役割
離職票-2は、被保険者離職証明書の本人控えとして機能します。雇用保険の手続きで自分の記録を確認するために重要です。
内容に誤りがあった場合
まず会社に確認し、訂正を依頼してください。会社で対応しない場合や連絡がつかない場合はハローワークに相談すると手続きのサポートを受けられます。必要書類や証拠を準備しておくとスムーズです。
離職票-1と離職票-2の比較
主な違い
- 形式:離職票-1はカードタイプ(通知書風)、離職票-2は書式の用紙です。
- 作成者:離職票-1は主にハローワークが発行、離職票-2は事業主が作成します。
記載内容と役割
- 離職票-1:資格取得年月日・離職年月日・資格喪失の通知・振込先指定欄などがあり、ハローワーク側の手続きに必要です。例)給付開始の確認や振込先の指定に使います。
- 離職票-2:離職理由や賃金の支払状況(直近の賃金や賞与の有無)を詳しく記載します。事業主の事情説明として、給付要件の判断材料になります。
両者の関係と申請時の扱い
- 内容は重複しません。離職票-1は「通知・受給に関する基本情報」、離職票-2は「離職の理由や賃金の証明」です。両方そろうことで失業保険の審査がスムーズになります。
実務上の注意点(チェックポイント)
- 受け取ったら記載内容(氏名・離職日・振込先など)を必ず確認してください。
- 事業主が離職票-2を作成しない場合はハローワークで対応方法を相談しましょう。
- 訂正が必要なときは早めに事業主またはハローワークへ連絡してください。
離職票の発行手続きの流れ
概要
離職票の発行は大きく3段階で進みます。ここでは事業主・ハローワーク・被保険者それぞれの役割と注意点を分かりやすく説明します。
第1段階:事業主が離職証明書を作成
事業主は「離職証明書」に具体的な離職理由や在籍期間、賃金の情報を記載します。例:自己都合退職、会社都合退職など。記入ミスや理由の不明瞭さがあると手続きが遅れますので、正確に記入してください。
第2段階:ハローワークへ提出
事業主は離職証明書と「資格喪失届」など必要書類をハローワークに提出します。雇用保険被保険者証や本人確認書類の添付が必要になることがあります。提出後、書類に不備があればハローワークから連絡が来ます。
第3段階:ハローワークが離職票を交付
ハローワークは提出書類を確認し、離職票-1・離職票-2を作成して交付します。通常は数日から2週間程度で交付されますが、混雑状況で前後します。交付後、事業主または本人に届きます。
注意点・よくある間違い
- 離職理由のあいまいな記載
- 必要書類の不添付
- 事業主の提出遅延
これらは給付手続きの遅れにつながります。
手続きがスムーズになるポイント
- 事業主は作成前に雇用履歴を確認する
- 被保険者は住所や氏名の変更を事前に通知する
- 書類の写しを双方で保管する
以上を守ると、発行が速くなり安心して手続きを進められます。
離職票と関連書類の違い
以下では、離職票とそれに関連する主な書類の違いを、できるだけ分かりやすく説明します。
離職票
- 目的:退職者が失業保険(雇用保険の基本手当)を申請するための書類です。
- 誰が使うか:退職した本人がハローワークに提出します。
- 備考:ハローワークが発行する書類で、支給手続きの際に必要です。
離職証明書(雇用保険被保険者離職証明書)
- 目的:事業主が離職の事実と離職理由などをハローワークへ届け出るための書類です。
- 誰が作るか:事業主(会社)が記入して提出します。一般に3枚複写の書式です。
- 備考:これをもとにハローワークが離職票を作成します。
退職証明書
- 目的:退職者の在職期間や退職理由などを証明するための書面です。
- 誰が発行するか:事業主が退職者の求めに応じて発行します。
- 利用例:転職先や各種手続きで在籍期間の確認が必要な場合に使います。
主な違い(簡潔)
- 発行者:離職票はハローワーク、離職証明書と退職証明書は事業主。
- 目的:離職票=失業保険申請、離職証明書=ハローワークへの届け出、退職証明書=在職や退職理由の証明。
- 提出先・利用者:離職票は退職者がハローワークへ提出、離職証明書は事業主がハローワークへ提出、退職証明書は退職者が第三者へ提出します。
万が一、離職票が届かないなど問題があれば、まず事業主に確認し、それでも解決しなければ最寄りのハローワークに相談してください。


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