源泉徴収票と5年前の記録を正しく確認するポイント

目次

はじめに

目的
この文書は、源泉徴収票についてわかりやすくまとめることを目的としています。源泉徴収票の基本、作成・提出の原則、発行タイミング、確定申告との関係、転職時の取り扱い、2020年の税制改正、見方までを網羅します。特に、5年前の源泉徴収票の取得方法や保管期間に関する実用的な情報も含めます。

読者想定
給与所得者、事業主、人事・総務担当者、転職を考えている方など幅広い方を想定しています。税務署や税理士に相談する前に基本を把握したい方に向けた内容です。

構成と使い方
本書は全8章で構成します。第1章は本章のような導入、第2章以降で具体的な手続きや注意点を順に解説します。必要な箇所だけを参照しても理解できるように、実務で役立つ例を交えて記載しています。

源泉徴収票とは何か

定義と目的

源泉徴収票は、1月1日から12月31日までの1年間に会社が従業員に支払った給与や賞与、そこから源泉徴収した所得税の額などを記載した法定調書です。企業が従業員の所得に関する事実を証明する書類で、所得税法で定められています。主に税の申告や証明に使います。

記載される主な項目(具体例つき)

  • 支払金額:1年間に支払われた総額。例)年収500万円
  • 源泉徴収税額:会社が天引きした所得税の合計。例)40万円
  • 各種控除:社会保険料、配偶者控除や扶養控除などの金額
  • 勤務先や雇用期間の情報
    これらが一枚にまとまっている点が便利です。

どう使うか(代表的な場面)

  • 確定申告:申告書の添付や記入の根拠になります。
  • 転職時:新しい勤務先に提出すると年末調整の基礎になります。
  • 住宅ローン控除などの手続きで収入証明として用います。

受け取りと保管の注意点

会社は通常、年明けに前年分の源泉徴収票を交付します。受け取ったら金額に誤りがないか確認してください。保管は税務上数年間必要になる場合があるため、大切に保管してください。

よくある誤解

源泉徴収票は「最終的な税額の確定書類」ではありません。あくまで一年間の支払と天引きの記録であり、確定申告で税額が変わることがあります。

源泉徴収票の作成と提出の原則

概要

源泉徴収票は原則として複数の部数を作成します。従業員に交付する用、税務署に提出する用、市区町村に提出する用が必要です。企業はそれぞれの提出先の様式や部数を確認して準備します。

作成する部数の目安

  • 従業員交付用:1部(本人用)
  • 税務署提出用:1部
  • 市区町村提出用:2部(給与支払報告書として)
    例)従業員が3名なら、3部(社員用)+3部(税務署用)+6部(市区町村用)=合計12部を用意します。

マイナンバーの記載について

税務署に提出する源泉徴収票の様式にはマイナンバー(個人番号)の記載欄が設けられています。提出時には所定の記載が必要です。従業員に交付する用紙や市区町村への扱いは様式や自治体の指示に従ってください。プライバシー保護に配慮し、番号の管理を厳重に行ってください。

実務上の注意点

  • 部数や提出先を早めに確認し、コピーを含めて余裕を持って作成します。
  • 氏名、金額、扶養の記載などに誤りがないか必ずチェックします。
  • 誤りが見つかった場合は速やかに修正し、必要に応じて再発行します。

以上の点を押さえると、作成と提出の手続きがスムーズに進みます。

源泉徴収票が発行されるタイミング

概要

源泉徴収票は主に4つのタイミングで発行・交付されます。ここではそれぞれの場面と、一般的な目安となる時期や実務上の注意点をやさしく説明します。

1. 年末調整の計算後(通常:12月後半〜1月末)

会社は年末調整で1年分の税額を確定します。計算が終わると、従業員へ源泉徴収票を交付します。多くの会社は12月後半に計算を行い、遅くとも翌年1月31日までに渡すことが多いです。例:12月給与で年末調整を行い、1月中に源泉徴収票が配られます。

2. 退職時(その年の1月1日から退職日までを記載)

退職した場合、その年の1月1日から退職日までの給与や税額を記載した源泉徴収票を受け取れます。通常、最終給与の確定後、1か月程度で発行されることが多いです。例:3月末に退職したら、4月中に交付される場合が多いです。

3. 確定申告時

確定申告を行うときは、源泉徴収票が必要になります。給与所得がある人は年末調整分の源泉徴収票を使います。もし手元にない場合は、勤務先に早めに依頼してください。副業や複数の勤務先がある場合は、それぞれの源泉徴収票をそろえる必要があります。

4. 収入証明が必要なとき(ローン申請など)

住宅ローンや賃貸契約、奨学金の手続きなどで収入証明が求められるときにも源泉徴収票を使えます。金融機関によっては原本や発行からの期間を指定することがありますので、利用目的に合わせて勤務先に再発行を依頼してください。

実務上の注意点

  • 通常は年末調整後の交付が多いです。退職時は最終給与の後に速やかに交付を受けましょう。
  • 紛失した場合は勤務先に再発行を依頼できます。事前に必要な期間や手続きを確認してください。

以上が、源泉徴収票が発行される代表的なタイミングとそのポイントです。

源泉徴収票と確定申告の関係

概要

2020年分(令和2年分)から、給与所得者が確定申告をする際に源泉徴収票を申告書に添付する必要がなくなりました。給与については勤務先が源泉徴収で所得税を精算しているため、源泉徴収票に記載された金額を申告書に記入すれば手続きができます。

