はじめに
本書の目的
本調査結果は、退職届の送り方やマナーをわかりやすくまとめたガイドです。直接手渡しと郵送の両方に対応し、封筒や書き方、添え状の例文まで具体的に解説します。目的は、退職届をスムーズかつ失礼なく提出できるようにすることです。
想定する読者
- 退職を考えている方
- 退職届の提出方法に不安がある方
- 人事担当や管理職で手続きの確認をしたい方
具体例を交えて説明しますので、初めての方でも読みやすい内容です。
本書の構成と使い方
全10章で段階的に解説します。第2章は基本的な送付方法、第3章以降で手渡しや郵送の手順、封筒・書き方の細かいポイント、添え状や記入時の注意点を扱います。必要な章だけを参照しても理解できるように作っています。
利用上の注意
本書は一般的なマナーと手順の解説です。就業規則や労働条件、法的相談が必要な場合は、所属企業の規程や専門家に確認してください。
退職届の基本的な送付方法
概要
退職届の送付方法は大きく分けて「直接手渡し」と「郵送」の二つです。基本的には直属の上司に直接提出することが望ましいです。しかし、病気やケガなど正当な理由がある場合は郵送でも差し支えありません。
直接手渡し
- 事前に面談の時間を取るか、退職の意思を伝えてから書面を渡します。急に渡すより配慮が伝わります。
- 個室や人目の少ない場所で、簡潔に退職の理由と最終出勤日を伝えてから提出します。
- 受領の確認(上司の受取印や署名、口頭での了承)を必ず行い、控えを自分で保管します。
郵送
- 病気や遠隔での勤務など直接渡せない場合に用います。事前に電話やメールで通知すると安心です。
- 添え状や連絡先を同封し、日付を書いた退職届本体のコピーを手元に残します。
- 配達記録や書留を利用して、届いた証拠を残すと後のトラブルを防げます。
共通の注意点
- 退職日や手続きについて就業規則や労働契約書を確認してください。
- 受領の確認は必ず取り、郵送の場合は届いたかどうかを電話やメールで確認しましょう。
直接手渡しする場合のマナー
概要
退職届を直接手渡しする方法は、相手に誠意を示しやすく信頼関係を保ちやすい方法です。あらかじめ時間を取り、落ち着いて話せる場所で伝える点が重要です。
事前準備
- 上司に面談の時間を依頼する:「お時間をいただけますか。ご相談したいことがあります。」と短く伝える。具体的な理由は伏せておくと配慮になります。
- 書類を用意する:退職届の原本と控え(同じ内容のコピー)を用意し、封筒に入れておきます。
- 身だしなみ:ビジネスにふさわしい服装で臨みます。
手渡しの流れ(例)
- 面談の冒頭で簡潔に伝える:「本日は退職の意思をお伝えしたく参りました。」
- 退職届を両手で差し出す。軽く一礼して言葉を添える:「退職届です。よろしくお願いいたします。」
- 長い説明は控え、口頭で簡潔に理由や退職希望日を述べる。詳細は後日詰める旨を伝えます。
受け取られた後の対応
- 受領印や控えに受領日を書いてもらうと安心です。
- 引継ぎや最終出社日の調整、業務の引継書作成については双方で日程を決めます。
注意点
- 忙しい最中や公開の場で突然渡すのは避ける。
- 感情的にならず落ち着いて伝える。
- 直属の上司にまず伝え、人事との調整はその後に行うのが一般的です。
直接手渡しは誠意を示す良い機会です。準備を整えて、相手に配慮した伝え方を心がけてください。
郵送する場合の事前準備と注意点
まずは口頭で退職の意思を伝える
郵送を選ぶ前に、必ず電話やメールで上司(直属の上司が基本)に退職の意志を伝えます。突然書類だけを送ると相手が驚きます。出社できない理由があるならその旨を最初に伝え、書類での提出が可能か確認してください。
連絡方法と伝える内容の例
- 電話:簡潔に要点を伝え、相手の都合を聞いてから詳しく説明します。例:「お疲れ様です。私事でご相談があります。退職の意思があり、◯月◯日付で退職を希望しています。現在出社が難しいため、退職届を郵送してもよろしいでしょうか?」
