はじめに
目的
本報告書は「源泉徴収票 役所」というキーワードに関する調査結果を分かりやすくまとめたものです。源泉徴収票の基本的な意味、役所（市区町村）への提出の要否とその目的、日常でよくある使いみちを丁寧に解説します。
対象読者
- 会社員や派遣社員、アルバイトの方
- 給与を支払う事業者や人事担当者
- 公的年金を受け取る方
- 市区町村の手続きを行う方
本報告書の使い方
専門的な言葉はできるだけ簡単な表現に置き換え、具体例を添えて説明します。たとえば「転居時の提出」「年末調整や確定申告での利用」など、実際に直面しやすい場面を取り上げます。
本書の構成
第2章から第7章で順に詳しく解説します。第2章は源泉徴収票の定義、第3章は役所への提出、第4章は用途と重要性、第5章は給与支払報告書との違い、第6章は税額の計算方法、第7章は公的年金に関する扱いです。
注意事項
本報告書は一般的な解説を目的とします。個別の手続きや税務判断が必要な場合は、役所や税務署、税理士にご相談ください。
源泉徴収票とは
1. 源泉徴収票の役割
源泉徴収票は、会社が従業員に1年間に支払った給与や賞与、退職金などと、それに対して差し引いた所得税の額を証明する書類です。税金や年末調整、各種手続きで必要になります。たとえば確定申告や住宅ローン申請の際に提出します。
2. 主な記載項目
- 支払金額（総支給額）: 1年分の給与や賞与の合計
- 源泉徴収税額: 会社が天引きして納めた所得税
- 各種控除額: 社会保険料、扶養控除など
- 支払者・受給者の情報: 会社名や従業員の氏名・マイナンバー等（必要に応じて）
3. 部数と配布先
原則として従業員1人につき4部作成されます。従業員用、税務署提出用、市区町村用（給与支払報告書として2部）です。会社が分配し、従業員は自分用を保管します。
4. 受け取り時のチェックポイント
氏名や住所、支払金額、源泉徴収税額が正しいか確認してください。誤りがあれば早めに人事・経理に連絡して訂正してもらいましょう。
5. よくある誤解と注意点
年末調整で税金が還付された場合も、源泉徴収票の記載は変わります。紛失すると手続きが面倒になるため、大切に保管してください。
役所（市区町村）への提出について
提出先の役割の違い
源泉徴収票と給与支払報告書は、それぞれ提出先と目的が異なります。源泉徴収票は主に所得税の確認のために税務署へ提出します。一方、給与支払報告書は住民税の算定に使うため、従業員の住所地を管轄する市区町村へ提出します。
どの書類をどこへ出すか
- 源泉徴収票：所得税の証明として税務署へ提出します。該当する従業員分を用意します。
- 給与支払報告書：市区町村に提出して住民税の計算に使ってもらいます。従業員の住所に基づいて、各市区町村ごとにまとめて送ります。
提出が必要となる主なケース
給与等の支払額が一定額を超える従業員については、源泉徴収票を税務署と従業員の住む市区町村の両方に提出する必要が出ることがあります。具体例として、法人役員や専門職などの報酬については、税務署へ提出することが多くあります。該当するかどうかは、給与体系や支払いの種類で変わりますので、該当する従業員ごとに確認してください。
実務上の流れと注意点
- 書類作成：従業員ごとに源泉徴収票と給与支払報告書を作成します。書類は正確な氏名・住所・支払額を記載してください。
- 提出先の振り分け：所得税関係は税務署、住民税関係は従業員の市区町村へ送ります。提出先を間違えないように注意してください。
- 従業員への交付：従業員本人にも源泉徴収票を渡します。市区町村へは給与支払報告書をまとめて提出します。
実際の提出要否や詳しい基準は個別に異なりますので、社内の経理担当や税理士、市区町村の窓口で確認してください。
源泉徴収票の用途と重要性
概要
源泉徴収票は、個人の年間の給与や支払金額、源泉徴収された所得税などを記載した公的な証明書です。会社は所得税法第226条に基づき年度末に作成し、従業員に交付する義務があります。したがって大切に保管してください。
主な用途（具体例でわかりやすく）
- 年末調整・転職時の手続き：転職した年は前の勤務先の源泉徴収票が年末調整や退職金の計算に必要です。例：前職の給与を合算して正しい税額を算出します。
- 確定申告：医療費控除や副業収入がある場合、確定申告で源泉徴収票を添付し収入を証明します。
- 住宅ローン審査：金融機関は年収の裏付けとして源泉徴収票を求めます。給与明細より確実な証明になります。
- 保育園・福祉・助成の申請：保育料や給付金の算定に用います。具体的には保育料の負担割合を決めるために提出を求められます。
なぜ重要か
