はじめに
概要
本資料は、退職と欠勤の関係をわかりやすく整理したガイドです。欠勤中に退職できるか、無断欠勤が退職扱いになるか、欠勤が失業給付にどう影響するか、具体的な退職手続きを順に解説します。
目的
読者が自分の状況を整理し、次に取るべき行動を判断できるようにすることが目的です。法律用語はできるだけ避け、身近な例を交えて説明します(例:病気でしばらく出勤できない場合や、連絡が取れない状況など)。
対象読者
・欠勤が続いて退職を考えている方
・無断欠勤があった人の対応に悩む管理職や人事担当者
・失業給付の受給に影響があるか心配な方
読み方のポイント
各章は独立して読めます。まず第2章で欠勤中の退職の可否を確認し、第3章で無断欠勤の取り扱いを学んでください。手続きが必要な場合は第5章を参照するとスムーズに進められます。注意点として、個別のケースで結果が変わることがあります。必要であれば専門家に相談してください。
欠勤のまま退職は可能
概要
欠勤したまま退職することは法的に認められます。労働基準法や民法は、退職の意思表示があれば出勤の有無にかかわらず退職の自由を保障しています。無期雇用では意思表示から2週間で退職が成立します。
法的なポイント
- 退職の意思表示があれば有効です。書面や口頭で伝えることが一般的ですが、欠勤中でも効力は変わりません。
- 契約で別途のルールがあればその確認が必要です。例えば退職時の手続期間を定めた就業規則がある場合は従う必要があります。
実務上の注意
- 伝え方は明確に:メールや配達記録の残る方法を使うと安心です。
- 給与や有休の扱い:欠勤期間の給与支払いや有給残の清算は就業規則に基づき処理されます。
具体例
例)Aさんは体調不良で欠勤中に退職届をメールで提出。会社が受領すれば、届出日から2週間後に退職が成立します。
無断欠勤と自然退職
無断欠勤が自然退職になるとは
無断欠勤が一定期間続くと、会社は労働者を事実上の退職(自然退職)扱いにすることがあります。ここで言う自然退職とは、労働者の意思で退職届を出したわけではないが、長期間の欠勤で勤務継続の意思が確認できない状態を指します。
期間の目安と行政の考え方
一般的に正当な理由がない無断欠勤が1か月以上続いた場合や、本人と連絡が取れず勤務の意思が確認できないまま1か月経過した場合に退職扱いになることが多いです。行政通達では、2週間以上の無断欠勤で出勤督促に応じない場合は懲戒解雇に相当する事由とされています。具体例として、出勤督促の電話や文書に反応がなく、2週間を超えて音信不通が続くケースは企業側の対応が厳しくなります。
会社が取るべき手続き
会社は一方的に扱いを決める前に、出勤督促や文書通知を行い、記録を残す必要があります。配達証明やメールの送信記録、電話の通話記録などが有効です。就業規則に基づき欠勤扱い→懲戒処分や退職扱いという手順を踏むことが望ましいです。
労働者の取るべき対応
まず会社へ速やかに連絡して事情を説明し、必要であれば医師の診断書などを提出して病欠を証明してください。休職を申請した履歴や送信したメールの控えは必ず保存してください。連絡が取れない間に退職扱いにされた場合は、労働基準監督署や労働相談センター、弁護士へ相談することをお勧めします。
注意点
無断欠勤と退職扱いはケースバイケースです。会社側の手続きに不備があると、労働者に不利益が生じる可能性があります。証拠を残すことと、早めに第三者へ相談することが重要です。
欠勤による給付への影響
背景
欠勤が多いと、退職後に受けられる公的な給付(主に失業手当=基本手当)に影響します。給付は雇用保険の加入期間や離職理由で判断され、出勤実績が重要です。
失業手当への具体的な影響
自己都合で退職する場合、離職日までの2年間に「1か月のうち出勤日数が11日未満の月」が12か月以上あると、基本手当が受けられない可能性があります。出勤日数はタイムカードや給与明細で確認されます。
具体例
・Aさん:過去2年で欠勤が多く、出勤11日未満の月が13か月あれば、自己都合の受給資格を満たさない場合があります。
対処法と確認ポイント
・ハローワークに相談して判断を仰いでください。
・出勤記録や給与明細を保管し、必要なら医師の診断書など欠勤理由を示す資料を準備します。
・会社側との話し合いで離職理由を整理すると、給付への影響が変わることがあります。
必要であれば、次章で退職手続きの進め方を詳しく説明します。
退職手続きの方法
退職の意思表示
まずは会社に退職の意思を伝えます。口頭、電話、メールのいずれでも構いませんが、記録が残る方法(メールや文書)をおすすめします。退職希望日や引継ぎの予定を明確に伝えてください。
退職届の提出(郵送・オンライン)
- 郵送:退職届を作成し、内容証明郵便や簡易書留で送ると確実です。控えを必ず残してください。
- オンライン:メールで送る場合は退職届をPDFで添付し、受信確認を求めます。返信や既読の記録を保存してください。
会社からの書類受け取りと貸与物の返却
会社は離職票や源泉徴収票など必要書類を用意します。返却物はパソコンやIDカード、作業服などです。返却は対面または郵送で行い、受領の証拠(受領書や配達記録)を残しましょう。
退職代行を使う場合の注意点
長期間の無断欠勤後に退職代行を使うと、会社側が義務違反と判断することがあります。トラブルを避けるため、まずは労働基準監督署や労働相談窓口に相談してください。弁護士に相談する選択肢もあります。
手続きで大切なポイント
記録を残す(メールや郵便の控え)、期日を明確にする、必要書類や未払いの給与・有休処理を確認する。この3点を押さえると後のトラブルを防げます。


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