休職中に知るべき退職日の決め方と注意点まとめ

目次

はじめに

目的と対象読者

本章では、本資料の目的と読み方をわかりやすく説明します。休職中に退職を考えている方、家族や代理人が手続きに関わる方、人事担当者向けの実務ポイントを知りたい方に向けた内容です。

本資料の狙い

休職中の退職日は法律や会社規則、手当の受給に影響します。本資料は民法第627条に基づく申し入れ期限、就業規則の確認方法、退職日の決め方や考慮すべき手当(傷病手当金・失業手当)などを、具体例を交えて整理します。専門用語は極力避け、実務で役立つ視点を優先します。

注意点

個別の事情で結論が変わることがあります。労働相談窓口や労働基準監督署、社会保険の窓口に相談することをおすすめします。

本章の読み方

以降の章で順に具体的な手順や判断ポイントを説明します。まずは全体像をつかんでください。

休職中の退職は法律上可能

法的な根拠

休職中であっても、退職する権利は認められます。民法第627条では、期間の定めのない雇用契約について、労働者はいつでも解約の申し入れ(退職)を行えると規定されています。体調不良で休職中でも、この権利は変わりません。

どんな場合でも退職できるのか

原則として可能です。ただし、有期契約(期間が決まっている契約)の場合は契約期間満了前の退職に制約があることがあります。具体的な契約内容は就業規則や雇用契約書で確認してください。

実務上の手続きのポイント

退職の意思は会社に伝える必要があります。口頭でも効力はありますが、書面(メールや退職届)で伝え、控えを残すと安心です。可能なら産業医や担当窓口と相談して、手続きの進め方を記録しておきましょう。

注意点

休職中の退職は権利ですが、給与や社会保険、傷病手当金などの取り扱いに影響します。これらは別章で詳しく説明します。必要であれば労働相談窓口や弁護士に相談してください。

会社への申し出期限

概要

退職の意思をいつ伝えるかは重要です。民法第627条では、少なくとも14日前に意思表示すれば法律上は退職できます。ただし、企業の就業規則で1か月前や2か月前の申告を求めることが認められる場合があります。必ず会社の規則を先に確認してください。

具体的な期限の例

  • 法律上の最短:退職希望日の14日前までに通知
  • 就業規則で定める場合:1か月前、2か月前など会社の定めに従う

休職中の注意点

休職中でも原則として同じです。休職中に退職を希望する場合は、書面で申し出し人事に相談してください。休職の種類や契約によって取り扱いが変わることがあります。

実務的な手順(簡潔)

  1. 就業規則を確認する
  2. 上司または人事に早めに相談する
  3. 退職届は書面で出す(メールと併用も可)
  4. 受領の確認を書面で取る
  5. 期日を決めたら有給や手続きの調整を行う

書面の例(短文)

「私事で恐縮ですが、〇年〇月〇日をもって退職いたします。よろしくお願いいたします。」

期限を守ることでトラブルを防げます。まずは就業規則と人事窓口の確認をおすすめします。

退職日決定の基本的な考え方

休職中に退職日を決めるときも、在職中と同じ基本に従います。まず上司に退職の意思を直接伝え、了承を得たうえで退職届や退職願を提出します。休職期間中は引き継ぎが既に進んでいることが多いため、早めに意思を示すと手続きがスムーズになります。

考えるべきポイント

  • 治療や健康面:医師の治療計画や傷病手当金の受給状況を確認してください。治療中であれば退職日を急がない方が安心です。
  • 給与・有休の扱い:有給休暇の消化や最終給与の締め日により、最終出社日を調整できます。月末締めや翌月支払いなど会社のルールを確認しましょう。
  • 保険・手当・失業給付:退職日によって社会保険や失業給付の開始時期が変わります。公的手当を受ける予定がある場合は影響を把握してください。
  • 引き継ぎの実務:可能な範囲で資料作成や引き継ぎメモを残すことで、在籍を短くしても問題を減らせます。対面での引き継ぎが難しければメールやオンラインで補いましょう。
  • 会社側の手続き:最終出社日、離職票の発行時期、社内の締め日などを確認しておくと後の手続きが滞りません。

