有休消化で給料が減る理由と正しい賃金計算方法とは?

目次

はじめに

本書の目的

本書は「有休消化と給料の関係」について、法律上の基本、給料が減る場合の理由、具体的な賃金計算方法や実例、休職・退職時の扱いまでを分かりやすくまとめたものです。専門用語をできるだけ減らし、実務で役立つ情報を中心に解説します。

この章で分かること

読者はまず本書の全体像と読み方を把握できます。どの章で何を学べるかを示し、実際の給与明細や勤怠の場面で参考になる視点を提示します。具体例を通じて、自分のケースに当てはめやすくします。

誰に向けているか/使い方

有給取得で給料に不安がある労働者、人事・総務担当、または退職を控えた方に向けています。各章は独立して読むこともできますが、法律や計算方法の基礎は第2〜4章にまとまっています。必要な章だけを参照して実務に活用してください。

有給休暇取得時に給料は減らない—法律で定められた原則

法律の基本

有給休暇は、労働者が取得しても賃金が減らないことが法律で定められています。厚生労働省も「普通に働いた時と同じ金額が支払われる」と明示しています。休暇中は出勤したとみなされ、使用者は賃金を支払う義務があります。

なぜこのルールがあるのか

働いた日と同等の賃金を保障することで、病気や家庭の事情で休む権利を実効あるものにします。病気を理由に休むと生活が成り立たなくなると、休むこと自体が難しくなるためです。

給料が減ったように見える場合

法は「賃金が減らない」と規定しますが、実際の支給額がいつもより少なく感じられることはあります。これは有給そのものが低賃金扱いになるのではなく、給与の内訳(時間外手当・歩合・変動手当など)が休んだ日数に応じて変わるためです。正しい計算方法で算出すると結果的に総支給額が変わることがある、という点が重要です。

労働者の権利と確認ポイント

給料が想定と違う場合は、まず就業規則や給与明細で計算方法を確認してください。会社は賃金の計算方法を明示する義務があり、不明点は会社に説明を求めることができます。また、計算が法令に沿っているか不安な場合は、労働基準監督署や弁護士に相談できます。

給料が減る理由—変動手当のカット

有給休暇を取っても基本給は守られますが、給料が減ると感じる主な理由は変動手当が支給されなくなることです。代表的な変動手当を具体例で説明します。

  • 通勤手当(交通費)
  • 実費精算の場合は、実際に通勤していないため支給されません。毎月定額で支給している会社もありますが、その場合は就業規則や給与規定に従います。

  • 残業手当(時間外手当)

  • 残業代は実際に働いた時間に対して支払われます。有給消化中は残業しないため、残業代は付きません。

  • その他の変動手当(休日出勤手当・深夜手当など)

  • これらも勤務日数・勤務時間に応じて支払われます。有給中は勤務扱いになっても実働が伴わない手当はつきません。

簡単な例:月給20万円+通勤1万円+平均残業代2万円=合計23万円。もし通勤が実費精算で有給中に支給されなければ、実際の受け取りは22万円になります。さらに有給中に残業がないと予想される場合は20万円になり、差額を減ったと感じます。

会社のルールで扱いが異なることがあります。給与明細や就業規則を確認し、詳しくは人事・総務に相談すると安心です。

有給休暇の賃金計算方法—3つの認められた方法

方法①:通常の賃金を支払う(通常賃金)

通常勤務と同じ賃金を支払います。月給制なら「1日分=月給÷所定労働日数」で計算し、時間給なら「時給×休んだ時間」です。例えば月給30万円で所定労働日22日の場合、1日分は約13,636円です。

方法②:平均賃金を支払う(平均賃金)

直近3か月(原則)の総支給額をその期間の日数で割った額を基に、休んだ日数分を支払います。計算式は「平均賃金=3か月の総支給額÷その期間の日数」。例:総支給90万円÷90日=1日1万円。

方法③:標準報酬日額を支払う(標準報酬日額)