添付不要でも注意する点

  • 源泉徴収票の記載内容をもとに申告するため、会社から受け取った原本で内容を確認してください。
  • 税務署は後で確認を求めることがあるため、源泉徴収票は手元に保管しておきます。保存期間は概ね5年です。
  • e-Tax(電子申告)だけでなく、紙の申告でも添付は不要です。ただし、郵送で問い合わせが来た場合に備えコピーを準備しておくと安心です。

実務上の流れ(簡単な手順)

  1. 年末に勤務先から源泉徴収票を受け取る。
  2. 源泉徴収票の給与・源泉徴収税額・社会保険料等を確定申告書に転記する。
  3. 必要書類(医療費控除の領収書など)を添付して申告する。源泉徴収票は添付しなくてよい。
  4. 税務署から請求があれば源泉徴収票を提出できるようにする。

こんな場合は特に注意

  • 給与のほかに副収入があり合算して申告する場合。
  • 年の途中で転職し複数の源泉徴収票がある場合は、各社の金額を合算して申告します。
  • 年末調整で処理されていない控除を申請する場合(医療費控除や寄附金控除など)。

源泉徴収票は添付が不要になりましたが、申告の根拠となる大事な書類です。必ず受け取り、内容を確認し、一定期間は保管してください。

転職時の源泉徴収票の提出

なぜ提出が必要か

転職すると、転職先で年末調整を受けるために前職の源泉徴収票が必要です。特に同じ年に複数の会社から給与を受け取った場合、各社の所得を合算して税額を正しく計算するために使います。提出がないと転職先で年末調整できず、自分で確定申告する必要が出ることがあります。

いつ提出するか

多くの場合、入社時または年末調整の時期に求められます。入社書類と一緒に求められることが多いので、退職後は早めに前職から受け取っておくと安心です。

どうやって提出するか

前職に源泉徴収票の発行を依頼し、原本を転職先に提出します。企業は原本を確認してから返却することが一般的です。転職先がコピーで受け付けるかは事前に確認してください。

前職から受け取れない場合

退職時に受け取れなかった場合は、前職に再発行を請求してください。再発行が難しいときは、税務署や転職先の総務に相談し、最終的には自分で確定申告して調整します。

実務上の注意点

・退職時に必ず源泉徴収票の発行を依頼する。
・紛失対策にコピーを保管する。
・転職先に提出する期限や形式(原本かコピーか)を事前に確認する。

具体例:1月〜6月A社、7月〜12月B社で働いた場合、B社で年末調整を受けるにはA社の源泉徴収票が必要です。受け渡しが間に合わなければ、翌年に自分で確定申告します。

2020年の税制改正による変更点

改正の概要

2020年(令和2年)の改正では、基礎控除と給与所得控除の計算方法が見直されました。日常生活に直結するため、受ける控除額が変わる点に注意が必要です。

基礎控除の見直し

基礎控除は25年ぶりに改正され、年収に応じて48万円から0円へ段階的に調整される仕組みになりました。年収が高い人ほど基礎控除が小さくなりますので、これまでと同じ年収でも課税される所得が増える場合があります。

給与所得控除の見直し

給与所得控除の計算式も改められ、控除額が概ね10万円引き下げられました。結果として給与から差し引かれる控除が減り、課税対象となる所得額が増えます。

具体例(年収470万円の場合)

例として年収470万円の方は、改正前(2019年)は給与所得控除が322万円でしたが、2020年以降は312万円に変更されています。この差が課税所得を増やし、所得税や住民税に影響します。

実務上の注意点

・年収や家族構成で影響が変わるため、源泉徴収票や給与明細で控除額を確認してください。
・年末調整や確定申告で調整が必要になることがあります。特に副収入がある場合や転職した年は確認をおすすめします。

まとめの代わりの一言

控除の改正は税負担に直結しますので、自分の収入に合わせて早めに確認しておくと安心です。

源泉徴収票の見方

主な記載項目

  • 支払金額:その年に支払われた給与の合計です。年収に相当します。
  • 給与所得控除後の金額:年間の給与から給与所得控除額を差し引いた金額です。課税対象の目安になります。
  • 給与所得控除額:収入に応じて定められた控除額です。収入帯ごとに計算式が異なります。
  • 源泉徴収税額:年末調整後に会社が差し引いた源泉所得税と復興特別所得税の合計額です。
  • 社会保険料等の控除欄、配偶者控除・扶養控除などの控除欄、摘要欄

各項目の読み方(具体例つき)

  1. 支払金額を確認します。例:250万円。
  2. 給与所得控除額を計算します。例にある区分(195万円〜329万9,000円)は「収入金額の10%から97,500円を引く」方式です。250万円の場合:250万円×10%=25万円、25万円−97,500円=152,500円が控除額です。
  3. 給与所得控除後の金額は、250万円−152,500円=2,347,500円です。
  4. 源泉徴収税額は源泉徴収票記載の金額を見ます。年末調整済みの税額が表示されるため、確定申告で精算する必要があるか判断できます。

チェックポイント

  • 支払金額と源泉徴収税額が見合っているか確認します。
  • 転職した場合は前職の源泉徴収票を提出し、合算する必要があります。
  • 記載に誤りがあれば勤務先に早めに問い合わせてください。

読み方を押さえると、確定申告や年末調整の対応がスムーズになります。

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