はじめに
本調査の目的
この調査は、離職票の取得に関する手続きや注意点を分かりやすくまとめることを目的としています。退職後に必要になる書類を早めに準備できるよう、どのように進めればよいか具体的に示します。
なぜ重要か
離職票は失業手当などを受ける際に必要な公的書類です。自動で届かない場合が多く、受け取りを忘れると給付に遅れが出ます。たとえば、退職後にハローワークで手続きをする際、離職票がないと申請ができません。
誰に向けた内容か
本書は退職予定者、既に退職した方、または人事担当者が対象です。専門用語は極力避け、具体例を交えて説明します。
本書で扱う主な項目
- 離職票が自動で届かない理由
- 発行の法的義務と条件
- 発行までの手続きの流れ
- もらえない場合の対処法と法的側面
以降の章で順を追って詳しく解説します。疑問があれば気軽に読み進めてください。
離職票は自動では届かない可能性が高い
なぜ自動で届かないのか
離職票は会社が申請して発行する書類ですが、会社側はすべての退職者に自動で送る仕組みを持っているとは限りません。多くの企業では退職者が希望するか確認してから発行します。転職先が決まっている人や失業給付を申請しない人には、会社から声がかからないことがよくあります。
よくあるケース(具体例)
- 転職が決まっていて給付を受けないと伝えたため、会社が発行を保留した。
- 退職の連絡で離職票の希望を伝え忘れ、手続きが止まっている。
- 人事担当者が少人数で手続きに気づいていない。
確実に入手するためにすること
- 退職前に「離職票を発行してください」と明確に伝える。口頭だけでなくメールや書面で残すと安心です。
- 退職届や最終出勤日の際に再確認する。
- 送付先住所や氏名に変更があれば必ず伝える。
連絡の仕方と期限の目安
- メールや書面で依頼し、受領確認を求める。
- 発行に時間がかかる場合があるため、退職後も会社に連絡を続ける。
注意点
- 何も伝えないと長期間届かない可能性があります。早めに自分から動くことが大切です。
離職票発行の法的義務と条件
法的な位置づけ
雇用保険法では、退職者が離職票の発行を請求したとき、会社は発行手続きを行う義務があります。退職者の請求に応じない対応は法に反します。
発行を求められた場合の対応
退職者から発行希望があれば、会社は速やかに必要書類を作成して離職票を発行します。具体的には、離職の事実や賃金の情報を記載し、所定の手続きを行います。
発行しなくてよい場合
退職者が「離職票は不要」と明示した場合には、会社に発行義務はありません。このため「希望者にしか出さない」と案内する運用は制度上認められます。
拒否した場合の罰則
請求があったのに発行や手続きを行わなければ、雇用保険法第83条により処罰の対象になります。罰則は「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」と規定されています。
具体例で確認
- Aさん:退職時に離職票を請求 → 会社は発行手続きを行う必要があります。
- Bさん:退職時に不要と伝える → 会社は発行しなくて構いません。
この章では、請求の有無が発行義務を左右する点を押さえてください。請求があれば会社は対応する責務があることを覚えておきましょう。
離職票が発行されるまでの流れ
以下は離職票が発行され、労働者の手元に届くまでの一般的な流れです。実際のやり取りをイメージしやすいよう、段階ごとに具体例を交えて説明します。
- 労働者が会社に交付を希望する旨を伝える
-
口頭やメールで「離職票をください」と伝えます。書面で請求すると記録が残り安心です。
-
会社がハローワークへ申請する
-
会社は離職者の情報や離職理由を記載した必要書類を作成し、ハローワークに送ります。会社が書類を郵送または持参する形が一般的です。
-
ハローワークで審査・離職票の発行
-
ハローワークは提出書類を確認し、必要に応じて会社へ照会します。問題なければ離職票(離職票-1/-2)を発行して会社宛に送付します。
-
会社から労働者へ交付
- ハローワークから届いた離職票を会社が労働者に渡します。受け取り方法は対面、郵送、あるいは指定の窓口での受け渡しです。
目安となる期間
– 通常は退職後から受け取りまで約2週間程度が多いです。書類不備や離職理由の確認が必要な場合は3〜4週間、まれにそれ以上かかることもあります。
遅れが生じたときの対応例
– 会社に伝えた記録(メールやメモ)を用意し、まずは会社に再確認を依頼してください。会社が動かない場合はハローワークに相談すると、照会や手続きを促してもらえます。必要な書類や退職日情報をあらかじめ準備しておくと手続きがスムーズです。
会社に離職票をもらえない理由
概要
離職票が届かない主な理由は次の通りです。雇用保険に加入していない、会社が離職票を発行する必要がないと判断した、ハローワーク側の手続きや連絡が遅れている、会社からの嫌がらせや対応の放置です。多くは会社側と退職者側の手続きミスや認識の違いが原因になります。
主な理由と具体例
- 雇用保険に加入していない
- 例: パートや短時間勤務で雇用保険の適用要件に満たない場合。加入記録がないと離職票は発行されません。
- 離職票が不要と会社が誤判断した
- 例: 退職届の書き方や退職理由があいまいで、会社が手続きを見送った場合。
- ハローワークの対応遅延
