源泉徴収票の基本から注意点までわかりやすく解説

目次

はじめに

本記事の目的

本記事は、源泉徴収票について基礎から実務までやさしく解説します。給与を受け取る人、経理担当者、転職や住宅ローンのために証明書が必要な方が、正しく理解し活用できるようにまとめました。

この章での位置づけ

全9章の第1章として、記事全体の流れと読み方を示します。以降の章で「定義」「記載内容」「発行方法」「関連書類との違い」「課税所得の算出」などを順を追って説明します。実務でよくあるトラブルや、書類が必要な場面での使い方も扱います。

読み方のアドバイス

まず気になる項目だけ読んでいただいて構いません。例えば「転職時の扱い」や「年末調整との関係」など、必要な章だけ参照すると効率的です。専門用語はできる限り避け、具体例で補足しますので安心して読み進めてください。

源泉徴収票の基本的な定義と役割

定義

源泉徴収票は、会社が従業員に毎年渡す公式な書類で、1年間に支払った給与の総額と、会社が差し引いて納めた所得税の金額を示します。受け取った人の収入や税の支払い状況を証明する役割があります。

会社の役割

会社は従業員の給与から毎月所得税を差し引き、本人に代わって国に納付します。年末に1年間の支払額と源泉徴収税額をまとめて源泉徴収票を作成・交付します(所得税法第226条)。

従業員にとっての役割

源泉徴収票は、年末調整や確定申告で必須の書類です。住宅ローンや賃貸契約などで収入証明が必要な場面でも使えます。紛失した場合は会社に再発行を依頼します。

発行時期と保存

通常、年末調整後に翌年の初めごろに交付されます。税務処理や各種手続きで必要になるため、数年間は大切に保管してください。

具体例

例えば年収300万円の従業員について、会社が差し引いた年間の所得税額が源泉徴収票に記載されます。この票を使って確定申告で過不足を確認できます。

源泉徴収票に記載される主な情報

概要

源泉徴収票には、前年の1月1日から12月31日までの給与に関する情報がまとまっています。確定申告や住宅ローンの手続きなどで使う重要な書類です。

主な項目と説明

  • 支払金額(総給与額)
  • 控除前の一年間の総支給額を示します。賞与も含まれます。例:月給と夏・冬の賞与を合算した金額。

  • 源泉徴収税額

  • 会社が従業員に代わって納めた所得税の年間合計です。年末調整後の最終的な税額が記載されます。

  • 各種控除額

  • 社会保険料控除、生命保険料控除、配偶者控除などが含まれます。控除により課税対象が減ります。

  • 扶養親族の人数や支払者・受給者情報

  • 扶養家族の数や会社名、氏名、マイナンバーの一部などが記載されます。

記載のポイント

  • 支払金額と源泉徴収税額は必ず照合してください。
  • 控除漏れや誤記があれば速やかに勤務先に問い合わせて訂正を依頼してください。

(注)源泉徴収票は税務手続きで重要ですので、大切に保管してください。

源泉徴収票と源泉徴収簿の違い

概要

源泉徴収票は従業員に渡す公式な証明書で、1年間の給与や賞与、差し引かれた所得税などが記載されます。従業員が確定申告や住宅ローンの申請で使う重要な書類です。

主な違い

  • 発行先と目的:源泉徴収票は従業員向けの交付書類、源泉徴収簿は会社が内部で記録する帳簿です。
  • 記載内容:源泉徴収票は年間の総額や税額がまとめて記載されます。源泉徴収簿は日別や月別の支払・控除の詳細を記録します。
  • 提出・保存:源泉徴収票は従業員に交付し、税務署に提出する場合もあります。源泉徴収簿は通常社内保管ですが、税務調査で提示を求められることがあります。

具体例

年末に会社が従業員へ渡すのが源泉徴収票です。給与計算担当者が日々の支払いや税額を記録するのが源泉徴収簿で、給与計算の根拠になります。

会社での扱い方と注意点

両方とも正確に記録・保存する必要があります。源泉徴収票は従業員に分かりやすく交付し、源泉徴収簿は内部で整備しておくと税務対応がスムーズになります。法令で保存期間が定められているので、その期限に従って保管してください。

源泉徴収票の種類と用途

源泉徴収票には主に3種類あります。それぞれ発行される場面と使い道が異なりますので、代表的な内容と日常での扱い方を分かりやすく説明します。

給与所得の源泉徴収票

  • 対象者:会社員や公務員、アルバイトを含む給与所得者が年に一度受け取ります。例:会社が年末に発行。
  • 記載内容:年間の給与総額、各種控除額、源泉徴収された所得税額など。
  • 用途:確定申告が必要なときの添付書類、住宅ローンや保育料の所得証明、転職先への提出などに使います。

退職所得の源泉徴収票

  • 対象者:退職時に発行されます。退職金の支払いを受けた人が受け取ります。
  • 記載内容:退職金の額、退職所得控除後の金額、源泉徴収された税額など。
  • 用途:退職所得の申告分離課税や確定申告の際の根拠書類になります。転職後に前職の退職金を証明する場面でも使います。

公的年金等の源泉徴収票

  • 対象者:公的年金を受給する人(国民年金、厚生年金、共済年金など)。
  • 記載内容:年金の支払金額、雑所得としての扱い、源泉徴収された税額など。
  • 用途:年金受給者の確定申告、年金収入を基にした各種控除や給付判定の資料になります。

