はじめに
目的
この章では、本書が何を扱うかをやさしく説明します。本書は、源泉徴収票の発行時期や発行義務、受け取り方法、紛失時の対応、注意点をまとめたガイドです。源泉徴収票の基本的な役割と、日常でよくある場面での使い方を分かりやすく伝えます。
この文書の重要性
源泉徴収票は、年末調整や確定申告、住宅ローンの申請などで必要になります。手元にないと手続きが遅れることがありますので、発行時期や保管方法を理解しておくことが大切です。
本書の構成と読み方
全8章で構成します。第2章以降で具体的な内容を順に説明します。必要な項目だけを読みたい方は、目次から該当章へ進んでください。
読者へのお願い
分からない用語があれば、具体例を交えて説明しますので遠慮なく読み進めてください。次章から、源泉徴収票とは何かを丁寧に解説します。
源泉徴収票とは何か
源泉徴収票は、給与や賞与などの1年間の支給額と、そこから差し引かれた所得税額、各種控除の金額が記載された大切な書類です。会社が従業員ごとに発行し、税金や社会保険の手続きで使います。
主な記載項目
- 支払金額:1年間に支払われた給与・賞与の合計。
- 源泉徴収税額:給与から天引きされた所得税の合計。
- 控除額:社会保険料控除、配偶者控除や扶養控除などの合計。
- 所得控除の内訳:基礎控除やその他の控除が分かります。
どういう場面で必要か
- 確定申告:医療費控除や年末調整で差が出た場合に提出します。
- 転職・就職:前職の年収証明として求められることがあります。
- 住宅ローンや各種補助の申請:収入証明として使います。
確認するときのポイント
- 支払金額と源泉徴収税額が合っているかを確認してください。誤りがあれば会社に訂正を依頼します。
- 控除の内訳が自分の申告と一致しているか確認します。副業収入がある場合は別途対応が必要です。
保管の注意
源泉徴収票は税務署や金融機関から求められることがあるため、原本を大切に保管してください。紛失した場合は勤務先に再発行を依頼します。
源泉徴収票が発行されるタイミング
年末調整後(毎年)
年末調整を行ったら、会社は前年に在籍していた従業員全員に対し、翌年1月31日までに源泉徴収票を発行します。たとえば12月31日まで勤務していた場合でも、翌年1月31日までに受け取れます。年末調整で所得税の過不足を精算するための重要書類です。
退職時(退職後)
従業員が退職したときは、退職日から原則1か月以内に源泉徴収票を発行します。たとえば6月15日に退職したら、7月15日までに発行されるのが目安です。退職後に転職先で手続きや確定申告が必要な場合、この書類が必要になります。
発行依頼があったとき
住宅ローンの申請や証明書類の提出などで源泉徴収票が必要になったとき、従業員が会社に依頼すれば発行します。会社によっては窓口や書面での申し出を求めるので、事前に人事や総務に相談してください。
実務上の注意点
発行時期を過ぎても受け取れないときは、社内の担当に確認してください。会社が応じない場合は税務署に相談することもできます。転居後は送付先を伝えるなど、受け取り漏れを防ぐ対策を取ると安心です。
源泉徴収票の発行期限と法律上の義務
発行期限の基本ルール
源泉徴収票は、税金の計算に必要な重要書類です。会社は発行期限を守って従業員へ交付する義務があります。
年末調整を受けた従業員
年末調整を受けた従業員には、翌年の1月31日までに必ず交付してください。たとえば、2024年分の年末調整を受けた人には、2025年1月31日までの交付が必要です。
退職者への交付
退職した従業員には、退職日の翌日から起算して1か月以内に交付する義務があります。例:4月30日に退職した場合は、5月30日までに交付します。
発行を怠った場合の罰則
源泉徴収票の交付を怠ると、法律による罰則が科されることがあります。最悪の場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が適用される可能性があります。
実務上の注意点
交付日は余裕を持って設定し、証拠として送付記録や控えを保管してください。従業員の転居や退職時の連絡先確認も忘れずに行いましょう。
発行先・受け取り方法
発行先
- 従業員本人:通常1枚。年末調整や確定申告、各種手続き(住宅ローンや奨学金の申請など)で必要になります。大切に保管してください。
- 税務署:通常1枚。行政での処理に使われます。
