はじめに
目的
このドキュメントは、源泉徴収票を会社に提出する際の疑問や手続きを分かりやすく解説するために作成しました。初めて転職する方や年末調整で迷っている方でも手順がわかるように書いています。
対象読者
- 転職や退職を経験する予定の方
- 年末調整で提出書類に不安がある方
- 会社からの源泉徴収票の受け取り方を知りたい方
本書で扱う内容
本書では次の点を順に説明します。源泉徴収票の基本的な役割、転職時や年末調整での提出方法、会社から受け取るタイミング、発行されない場合の対応、税務署への提出、記載内容の読み方などです。具体例を交えて丁寧に案内します。
読み方のポイント
各章は実務で役立つ手順と注意点を中心にまとめています。難しい専門用語は極力避け、具体例を示します。必要に応じて、すぐ確認できるよう項目ごとに読み返してください。
源泉徴収票とは何か
概要
源泉徴収票は、会社が従業員に支払った1年間の給与と、そこから差し引かれた所得税（源泉徴収税額）をまとめた書類です。給与の支払記録を基に、法定様式に必要事項を記載して作成します。
誰が発行するか・いつ受け取るか
会社（給与を支払う事業者）が発行します。年末調整後や退職時に交付されることが多く、税務手続きや証明書類として使います。
主な記載項目（わかりやすく）
- 支払金額：その年に受け取った総支給額。
- 給与所得控除後の金額：給与から控除した後の課税対象額の目安。
- 所得控除の額の合計：社会保険料や扶養控除などの合計。
- 源泉徴収税額：会社が差し引いて国に納めた所得税の合計。
例：年収500万円で源泉徴収税額が20万円というように、税務申告やローン申請の際に使います。
使い道と注意点
確定申告や転職先への提出、ローンの収入証明などに必要です。記載内容に誤りがあれば、会社に確認して修正してもらいましょう。原本は大切に保管してください。
転職時の源泉徴収票の提出について
提出が必要な理由
転職するときは、前の職場で発行された源泉徴収票（退職時にもらう書類）を、原則として転職先の会社に提出します。転職先はその書類を使って年末調整を行い、1年間の給与から過不足の税額を正しく計算します。
いつ、どのように出すか
- 退職時にもらった源泉徴収票をそのまま提出します。コピーではなく原本を求められることが多いです。
- 入社時や年末調整の案内が来たときに提出してください。会社から提出期限が示される場合があります。
提出できない・年をまたぐ場合の対応
- 提出が間に合わない、あるいは年をまたいで転職した場合は、自分で確定申告を行えば税金の精算ができます。
- 例えば、6月に退職して7月に入社した場合は、前職の分を転職先に出せば年末調整で処理できます。12月に退職して翌年1月に入社した場合は、その年分の年末調整が転職先でできないことがあり、確定申告が必要になることがあります。
会社が源泉徴収票を発行しない場合
発行を求めれば原則として会社は交付します。再発行を依頼しても応じない場合は、税務署に相談してください。税務署から会社へ発行を促す方法もあります。
日常の手続きとしては、退職時の源泉徴収票を大切に保管し、転職先の指示に従って速やかに提出するのが最も確実です。
年末調整と源泉徴収票の関係
年末調整とは
年末調整は企業が従業員の1年間の給与と源泉徴収した税金を基に税額を確定し、過不足を精算する手続きです。基準日は12月31日で、会社が給与情報や保険料控除の申告書を集めて処理します。
源泉徴収票の役割
源泉徴収票は、その年に支払った給与や源泉徴収税額、社会保険料の控除額などを記載した重要な書類です。年末調整での清算結果が反映され、確定申告や転職時の手続きを行う際に不可欠です。例：副業で確定申告する場合、本業の源泉徴収票があると正確に申告できます。
発行・提出の期限と実務ポイント
確定申告の期間は翌年の2月16日から3月15日までです。源泉徴収票は会社が翌年1月31日までに交付する義務がありますが、早めに発行・受け取ることを勧めます。自分で確定申告する場合、会社に源泉徴収票の提出は不要ですが、申告書作成には会社発行の源泉徴収票が必要です。
受け取りや紛失時の対応
年明けになっても届かない場合は、人事や総務に早めに問い合わせてください。転職や退職で複数の源泉徴収票があるときは、合算して申告します。
会社から源泉徴収票を受け取る場面
発行される主なタイミング
会社が源泉徴収票を発行するのは主に次の3つです。
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年末調整後：毎年の年末調整が終わると、給与所得者に対して翌年初め頃に交付されます。会社が年末調整を行った従業員は必ず受け取ります。