- 例: 会社が必要書類を提出した後、処理に時間がかかっている場合。連絡が滞ることがあります。
- 会社からの嫌がらせや故意の未対応
- 例: 退職トラブルで会社が発行を拒む、故意に遅らせるケース。記録を残すことが重要です。
備考
基本的に手続きの誤りや情報不足が多いので、まずは会社に確認書類や手続き状況を尋ねることをおすすめします。必要に応じてハローワークに相談してください。
会社に伝える際の重要なポイント
書面・メールで依頼する理由
口頭だけで済ませず、メールや書面で必ず依頼してください。記録が残るため「言った・言わない」の争いを防げます。
メールや文書に必ず書くこと
- 離職票を希望する旨(明確に)
- 退職日(年月日)
- 新しい住所・郵便番号・電話番号(転居がある場合)
- 送付先氏名(フルネーム)と宛先の正確な表記
- 希望する発送方法(普通郵便・簡易書留など)
- 回答期限(例:2週間以内)
引っ越し時の注意点
退職時に住所が変わる場合、必ず会社に新住所を伝えてください。会社もハローワークも新住所が分からなければ郵送できません。郵便物の転送だけでは離職票は確実に届かない場合があります。
証拠を残す方法
送信前にメールの控えを保存し、送付した書面はコピーして保管してください。相手からの返信や発送通知はスクリーンショットで残すと安心です。
催促と確認
期日を過ぎても届かない場合、礼儀正しく催促メールを送り、必要ならハローワークへ相談する旨を伝えてください。
離職票がもらえない場合の対処法
概要
離職票が届かないときは、まず会社に確認し、それでもダメならハローワークに相談、失業保険の仮手続きを申請、最終的には専門家に相談するのが基本の流れです。以下で具体的な手順をわかりやすく説明します。
1) まず会社の担当者に確認する
退職後2週間以上たっても届かない場合、まずは会社の労務担当または総務に連絡します。電話だけでなくメールや書面で「離職票の発行をお願いします」と伝え、日付と相手の名前を記録してください。相手が対応しないときは、内容証明郵便で請求すると証拠になります。
2) ハローワークに相談する
会社に確認しても進まない場合は、管轄のハローワークへ行ってください。退職日や給与明細、雇用契約書などを持参すると手続き状況を確認してもらえます。ハローワークは会社に対して発行の督促をすることもできます。
3) 失業保険の仮手続きを申請する
離職票が間に合わないときは、ハローワークで仮手続きができます。給与明細や退職を証明する書類を提出し、受給手続きの一時的な受付をしてもらえます。これにより給付開始の遅れを最小限にできます。
4) 弁護士や公的機関に相談する
会社が嫌がらせで発行を拒む、あるいは無視を続ける場合は、労働相談窓口や労働局に相談してください。効果が見られないときは、労働問題に強い弁護士に相談することを検討します。証拠(やり取りの記録、内容証明の控えなど)を用意して相談すると助言が受けやすいです。
記録を残すことの重要性
電話や口頭でのやり取りだけでは不十分です。メールの保存、送付した書面のコピー、連絡日時と相手の名前を記録し、必要なら内容証明を使って証拠を残しましょう。これが解決を早める助けになります。
違法性と法的根拠
法律上の位置づけ
離職票の発行義務は、労働者が退職などで求める場合に会社が証明書を交付する責務に関わります。労働基準法第22条では、労働者の請求に対し勤務に関する証明書を交付する義務が定められており、離職票の発行を拒むことは原則として許されません。雇用保険の手続きではハローワークへの届け出も必要です。
発行拒否が違法となる理由
会社が嫌がらせや恣意的な理由で離職票を渡さない場合、労働者の正当な権利行使を妨げる行為となり得ます。具体例として、退職後に請求しているにもかかわらず「時間がかかる」「対応しない」と繰り返すような場合は違法性が高いです。
取るべき行動と注意点
まず請求の記録を残してください。メールや書面で離職票の交付を求めた証拠が重要です。社内で解決できない場合はハローワークに相談し、状況を伝えましょう。必要であれば労働基準監督署や労働相談窓口に申し立ててください。内容証明郵便で請求すると証拠が強くなります。最後に、堂々と権利を主張することが大切です。
まとめと推奨事項
要点
- 離職票は会社から自動的に届くとは限りません。受け取りを希望する場合は自分から伝えることが重要です。
- 失業保険の申請に必須なので、早めに手続きを進めてください。
推奨事項(具体的な行動)
- 退職前に口頭とメール(または書面)で離職票の発行を依頼し、日付と内容を残してください。
- 発行の目安(期間)を確認し、期限までに届かない場合は再度連絡してください。
- メールや書面のコピー、やり取りの記録は必ず保存してください。スクリーンショットも有効です。
- 会社が対応しない場合はハローワークに相談し、必要なら労働問題に詳しい弁護士に相談してください。
相談先と注意点
- ハローワーク:失業保険の手続きや相談ができます。
- 弁護士:会社側の拒否や嫌がらせがある場合に法的対応の助言を受けられます。
簡潔な依頼文の例(メール)も添えておくと便利です。外部機関に相談する際は、発行依頼の記録を提示できるよう準備してください。


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