はじめに
この文書は、アルバイト従業員が源泉徴収票をいつ受け取れるのかをやさしく解説することを目的としています。雇用形態や退職のタイミングによって受け取り時期が変わるため、よくあるケースごとにわかりやすく整理しました。
目的
- アルバイトとして働く方が自分の源泉徴収票をいつ受け取れるか理解できるようにします。
想定する読者
- 初めて源泉徴収票を受け取る学生・パート・アルバイトの方
- 退職や転職で手続きに不安がある方
本文で扱う主な内容(概要)
- 年末まで働き続けた場合の受け取り時期
- 年の途中で辞めた場合の受け取り時期
- 新卒で入社する際のアルバイト分の扱い
- 記載内容や届かないときの対処法
- 短期アルバイトの特例とまとめ表
この章では全体の見通しを示します。以降の章で具体的な時期や手続き、実務上の注意点を順に解説します。ご自分のケースに当てはめて読み進めてください。
アルバイトでも源泉徴収票は受け取れる
誰が対象か
アルバイトやパートも含め、その年に給与(給料・時給など)を受け取っている人は原則として源泉徴収票を受け取れます。雇用形態に関係なく、給与を支払った事業者に発行義務があります。
会社の義務について
勤務先は、年末調整を行ったかどうかにかかわらず、従業員に対してその年に支払った給与の証明として源泉徴収票を発行します。退職時にも発行義務が発生しますので、在職・退職に関係なく受け取れます。
具体例で見ると
・夏の短期バイトで1か月だけ働いたAさん:その月に給与を受け取っていれば源泉徴収票が発行されます。
・長期の夕方バイトを続けるBさん:年末調整の結果に合わせて勤務先から受け取れます。
複数の勤務先がある場合
掛け持ちしている場合は、勤務先ごとに源泉徴収票が発行されます。確定申告の際は、それぞれの源泉徴収票が必要になることが多い点に注意してください。
受け取った後のポイント
源泉徴収票は所得の証明や確定申告、就職先への提出などに使います。紛失しないよう大切に保管し、不明点があれば勤務先に確認してください。
源泉徴収票がもらえる時期 – 年末調整後(バイト継続中の場合)
概要
年末までアルバイト先に在籍し、会社が年末調整を行った場合、年末調整の処理が終わった後に源泉徴収票が発行されます。年間の給与や所得税額が確定してから渡されます。
発行時期
一般的には12月から翌年1月にかけて配布されます。法律では翌年1月31日までに交付する義務があるため、12月の給与明細と一緒に受け取れることが多いです。
手続きの流れ
総務や人事が11月~12月に年末調整の計算と書類整理を行います。計算が確定すると、源泉徴収票を印刷・封入し従業員へ配布します。電子交付は従業員の同意があれば行われます。
受け取り方(具体例)
- 出社して手渡しで受け取る
- 郵送で自宅に届く
- 社内の電子システムでダウンロードする(同意が必要)
受け取れないときの対応
期日近くになっても届かない場合は、まず勤務先の総務・人事に問い合わせてください。再発行や郵送手配を依頼できます。確定申告が必要な場合は、早めに源泉徴収票の取得方法を確認してください。
源泉徴収票がもらえる時期 – 退職後(年の途中でバイトを辞めた場合)
発行期限と根拠
年の途中でアルバイトを辞めた場合、勤務先は退職日から1か月以内に源泉徴収票を発行する義務があります。これは所得税法第226条に定められており、退職後に必要な手続きがスムーズに進むようになっています。
受け取り方法
通常は郵送か直接の手渡しで受け取ります。退職時に住所変更をしている場合は、必ず新しい住所を会社に伝えておきましょう。郵送にするか受取にするかは会社の慣行によりますので、事前に確認すると安心です。
具体例
たとえば3月10日に退職した場合、原則として4月10日までに発行されます。新しい職場で年末調整が必要なときや確定申告で使う場合は、早めに受け取って内容を確認してください。
受け取れない・遅れるときの対処
- まずは勤務先の総務・給与担当に連絡して、発行状況と発送先を確認します。
- 会社側で手続きに不備がある場合もあるので、請求した日時ややり取りを記録しておきましょう。
- それでも発行されない場合は、最寄りの税務署に相談すると対応の助言を受けられます。
注意点
源泉徴収票は年末調整や確定申告に必要な重要書類です。退職後の1か月ルールを覚えておき、早めに確認・保存してください。
新卒社員とアルバイト源泉徴収票の関係
概要
入社前にアルバイト収入がある新卒社員は、年末調整でその分の源泉徴収票を提出します。年末調整は1月~12月の収入を対象に税額を計算するため、例えば4月入社の方は1月~3月のアルバイト分が対象です。
いつ必要か(具体例)
- 4月入社:1月〜3月の源泉徴収票を提出
- 1月入社:前年のアルバイト分がある場合は同じく提出
所得が20万円以下で確定申告が不要でも、年末調整のために源泉徴収票は必要です。
発行時期と対応
アルバイト先は退職日から1か月以内に源泉徴収票を発行します。年末調整が行われる11〜12月には手元にあるはずです。手元にない場合は早めに元の職場へ発行を依頼してください。発行が間に合わない場合は、入社先の総務・人事に事情を説明し、指示を仰いでください。