保管と再発行について:いずれの種類も重要書類です。紛失した場合は発行元に再発行を依頼してください。確定申告や市区町村への提出が必要になるため、数年間は保管することをおすすめします。

源泉徴収票が必要な場面

住宅ローンや各種ローンの申し込み

住宅ローンや自動車ローンなどの審査で、収入の証明として源泉徴収票を求められます。たとえば、年収や勤続年数を確認するために直近1〜2年分を出すことが多いです。

確定申告をする場合

副業やアルバイト、複数の勤務先があるときは確定申告が必要です。給与と天引きされた税額を正確に申告するため、各勤務先の源泉徴収票を用意します。

転職・退職時

転職先の手続きで前職の源泉徴収票を提出する場面があります。また年末調整を受けられなかった場合は、退職後の確定申告で使います。

行政手続きや補助金申請

住民税の手続き、各種補助金や給付金の審査で収入確認の資料として使われます。保育料や奨学金の審査でも求められることがあります。

その他(在留資格や保険等)

在留資格の申請、生命保険や学資保険の給付手続きでも収入証明が必要です。

保管と再発行の注意

源泉徴収票は重要書類なので大切に保管してください。紛失したら勤務先に再発行を依頼できます。再発行には時間がかかる場合があるため、余裕を持って手続きしてください。

源泉徴収票と給与支払報告書の違い

概要

源泉徴収票は年間の給与と差し引かれた所得税を示す書類で、税務署への確認や従業員への交付に使います。給与支払報告書は市区町村が住民税を計算するために事業者が提出する書類です。

提出先と目的の違い

  • 源泉徴収票:税務署や従業員へ。所得税の計算や確定申告の根拠になります。
  • 給与支払報告書:市区町村へ。住民税の課税や特別徴収(給与からの天引き)に使います。

記載内容の違い(簡単な例)

  • 源泉徴収票:年間の支給額、社会保険料、源泉徴収された税額など。ローン申請や確定申告で使うことが多いです。
  • 給与支払報告書:従業員の住所や氏名、年間支給額、特別徴収の有無など。住民税の計算に必要な情報が中心です。

提出時期や交付

  • 両方とも年明けにまとめて作成します。事業者は従業員に源泉徴収票を交付し、市区町村には給与支払報告書を提出します。

実務上の注意

  • 転職時や住宅ローンの提出書類では源泉徴収票を求められる場面が多いです。
  • 住民税に関する問い合わせや住民票の異動は給与支払報告書の情報に基づきます。

※ 用途と提出先が違うため、両方とも正確に作成・保管してください。

課税所得の算出方法

概要

課税所得は、支払金額(主に給与)から各種の控除を差し引いて算出します。これが所得税・住民税の課税対象となる金額です。源泉徴収票の項目を順にたどれば、算出過程を確認できます。

算出の手順(わかりやすく)

  1. 支払金額(給与の総額)を確認します。
  2. 給与所得控除を差し引き、給与所得を求めます(給与所得控除は給与に応じて定められます)。
  3. 社会保険料(健康保険、厚生年金、雇用保険など)を差し引きます。
  4. 所得控除(基礎控除、配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除、医療費控除など)を差し引きます。
  5. 残った金額が課税所得です。課税所得がマイナスになる場合は0円として扱います。

具体例(概算で示す)

  • 支払金額(年): 5,000,000円
  • 給与所得控除(例): 1,200,000円 → 給与所得 3,800,000円
  • 社会保険料(例): 600,000円 → 課税対象となる所得 3,200,000円
  • 所得控除合計(基礎控除等、例): 480,000円 → 課税所得 2,720,000円
    この課税所得をもとに税率を適用して所得税・住民税が計算されます。

注意点

  • 給与以外の所得がある場合は合算してから控除を差し引きます。
  • 退職金は別の計算方法が適用されるため、ここでの手順とは異なります。
  • 源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計」「源泉徴収税額」などの欄で結果を確認できます。

控除の種類や計算方法は細かい規定がありますので、正確な額を知りたいときは税務署や税理士にご相談ください。

まとめと注意点

源泉徴収票は、1年間の収入と税額を示す重要な証明書です。ここでは実務で気を付けたい点を分かりやすく整理します。

主な要点

  • 発行と受け取り:会社が毎年発行します。一般に翌年の1月末までに受け取ることが多いです。
  • 用途:確定申告や年金、住宅ローン申請などで提出を求められます。

確認すべき項目

  • 氏名・マイナンバー(必要時)・支払金額・源泉徴収税額・各種控除額。誤りがないか必ず確認してください。

ミスや紛失時の対応

  • 記載に誤りがあれば勤務先に訂正・再交付を依頼します。勤務先で対応できない場合は税務署へ相談してください。
  • 紛失した場合も勤務先に再発行を依頼します。場合によっては原本提示が必要です。

保管と扱いの注意

  • 税務や手続きで必要になるため、大切に保管してください。保管期間や提出方法は手続き先の案内に従ってください。
  • 改ざんは法律で禁止されています。副業がある場合や年の途中で退職した場合は、確定申告が必要になることがあります。

不明な点は早めに給与担当者や税務署に相談すると安心です。丁寧に確認・保管して、必要な手続きでスムーズに使えるようにしましょう。

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