はじめに
この記事の目的
年末調整と源泉徴収票の関係を、はじめてでも分かりやすく解説します。会社員や総務・人事の方、副業やアルバイトがある方にも役立つ実務的な情報を中心に扱います。
誰に向けた記事か
- 会社員で年末調整の手続きに不安がある方
- 総務・人事担当で従業員からの相談を受ける方
- 副業や転職で源泉徴収票の扱いに悩む方
この記事で学べること
- 年末調整と源泉徴収票の基本的な関係
- 年末調整の流れの中で源泉徴収票がどう使われるか
- 前職や副業の源泉徴収票がない場合の対処法
- 年末調整後に交付される源泉徴収票の見方と活用法
- (参考)2025年分に予定される変更点の扱い方
読み方のアドバイス
各章は目的別に分けています。気になる章だけ順に読んでも差し支えありません。難しい用語は少なくし、具体例で説明しますので、安心して読み進めてください。
そもそも「年末調整」とは何か
年末調整の基本
年末調整は、毎月の給与や賞与から天引きしてきた所得税(源泉徴収額)と、その年に実際に納めるべき所得税を照らし合わせて差額を精算する手続きです。天引きが多ければ還付、少なければ追加徴収となります。例として、毎月少しずつ多めに税を引かれていると、年末に戻ってきます。
対象となる人
主に会社などから給与を受け取る給与所得者が対象です。会社が従業員ごとに計算し手続きを行います。自営業や給与以外の収入が多い人は自分で確定申告をする必要がある場合があります。
手続きの流れと必要書類
従業員は「扶養控除等申告書」や保険料の控除証明書などを会社に提出します。会社はそれらを基に1年分の所得税額を計算し、差額を調整します。保険料控除の証明がないと控除を受けられない点に注意してください。
年末調整と確定申告の違い
年末調整は会社がまとめて行うのに対し、確定申告は個人が自ら税務署に申告します。副業の収入が一定以上ある、医療費控除を受けたい、住宅ローン控除の初年度などは別途、確定申告が必要です。
「源泉徴収票」とは何か ― 年末調整との関係
源泉徴収票の役割
源泉徴収票は、1年間に支払われた給与や賞与の金額、差し引かれた所得税(源泉徴収税額)、各種の所得控除の合計をまとめた書類です。会社が従業員一人ひとりについて作成し、税金の納付と所得の証明に使います。
年末調整との関係
年末調整で1年分の所得や控除を確定すると、計算結果を源泉徴収簿に記録します。その内容を源泉徴収票に転記して、正式な書類として従業員に交付します。つまり源泉徴収票は、年末調整の“成績表”のようなものです。
記載される主な項目と具体例
主な項目は、年間の支払金額、給与所得控除後の金額、所得控除の合計、源泉徴収税額などです。例えば、年間支払額が300万円で、各種控除の合計が100万円なら、課税対象の目安は200万円になります(実際は給与所得控除の計算があります)。
使い道
源泉徴収票は確定申告や住宅ローン控除の手続き、転職先での年末調整などで必要になります。税額の根拠を示す大切な書類なので、大切に保管してください。
年末調整の流れと、源泉徴収票が関わる場面
全体スケジュール
年末調整は秋から年始にかけて行います。10〜11月に従業員が保険料控除や扶養控除の申告書を提出し、12月に会社が集計して年調を実施、過不足を精算します。翌年1月中に会社は源泉徴収票を作成して従業員に交付し、税務署や市区町村へ法定書類を提出します。
会社と従業員の主な手順
従業員:保険証やマイナンバー、控除証明書を会社に提出します(例:生命保険控除の証明)。会社:年間の給与総額や社会保険料を集計し、所得税額を再計算します。源泉徴収で既に差し引いた税額と比べ、還付か追徴を確定します。
源泉徴収票が関わる場面
年末調整の結果を反映した源泉徴収票は、支払った給与・賞与の総額、差し引かれた源泉税、控除後の所得が記載されます。確定した税額の証明として、従業員が確定申告をする際や転職・住宅ローン手続きで必要になります。
実務上の注意点
証明書の提出忘れや記入誤りがあると再計算や再発行が発生します。提出期限を守り、控除証明は早めに集めると手続きがスムーズです。
源泉徴収票は「いつ・誰から・いつまでにもらえるか」
交付の時期
給与所得の源泉徴収票は、年末調整が終わったあとに会社が交付します。多くの会社は12月の給与明細と一緒、または翌年1月の給与明細と一緒に渡します。法律では翌年1月31日までに交付することが義務です。
交付する相手(誰からもらうか)
原則として勤務先(会社)が発行します。派遣やパート、アルバイトでも同じです。複数の勤務先がある場合は、それぞれの勤務先から受け取ります。
退職した場合の取り扱い
退職者には、会社が退職後1か月以内に源泉徴収票を交付する義務があります。退職してすぐに転職する際は、前職の分が転職先の年末調整で必要になることが多いです。
転職先での扱い
転職先の年末調整で前職分を合算するため、前職の源泉徴収票を提出します。提出期限は会社によりますが、早めに準備すると安心です。
届かないときの対処法
定められた期日を過ぎても届かないときは、まず前職の人事・総務に連絡して催促してください。それでも送られない場合は、税務署に相談することもできます。
年末調整で源泉徴収票が必要になるケース
1 転職した場合
複数の会社から給与を受け取っている年は、原則として「最後に給与を支払った会社」が年末調整を行います。転職先で年末調整を受けるには前職の源泉徴収票を提出して、1年分の給与と税額を合算して計算します。例:1〜6月にA社、7〜12月にB社で働いた場合、B社にA社の源泉徴収票が必要です。
2 副業・掛け持ちで給与がある場合
主たる給与を払う会社だけが年末調整を行います。他の会社の給与分は年末調整されないので、自分で確定申告が必要になることがあります。副業の金額が少ないと申告不要のケースもありますが、収入の種類や合算後の税額で判断してください。
3 年の途中で退職して再就職がない場合
年内に退職して就業先がなければ、退職した会社に源泉徴収票を発行してもらい、自分で確定申告する必要が出ることがあります。退職時に年末調整を受けていないときは特に重要です。
4 前職の源泉徴収票が入手できないときの対応
前職に請求して再発行してもらってください。会社が倒産や連絡不能の場合、税務署で相談すると対応方法を教えてもらえます。最終手段は自分で確定申告を行い、給与の収入証明を揃えて申告します。
5 実際の手続き(簡単に)
- 前職に源泉徴収票を請求する
- 転職先の年末調整担当に提出する(提出期限に注意)
- 提出できない場合は自分で確定申告を行う
必要な場面を把握して、早めに前職に源泉徴収票を依頼すると安心です。


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