決め方の目安

  • 経済的な余裕がある場合は、治療や手当の確認後に余裕を持って決定する。
  • 給与や手続き上の都合がある場合は、月末や給与締め日に合わせると実務が楽になります。

早めに上司に相談し、会社のルールと自分の体調・生活を照らして日付を決めることが大切です。

退職日の決定方法

概要

退職日は本人の希望を優先して、会社と話し合って合意で決めます。法律上は申し出後2週間で退職可能ですが、会社が合意すれば即日退職も可能です。現実には約1か月後にする例が多いです。

申し出から退職日までの目安

  • 最短:申し出から2週間
  • 多く:約1か月(給与締め・引き継ぎの都合を考慮)

即日退職の扱い

会社が同意すれば可能です。ただし引き継ぎや有給・給与処理の調整が必要になり、会社側が難色を示すことがあります。

決定時に話し合うポイント

  • 引き継ぎの範囲と担当者
  • 最終給与・有給消化の扱い
  • 保険・年金の手続き日
    書面(メール可)で合意内容を残すと後のトラブルを避けられます。

具体例

  • 引き継ぎが簡単:退職希望から2週間で合意
  • 引き継ぎが長い:1か月〜3か月で調整

注意点

退職日を急ぎたい場合は理由を明確に伝え、代替案(引き継ぎ計画や有給の消化)を提示すると合意が得やすくなります。

賢い退職日の決め方

転職先が決まっている場合

転職先の入社日が確定しているときは、原則として入社日の前日を退職日にします。例えば4月1日入社なら3月31日退職にすると、雇用の空白がなく手続きがスムーズです。会社への退職通知は就業規則や就業期間を確認して余裕を持って行いましょう。

転職先が未定の場合

次の職が決まっていなければ、月末退職がおすすめです。月末まで在籍すれば、その月の社会保険料を会社と折半できる点や給与計算が簡単になるメリットがあります。急な就職活動で日付が変わっても対応しやすいです。

給与と保険の実務的配慮

月の途中で退職すると日割り計算や社会保険の扱いが複雑になります。入社日との兼ね合い、年休消化、未払い残業代の精算も忘れず確認してください。

決め方の優先順位(目安)

  1. 転職先の入社日を最優先
  2. 社会保険や給与の取り扱い
  3. 引継ぎ・業務の区切り
  4. 有給消化や手続きの余裕

実務的な視点で優先順位を整理すれば、無理のない退職日を決められます。

休職期間満了による自動退職

規定の意味

就業規則に「復職が不可能な場合は休職期間満了日をもって自動退職」とあると、休職期間が終われば手続きなしに退職になります。多くの場合、自己都合退職扱いにならず、会社側の定めに基づく退職日で処理されます。

流れの具体例

例:休職開始から1年の規定があり、1年経過で復職の見込みがなければ休職満了日に退職。会社は満了日を基に給与計算や年金・保険の手続きを進めます。

事前に確認すべきポイント

  • 就業規則の該当条項と休職開始日・満了日を確認してください。
  • 医師の意見書や治療状況を会社に提示し、復職の可否を明確にしましょう。
  • 会社からの事前通知があるか、書面での説明を求めましょう。

退職後の注意点

退職日は保険や年金、雇用保険の資格喪失日に影響します。失業給付や傷病手当金との関係も変わりますので、手続きのタイミングを確認してください。

トラブルになったら

就業規則の解釈や手続きに疑義があるときは、まず人事に相談し、改善されない場合は労働基準監督署や労働相談窓口、弁護士に相談することをおすすめします。

傷病手当金と失業手当を考慮した退職日決定

概要

傷病手当金と失業手当の両方を損なわない退職日は、初診日から退職日までに「3日連続で出勤しない日」を確保し、退職日当日は出社しないことが重要です。退職日は月末で、かつ出勤しない日が望ましいです。

なぜ「3日連続不出勤」が必要か

健康保険の傷病手当金は、病気やけがで連続して働けない日が発生すると支給対象になります。最初の3日間は待期(支給対象外)になるため、初診日以降に3日連続で出勤しない期間を作る必要があります。具体的には、初診後に連続して休む日を作り、その記録(診断書や休業証明)を残してください。