源泉徴収票は税と社会保障の根拠となる書類です。記載に誤りがあると税負担や給付に影響します。金額や控除の欄を必ず確認し、間違いがあれば勤務先に訂正を依頼してください。
保管と紛失時の対処
原本は確定申告や各種手続きで必要になります。紛失した場合は勤務先に再発行を求めましょう。勤務先が対応できないときは税務署や市区町村窓口に相談してください。
チェックポイント（簡単な確認リスト）
- 支払金額（年間）
- 源泉徴収税額
- 社会保険料や控除の記載
- 複数勤務がある場合の合算の必要性
これらを確認することで、税務手続きや各種申請がスムーズになります。
源泉徴収票と給与支払報告書の違い
目的の違い
源泉徴収票は所得税の計算や納付を示す公式な証明書で、従業員へ交付します。一方、給与支払報告書は住民税の算出に用いる行政向けの報告書で、市区町村に提出します。
提出先と交付先
源泉徴収票は税務署（および従業員）に関係します。給与支払報告書は従業員の住所地の市区町村役場に提出します。
記載内容の違い（例）
- 源泉徴収票：支払金額、社会保険料や各種控除、源泉徴収税額など。従業員が確定申告や年末調整で使います。
- 給与支払報告書：給与の総額や従業員の氏名・住所、給与支払者の情報など。住民税の課税に使います。
提出の流れと実務上の注意
年明けにまとめて作成・提出するのが一般的です。雇用者は両方を揃えて提出・交付しますが、用途が異なるため記載内容や提出先を間違えないように注意してください。電子申請に対応する場合もあります。
源泉徴収税額の計算
給与の場合
給与の源泉徴収税額は、まず「給与所得控除」を差し引いて給与所得を求めます。そこから、社会保険料や基礎控除、扶養控除などの所得控除や、住宅借入金等特別控除を差し引き、課税所得を算出します。課税所得に税率をかけて年税額を出し、通常は月割りして毎月の源泉徴収額を決めます。源泉徴収は概算ですので、年末調整や確定申告で精算されます。最小の徴収額は0円です。\
退職金の場合
退職金は給与と計算方法が異なります。退職金から「退職所得控除」を差し引き、一般にはその差額の1/2を「課税退職所得金額」として扱います（例外規定あり）。その金額に税率を適用し、必要な控除を差し引いて源泉徴収税額を算出します。退職所得控除は勤続年数に応じて大きくなります。\
勤続年数・役員による違い
勤続年数が長いほど退職所得控除は大きくなります。役員や短期間の勤務では控除や計算方法に制限が生じる場合がありますので、その場合は給与計算担当者や税務署に確認してください。\
具体例（概算）
- 給与：年収480万円→給与所得控除後が約300万円、所得控除が100万円だとすると課税所得は200万円。税率10％で年税額20万円、月あたり約1万6千円。\
- 退職金：受取1000万円、退職所得控除が500万円だとすると（1000−500）÷2＝250万円が課税退職所得。税率20％で税額50万円（概算）。\
注意点
源泉徴収は概算であり、年末調整や確定申告で過不足を調整します。税率や控除の細かい金額は個々の状況で変わりますので、不明な点は給与担当者や税理士、税務署にご相談ください。
公的年金等の源泉徴収票
概要
公的年金等の源泉徴収票は、日本年金機構や共済組合などが年金受給者へ発行する書類です。1年間に受け取った年金総額、差し引かれた所得税（源泉徴収税額）、社会保険料の額などが記載されています。
主な記載項目と意味
- 支払金額：その年に受け取った年金の総額です。
- 源泉徴収税額：年金から天引きされた所得税の合計額です。
- 社会保険料等の金額：年金から差し引かれた健康保険料や介護保険料などです。
- 支払者の情報：年金を支払う機関の名称や所在地が記載されます。
受け取りと保管のポイント
- 毎年1月ごろに送付されます。内容を受け取ったらまず金額を確認してください。誤りがあれば発行元へ連絡します。2. 確定申告を行う場合に必要です。年金以外の所得があると申告が必要になります。3. 書類は紛失しないように保管してください。税務上の保存期間としては原則5年を目安にしてください。
確定申告との関係
年金のみで源泉徴収されている場合は申告不要となることが多いです。ただし、医療費控除や配偶者控除を受けたい、他に収入があるなどの理由で申告が必要になることがあります。その際は源泉徴収票を添付または提示して手続きを進めます。
再発行や問い合わせ
紛失や記載ミスがあれば、日本年金機構や該当する共済組合へ連絡して再発行を依頼してください。手続き方法や必要書類は支払者により異なります。
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