- メール:件名を明確にし、要点と連絡先を記載します。返信を求めておくと安心です。
事前に確認すること(チェックリスト)
- 送付先(人事か上司か)と住所を確認する
- 郵送で受け付けるか、面談の有無を確認する
- 退職希望日や必要な書類の有無を確認する
- コピーを取っておくことと、送付記録(控えや追跡番号)を残す
注意点
郵送後も、届いたかどうか必ず連絡を取り合ってください。届いていないとトラブルになる可能性があります。相手の確認を得ずに書類だけ送ると誤解や手続きの遅延につながるため、必ず事前連絡を行ってください。
郵送方法の選択と推奨手段
選択の基本
退職届は必ずしも特別な郵送方法を使う必要はありません。普通郵便でも受け取ってもらえます。ただし、送料不足や配送遅延などのトラブルを避けるため、きちんと重さを量って切手を貼るか、郵便窓口で手続きすることをおすすめします。
郵便局窓口からの発送を推奨する理由
窓口で送れば送料の間違いや不足を防げます。窓口で重さを測ってもらい、必要な手続き(簡易書留や配達記録など)を追加できます。受領証を受け取り、控えを保管できる点も安心材料です。
より確実に届けたい場合の手段
・書留(簡易書留/一般書留): 配達時に手渡しで受け取ってもらえ、追跡と受取印の記録が残ります。重要書類に向きます。
・内容証明郵便: 退職届の内容を郵便局が証明してくれます。退職日や届出内容の証拠として有効です。
受取と証拠の保管
受領印や配達記録、控えは必ず保管してください。後でトラブルが起きた際の重要な証拠になります。郵便局窓口で手続きすれば、これらを確実に得られます。
退職届用封筒の選び方と書き方
選び方
退職届の用紙はB5またはA4が望ましいため、それに合う封筒を選びます。具体的には長形4号(B5を三つ折りにして入れるのに適する)または長形3号(A4を三つ折りにして入れるのに適する)を白色無地で選んでください。郵便番号枠や模様のある封筒は避けます。
表面の書き方
封筒の表面、中央よりやや上に黒のボールペンか万年筆で読みやすい大きさの文字で「退職届」または「退職願」と記載します。社内提出なら縦書きでも横書きでも構いませんが、社風に合わせると無難です。
裏面の書き方
裏面の左下に所属部署名とフルネームを記載します。印鑑の慣習がある職場では、必要に応じて捺印します。郵送する場合は差出人の住所と連絡先を併せて記載してください。
封の仕方
封筒の口はのり付けしてしっかり閉じます。閉じ目(のりを塗った部分)に「〆」と黒で書いて封を示してください。セロハンテープだけで封をするのは避け、封緘シールを使う場合はきれいに貼ります。
ペンや文字の注意点
黒インクを使い、修正液や修正テープは使用しないでください。誤字があれば書き直す方が印象がよくなります。字は丁寧に、読みやすさを優先してください。
その他の注意点
会社指定の封筒やルールがある場合はそれに従ってください。封筒は清潔で折れや汚れのないものを使い、第一印象を大切にしましょう。
退職届の折り方と封入方法
折り方(基本)
書類を机に正面が上になるようまっすぐ置きます。長辺を基準に、下から1/3を下から上へ折り、次に上の1/3を被せるように折ります。こうすると用紙の文字が中央に揃い、封筒に収めやすくなります。
封入の向きと封筒の扱い
折った退職届は「退職届」と書いた面が封筒の表側(受け取る人から見て正面)になるように入れます。透けない封筒を使い、封筒表に「退職届 在中」と朱書きすると受け取り側が分かりやすくなります。
複数枚・控えの入れ方
原本は一番上にし、必要なら控え(コピー)を同封します。ホチキスは避け、紙は揃えてクリップで留めると丁寧です。複数ページは順序が分かるように番号を振ると親切です。
封をする際の注意点
封はしっかり閉じ、郵送する場合は封かんテープを併用すると安心です。封をした後は封筒に差出人名と住所を明記し、発送前に余分な折れや汚れがないか最終確認してください。
郵送用封筒の選び方と書き方
封筒の種類とサイズ
