はじめに
背景
この調査は、離職票の発行方法に関する疑問を解消するためにまとめました。仕事をやめたときに必要となる離職票は、失業保険の申請や手続きで重要な書類です。手続き方法が変わることもあるため、正しい流れと必要書類を把握しておくとスムーズに進められます。
本書の目的
本書は離職票の基本から発行手続き、窓口と電子申請の違い、電子申請の具体的な手順、マイナポータルでの交付、再発行までをわかりやすく解説します。初めて手続きをする方でも迷わないよう、具体例を交えて丁寧に説明します。
対象読者
離職票の入手を予定している方、事業主として従業員の離職票手続きを行う方、行政手続きに不安のある方に向けた内容です。専門知識がなくても理解できる表現を心がけています。
本書の構成
全9章で構成します。第2章以降で離職票の詳細、手続きの流れ、申請方法ごとの手順、再発行の方法、注意点を順に解説します。必要書類や提出方法の具体例も提示します。
離職票とは
概要
離職票はハローワーク(公共職業安定所)が雇用保険法に基づき交付する公式な書類です。退職した方が失業給付(基本手当)を受ける際に必ず提出します。企業(事業主)が作成してハローワークを通じて交付されます。
2種類の離職票
- 離職票-1:事業主が作成する雇用保険関係の事実を記載した書類。手続きの基礎になります。
- 離職票-2:受給手続きで本人が提出する主要な書類。離職理由や被保険者期間などが記載されます。
何のために使うか
失業給付の受給資格や給付日数を確定するために使います。申請時に離職票-2などを提出すると、ハローワークが審査して給付が決まります。
離職票に書かれる主な内容
- 離職日と離職理由
- 被保険者期間(在職期間)
- 賃金や給付に関する情報
受け取る際の注意点
受け取りが遅れると給付開始が遅れます。内容に誤りがあれば、まず事業主に確認して訂正を依頼してください。手続きの不明点は最寄りのハローワークに相談すると丁寧に案内してくれます。
離職票発行までの基本的な流れ
1. 退職者の希望確認
まず会社は退職した人の希望を確認します。離職票が必要か、いつまでに欲しいかを本人に尋ねます。必要なら交付方法(郵送など)や連絡先を確かめます。
2. 必要書類の準備と確認
会社は以下の書類を準備します。
– 雇用保険被保険者資格喪失届
– 離職証明書(離職理由や最終給与の記載)
– 賃金台帳・出勤簿・給与明細など、給与や出勤状況を確認できる資料
これらの書類で、退職日・賃金・出勤日数を正確に記載します。
3. ハローワークへの提出
準備した書類を、退職日の翌々日から10日以内にハローワークへ提出します。提出は会社が行います。書類に不備があると差し戻されるため、提出前に確認を徹底してください。
4. ハローワークでの処理と交付
ハローワークは提出書類をもとに審査し、離職票を作成します。審査に数日から数週間かかることがあります。作成後、ハローワークから退職者へ離職票が交付(郵送)されます。会社から直接手渡す場合は、事前に退職者と調整してください。
離職票申請の2つの方法
離職票の申請には、窓口申請(紙申請)と電子申請の2種類があります。ここではそれぞれの流れ、準備物、利点と注意点を分かりやすく説明します。
1) 窓口申請(紙申請)
- 流れ: ハローワークの窓口へ必要書類を持参して提出します。開庁時間内に手続きを行います。
- 準備物: 離職票(事業主が発行する書類)、本人確認書類(運転免許証など)、雇用保険被保険者番号が分かる書類
- 利点: 担当者と直接やり取りでき、疑問点をその場で確認できます。
- 注意点: 窓口の混雑や開庁時間の制約があります。事前に必要書類を確認すると手続きがスムーズです。
2) 電子申請(オンライン)
- 流れ: e-Govや労務管理ソフトを通じて、インターネットで申請できます。24時間365日アクセス可能です。
- 準備物: 会社側が対応している場合はGビズIDや電子証明書が必要となることが多いです。事前に担当者に確認してください。
