就業規則と助成金の関係性を徹底解説!制度活用のポイント

目次

はじめに

目的

本資料は、企業が助成金を申請・受給する際に整備すべき就業規則について、わかりやすく解説するために作成しました。助成金は支給要件として就業規則の整備を求めることが多く、書き方や規定の有無で受給可否が左右されます。例として、非正規雇用の待遇改善や研修制度の規定がないと受給対象にならない場合があります。

本資料で扱う内容

  • 助成金と就業規則の関係性(第2章)
  • キャリアアップ助成金に必要な規定例(第3章)
  • 業務改善助成金に対応する規定例(第4章)
  • 就業規則の作成・変更手続きと進め方(第5章)

各章では、具体的な条文例や注意点、現場での対応方法を示します。専門用語はできるだけ抑え、実務で使える形で記載します。

読者と使い方

対象は中小企業の人事・総務担当者や経営者です。まず第2章で基礎をつかみ、第3・第4章で該当する助成金の要件を確認してください。手続きに不安がある場合は、社労士など専門家に相談すると円滑に進められます。

この「はじめに」を通じて、助成金申請における就業規則の重要性と本資料の全体像をご理解いただければ幸いです。

助成金と就業規則の関係性

助成金で就業規則が重要な理由

助成金の審査では、就業規則が受給要件を満たすための証拠になります。単なる書類ではなく、企業が制度を用意し実際に運用する意思を示すための基本資料です。例えば、正社員化後の賃金や昇給、退職金の取り扱いが規定にないと、受給が認められないことがあります。

審査でよく確認される項目

具体的には次の点を見られます。賃金規定(基本給・手当)、昇給や賞与の基準、退職金制度の有無、労働時間や休暇の取り扱い、雇用形態の明示です。実際の運用が就業規則と一致するか、労働者に周知されているかも重要です。

運用と周知のポイント

就業規則を作っただけでは不十分です。従業員への説明、書面交付や社内掲示、運用記録を残すことが必要です。面談や雇用契約書に就業規則の該当条項を明示する例も有効です。

作成・変更時の注意

助成金の条件に合わせて規程を追加する場合、労働基準法や労使協定との整合性を確認してください。労働者代表への意見聴取が必要なケースもあります。したがって、専門家に相談しながら進めると安心です。

受給準備の簡単チェックリスト

  • 就業規則に必要項目があるか
  • 従業員への周知方法と記録があるか
  • 実際の運用が規程に沿っているか
    これらを確認しておけば、助成金の審査に備えやすくなります。

キャリアアップ助成金と就業規則の対応

概要

キャリアアップ助成金は非正規雇用から正社員化する企業に支給されます。受給要件として、正社員転換の6か月前から転換に関する就業規則が適用されていることが必要です。具体的な記載と運用が重要です。

就業規則の適用時期

就業規則が転換日に遡って適用されることを避けるため、転換予定日から逆算して6か月以上前に規程を整備し、適用開始日を明記してください。労働者に対する周知も忘れずに行います。

記載すべき主なポイント

  • 待遇差の明確化:契約社員と正社員の待遇の違いを具体的に書きます。例:賞与の有無、昇給の扱い、退職金の有無。
  • 賃金の算定方法:時給・日給制と月給制で扱いが異なる点を具体例で示します。例:時給1,200円を月給換算する場合の計算式を明示するなど。
  • 固定的手当の扱い:役職手当や資格手当など、支給要件と計算方法を明確にします。特定手当が基本給に含まれるか否かで助成条件が変わる場合があります。

助成額と留意点

有期雇用から正社員化した場合の助成額はおよそ60万〜80万円、無期雇用からの場合は30万〜40万円となります(条件により変動)。助成対象となる雇用形態や年齢要件、受給回数の上限があるため、事前確認が必要です。

労働条件通知書との整合性

就業規則と労働条件通知書の内容が異なると支給対象外となる恐れがあります。就業規則に記載した賃金や手当の扱いを通知書にも同じ表現で記載し、齟齬をなくしてください。

実務上の注意点

  • 賃金改定や昇給、賞与、退職金の規程変更は助成要件に影響します。変更時は助成申請との整合性を確認してください。
  • 具体例を用いて社内で説明書を作成し、運用実績を残すと審査で有利です。

業務改善助成金と就業規則の対応

業務改善助成金では、原則として就業規則の提出が求められます。ただし、従業員が10人未満の事業場は作成・提出義務がありません。とはいえ、助成金を申請する際は、助成の趣旨である生産性向上と事業場内最低賃金の引き上げを明確に示すことが重要です。

  • 就業規則・賃金規程に記載すべき基本項目
  • 対象者:どの従業員が賃金引き上げの対象かを明確にします(例:パートタイム従業員全員、週20時間未満を除く等)。
  • 改定前後の時給額:改定前の時給と改定後の時給を具体的に記載します。
  • 改定日(適用開始日):賃金の変更を行う日を明確にします。
  • 算出方法や支給方法:時間外手当等との取り扱いを示します。

  • 記載例(賃金規程の抜粋)

  • 対象者:パートタイム従業員(週所定労働時間が20時間以上の者)
  • 改定前時給:900円、改定後時給:950円
  • 適用開始日:2025年4月1日

助成率は引き上げ前の最低賃金によって変わりますので、申請時に正しい区分で算定してください。賃金規程は誰が見ても分かるよう簡潔に書くことが大切です。記載漏れや不明瞭な点があると審査で不備になりやすいので、改定の証拠(給与台帳や勤怠記録、従業員へ周知した文書)を用意してください。

最後に、従業員10人未満の事業場でも、助成金を受けるために任意で規程を整備すると申請がスムーズになります。必要に応じて労働局や社会保険労務士に相談すると安心です。

就業規則作成・変更の手続きと流れ

手続きの全体像

業務改善助成金を受けるには、就業規則(賃金規程含む)を改定し、労働基準監督署への届出が必要です。改定は未来の日付を施行日とし、その写しを変更届として用意します。変更届の写しを添付して労働局へ助成金交付申請を行います。

具体的な手順(ステップ)

  1. 改定内容の決定
  2. 対象となる賃金や勤怠ルールを明確にします。具体例:時間外手当の計算方法を変更する。
  3. 規程の作成・改定
  4. 施行日を将来の日付に設定して規程を作成します。例:施行日=翌月1日。文言は簡潔に記載します。
  5. 労働者への周知・意見聴取
  6. 従業員に改定案を説明し、必要なら意見を聴取します。書面での周知を残すと安心です。
  7. 労働基準監督署への届出
  8. 変更届(就業規則の写し)を届け出ます。届出は施行日前でも可能です。
  9. 労働局へ助成金申請
  10. 届出の写しを添付し、交付申請を行います。申請書は期限内に提出してください。

必要書類チェックリスト

  • 改定後の就業規則(施行日明記)
  • 変更届の写し(労基署受理用)
  • 従業員への周知記録(回覧、説明資料など)
  • 助成金申請書類一式

注意点とよくあるミス

  • 施行日が過去日にならないよう確認してください。
  • 文言があいまいだと受理や支給に時間がかかります。具体的に書きます。
  • 届出先と申請先が異なる点を忘れないでください(労基署へ届出、労働局へ申請)。

以上の流れに沿って手続きを進めれば、助成金の受給につながります。必要に応じて専門家へ相談すると確実です。

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