- 退職届を折らずに入れたい場合は「角2号(A4対応)」、A4を三つ折りにするなら「長形3号」が一般的です。丈夫で白無地の封筒を選びます。
表面の書き方
- 宛先は右上に会社の住所、その下に部署名と個人名を書きます。敬称は「様」ではなく、会社宛てなら役職名(例:人事部 部長 山田太郎 様)を正確に記載します。
- 左下に赤字で「親展」と明示します。封筒が透けないよう赤ペンや赤インクを使うと良いです。
裏面の書き方
- 封筒裏の左半分下寄りに差出人の住所・氏名を記載します。連絡先(電話番号)を添えると安心です。
封入の向きと添え状
- 内封筒(退職届)が表向きになるように入れます。添え状がある場合は、内封筒の上に重ねて入れてください。
封緘(封印)の仕方
- のり付けしたらフタの中央に「〆」と記入して封が開封済みでないことを示します。
郵送時の注意点
- 個人情報が含まれるため、簡易書留や特定記録を利用し追跡・受領確認を取ることを推奨します。封筒は汚れや折れがないよう清潔に保ってください。
添え状の必要性と例文
添え状はなぜ必要か
郵送で退職届を送るときは、添え状を同封するのがビジネスマナーです。添え状は「何を送ったか」「誰が送ったか」を明確にし、受け取る側の事務処理を助けます。簡潔で礼儀正しい表現にすると印象が良くなります。
添え状に必ず書く項目
- 日付(送付日)
- 宛名(会社名・部署名・役職・担当者名)
- 件名(例:「退職届送付の件」「退職届在中」)
- 本文(送付の趣旨と受領のお願い)
- 連絡先(電話番号・メール)と氏名
添え状の書き方のポイント
文面は短く簡潔にまとめます。本文では退職届を同封した旨と、確認・連絡をお願いする一文を入れます。署名の下に連絡先を明記してください。
例文(正式な文面)
2025年12月1日
株式会社○○○○
代表取締役 山田 太郎 様
退職届送付の件
平素よりお世話になっております。私儀、このたび一身上の都合により退職いたしますので、別紙「退職届」を同封いたしました。ご査収のうえ、手続きのほどよろしくお願い申し上げます。確認事項等ございましたら、下記の連絡先までご連絡ください。
〒000-0000
電話:090-0000-0000
メール:example@example.com
氏名:山田 花子
例文(簡潔な文面)
2025年12月1日
人事部 御中
退職届を同封いたします。ご確認のほどよろしくお願いいたします。
氏名・連絡先
以上のように、添え状は短く礼儀正しくまとめると良いです。文例を自分の状況に合わせて調整してください。
退職届の記入時の注意点
用具(ペン)の選び方
黒色のボールペンか万年筆を使います。インクが薄いと読みづらく、消えやすいので避けてください。マジックや筆ペンはにじむため控えます。
書き方の基本
用紙の上部に「退職届」と明記し、宛名(会社名・部署長名)と提出日を記入します。本文は簡潔に「一身上の都合により○月○日をもって退職いたします」といった形で書き、最後に自分の氏名をフルネームで書きます。署名は直筆で行います。
書き間違えた場合の対応
修正液・修正テープは使わず、新しい用紙に書き直します。小さな訂正でも信頼感を損なうことがあるため、書き直しが安全です。どうしても訂正が必要な場合は、会社の指示に従い、担当者に相談します。
日付・署名の注意点
日付は提出日か退職日のどちらを書くかを確認し、明確に記します。捺印を求められる場合もあるため、個人の印鑑の有無を事前に確認します。署名は読めるように丁寧に書きます。
文字の大きさと配置
文字は読みやすい大きさで、均一な字幅を心がけます。重要な箇所(宛名・日付・氏名)は特に見やすく書きます。余白を適度に残し、用紙中央に収まるよう配置します。
最終確認
提出前に宛名・日付・氏名・内容をもう一度確認します。必要な場合は上司や人事に内容を確認してもらうと安心です。丁寧に書くことで、印象も良くなります。


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