源泉徴収票とマイナンバーの基礎知識と対応ポイントを完全解説

目次

はじめに

この文書は、源泉徴収票におけるマイナンバーの記載ルールと実務対応を分かりやすく解説することを目的としています。

目的

事業者や人事・総務担当者が、源泉徴収票を作成・交付・提出する際に必要な判断と手続きができるようにするための実用的な案内です。具体例や手順を交えて説明します。

対象読者

中小企業の総務・人事担当、個人事業主、税務処理を担当する方など、実務で源泉徴収票を扱う方を想定しています。専門知識が深くなくても読み進められるよう配慮しています。

本書の流れ

以降の章では、基本知識、従業員交付と税務署等提出の違い、マイナンバー取得の流れ、記載欄の注意点、関連する法定調書やマイナポータル連携まで順を追って説明します。実務で気を付けるポイントも具体的に示します。

どうぞご自身の業務に合わせて活用してください。

源泉徴収票とマイナンバー制度の基礎知識

源泉徴収票とは

源泉徴収票は、会社が従業員に支払った給与や賞与の合計額と、そこから源泉徴収した所得税の金額を記載した書類です。年末調整や確定申告の際に必要で、従業員の所得を証明する役割を果たします(例:1年間の給与総額や天引きされた税額が分かります)。

マイナンバー制度とは

マイナンバーは個人を一意に識別する12桁の番号で、2016年1月1日に導入されました。税や社会保障、災害対策の手続きを効率化し、手続きの正確性を高める目的があります。

法改正の経緯(簡単に)

導入当初は源泉徴収票へのマイナンバー記載が求められていましたが、2015年10月の法改正により状況が変わりました。本書の後の章で詳しく説明します。

実務で押さえるポイント

・源泉徴収票は従業員の所得証明として大切です。
・マイナンバーは税務・行政手続きで重要ですが、書類の扱いには個人情報保護の配慮が必要です。

従業員に交付する源泉徴収票へのマイナンバー記載は不要

概要

従業員本人に交付する源泉徴収票には、マイナンバーの記載が不要です。企業は従業員に配る文書に個人番号を書かないことで、情報漏えいや管理負担を減らせます。

なぜ不要なのか

  • 郵便事故で番号が流出するリスクを低くします。
  • 社内での番号管理や廃棄コストを削減します。
  • 個人情報保護の観点から、必要最小限の記載に留めます。

実務上の注意点

  • 従業員へ渡す用はマイナンバー欄を空欄にするか、印字しない様式を使ってください。
  • 取得したマイナンバーは別途、安全な場所で保存し、不要な場面での提示を避けます。
  • 本人確認は引き続き行い、番号は正確に取得してください。

よくある誤解

従業員に渡す書類に記載しなくても、税務署や市区町村へ提出する際は必要です。社内配布用と提出用で取り扱いを分けることが肝心です。

税務署・市区町村への提出時にはマイナンバー記載が必須

必要な記載と用意する部数

税務署や市区町村に提出する源泉徴収票には、従業員のマイナンバー(個人番号)の記載が必要です。企業は従業員1人につき計4部を用意します。内訳は市区町村提出用が2部、税務署提出用が1部、従業員交付用が1部です。従業員交付用のみマイナンバーの記載は不要です。

なぜ市区町村・税務署に必要か

市区町村は住民税の計算、税務署は所得税の確認にマイナンバーを使います。個人の識別を正確に行うため、書類に番号を入れて提出します。

記載方法と実務上の注意点

記載欄に12桁の数字を漏れなく記入します。手書きの場合は読みやすく書き、入力ミスがないか必ず二重に確認してください。電子提出が可能な場合は、システムの暗号化やアクセス制限を確実に行ってください。従業員に渡す用の控えは番号を書かない、または番号を黒塗りするなどして個人情報が外に出ないよう注意します。

記載漏れや誤りがあったときの対応

提出後に誤りを見つけたら、速やかに税務署や市区町村に連絡して訂正方法を確認してください。多くの場合、訂正した書類を再提出します。内部ではマイナンバーの取扱いルールを整え、受領・保管・廃棄の手順を明確にしておくと実務がスムーズです。

源泉徴収票に記載するマイナンバー取得の流れ

概要

税務署や市区町村に提出する源泉徴収票にはマイナンバーの記載が必要です。企業は従業員のマイナンバーを入社時などに確実に取得し、安全に管理する必要があります。混乱を避けるため、手順を社内で整理しておきましょう。

取得のタイミング

  • 入社時:最優先で取得します。給与支払の基礎情報として必須です。
  • 扶養変更や住所変更時:マイナンバーに変更は少ないですが、確認は必要です。
  • 年末調整前:年末調整で税務署提出資料を作るため、早めに再確認します。

取得方法と必要書類

  • 本人からの提出:マイナンバーカード(表裏)、または通知カード+顔写真付き身分証明書の組合せ。
  • 口頭確認だけでなく、コピーを受領し本人署名を求めると安全です。

管理と保管

  • 電子保存:暗号化、アクセス権の限定、ログ記録を行います。
  • 紙で保管する場合:施錠保管し、閲覧履歴を残します。
  • 保管期間:法令に従い必要な期間保管します。

正確性の確認と更新

  • 書類の写真と原本を照合して番号の誤記を防ぎます。
  • 更新があれば速やかに差し替えます。

提出先の違いに備える

  • 従業員に渡す源泉徴収票には原則マイナンバーを記載しません。税務署等提出用のファイルのみ番号を付けます。誤って従業員用に記載しないよう、様式を分けて管理してください。

