はじめに
本記事では、会社に預けた年金手帳(基礎年金番号通知書)が退職後に返却されないときの対応方法や、再発行の可否についてわかりやすく解説します。年金手帳は年金記録を結び付ける大切な書類です。具体的には基礎年金番号の確認や加入履歴の照会で使いますので、手元にあることが望ましいです。
この章では、この記事の目的と読み進め方を簡単に説明します。特に次のような方に向けて書きました。
- 退職を控えている方、退職したばかりの方
- 会社に年金手帳を預けたままになっている方
- 返却を求めても戻らない場合の対処を知りたい方
続く章で、年金手帳の所有者や会社が保管する際のルール、2022年以降の制度変更、返却を求める際の具体的な手順、再発行の方法などを順を追って説明します。疑問点があれば、各章を順にお読みください。
年金手帳は誰のもの?会社に預ける必要はあるのか
所有者は本人です
年金手帳や基礎年金番号通知書は、本人の大切な私物です。受給や手続きに使う個人情報が記載されているため、原則として本人が管理します。
会社に預ける必要はありません
手続きで必要なのは「基礎年金番号」だけで、番号さえ分かれば原本を会社に渡す必要はありません。会社に預ける慣習があっても、法律上の保管義務は会社にありません。
会社が保管する場合の注意点
会社が業務上の理由で一時的に預かることはあります。預ける場合は目的・返却時期を確認し、書面やメールで記録を残すと安心です。紛失や誤用が心配なら写真を撮り控えにしておくと便利です。
返してほしいときの伝え方
退職時や必要な場面では、早めに口頭で依頼し、応じてもらえないときは文書で返却を求めます。電話ではなくメールや書面でやり取りを残すと後で証明しやすくなります。
2022年4月以降の制度変更:年金手帳は廃止された
概要
2022年4月1日から、新たな年金手帳の交付は止まり、代わりに「基礎年金番号通知書」が発行されるようになりました。既に持っている年金手帳は引き続き有効です。
何が変わったか
- 年金手帳の新規発行がなくなりました。
- 会社での手続きは、基礎年金番号通知書やマイナンバーで対応できます。
入社時の実務例
- これまで:入社時に年金手帳を提出することが多かった
- 今後:基礎年金番号通知書の提示、あるいはマイナンバーでも手続きが可能です。たとえばマイナンバーカードを見せる、番号を伝えるなどです。
既に年金手帳を持っている人へ
今ある年金手帳は年金記録の確認に使えます。大切に保管してください。新しく欲しい場合は交付されないため、紛失したら再発行(再交付)の方法を用います。
注意点
会社が年金手帳を求めても、今はマイナンバーや通知書で代替できることを伝えてください。個人情報の取り扱いには十分注意しましょう。
退職時に年金手帳を返却してもらうのが基本
退職時に返却を受ける理由
会社が年金手帳を預かっているときは、退職時に必ず返してもらいましょう。転職先で年金手帳の記載にある基礎年金番号が必要になることが多く、手続きが滞るおそれがあります。実務上は退職日以降およそ1か月以内に返却されるケースが多いです。
返却されるタイミングと形態の例
- 退職日に直接手渡しされる場合
- 退職後、郵送で届く場合(簡易書留などで受け取ると安全です)
まず会社に依頼する方法
まずは担当者(人事・総務)に対面またはメールで返却を依頼します。口頭だけでなく日時ややり取りの記録を残すと後で役に立ちます。例:退職日から1か月以内に郵送で返してくださいと依頼する。
返却が遅れる、または拒否される場合の注意点
返却が遅れる理由には給与精算や手続きの確認がある場合があります。返却を拒否されるのは正当な理由が少ないため、まずは丁寧に依頼し、応じないときは書面での請求や受取証明のある郵送を求めるとよいです。
日常的な記録を残す重要性
やり取りの日時、担当者名、送受信したメールや郵便物の控えを残しておくと、あとで問題になった際に対応がスムーズです。次の章では返却されない場合の具体的な対応を説明します。