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退職時：退職した場合、原則として退職後1か月以内に発行されます。転職先での手続きや確定申告に必要なため迅速に受け取ると安心です。
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従業員からの発行依頼時：ローン申請や保育園利用など収入証明が必要なときは、会社に発行を依頼できます。依頼書やメールで氏名、在籍期間、必要枚数、希望する受け取り方法を伝えるとスムーズです。
実務上のポイント
依頼する場合は、総務・人事に理由と期限を明確に伝えてください。コピーやスキャンしたデータが必要ならその旨を合わせて伝えます。受け取りが遅れる場合は、まず会社の担当者に確認しましょう。保管は大切ですので、原本は紛失しないように封筒やファイルで保管し、デジタル保存もしておくと便利です。
源泉徴収票が発行されない場合の対応
概要
源泉徴収票は会社が交付する義務があります。もし発行されないときは、従業員が税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出して相談できます。税務署は届出を受理すると会社に交付を指導します。
まず確認すること
- 発行時期：通常は年末や退職時に交付されます。会社にいつ発行するか確認してください。
- 受取方法：紙か電子かを確認してください。メールで受け取れる場合もあります。
届出書の提出と準備書類
- 必要書類：届出書のほか、本人確認書類（運転免許証など）と給与の証拠（給与明細、通帳の振込記録、雇用契約書）を用意します。
- 提出先：最寄りの税務署に持参または郵送します。届出書は国税庁の窓口で入手できます。
税務署の対応とその後
税務署は会社に交付を促します。会社が応じない場合、行政指導や交付命令が出ることがあります。指導後も未交付なら、税務署に再相談してください。
実務上の注意点
- 証拠を保存：届出前後とも証拠を捨てないでください。
- 期限意識：確定申告が必要な場合、源泉徴収票がないと手続きが遅れます。届出は早めに行ってください。
税務署への提出について
概要
会社は毎年、法定調書の提出で税務署へ源泉徴収票を提出します。法定調書とは税務署に報告するための書類で、源泉徴収票はその一部です。全従業員に交付する一方で、税務署への提出は要件に該当する従業員分だけで済む場合があります。
提出義務と対象
給与や賞与の支払に伴い源泉税が発生する従業員が主な対象です。短期のアルバイトや支払額が少ない場合でも、要件に該当すれば提出します。どの従業員を提出対象とするかは、支払金額や源泉徴収税額で判断します。
提出期限と提出物
通常、法定調書の提出期限は毎年1月末です。提出する書類には源泉徴収票のほか、法定調書合計表などがあります。期限を守り、漏れがないように集計と確認を行ってください。
提出方法と実務の流れ
提出方法は紙と電子の両方があります。多くの企業は電子申告を用いますが、小規模事業者は紙で提出することも可能です。実務では、年末調整の結果をまとめ、源泉徴収票を作成・交付し、法定調書とともに税務署へ提出します。
注意点
市区町村へは別に給与支払報告書などを提出する必要がある場合があります。提出漏れや金額の誤りは税務上の手続きに影響しますので、給与データの二重チェックと保存を心がけてください。疑問があるときは税務署や税理士に確認してください。
源泉徴収票の記載内容
支払金額（年収総額）
支払金額は、その年に会社が支払った給与や賞与の総額です。交通費や各種手当も含まれます。たとえば月給30万円で賞与が年2回各50万円なら、支払金額は420万円です。
給与所得控除後の金額
給与から給与所得控除を差し引いた金額です。控除は給与に応じた一定額で、実際の課税対象となる金額の目安になります。
所得控除（主な項目）
社会保険料控除、基礎控除、配偶者控除、扶養控除などが記載されます。具体例を挙げると、社会保険料を年間で払った金額はそのまま控除欄に反映されます。
源泉徴収税額
会社が給与から天引きして国に納めた税金の合計です。確定申告や年末調整で精算します。
配偶者・扶養親族の有無
配偶者や扶養家族の人数が記載されます。扶養の有無で控除額が変わりますから、市町村への申告内容と合っているか確認してください。
マイナンバー・法人番号
税務署提出用には従業員のマイナンバーまたは法人なら法人番号を記入します。個人情報ですので取り扱いに注意が必要です。
その他の記載事項
支払者の名称・所在地、支払者整理番号、発行日などが載ります。転職時や確定申告時に必要になるので、大切に保管してください。
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