はじめに
この章では、本記事の目的と読み方をやさしく説明します。離職票について詳しく知りたい人へ、必要な情報を順序立てて分かりやすく伝えることを目標にしています。
- なぜ離職票が重要か
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失業保険の申請で必ず求められる書類の一つです。例えば会社を辞めて失業給付を受けたい場合、離職票が手続きの基礎になります。
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誰に向けた記事か
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転職を考えている人、退職予定の人、または人事担当者にも役立ちます。専門用語は最小限に抑え、具体例で補います。
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本記事の流れ(全8章)
- はじめに(本章)
- 離職票とは何か
- 離職票が必要な理由と使用場面
- 離職票が必要なケース
- 離職票が不要なケース
- 企業の法的義務
- 離職票と転職先企業の関係
- 離職票の保管期間
以降の章で具体的な手続きや注意点をやさしく解説します。まずは全体像をつかんでください。
離職票とは何か
定義
離職票は正式には「雇用保険被保険者離職票」といい、雇用保険に加入していた人が退職したときに必要となる公的書類です。失業保険の手続きなどに使うため、退職後に重要な証明になります。
種類と主な記載項目
離職票には「離職票-1」と「離職票-2」の2種類があります。両方とも雇用保険の給付に必要で、記載内容は次の通りです。
– 雇用保険の加入期間や被保険者番号
– 退職理由(自己都合・会社都合など)
– 賃金や勤務状況
具体例:退職理由が「自己都合」か「会社都合」かで、受けられる給付の扱いが変わる場合があります。
発行者と受け取り方
通常、事業主(会社)が作成・交付します。退職後に会社から本人へ渡され、同時にハローワークでの給付手続きに使われます。受け取ったらまず内容を確認してください。
確認と注意点
記載ミスや退職理由の相違は給付に影響します。間違いがあれば会社に訂正を依頼し、必要ならハローワークにも相談してください。離職票は再発行や訂正に時間がかかることがあるため、受け取ったら早めに確認すると安心です。
離職票が必要な理由と使用場面
なぜ離職票が必要か
離職票は、退職した事実と退職理由を公的に確認する書類です。もっとも大きな目的は失業保険(基本手当)の受給手続きに使うことです。ハローワークは離職票をもとに受給資格や金額を判断しますので、提出が欠かせません。
いつ、どこで使うか
- ハローワークで失業給付を申請するとき:離職票がないと申請が進みません。本人確認書類や雇用保険被保険者証と一緒に持参します。
- 育児休業給付など別の公的給付の手続き:状況によって離職票が必要になる場合があります。申請窓口で確認してください。
転職後の早期退職が予想される場合
転職先を早期に辞める可能性があるときは特に重要です。過去の離職票で離職理由が確認できれば、次の受給手続きがスムーズになります。離職理由の記載内容が給付の可否に影響することがあります。
実務上のポイントと注意点
- 離職票は原本を保存してください。ハローワークに提出後も控えが必要になる場合があります。
- 発行が遅れる場合は、在職していた会社に早めに問い合わせてください。
具体例
- 会社を退職して失業保険を申請する場合:離職票を持参してハローワークで手続きをします。
- 転職後に短期間で退職した場合:前職の離職票が次の受給申請で役立ちます。
離職票が必要なケース
概要
離職票は、退職後に雇用保険の手続きをするための重要な書類です。会社が作成して交付しますが、本人の申し出がないと送付されないことがあります。
必須となる代表的なケース
- 失業給付(失業手当)を受ける場合
- ハローワークで給付を受ける際に必須です。手続きに離職票の原本が必要になります。
- 59歳以上で退職した場合
- 事業主は必ず交付する義務があります。年齢により取り扱いが異なります。
- 雇用保険に加入していた労働者が退職した場合
- 雇用保険の資格喪失や給付手続きのために必要です。
請求と受け取りのポイント
- 自ら請求しないと会社が送らない場合があります。退職時や退職後すぐに確認してください。
- 再発行が可能かは会社の対応や状況によります。早めに相談しましょう。
具体例
- Aさん:会社都合で解雇され、失業手当を申請するため離職票が必須。
- Bさん:定年退職で59歳以上のため、会社は必ず離職票を交付する。
受け取らない場合の影響