- 市区町村:給与支払報告書として2枚程度提出することが一般的です。住民税の算定に使われます。
受け取り方法
- 紙での交付:手渡しや郵送が一般的です。手渡しで受け取る場合は、受領印やサインを求められることがあります。
- 給与明細と一緒に配布:年末に給与明細と同封されることが多く、手元で確認しやすい方法です。
- 電子交付:一定の条件を満たせば電子交付が可能です。社内の専用システムでダウンロードしたり、パスワード付きのファイルで受け取ったりします。メール添付での送付はセキュリティ上の配慮が必要です。
確認と再発行の依頼方法
- 受け取ったら氏名・金額などをすぐ確認してください。誤りがあれば勤務先に速やかに連絡して修正・再発行を依頼します。
- 引っ越しや転職で住所や勤務先が変わっている場合は、事前に連絡しておくと受け取りがスムーズです。
受け取り方法は企業によって違います。分からない点は人事・総務に相談してください。
紛失時の対応
概要
源泉徴収票を紛失したら、速やかに再発行を依頼しましょう。給与分は勤務先、年金等は日本年金機構が発行元です。再発行には日数がかかるため、早めの手配をおすすめします。
連絡先
- 勤務先の人事・経理担当へ連絡します。メールや社内ポータルで依頼できる場合が多いです。
- 年金分は日本年金機構へ電話や窓口で問い合わせます。
再発行の手順(一般例)
- まず担当部署に紛失を伝え、再発行を依頼します。
- 依頼方法(書面・メール・専用フォーム)を確認します。
- 必要書類を添えて申請します。
必要書類・情報
- 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 在籍期間や社員番号、基礎年金番号など、照会に必要な情報
日数と注意点
再発行は数日〜数週間かかることがあります。税務申告期限が近い場合は早めに連絡し、申請状況をこまめに確認してください。勤務先が既に閉鎖している等で発行できない場合は、税務署や税理士に相談しましょう。
紛失防止の対策
再発行後はスキャンしてデータ保存、紙は分かりやすく保管してください。
注意点・豆知識
実務で押さえておきたいポイントを分かりやすくまとめます。どなたでもできる対応を中心に説明します。
保管期間の目安
源泉徴収票は長期間の保管義務はありませんが、目安として5年程度保管しておくと安心です。税務調査や年金・ローンの手続きで過去の書類を求められることがあります。例:住宅ローン申請で過去2年分を提示する場合があります。紙の原本に加え、スキャンしたPDFを保管すると便利です。
公的年金等の源泉徴収票
公的年金の源泉徴収票は一般に1月中旬に発行されます。到着が遅れることもありますので、届いたら控えを確認してください。金額や支払者名に誤りがあれば早めに年金事務所に連絡しましょう。
発行タイミングのズレ
年末調整や発行の時期は会社や業種で多少前後します。中小企業や繁忙期の職場では手続きが遅れることがあります。届かない場合は人事や給与担当に問い合わせてください。
その他の注意点
誤記があれば再発行を依頼します。電子保存する際は読み取りできる状態で保存し、必要時にすぐ取り出せるように整理しておきましょう。個人情報の扱いには十分注意してください。
まとめ
要点の整理
年末調整を受けた従業員には、会社は翌年の1月31日までに源泉徴収票を発行します。退職した方には、退職日から原則1か月以内に発行します。住宅ローンの手続きや各種証明書の提出が必要な場合は、会社に申し出れば随時発行してもらえます。
企業側の対応
会社は発行義務を負います。発行を怠ると罰則があるため、社内で締切と手順を明確にしておくことが大切です。例えば、年明けの業務フローに源泉徴収票の発送作業を組み込むと確実です。
受け取り後の保管
受け取ったら紛失しないよう大切に保管してください。住宅ローンや確定申告で過去の書類が必要になることがありますので、数年間(目安として5年程度)は保管することをおすすめします。
受け取れない・紛失した場合
受け取れなかったり紛失した場合は、まず会社に再発行を依頼してください。会社から発行されない場合は所轄の税務署へ相談することも可能です。
必要なときに慌てないよう、期限と保管を意識しておくと安心です。


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