社会保険の標準報酬月額を基に算出します。計算式は「標準報酬日額=標準報酬月額÷30」。例えば標準報酬月額28万円なら1日約9,333円です。

注意点:どの方法を使うかは就業規則や労使協定で決めます。いずれかの方法で算出した額を通常賃金とみなして、有給取得時に支払います。各方式で金額が異なるため、就業規則で明確にしておくとトラブルを避けられます。

具体的な計算例—有給消化で給料が減るケース

前提

6月の給料が33万円(基本給27万円+資格手当1万円+残業手当5万円)とします。7月いっぱい有給を使って退職する想定です。有給期間中は基本給と資格手当は支給されますが、残業手当などの変動手当は発生しない扱いになります。

6月の給与内訳(実際に支払われた額)

  • 基本給:270,000円
  • 資格手当:10,000円
  • 残業手当(変動):50,000円
  • 合計:330,000円

7月(有給消化中)の計算例

  • 基本給:270,000円(支給)
  • 資格手当:10,000円(支給)
  • 残業手当:0円(有給中は発生しない)
  • 合計:280,000円

差額は50,000円です。つまり、6月の33万円から7月の28万円へ減少します。

なぜ差が出るのか

残業手当は実際に働いた時間に応じて支給される手当です。有給中は実働が発生しないため、原則支給されません。したがって、変動手当が大きい職種では有給消化で手取りが目に見えて減ることがあります。

確認しておくポイント

  • 就業規則や給与規程で有給中の手当の扱いを確認してください。
  • 会社によっては過去数ヶ月の平均で変動手当を算出する場合があります。疑問があれば総務や人事に問い合わせると安心です。

休職状態から有給を消化する場合

前提

休職中に有給を使って退職する場合でも、原則として有給取得で給料が減ることはありません。会社が通常支払っている賃金をベースに、有給の賃金が計算されます。

賃金の基準

休職が長期間でも、通常は休職前の「通常の給料(平均賃金)」を基準にします。変動手当(残業代・歩合など)がある場合は、会社が用いる計算方法(平均、直近の賃金など)に従います。第4章で挙げた3つの方法がここでも適用されます。

注意点

・休職中に雇用条件が正式に変更された場合は、変更後の賃金が基準になることがあります。
・未払いの手当がある、または無給の休職期間があると実際の支給額に影響することがあります。

手続きの流れ(実務)

  1. 就業規則や雇用契約を確認します。2. 人事・総務に有給消化の意向を伝え、賃金計算方法と支給額の見積りを求めます。3. 計算明細を文書で受け取り、不明点は書面で確認します。

よくある疑問

Q: 休職で給料が下がった状態でも有給は元の額?
A: 原則は休職前の通常賃金が基準です。ただし契約変更や無給期間があれば差が出ます。

必要なら、具体的な給与明細や休職の状況を教えていただければ、より詳しく確認する方法をご案内します。

退職時の有給消化に関するルール

概要

退職するとき、残っている年次有給休暇(有給)は原則として労働者が消化する権利があります。会社はその権利を奪えません。一般的には最終出勤日を退職日より未消化日数分だけ前に設定し、最終出勤日の翌日から退職日までは有給取得中とみなします。

手続きと実務的な流れ

退職の意思を伝える際に有給を消化したい日数を申し出します。会社は就業規則や運用に基づいて調整しますが、原則として有給を使わせる対応を取ります。例えば残有給が10日で退職日が月末なら、最終出勤日をその10日前にすることで残日数を有給扱いにできます。書面やメールで記録を残すと安心です。

未消化有給の買い取りは違法

会社が従業員から未取得の有給を買い取ることは認められていません。賃金で相殺したり、買い取りの同意書を求められても応じないでください。ただし、会社側が誤って有給を消化扱いにしなかった場合は、賃金の支払いを求めることができます。

トラブルが起きたら

会社が有給を認めない、買い取りを強要するなどの問題がある場合は、まず労務担当や就業規則を確認してください。それでも解決しないときは最寄りの労働基準監督署や労働相談窓口に相談しましょう。証拠(退職届、やり取りの記録、給与明細)を用意すると手続きが進みやすくなります。

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