- 失業給付が受けられない、手続きが遅れるなど不利益があります。必ず確認して受け取りましょう。
離職票が不要なケース
概要
転職先がすでに決まっている場合や、当面働く予定がない場合、失業手当を受け取るつもりがない場合は、原則として離職票は不要です。本章では具体例と、後から必要になったときの対応方法をやさしく説明します。
離職票が不要な主なケース
- 転職先が決まっていて、退職後すぐに新しい職場で働き始める場合
例:3月末で退職し、4月1日に別の会社で就業開始する場合 - 当面働く予定がなく、失業給付を申請しない場合
例:家事や育児、留学などでしばらく働かない場合 - 会社都合や自己都合に関わらず、失業手当の受給意思がない場合
転職先を早期退職した場合の対応
転職後に早期退職し、離職票が必要になったときは、前の勤務先に発行を依頼できます。手順の例:
1. 前職の総務・人事に連絡し、離職票の発行を依頼する
2. 離職日や退職理由を伝える(必要書類があれば提出)
3. 発行後はハローワークで手続きを行う
注意点
- 会社側の手続きに時間がかかることがあります。余裕を持って依頼してください。
- 発行を断られた場合は、まず会社に理由を確認し、それでも解決しないときはハローワークなどの公的機関に相談してください。
企業の法的義務
法的な位置づけ
会社は、労働者が希望すれば離職票を交付する義務があります。これは雇用保険に関する手続きであり、離職票は被保険者が失業給付を受けるために必要です。発行手続きを怠ると従業員の権利が侵害されるおそれがあります。
発行の手続き(簡潔な流れ)
- 退職者からの請求の確認
- 離職票(離職票-1・離職票-2)の作成と必要事項の記入
- 離職日の翌日から10日以内にハローワークへ送付/電子申請
- ハローワークでの処理後、従業員へ交付
期限と罰則
期限を守らないと、ハローワークや労働基準監督署からの行政指導や過料といった措置がとられる可能性があります。また、離職票が遅れることで従業員の失業給付開始が遅延し、会社とのトラブルに発展することがあります。
実務上の注意点
- 離職理由や支払済み賃金を正確に記載する
- 申請の控えや発送記録を保管する
- 事情で期限内に手続きできない場合は速やかに従業員とハローワークに連絡する
具体例
例:解雇処分で退職したAさん。会社が離職票を誤記載し給付が遅れたため、Aさんと会社間で紛争になった。正確な記載と早めの手続きが重要です。
離職票と転職先企業の関係
概要
離職票は前職を退職したことを証明する書類です。転職先企業が入社時に離職票の提出を求めることは原則ありません。転職先が決まっている場合は、慌てて発行を急ぐ必要は少ないです。
転職先が離職票を求めるケース
通常は求めませんが、まれに企業が勤続年数や社会保険の状況を確認したい場合に参考資料として求めることがあります。例えば、同じ業界での在職期間を正確に把握したいケースなどです。
発行を急ぐ必要がある場合
失業給付を受ける予定があるときは速やかに受け取る必要があります。転職先が理由で急ぐ必要は基本的にありません。なお、退職後に健康保険や年金の手続きを行う際は、離職票に記載された退職日や加入期間が役立ちます。
会社への伝え方と注意点
転職先に離職票が必要か確認する際は、採用担当にメールや電話で端的に尋ねてください。個人情報の扱いに配慮して、必要な範囲の書類提出に留めましょう。
具体例
例1:Aさんは内定後に前職の離職票を提出せず入社しました。問題は起きませんでした。例2:Bさんは失業給付を申請するために早めに離職票を受け取りました。こちらは必要な手続きでした。
離職票の保管期間
保管期間の目安
離職票は、転職先に入社してから1年経過するまでは大切に保管してください。転職後も過去の雇用に関する確認や、万が一失業保険を請求する必要が出た場合に使います。一般的には1年を過ぎれば破棄して差し支えありません。
紛失した場合の対処
紛失に気づいたら、まず前職の人事担当者に連絡して写しがないか確認してください。写しがなければ、最寄りのハローワークに相談すると対応方法を案内してくれます。早めに相談することで手続きの遅れを防げます。
保管方法の注意点
紙のまま封筒やファイルに入れて保管してください。スキャンしてパスワード付きのファイルで保存すると紛失リスクを減らせます。ただし、個人情報を含むため第三者に見られないよう注意してください。
期限後の廃棄について
入社から1年を過ぎたら、不要であればシュレッダーにかけるなど適切に処分してかまいません。個人情報が含まれるため、そのままゴミに出さないようにしてください。


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