源泉徴収票・業務委託の場合の発行義務と対応方法をわかりやすく解説

目次

はじめに

目的

本資料は、業務委託契約で生じる源泉徴収に関する基本的な疑問をやさしく解説することを目的としています。企業側の発行義務、源泉徴収の対象・対象外、手続きの流れ、支払調書との違い、個人事業主の確定申告での扱いまで、順を追って説明します。

対象読者

  • 企業の経理・人事担当者
  • フリーランスや個人事業主
  • 税務処理の基礎を知りたい方
    具体例を交えて説明しますので、初めての方でも理解しやすくなっています。例:フリーランスのデザイナーに支払った報酬の扱い。

本書の構成と読み方

全7章で構成しています。まず本章で全体像を示し、第2章以降で詳細と実務上の注意点を取り上げます。必要な章だけを順に読んでも問題ありません。専門用語は最小限にし、実務で使えるポイントを中心にお伝えします。ご不明点があれば、各章の内容を把握した上で専門家に相談することをお勧めします。

業務委託における源泉徴収票の発行義務について

概要

業務委託(フリーランスや個人事業主への委託)では、企業に「源泉徴収票」を発行する法的義務は基本的にありません。請求書や支払明細で源泉徴収額が分かれば、個人事業主は自分で確定申告時に計算できます。

企業側の対応と現場の実務

多くの企業は、確定申告で誤りを防ぐために「支払調書」を作成・送付します。支払調書は支払い金額や源泉徴収された金額をまとめた書類で、源泉徴収票とは性質が異なります。発行を求められた場合、企業は対応することが多いです。

個人事業主ができること(実務的アドバイス)

  • 請求書には必ず金額(税抜き・源泉前)と実際に入金された金額を記載し、控えを保管してください。
  • 支払側に源泉額の明細を求めるときは、メールなど記録に残る方法で依頼すると安心です。
  • 会社が支払調書を送らない場合でも、自分の請求書と銀行の入金記録で申告可能です。

具体例(簡単なイメージ)

請求100,000円、源泉徴収が差し引かれた後に入金が90,000円なら、差し引かれた10,000円が源泉徴収分です。請求書と入金履歴でその金額を申告に使えます。

注意点

源泉額や扱いに疑問があるときは税務署や税理士に相談してください。書類が整っていると確定申告でのトラブルを避けられます。

源泉徴収票と支払調書の違い

概要

源泉徴収票は雇用関係にある従業員(給与所得者)に対して事業者が発行する書類です。1年間の給与額や源泉徴収した税額が記載され、従業員が確定申告や年末調整で使います。

支払調書は事業者が税務署に提出する書類で、個人事業主やフリーランスに支払った報酬などを報告します。税務署提出が主な目的で、業務委託先への交付は法的に必須ではありません。

主な違い(ポイント)

  • 発行対象:源泉徴収票=従業員、支払調書=外注やフリーランス
  • 提出先:源泉徴収票は従業員へ交付、支払調書は税務署へ提出(※任意で受取人へ交付する場合あり)
  • 用途:源泉徴収票は年末調整・確定申告用、支払調書は税務当局の確認用

具体例

会社の社員は年明けに源泉徴収票を受け取ります。フリーランスに報酬を払った会社は税務署に支払調書を提出しますが、相手に渡す義務は必ずしもありません。

実務上の注意

フリーランス側は支払調書がなくても請求書や入金記録で申告できます。必要なら支払者に交付を依頼すると安心です。

源泉徴収の対象となる場合と対象外の場合

対象となる場合

  • 個人事業主(業務委託先)が受け取る“報酬・料金”や“原稿料”“講演料”などは、原則として源泉徴収の対象になります。具体例:フリーランスのライターに支払う原稿料、個人講師への講演料、個人デザイナーへの制作費など。
  • 弁護士や税理士など、報酬が「報酬・料金」に該当する専門職への支払いも該当する場合があります。

対象外となる場合

  • 法人(株式会社、合同会社など)に対する報酬は、基本的に源泉徴収の対象になりません。法人は自ら税務処理を行います。
  • 物品の購入代金や、実費精算(交通費や宿泊費などで領収書がある場合)は、通常源泉徴収の対象外です。例:業務で購入した備品代や、立て替えた交通費の精算。

