退職日を月末にした際の社会保険料の重要ポイント解説

目次

はじめに

本書は、退職日を「月末」にする場合と「月中」にする場合で、社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)の個人負担と会社負担がどのように変わるかを分かりやすく解説します。

目的

退職日によって資格喪失日や給与からの保険料控除のタイミングが変わります。これらの違いを理解すると、実際の手取り額や会社負担の見通しを立てやすくなります。本書はその判断材料を提供します。

対象の方

転職や退職を検討している会社員、総務・人事担当者、家計管理を考える方に向けています。専門用語は最小限にし、具体例を交えて解説します。

本書の構成(予告)

第2章〜第9章で、基本ルール、月末・月中退職時の取り扱い、会社負担、入社当月退職の特殊ケース、具体例、退職日の選び方による経済的影響、そして最後にパターン別の比較表を示します。

まずは基礎知識を押さして、退職日を決める際の判断材料を増やしていきましょう。

社会保険料の基本ルール

概要

社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金)は、退職日によって給与から控除される時期や範囲が変わります。重要なポイントは資格喪失日の扱いです。

資格喪失日と保険料の期間

資格喪失日は「退職日の翌日」です。保険料の徴収は、資格喪失日が属する月の前月分まで行われます。つまり、資格を失う月の前月までが保険料負担の対象です。

給与からの控除タイミング

一般に会社は当月の給与から前月分の保険料を控除して国に納めます。たとえば、資格喪失日が7月1日なら、6月分までの保険料が徴収対象となり、その6月分は通常7月の給与で控除されます。

保険料の計算の基本

保険料は従業員の標準報酬月額に保険料率を掛けて算出します。介護保険は40〜64歳が対象です。会社と従業員で折半して負担しますが、控除は給与から従業員分を差し引く形で行います。

注意点(次章へつなぐ)

月末退職や月中退職で扱いが異なります。次章以降で具体例と手続きの違いを説明します。

月末に退職した場合の社会保険料

概要

月末(例:5月31日)に退職すると、資格喪失日は原則として翌月1日(この例では6月1日)になります。資格喪失日の属する月の前月分までが保険料の対象となるため、4月分と5月分の2ヶ月分の社会保険料が生じます。

資格喪失日と対象期間

  • 資格喪失日:退職日の翌日(例:6月1日)
  • 対象となる保険料:資格喪失月(6月)の前月まで→4月分と5月分

給与支払いのタイミング別・控除の扱い

  • 月末締め・当月20日払いの場合
  • 通常は翌月支払い分の給与から退職月の保険料を控除します(例:5月分の保険料を6月20日に支払う給与から控除)。
  • ただし、翌月に支払う給与がない(退職で支給がない)場合は、退職月に支払う給与から2ヶ月分を控除することになります。

  • その他の支払いスケジュールでも考え方は同じです。支払日がいつかで、どの給与から保険料を差し引くかが変わります。

具体例

  • 5月31日退職/給与は月末締め・当月20日払いで、6月に給与支給がある場合:
  • 4月分は通常通り給与から控除、5月分は6月支給の給与から控除。
  • 6月に給与支給がない場合:
  • 最終支給となる5月の給与から4月分と5月分の2ヶ月分を差し引く。

注意点

  • 会社の就業規則や給与計算の運用で扱いが異なることがあります。具体的な控除方法は在籍している会社の総務・人事に確認してください。

月中に退職した場合の社会保険料

基本の考え方

月の途中(例:5月15日)に退職しても、社会保険の資格喪失日は原則として月末(5月31日)になります。したがって、退職月の社会保険料は発生せず、前月分までの負担で済みます。

日付の違いによる影響

月末の1日前(例:5月30日)に退職した場合でも、資格喪失日が同じ月末になるため、社会保険料の負担に違いは生じません。つまり、月中でも月末近くでも負担は同じです。

会社側の手続きと注意点

会社は通常、退職手続きで月末を資格喪失日として処理しますが、健康保険組合や事務処理のタイミングで扱いが異なる場合があります。給与の締め日や賞与の扱い、退職金に関する影響は別途確認が必要です。具体的な取り扱いは人事・総務に確認してください。

具体例

・5月15日退職 → 資格喪失日5月31日 → 5月の社会保険料は発生しない(前月分まで負担)
・5月30日退職 → 同上

ただし、個別の事情や特別な規定がある場合は例外になることがあります。会社に確認することをおすすめします。

会社側の負担について

概要

会社は通常、健康保険や厚生年金の保険料を従業員と折半します。ただし、資格喪失月(退職日の翌日が属する月)については会社負担が発生しない扱いになります。

会社の負担の基本

毎月の保険料は会社負担分と従業員負担分に分かれます。通常は半分ずつですが、資格を失うタイミングによって会社が負担するかどうかが変わります。

月末に退職した場合

退職日がその月の最終日であるときは、退職月の保険料について会社が半額を負担する扱いになります。たとえば月の保険料総額が3万円なら、会社15,000円、従業員15,000円となります。