- 利点: 時間や場所に縛られず提出でき、書類のやり取りが減ります。
- 注意点: 電子署名やIDの準備が必要で、初回は手続きに手間がかかる場合があります。
比較と実務上のコツ
- 急ぎで相談したいときは窓口、手続きの手間を減らしたいときは電子申請が向きます。
- どちらでも書類の不備があると処理が遅れるため、事前に確認してから提出してください。
電子申請の詳細なステップ
全体の流れ
電子申請は「資格喪失届の作成」→「離職証明書の作成」→「電子署名の付与と提出」→「離職票のダウンロード・印刷・交付」という順で進みます。以下で順を追って説明します。
1. ログインと準備
事業所の利用者IDやパスワード、必要な本人情報(氏名、生年月日、雇用期間、賃金など)をそろえます。離職者に確認できる資料(給与台帳、雇用契約書など)を準備すると記載ミスを防げます。
2. 資格喪失届の作成
被保険者の資格喪失日や事業所情報を入力します。実務では被保険者番号や雇用開始・終了日を正確に記入することが重要です。
3. 離職証明書の作成
離職理由、最終賃金、通勤手当の有無などを入力します。例えば「会社都合(業務縮小)」や「自己都合(契約満了)」のように具体的に記載します。
4. 電子署名の付与と提出
作成した書類をPDFなどの指定形式で保存し、電子署名を付与します。マイナンバーカードや事業所の電子証明書を使う場合が多いです。署名後、画面の指示に従って送信ボタンを押します。
5. 送信後の確認
送信後に受付番号や確認メールを必ず保存してください。ハローワークの処理状況はログイン画面で確認できます。
6. 離職票のダウンロードと交付
ハローワークで処理が完了すると、離職票をダウンロードして印刷します。離職票-2はA3で発行される場合がありますが、A4サイズで印刷して交付しても問題ありません。印刷後は退職者に直接手渡すか、同意があれば郵送します。
7. よくあるトラブルと対処
・記載ミスや不足で差し戻されることがあります。該当箇所を修正して再提出してください。\n・電子署名でエラーが出る場合は証明書の有効期限やリーダー接続を確認します。\n・ファイル形式エラーはPDFに変換してから再送信します。
最後に、申請履歴や送信した書類は事業所で保管してください。退職者への説明も忘れずに行ってください。
本人確認書類の提出
概要
電子申請で本人署名を省略する場合、申請内容を本人が確認した証拠が必要です。申請者に「確認書」に署名してもらい、その写しをPDFで添付します。ここでは必要書類と作成・提出の手順を分かりやすく説明します。
確認書に記載すべき項目(例)
- 申請者の氏名・生年月日
- 申請の対象(例:離職票の交付申請)
- 申請内容を確認し、間違いがないことの確認文
- 署名(手書き)と署名日
実例:”上記の申請内容を確認し、相違ありません。2025年1月1日 山田 太郎(署名)”
本人確認書類の種類
一般的に使えるもの:運転免許証、マイナンバーカード(顔写真付き)、パスポート、在留カードなど。顔写真や氏名・生年月日が確認できるものを用意してください。
書類の作り方とファイル化のコツ
- 確認書は白紙に手書きで署名するか、PDFフォームに入力して印刷・署名してください。
- 署名は鉛筆ではなくペンで書くと読み取りやすくなります。
- 本人確認書類は表裏を見やすく撮影またはスキャンしてPDFにまとめます。
- 解像度は200~300dpi、カラーで撮影すると読みやすいです。
- ファイル名は分かりやすく:例)”離職票_確認書_山田太郎.pdf”
- システムで上限がある場合があるので、できるだけ5MB以内に収めてください。
提出方法と注意点
- 電子申請画面の添付欄からアップロードします。もし提出方法が異なる場合は、指示に従ってください。
- 署名が得られない場合は、その理由と今後の対応を早めに相談してください。
- 提出後は担当者からの確認連絡を待ち、追加書類の依頼があれば速やかに対応してください。
以上の手順を守ると、電子申請でも本人確認がスムーズに進みます。
新しい交付方法:マイナポータル