注意点

  • 契約書や請求書に法人か個人か明記してもらい、支払先の区分を確認してください。誤って源泉徴収を行うと修正が手間になります。
  • 支払がどの性質に当たるか分かれ目になるため、具体的な業務内容を確認すると判断しやすくなります。

企業側の源泉徴収義務と手続き

1)まず押さえるべき義務

企業は個人事業主に対する報酬で源泉徴収が必要なものについて、法令に従って税額を差し引き、納付・報告する義務があります。支払の前に「この支払いが源泉対象か」を確認してください。税率は報酬の種類や相手の状況で変わりますので、徴収前に確認します。

2)手続きの流れ(実務の手順)

  1. 対象か判定:契約書や請求書の内容で源泉対象か確認します。
  2. 税額計算:法定の税率に基づき税額を算出します(税率はケースごとに異なります)。
  3. 差引支払:報酬から税額を差し引いて支払います。例:報酬10万円なら税額を差し引いた金額を支払います。
  4. 納付:差し引いた税額を翌月10日までに納付します。

3)納付方法

e-Tax(電子申告)による納付、銀行振込(納付書使用)、または最寄りの税務署での直接納付が利用できます。電子納付は事務負担を軽くしますので、導入を検討すると良いです。

4)書類管理と保管

契約書、請求書、源泉徴収簿、納付書の控えなどを保存してください。保存期間は原則7年とされる場合が多いので、紛失しないよう管理します。

5)開始時と年末の手続き

事業開始や給与支払事務所開設時は税務署への届出が必要です。年末には支払報告(源泉徴収票や支払調書の作成・交付)や税務署への提出を行います。期日を守ることで余計なペナルティを避けられます。

個人事業主側での確定申告時の処理

支払調書を受け取ったら

支払調書の支払金額・源泉徴収税額・支払者名をまず確認します。記載と実際の入金額が違う場合は取引先に照会してください。例:支払額100万円、源泉10万円と記載があればその数字を基に申告します。

確定申告での記載箇所

受け取った金額は事業所得や雑所得の収入欄に記入します。源泉徴収された税額は確定申告書の「源泉徴収税額」欄に記載して、税額から差し引きます。源泉が多ければ還付、少なければ追加納税になります。

精算の具体例

例:年間所得の税額が6万円で、支払先が源泉で10万円差し引いている場合、還付は4万円です。逆に税額が12万円なら差額の2万円を追加で納めます。

経費処理と帳簿保存

受け取った収入から必要経費を差し引いて所得を計算します。領収書や請求書、支払調書は税務調査に備えて大切に保管してください。

注意点

支払調書に誤りがあると申告がずれます。疑問があれば早めに取引先か税理士に相談してください。

個人事業主同士の取引における扱い

概要

個人事業主同士の業務委託契約でも、基本的に源泉徴収票の発行義務はありません。企業と個人事業主の取引と同様のルールが当てはまります。

源泉徴収の有無

源泉徴収が必要かどうかは、支払いの性質で決まります。一般的な業務委託報酬(デザインやプログラム作業など)は、個人事業主同士では源泉徴収を行わないケースが多いです。一方で、税法上で特に定められた報酬や給与に該当する支払いは例外になることがあります。

書類と記録

請求書や領収書は必ず交わしてください。支払調書は企業が作成する例が多いものの、取引の証拠として個人間でも記録を残すと安心です。見積もり・契約書で支払い条件や納期を明確にしましょう。

確定申告時の扱い

受け取った報酬は受入側が所得として確定申告で計上します。支払側は必要な帳簿で経費計上します。源泉徴収がなければ、全額を受け取り側の収入として処理します。

具体例

フリーランスAがフリーランスBにウェブ制作を委託した場合、AはBに請求書通りに支払い、通常は源泉徴収をしません。双方はそれぞれ自分の帳簿で処理し、年に一度の確定申告で申告します。

不明点があれば税理士に相談すると安心です。

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