よくある注意点
- 発行依頼は電話やメールで証拠を残すと安心です。
- 勤務先が複数ある場合は、それぞれの源泉徴収票を集めて提出してください。
源泉徴収票に記載される内容
支払金額(給与の総額)
1年間に支払われた給与やアルバイト代の合計です。例:月5万円で12か月働けば支払金額は60万円となります。税金や社会保険の計算の基礎になります。
給与所得控除後の金額
給与所得控除を差し引いた後の金額で、課税対象となるおおよその収入です。給与所得控除は収入に応じて自動的に計算されます。控除後の金額が少ないほど税負担は軽くなります。
所得控除の額の合計額
基礎控除や社会保険料控除、扶養控除など、差し引かれる合計額が記載されます。例えば、社会保険料として年間で支払った金額がそのまま控除になることがあります。ここを確認すると税金がどのように減るか分かります。
源泉徴収税額(天引きされた所得税)
年間で会社が天引きして国に納めた所得税の合計です。確定申告や年末調整で過不足があるかを確認するために重要です。
その他の項目
支払者の名称や住所、支払年月日、扶養親族の人数なども記載されます。受け取ったら記載漏れや金額の誤りがないか必ず確認してください。必要なら勤務先に問い合わせましょう。
源泉徴収票が届かない場合の対応
退職後1か月を過ぎても源泉徴収票が届かないと不安になりますね。ここでは届かないときの具体的な対応を、やさしく順を追って説明します。
受け取るまでの目安
通常は退職後1か月程度で交付されます。郵送ミスや住所変更で遅れることもあるため、まずは余裕を持って確認しましょう。
まずは連絡する
店長や企業の総務・人事に電話やメールで依頼します。連絡時は退職日・氏名・社員番号(あれば)・送付先住所やメールアドレスを伝えると早く対応してもらえます。例:「源泉徴収票の発行をお願いします。送付先は○○です。」
書面での依頼を残す
電話だけでなく、メールや書面で依頼を残してください。送信済みの記録や返信は後で証拠になります。再送をお願いするときは、郵送かPDF送付か希望も明記しましょう。
企業の義務について
源泉徴収票は会社に発行義務があります。退職したから受け取れないという理由は原則通りません。対応を促すために、丁寧に催促してください。
それでも届かない場合
連絡しても無反応なら税務署に相談しましょう。税務署は発行の義務や確定申告のしかたを教えてくれます。なお、確定申告で対応する場合は給与明細や振込記録などを用意すると手続きがスムーズです。
受け取り時の注意
住所変更がある場合は必ず伝えること、宛名や封筒の住所を再確認することを忘れずに。メールでの受け取りが可能ならPDF添付を依頼すると確実です。
短期アルバイトと源泉徴収票
短期のアルバイトでも、原則として退職後1か月以内に雇用主が源泉徴収票を発行します。期間が短くても給与を受け取った全ての従業員に交付される書類です。
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誰がもらえるか: 1日だけの仕事や数週間の短期でも給与をもらっていれば対象です。複数の職場で働いた場合は、それぞれの事業所から別々に受け取ります。
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源泉徴収がない場合: 給与から税金を差し引かれていなくても、差引税額が「0円」として記載した源泉徴収票が交付されます。
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受け取り方: 紙で郵送されることが多いですが、労使で合意があれば電子交付も可能です。
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届かない時の対応: まず勤務先の総務や給与担当に連絡して再発行を依頼してください。連絡が取れない場合は、給与明細や支払いを証明する記録を整理し、税務署に相談すると道が開けます。
短期でも書類は重要です。確定申告や新しい勤務先での年末調整に必要になるので、大切に保管してください。
まとめ表
以下は状況別に受け取り時期と注意点を簡潔にまとめた表です。必要な手続きや確認の目安にしてください。
| 状況 | 受け取り時期 | 備考 |
|---|---|---|
| 年末までバイト継続 | 12月~1月(翌年1月31日まで) | 年末調整後に発行されます。年明けに会社から渡されるか郵送されます。 |
| 年の途中で退職 | 退職日から1ヶ月以内 | 会社が郵送するか、直接手渡しで受け取れます。受け取れない場合は早めに連絡してください。 |
| 新卒社員の1~3月分 | 4月10日までに受け取り可能 | 学校や会社で年末調整に必要になることが多いので、期限に注意してください。 |
受け取り期日は目安です。遅れる場合はまず勤務先に確認しましょう。書類は確定申告や年末調整で必要になるため、大切に保管してください。


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