概要
2025年1月20日から、事業主が電子申請した離職票を従業員本人のマイナポータルへ直接送付できる仕組みが始まりました。これにより郵送を待つ必要がなく、より速く安全に受け取れます。
利点
- 受け取りが早い:郵送の遅れがなく即時近くに届く場合が多いです。
- 安全性:本人のマイナポータルに直接届くため第三者に渡りにくいです。
- 環境配慮:紙の削減につながります。
受け取りまでの主な流れ
- 事業主が電子申請を行う
- 事業主が送付先をマイナポータルに指定する
- マイナポータルで通知を受け取り、ログインして書類を確認・ダウンロードする
事前に準備するもの
- マイナンバーカード
- マイナポータルの利用登録(事前に済ませておくとスムーズ)
セキュリティと注意点
マイナポータルは本人確認を重視します。ログイン情報は他人と共有しないでください。届いた書類は期限内に確認し、必要なら印刷して保管してください。
トラブル時の対処
通知が届かない場合は、まず事業主に送付状況を確認してください。それでも解決しない場合は市区町村の窓口やハローワークに相談してください。
離職票の再発行手続き
概要
離職票を紛失した場合、退職した本人がハローワークで再発行を申請できます。必要書類は雇用保険被保険者証と印鑑です。郵送での申請にも対応しています。電子申請を利用する場合は、事前に電子証明書の取得が必要です。
ハローワーク窓口での手順
- まず最寄りのハローワークに連絡して必要書類や受付時間を確認します。
- 来所時に雇用保険被保険者証と印鑑を用意し、窓口で再発行を申し出ます。
- 身分確認が必要な場合は本人確認書類(運転免許証など)を求められることがあります。
- 申請書を記入・提出すると、窓口で処理が始まります。場合によっては後日交付となることがあります。
郵送での申請
郵送を希望する場合は、ハローワークに必要書類の写しと申請書、返信用封筒(宛名明記、切手貼付)を送ります。事前に電話で手順を確認すると安心です。
電子申請について
電子申請を選ぶと来所の手間を減らせますが、申請前に電子証明書を取得しておく必要があります。準備が整っていれば、各ハローワークが案内するオンライン手続きに従って申請してください。
必要書類と代理申請
基本的な必要書類は雇用保険被保険者証と印鑑です。本人が来所できない場合は、代理人が手続きできることもありますが、委任状や代理人の本人確認書類が必要となる場合があります。事前にハローワークへ確認してください。
処理期間と注意点
交付までの日数は窓口や申請方法で異なります。急ぐ場合は窓口で相談し、郵送や電子申請を利用する場合は必要書類を正確に揃えて送付してください。紛失したら速やかに手続きを始めることをおすすめします。
重要なポイント
退職にともなう離職票発行で最も大切なのは期限と正確さです。以下の点を意識して手続きを進めてください。
期限を守る
- 提出期限:退職日の翌々日から10日以内にハローワークへ必要書類を提出します。期限を過ぎると失業給付の開始が遅れるなど支障が出る可能性があります。
記載内容の正確性
- 離職理由や賃金支払状況は正確に記入します。曖昧な記載は給付認定で不利になることがあります。
- 具体例として、自己都合退職か会社都合退職か、最終給与の締め日や未払いの有無などを明確にします。
本人との確認を徹底
- 企業は本人に記載内容を確認してもらい、誤りを防ぎます。対面での確認やメールでの承認を残すと安心です。
手続きの選択と準備
- 電子申請は処理が早く、郵送は余裕を持って発送します。どちらでも期限と添付書類(本人確認書類など)を忘れないようにします。
万が一のとき
- 書類に誤りや不足が見つかったら速やかにハローワークへ連絡し、再提出や訂正の方法を確認します。
チェックリスト(簡潔)
- 提出期限を確認/離職理由を正確に記入/賃金情報を明記/本人確認・承認を取得/書類の控えを保存
これらを意識すれば、離職票発行手続きがスムーズに進み、失業給付の受給手続きも円滑になります。


コメント