退職願 病院での書き方と渡し方の基本マナー完全ガイド

目次

はじめに

病院(医療機関)での退職願は、一般の会社とほぼ同じ形式です。ただし、患者対応や引き継ぎの都合、部署ごとの運営体制など医療現場ならではの配慮が必要になります。本章では、退職願を書く際の心構えと本書の目的、章立ての概要をやさしく説明します。

退職願を書く目的

退職願は、雇用関係を円滑に終えるための正式な申し入れです。口頭で話すだけでは誤解が残ることがあります。書面を提出することで時期や意志を明確に伝え、適切な引き継ぎが進められます。

医療現場で気をつけたい点

患者の安全と業務継続が最優先になります。引き継ぎの期日や担当者を明確に記載することが大切です。宛先(院長や所属長)や提出のタイミング、封筒の扱いなど、後続章で具体例とともに丁寧に解説します。

本書の構成

第2章:基本の書き方ポイント
第3章:本文に書く内容
第4章:宛名・日付・氏名の記載方法
第5章:封筒・渡し方のマナー
第6章:退職願と退職届の違い

これから順に、実際に使える例文や注意点を分かりやすくお伝えします。安心して読み進めてください。

基本の書き方ポイント

用紙と書式

白無地の便箋(B5程度)が無難です。縦書きが一般的で、横書きにする場合は会社で許容されているか確認しましょう。

題名の書き方

用紙の一番上中央に「退職願」と記載します。改まった文書なので大きすぎない字で丁寧に書きます。

書き出しの言葉

題名の下は右寄せで「私儀」または「私事」とします。その下に本文を続けます。書き出しは簡潔に「このたび、一身上の都合により退職いたしたく願い出ます。」などが一般的です。

本文の構成

  • 退職の意思(いつまでに退職したいか)
  • 感謝の言葉(お世話になった旨)
  • 引き継ぎの意志(業務整理や引き継ぎに協力する旨)
    例:このたび、〇年〇月末日をもって退職いたしたくお願い申し上げます。お世話になったことに感謝し、引き継ぎには誠意をもって対応いたします。

日付・署名の位置

右下に日付、さらにその下に自分の氏名をフルネームで記載し、必要に応じて押印します。日付は提出日を記入します。

書き方の注意点

  • 事実に反する理由を書かない
  • 感情的な表現は避ける
  • 会社の就業規則に従う

丁寧で簡潔にまとめることが大切です。

本文に書く内容

退職理由は簡潔に書く

退職理由は「一身上の都合により」と簡潔に記します。私的な事情や詳細な背景は本文に書かないのが一般的です。長々と説明すると相手に余計な負担をかけるため、必要なら口頭で事情を伝えます。

希望する退職日を明記する

退職希望日は明確に書きます。例:「令和○年○月○日をもって退職いたしたく、お願い申し上げます。」就業規則や引継ぎ期間を考慮して余裕を持った日付にすると良いです。

締めの一文で結ぶ

最後は退職を願い出る旨の一文で締めます。定型文の例として「退職させていただきたく、お願い申し上げます。」を使うと丁寧です。感謝を添えたい場合は一文加えますが、長くならないようにします。

本文の例(短め)

拝啓 このたび一身上の都合により、令和○年○月○日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。短い期間でしたが、在職中はお世話になり、厚く御礼申し上げます。何卒よろしくお願い申し上げます。

上の要点を守れば、相手に伝わりやすく丁寧な本文になります。

宛名・日付・氏名

日付の書き方

提出する日を必ず記載します。和暦(例:令和6年12月1日)か西暦(例:2024年12月1日)のどちらかを選び、揃えて書きます。書く場所は用紙の右上が一般的です。

宛名の書き方

病院や施設の正式名称を正確に書き、その下に院長など代表者の氏名を記します。敬称は「殿」を使います。並びは次のようにします。
例:
○○病院 院長 山田太郎 殿
正式名称が長い場合でも略さず書きます。代表者名が分からないときは施設名の後に「御中」を使うこともあります。

自分の所属と氏名、印鑑

自分の所属部署名をフルで書き、その下に氏名(フルネーム)を記します。氏名の下に認印を押します。朱肉を使うゴム印(シャチハタ)は避けてください。押す位置は氏名の下中央か、氏名の右側に重ねる形が一般的です。

例(配置イメージ)

(右上)令和6年12月1日

(左)○○病院 院長 山田太郎 殿

(右下)○○科 看護師 佐藤花子(認印)

丁寧に書くことで正式な印象になります。読みやすい文字で、誤字や略語に注意してください。

封筒・渡し方のマナー

封筒の選び方

白無地の縦長封筒(長形4号など)を使います。光沢や装飾のないものが適切です。色や柄は避け、正式な印象を保ちます。

表書き・裏書きの書き方

表の中央には縦書きで「退職願」と書きます。宛名は表の右上に書き、例として「院長 ○○様」や「社長 ○○様」とします。文字は黒の毛筆か黒インクの筆記具で丁寧に書いてください。赤や派手な色は避けます。

裏の左下には所属部署と自分の氏名を書きます。部署は正式名称で、氏名の下に捺印(認印で可)を押すとより正式です。

封入と折り方

退職願はA4なら三つ折り(横三つ折り)にして封入します。書類は折り目が整うように丁寧に折り、封筒に入れるときは表書きが上に来る向きにします。

手渡すときの順序とマナー

まず直属の上司に報告し、面談の約束を取ってから手渡します。封筒は両手で差し出し、一言「退職のお願いを差し上げます」と伝えると丁寧です。宛名は施設トップ(院長や社長)にするのが一般的ですが、提出の窓口は直属の上司で問題ありません。

渡すときの注意点

忙しい時間を避け、事前に時間を取ってもらいましょう。感情的にならず冷静に短く伝えます。必要ならコピーを用意しておくと安心です。

退職願と退職届の違い

概要

退職願は「退職したい」という希望を会社に伝える書類です。退職届は「退職します」という最終的な意思表示です。目的とタイミングが異なります。

目的と使い分け

退職願は相談・交渉のために出します。上司と退職日や引き継ぎについて調整するときに使います。退職届は会社と退職日が正式に合意した後に提出します。退職の意思を確定させ、書類上で手続きを進めるためです。

記載内容の違い

退職願には希望する退職日を記載します。理由は簡潔にして問題ありません。退職届には合意した実際の退職日と署名を明記します。書式は簡潔で丁寧にします。

提出のタイミングと手続き

相談段階では退職願を持参し、口頭で話を進めます。合意できたら退職届を正副など規定に従い提出します。受付や備考欄があれば記録として保管されます。

取り下げ・撤回の可否

退職願は撤回できます。会社と合意が整わない限り、柔軟に対応できます。一方、退職届は一度受理されると撤回が難しくなります。どうしても変更する場合は早めに相談してください。

簡単な例文

退職願:○年○月○日付で退職を希望します。理由(簡潔)。
退職届:○年○月○日をもって退職いたします。署名・捺印

必要に応じて会社の就業規則に従ってください。丁寧に話を進めることが大切です。

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