月中に退職した場合

退職日が月末以外の場合は、退職月の保険料は全額従業員負担になります。上の例なら従業員が3万円全額を負担します。

手続きと注意点

最終の給与明細で保険料の按分を確認してください。会社によっては独自の取り扱いや福利厚生として会社負担分を肩代わりする場合もあります。したがって、退職手続き時に人事へ必ず確認してください。

入社当月に退職した場合の特殊ケース

基本の考え方

入社日が社会保険の「資格取得日」となります。つまり、入社した月の分から保険料が発生します。月の途中で入社・退職を繰り返しても、日数に応じて減る扱いにはなりません。

日数が短くても1か月分必要な理由

たとえば4月3日に入社し4月5日に退職した場合、出勤は2日間でも4月の保険料を納めます。これは制度上、資格を得た月はその月全体が対象になるためです。

会社側の手続きと給与の扱い

会社は入社時に資格取得の手続きを行い、退職時に資格喪失の手続きをします。保険料(従業員負担分)は通常、最後の給与や退職金から差し引かれます。差し引きが難しい場合は会社と相談してください。

実務上の注意点

  • 最終の給与明細で保険料がどう扱われているか確認してください。
  • 短期で入社・退職する場合も、手続きは必ず行われます。
  • 不明点や戻し(過払いなど)の可能性は人事に早めに相談してください。

実例による具体的な理解

事例の前提

9月30日に退職したとします。資格喪失日は10月1日となり、9月分の社会保険料が発生します。ここから給与の締め・支払パターン別に具体的に見ていきます。

① 20日締・当月末日払いのケース

この場合、9月分は9月20日締めで9月末に支払いますが、実務上は翌月分の支払(10日分程度の給与)が発生する会社があります。つまり、10月に支払う給与に対しても賃金支払義務が残るため、会社は翌月の給与から退職月分の保険料を控除できます。手続き上は、9月の保険料は発生しますが、控除タイミングは翌月の支払時になることがある点に注意してください。

② 月末締・当月20日払いのケース

この場合は、退職月の翌月以降に支払う給与が通常発生しません。したがって、会社は退職月に支払う給与(最終給与)から、退職月分とその後に遡って必要となる保険料をまとめて控除する対応を取ることがあります。具体的には、2か月分相当の保険料を最終給与で精算するケースが多いです。

実務上の確認ポイント

  • 最終給与の支払日と控除項目を給与明細で確認してください。
  • 会社の就業規則や給与規程に保険料の控除方法が定められているか確認します。
  • 不明な点は人事・総務に問い合わせると誤解を防げます。

退職日選択による経済的影響と転職時の考慮

退職日の経済的影響

退職日を月末にすると、給与から社会保険料が2か月分差し引かれるケースがあり、手取りが減る可能性があります。反対に月末の1日前に退職すれば当月分の保険料負担を避けられ、手取りが増えるメリットがあります。会社の締め日や保険の資格喪失日の扱いにより差が出ます。

転職時に確認すべきポイント

  • 次の勤務先で社会保険にいつ加入するかを確認します。加入開始が早ければ空白期間の負担が減ります。
  • 再就職まで期間が空く場合は、資格喪失日のタイミングを考慮して退職日を調整します。
  • 任意継続(前の健康保険)や国民健康保険切替の費用も見積もります。

具体例

例:給料が月末に支給され、保険料が給与天引きの場合。月末退職だと当月の保険料も差し引かれ、翌月に資格喪失すれば追加の調整が発生します。月末の1日前退職で当月の天引きを避けられることがあります。

決め方のコツ

  • 給与明細と会社の締め日を確認します。
  • 次の職場の加入開始日を早めに聞きます。
  • 空白期間がある場合、任意継続や国保の費用を比較します。

以上を比べて、手取りと保険負担のバランスで退職日を戦略的に決めてください。

退職日のパターン別社会保険料負担のまとめ表

以下は、退職日のパターンごとに「資格喪失日」「社会保険料の実際の負担」「特徴(例)」をわかりやすくまとめた表です。

退職日パターン 資格喪失日 社会保険料の負担 特徴(例)
月末(例:5月31日) 翌月1日(例:6月1日) 前月分+退職月分(合計2か月分)が給与から徴収される 給与から2か月分の保険料が差し引かれるため手取りが減少します。
月中(例:5月15日) 月末(例:5月31日) 前月分のみ(1か月分) 退職月の保険料は徴収されないため、その月は手取りが増える傾向です。
月末の1日前(例:5月30日) 月末(例:5月31日) 前月分のみ(1か月分) 月中退職と同じ扱いになります。手取りは比較的有利です。

注意点:
– 社会保険料は給与から控除されます。ここでの「負担」は主に従業員の給与天引きを指します。
– 会社の負担(事業主負担分)は別に計上されるため、会社側の扱いは第5章を参照してください。
– 実際の額は標準報酬月額や加入状況によって変わります。具体的な金額は会社の総務や年金事務所に確認してください。

退職の悩み、Yameriiにお任せください

もう無理しなくて大丈夫。
Yameriiがあなたの退職を全力サポート!


✅ 最短即日退職
✅ 会社とのやり取りゼロ
✅ 追加料金なしの明朗会計

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次