「年金手帳が返却されない」ときの基本的な対応ステップ
まずは確認と依頼
退職時や手続きの際に年金手帳が会社に残っていると気づいたら、まず人事・総務に連絡して返却を依頼します。電話で伝える際は日時・担当者名を控えておくと後で役に立ちます。口頭でのやり取りで済ませないよう心がけます。
記録を残す
口頭で対応しない場合は、メールや文書で再度依頼してください。件名や本文に「年金手帳の返却をお願いします」「返却日時を◯月◯日までにご連絡ください」など明確に書きます。証拠が必要になったときのために送信履歴や控えを必ず保管します。
それでも返却されないときの相談先
メールでも返却されない場合は、労働基準監督署や年金事務所に相談します。ケースにより市区町村の相談窓口や法律相談(弁護士)を利用することも検討してください。公的機関は対応方法や次の手順を教えてくれます。
不当占有の可能性と次の一手
会社が正当な理由なく返却を拒むと私物の不当占有と見なされることがあります。まずは内容証明などで正式に返却を求め、改善がなければ専門家に相談して対応を進めます。落ち着いて記録を残し、順を追って対応することが大切です。
会社が返してくれない場合でも再発行(再交付)は可能か
結論
2022年4月以降、年金手帳そのものの再発行はできません。代わりに「基礎年金番号通知書(再交付)」の申請が可能です。申請後、本人の住所あてに2〜4週間程度で郵送されます。
なぜこうなるのか
以前は年金手帳で基礎年金番号を確認できました。制度が変わったため、年金手帳は廃止され、番号確認用の通知書を再交付する仕組みに変わりました。
申請の大まかな流れ
- 日本年金機構に再交付を申請します(窓口や郵送などの方法があります)。
- 本人確認が必要になります。準備するものは案内に沿ってご用意ください。
- 申請から2〜4週間程度で、登録された住所へ書類が届きます。
それでも会社からの返却を求めるべき理由
機械的な手続きで通知書は取得できますが、元の手帳(会社が保管している場合)が残っていると誤解や手続きの手間を避けられます。退職時は書面やメールで返却を求め、やり取りの記録を残すと安心です。
注意点
- 再交付で受け取るのは「通知書」であり、従来の年金手帳と同じ形ではありません。用途によって必要な書類が違うことがあるので、手続き先に確認してください。
- 申請の詳細や必要書類は日本年金機構に確認してください。
年金手帳を紛失した場合と「会社に保管されたまま」の違い
紛失した場合の特徴
自分で紛失すると、本人が年金手帳(基礎年金番号通知書)を確認できません。見つからない場合は再交付手続きが必要になります。再交付は本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)を用意して年金事務所で申請します。手続きの流れは簡単で、窓口や郵送で対応してもらえます。
会社に保管されたまま返却されない場合の特徴
退職後や手続き時に会社が保管したまま返してくれないケースがあります。この場合、年金手帳自体は存在しますから、会社に返却を求めれば再交付は不要です。まずは社内で返却を依頼し、口頭だけでなくメールや書面で記録を残すと安心です。
紛失時の具体的手順(簡単な例)
- 身の回りを再確認する(家のよくある場所や勤務関連の書類)
- 見つからなければ年金事務所に連絡して再交付の案内を受ける
- 本人確認書類を用意し、申請書を提出する
会社保管時の具体的対応(簡単な例)
- まず担当者に返却を依頼する(メールや書面で依頼)
- 相手が応じない場合は年金事務所や労働相談窓口に相談する
- 必要なら内容証明などで正式な返還請求を行う
注意点
- 再交付には本人確認が必須です。身分証は普段からまとめておくと便利です。
- 会社に預けたままは放置しないでください。早めに返却を依頼することをおすすめします。


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