退職日を月末かつ不出勤日にする理由

退職日を月末にすると健康保険の加入期間が切れにくく、支給手続きや給与締めの都合も整いやすくなります。退職日当日に出社しないことで、傷病手当金の要件を満たしやすくなります。

具体例

例:初診が4月10日、4月11〜13日に連続して休む。退職を4月30日にし、当日は出社しない。こうすると初診からの連続不出勤が確保でき、月末区切りで手続きもしやすくなります。

失業手当との調整と手続き

失業手当は「求職の意思・能力」が前提です。病気で就労できない期間は受給開始を遅らせる必要があるため、ハローワークと相談してください。療養で受給できなかった場合は、受給期間の延長申請が可能なことが多いので、退職後1年以内を目安に手続きを行うことをおすすめします。

注意点

・会社の労務担当や健康保険組合、ハローワークに事前相談する。
・診断書や休業証明は必ず保管する。
・有給使用や給与処理が影響するため、給与明細や保険の扱いも確認する。

必要に応じて具体的な日程を一緒に確認します。

退職を申し出る際の内容と注意点

はじめに

休職中に退職を申し出るときは、相手に伝える内容を整理しておくと安心です。ここでは伝えるべき項目と話し方のコツ、注意点を具体例つきで説明します。

伝えるべき内容(項目別)

  • 現在の状況:体調や治療の状況を簡潔に説明します。例:「現在は通院と投薬で経過を見ています」
  • 医師の診断や見通し:医師の見解があれば伝えます。例:「医師からは当面は職場復帰は難しいと言われています」
  • 復職が難しい理由:具体例を挙げると理解されやすいです(通勤が困難、業務が負担など)。
  • 退職希望日:希望日を伝え、調整の余地があるかも示します。例:「○月末を希望しますが調整可能です」
  • 感謝と挨拶:お世話になったことへの感謝を伝えます。

伝え方のポイント

  • 口頭で要点を伝え、後で書面(メールや申し入れ書)で確認する。例文を用意しておくと安心です。
  • 医師の診断書があると説明がスムーズです。必要ならコピーを提出します。
  • 感情的にならず、事実と希望を明確に述べます。

注意点

  • 会社からの質問や引き止めは予想されます。対応方針を事前に決めておくとよいです。説明の際に個人情報や病状を詳細に求められたら、答える範囲を限定して構いません。
  • 労働条件や退職手続きについて不明点があれば人事に確認してください。退職日や有給消化の扱いは会社ごとに異なります。

最後に

復職と退職の判断は医師や会社とよく相談して慎重に決めましょう。円満に進めるために、丁寧な説明と書面での記録を心がけてください。

退職日決定時のその他の考慮要素

ボーナスと支給月

ボーナスの支給月は重要です。一般に12月に支給される場合、受け取ってから退職すると金銭的に有利です。支給条件(在籍要件や締め日)を就業規則や人事に確認してください。

繁忙期と業務量

繁忙期に退職すると周囲に負担がかかります。引継ぎがしやすい閑散期を選ぶと、関係を良好に保ちやすいです。

有給休暇の消化タイミング

有給は退職前に消化できるか、買取り規定があるか確認しましょう。申請のタイミングを人事と相談して計画的に使ってください。

退職金の取得条件

退職金は勤続年数や退職理由で変わります。いつ退職すれば有利かを就業規則で確認し、必要なら専門家に相談してください。

社会保険と雇用保険

退職日で健康保険や雇用保険の資格喪失日が決まります。任意継続や国保への切替、失業給付開始日との兼ね合いも考慮してください。

家族・ライフイベント

引越し、出産、介護など家族の事情は退職日選びに大きく影響します。ライフプランを優先し、家族とよく話し合って決めてください。

体調・メンタルの状況

心身の健康は最優先です。無理を重ねると復職や転職に支障が出るため、医師や専門家に相談しながら決めましょう。

手続き上の実務チェック

給与の締め日、年末調整、源泉徴収票の発行時期など、事務手続きの影響を確認してください。退職日で受け取り時期が変わることがあります。

決め方のコツ

優先順位を付け、金銭面・健康面・人間関係を総合的に比べて決めます。迷ったら家族や社労士に相談すると判断しやすくなります。

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