未提出・拒否時の対応

  • まずは書面で提出依頼を行い、理由を確認します。提出が得られない場合は担当税理士に相談の上、代替措置を検討します。

各工程を明確にし、担当者と手順を社内規程で定めると混乱を防げます。

マイナンバー記載欄の詳細と注意点

概要

源泉徴収票には「従業員本人」「扶養親族」「支払者(事業所)」のマイナンバー記載欄があります。従業員に交付する用紙には記載しない点は前章の通りです。ここでは、どの欄にどの番号をどう扱うかを具体的に説明します。

記載欄ごとの扱い

  • 従業員(本人):税務署等へ提出する様式には記載が必要です。従業員へ渡す控えには記載しません。例:年末調整後の税務署提出用。
  • 扶養親族:扶養がある場合は、その親族の個人番号を提出用に記載します。控えは省略します。
  • 支払者(事業所):通常は個人のマイナンバーでなく法人番号を記載しません。

法人番号の扱い

源泉徴収票の控えに法人番号記載は不要です。税務署に提出する様式でも法人番号を記入する場面は原則ありません。

税務署提出後に番号があとで提供された場合

税務署へ提出した後にマイナンバーが追加で提供された場合、原則として再提出(訂正)が求められます。ただし事務負担等を勘案し、税務署が再提出を求めないこともあります。省略した場合は、いつ誰から番号を受領したかを記録しておくと安心です。

実務上の注意点

  • 収集時に本人確認を必ず行い、確認した書類の写しは安全に保管してください。
  • マイナンバーは情報漏えいリスクが高いのでアクセス権限を限定し、保存・廃棄の手順を明確にしてください。
  • 提出・再提出の判断は税理士や税務署に相談すると安心です。

具体例

新人が1月に入社し、マイナンバーが2月に届いた場合:税務署へ1月時点で提出済みなら訂正が原則です。実務上は、訂正の可否と手間を税務署と相談し、記録を残す運用が現実的です。

その他の法定調書とマイナンバー

概要

給与所得や退職所得、公的年金、報酬・料金等の法定調書も、税務署に提出する書類には個人番号(マイナンバー)の記載が義務付けられています。一方で、本人に交付する写しには番号を記載する必要はありません。

提出先ごとの取扱い

  • 税務署提出用:個人番号の記載が必須です。紙提出でも電子提出でもルールは同じです。
  • 本人交付用:本人に渡す分には番号を記載しないようにします。番号を省いた写しを用意してください。

具体例と注意点

  • 報酬・料金等の支払調書や公的年金の源泉徴収票でも同様です。事業者は支払先の個人番号を正確に取得し、提出書類に記載します。
  • 記載ミスや未記入があると、税務署から差戻しや指導を受ける場合があります。確認ルールを定めてください。

実務上の対策

  • 取得は本人確認を徹底し、収集書類は最小限にします。
  • 電子的に管理する際はアクセス制限や暗号化を行い、不要になったら速やかに廃棄します。
  • 社内で記載漏れチェックのフローを作ると安心です。

マイナポータル連携による確定申告の効率化

概要

2024年1月から、マイナンバーカードを使ったe-Taxで給与の源泉徴収票情報を自動入力できるようになりました。マイナポータル経由で源泉徴収票や保険料・控除証明書などを一括取得し、申告書作成を効率化できます。

利用の流れ(簡単な手順)

  1. マイナンバーカードを用意し、マイナポータルにログインします。
  2. マイナポータルで「e-Tax連携」を許可し、必要な書類の提供を承認します。
  3. e-Taxの作成画面で「マイナポータルから取得」を選び、データを取り込みます。
  4. 取り込んだ金額を確認し、そのまま申告書に反映して送信します。

具体例

  • 会社の源泉徴収票が自動で反映され、手入力の手間が省けます。
  • 生命保険や社会保険の控除証明も一括で取り込めます。

注意点

  • 提出前に取り込んだ金額を必ず確認してください。提供側(勤務先や保険者)がデータを未登録だと取得できません。
  • マイナンバーカードのセキュリティ管理とログイン情報の扱いに注意してください。
  • 税理士など代理人が申告する場合は、別の手続きが必要です。

この機能を使うと入力ミスが減り時間も節約できます。まずはマイナンバーカードとマイナポータルの準備をおすすめします。

実務上の重要なポイントと対応

1. 提出先ごとの取り扱いを明確にする

源泉徴収票のマイナンバーは、従業員に交付するものには記載不要ですが、税務署や市区町村へ提出するときは必須です。まずは提出先ごとに記載の要否を社内で明確にしてください。

2. マイナンバーの取得・保管・廃棄の手順

取得時は本人確認を必ず行い、書面または安全な電子手段を用います。保管はアクセス権限を限定し、暗号化やログ管理を実施してください。不要になったら速やかに安全に廃棄します。

3. 社内ルールと担当分担

総務・人事・税務・ITの責任範囲を決め、申請から提出までのフローを文書化します。研修を定期的に行い、運用ミスを減らします。

4. 提出時のチェックリスト(実務例)

  • 提出先の確認(記載要否)
  • マイナンバーの有無と本人確認の記録
  • 保存方法(暗号化・アクセス制御)
  • 送付方法の安全性確認(郵送時の封入、電子提出の形式)

5. よくあるトラブルと対応

記載が必要な書類を誤って従業員に渡した場合は速やかに回収し訂正します。マイナンバーを紛失したら関係機関へ相談し、再発防止策を講じます。従業員が提供を拒む場合は理由を聞き、必要に応じて専門家に相談してください。

6. 外部専門家の活用

税理士や社労士、セキュリティ専門家に相談すると安全対策や手続きがスムーズになります。重要書類の取り扱いは慎重に行ってください。

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